東西大学王座決定戦 毎日甲子園ボウル



甲子園ボウル 




 第59回甲子園ボウルは立命館大学と法政大学の対戦という2年連続で同一カードとなった。昨年は、立命館大学が61−6で法政大学に勝利しており、今年は立命館大学が3連覇を、そして法政大学は4年ぶりの優勝を目指す。

 過去58回の甲子園ボウルの歴史の中で10年単位で区切っても、東西それぞれ連勝連敗はあったが東の連勝のあとに西の連勝がありその逆もありで、必ず揺り戻しがあったので、平均的には東西均衡のイメージがあった。だが最近10年間では、2000年の関西学院大学の敗退があるものの関西が8勝1敗1分けで圧倒的にリードしている。
 だが、手元に甲子園ボウルの記録をお持ちの方は御覧頂きたいのだが、第12回大会1957年からの10年間で関西代表(関西学院大学)の9敗1分けという成績が残っている。直近の10年間ではたまたま関西優位というだけで過去には逆の関係もあったということで、現在の西高東低関係が未来永劫続くとは限らない。

 とは言うものの今年の甲子園ボウルに限れば、やはり近年の東西格差を背景に考えると立命館大学優位の声が多いのは仕方のないところである。

********

 さて、いつものように試合の見所をまとめようと思うのだが、法政大学については試合を全く観戦していないこともあって、私にとって未知の部分が多い。そこで、関東学生アメリカンフットボール連盟HPで公開されている試合毎のスタッツを眺めた私の思うところとして、試合傾向や注目選手キーマン紹介としてまとめておく。

 法政大学オフェンスはQB#18菅原#17市川併用してショットガンを導入したようだが、ランパスのプレー比率(試行回数)ではほぼ1対1の同数である。
 ただブロック優勝戦となった早稲田大学戦と、関東大学選手権決勝中央大学戦の大一番の2試合ではラン数がパスを大きく上回っている。さらにこの2試合については、QBのラン記録が他に比べて多いので、パス/ランのオプションからのQBキープが増えたということが考えられる。

 おそらくオフェンスの基本はラン主体に組み立てつつ、プレー幅を広げるためのパスということなるのだろう。近年の甲子園における法政大学の試合を観戦していてもここでパスがあればと思うこともあり、今年はオフェンスプレー数が増えているところに注目したい。

 そのオフェンスバックス陣は、RB#29伊藤をメインキャリーとして、さらにRB#20丸田、#39丸茂、そしてパスターゲットはWR#11戸倉と#82蔵重、#1井上。ただしRB#20丸田、#29丸茂にもパス記録があることから、スクリーン系あるいはのパスも加わりそうだ。 

 ディフェンスではDL#90伊倉、DE#94長谷川にQBサック記録が多く、またDB#21鹿島は4回のパスインターセプトを記録しており、反応の良いDB(S)として注目しておきたい。

********

 対する立命館大学は関西学生プレーオフによって甲子園ボウル出場権を獲得となったが、ポジションによっては負傷者が多いのが気がかりであり、そこをどのように乗り切るか選手層の暑さを見せるか、ここが一つのポイントになりそうだ。

 オフェンスはQB#12池野が雨天のプレーオフでは手詰まり感が漂うシーンもあったが、試合経験を積むごとに成長している様子は伺える。
 ショットガンパスターゲットは、WR#11木下、#7長谷川をメインとして、#15末原、#7前田、#88大滝など試合毎に好レシーバーが誕生してきている。オフェンスバックスで気がかりなのがRB陣でありリーグ戦途中から負傷者続出である。RB#23古川だけが最後まで残っている様子だが彼も万全ではないだろう。オフェンスプレー幅が制限されそうだが、この試合ではどのように乗り切るだろうか。

 同様にディフェンスもLB陣、DL陣に負傷者が多い。特にディフェンスの核となる第2列LBは#10田中、#9塚田、#5内田というスターターに#43、#45など交代出場している状態だが、第3列DB陣#13三宅、#17黒田、#27福島とともに、パスの加わった法政大学オフェンスとの対決は興味深い。

********

 世間的には立命館大学優位が動かないと考えられており、私もそれを否定はしないのだが、やはり油断は大敵。立命館大学が試合の流れ勢いだけは失わないような取り組みが必要である。

 試合前からある程度試合結果が想像できる試合は、正直なところ、ある。関西学生D1の試合は何が起きるか判らないというスタンスで常に緊張して観戦しているのだが、例えば入れ替え戦になると、やはり、戦前に考えていた通りの結果になってしまう。
 しかし、私の思いと逆の結果になってしまった試合がここ数年で2試合はある。いずれもモメンタム試合の流れを失ってしまい、それを引き戻すのに手間どっている間に時間がなくなって焦り出して攻守ともミス連発、その頃には取り返しの付かない状態になっていた。

 この試合も残念ながら世間的には結果がほぼ決まっているようにも見られるが、果たしてその通りになるのか。法政大学攻守が一味違った今年の甲子園ボウルである。こればかりは対戦してみないと判らない。