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コイントスによって後半行使を選択した関西大倉のキック・関西学院レシーブで試合が始まった。そして関西学院自陣30ヤード付近、ここから怒涛のオフェンスが始まる。QB#10加納から右TE#84徳井へのパス7ヤード、ショットガンQBドロー25ヤードなどで敵陣へ侵攻すると、RB#21の右OT付近ラン7ヤード、そして、RB#21河原への左オープンオプションピッチでディフェンスを釣り、レシーバーのブロックも決まって30ヤード超のロングゲイン、これで関西学院が先制した。 さらに第2シリーズもTE#84徳井へ8ヤードパス、RB#32木村の中央ランプレー15ヤードなど前後左右幅広い様々な攻撃が連続でヒットする。 このシリーズは最終的に敵陣10ヤード付近でのFG狙いでボールをホールドできずにプレーが崩れるのだが、それでも#20太田からエンドゾーンへのTDパスが決まった。ターゲットを探していた#20に応えたレシーバーの判断が素晴らしかった。 サイドチェンジを挟んだ第3シリーズもショットガンスクリーンパスがWR#28中井へヒット、そして50ヤード超のTDランで3連続得点をあげた。。 第4シリーズは自陣20ヤードから、そして、第5シリーズは自陣35ヤードから、いずれもランパス縦横無尽のオフェンスドライブが続き、これで敵陣10〜20ヤード付近まで簡単に侵攻した。 しかし、実はここからの残り10ヤードが、攻め切れていない。関西大倉DB#19深川によるTDパスカットなどで2FGトライに留まっている。第2シリーズでFG狙いになったポジションと同じである。 ******** 一方の関西大倉QB#3田谷野によるオフェンスは、フィールド中央からWR#高野4への縦ロングパスがTDパスとなって7点を獲得したが、前半残りの4シリーズ合計で2回のFD更新に終わっている。 オフェンスとして有効なプレーなのか、プレーとしてなかなか成立していないので判りにくかった。ただ私の見たところDBと1対1になるようなパスは案外面白いかもという感触はあったのだが、どうでしょうか。 ******** 前半を終わって関西学院24−7関西大倉。内訳は関西学院3TD1FGに対し関西大倉1TDだが、オフェンスドライブ距離と内容を比較すれば関西学院優勢という印象は拭いきれない。 ただし、もう一歩踏み込んで考えてみると、実質は一発ロングゲインによる2TDのみで、エンドゾーン直前でドライブが止まった結果の3FGトライに追い込んでいる関西大倉ディフェンスの健闘/攻め切れない関西学院という見方もできる。 試合が終わったあとに振り返ってみれば・・・という結果論ではあるが、ハーフタイムの段階で一つの可能性として気掛かりだったのも事実です。 ******** 後半、関西学院は、再び自陣18ヤード付近からランパス1回10ヤードゲインを繰り返して、あっという間に敵陣9ヤードに迫る。だが前半と同じようにDB#19深川のランキャリアタックルとパスカットでドライブが止まってしまう。そしてFG3点を得るにとどまる。 そして関西学院キックオフ・関西大倉リターン。リターナー#3田谷野が関西学院カバーチームの隙間を器用に走り抜けて80ヤード超のリターンTD、これによって関西大倉が7点を追加した。 つまり、一瞬にして関西大倉が差し引き4点を詰めたことになり、このリターンをきっかけにして試合の流れが変わっていく。 続く関西学院オフェンスはFD更新なしによるこの試合はじめてのパントを蹴る。これで関西大倉は自陣20ヤードスタートとなるとともに約8分におよぶロングドライブが始まった。 関西大倉QB#11松田によるオフェンスは、関西学院オフサイド反則によるFD更新を皮切りにRB#21海島ドロー中央突破ラン、WR#31常包へのプレーアクションパスなどで大きくゲインする。デザインされたプレーが崩れてもDLの追求をかわしたQBスクランブルやDB2人に挟まれたレシーバーへのピンポイントパスが決まったりで、関西大倉オフェンス陣が絶好調だった。 このシリーズはQB#3田谷野が先のリターンTDによる負傷もあってQB#11松田によるオフェンス指揮となったのだが、微妙なタイミングの違いもあるのだろうか関西学院ディフェンス陣は大きく振り回されてしまった。自陣20ヤードから始まったドライブは5回のFD更新約8分の末に14−27と2TD差に縮まった。残り5分16秒。 続く関西学院は自陣30ヤード、QB#10加納によるランパスは再び火を噴いた。そして敵陣19ヤード付近まで達した第2Dで左コーナーへのTDパスを投じる。 ボール下に先に入ったのは関西大倉DBだった。ほぼボールキャッチ権を手中に収めていたのだが、最後はWRとの空中戦&地上戦になった。DBによるパスインターセプトのように見えたのだが、審判の判定は攻守同時キャッチ、これにより関西学院は6点を追加、2ポイントPATを関西大倉に遮られて得点差は12点となる。 そして関西学院キックオフ。関西大倉リターンは再び#3田谷野。そして再び左サイドライン際をすり抜けてリターンTDを挙げた。これで得点差5点、つまり1個のTDで逆転できるまでに迫った。残り3分40秒。 ここで関西大倉はオンサイドキックを試みるがボールを確保できなかった。関西学院は敵陣スタートとなり、さらにFD更新した時点で残り2分53秒。ここで再びFD更新すれば試合の行方は・・・という状況だったのだが関西大倉2回のタイムアウトを使って時計を止める。一方の関西学院オフェンスは反則2回計15ヤード(エンクロ・ホールディング)ロスが効いてしまい、攻撃権を放棄せざるを得なくなった。 これで関西大倉に攻撃権が移動したのが残り時間1分27秒。ただし、ポジションは自陣3ヤード残りタイムアウト1回。難しいシチュエーションではあるが、10ヤード前進のパスによるFD更新後は、スパイク・縦ロング失敗・ショート5ヤードパス・縦ロング失敗に終わってしまった。 ******** 試合前半は関西学院がほぼ完璧に支配していた。ハーフタイムでの私の頭の中は、僅かな可能性を残しつつも、このまま一方的な試合展開になりそうと言う考えが大勢を占めていて、ほとんど諦めていた。 しかし、関西大倉サイドは冷静に試合の流れを分析していたのだろう。私のように切れていたら後半ここまで関西学院を追い詰めることはできなかったに違いない。気持ちを切らなかった選手&ベンチスタッフに拍手です。 一方の関西学院オフェンスはQB#10加納によるランパスのプレー幅の広さにただただ驚きで、そのボールキャリアも誰かに固定されているのではなく、#21、#20、#28、#84など多彩なメンバーがフィールドを駆け巡るという、厄介なオフェンスチームに仕上がっている。 大学高校の両方の試合を観戦しているが、手に汗するのは高校の試合のほうである。今春の高校の試合は同点引き分けや1点差接戦など力の均衡した試合が多かった。ひと夏超えて秋の全国大会も接戦が続くのだろう。関西学院高等部の関西地区2連覇なるか、それとも大産大附属の覇権奪回なるか、あるいは立命館宇治・関西大倉・同志社国際・高槻高校・関大一高・・・等々、秋の大会がいまから待ち遠しい。 |