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始めて関西で行われるXリーグの頂上戦は松下電工とアサヒビールの対戦となった。この組み合わせは過去に何回もこの季節に行われている。FINAL6になって以降は97、98、03年の3回あるが、東西時代の80年代後半にも王子陸上競技場(現在の王子スタジアム)で何回か激突しており、松下電工アサヒビールとも東西を代表する強豪古豪チームである。 ******** 試合は先攻松下電工がQB#17高橋幸が先発、そしてFD更新後は#7高橋公を起用と両QBを使いながらのドライブとなった。ランパスで短き刻みながらFD更新、さらにWR#81塚崎へのミドルパス20ヤードで敵陣へ侵攻した。だが、続くランプレーでファンブルロストターンオーバーとなってしまう。 しかしアサヒビールもQB#8金岡からWR#81藤縄へのロングパスを松下電工DB#24仲田にもぎ取られてインターセプトターンオーバーと、落ち着かない立ち上がりとなった。 松下電工は次のシリーズで再びQB#17高橋幸からWR#81塚崎へのミドルパス24ヤードを成功させて敵陣へ入る。このドライブは第4D残り1ヤードに追い込まれたが、松下電工はここでギャンブルせずK#9太田の40ヤード超のFGトライを選択、そして3点を獲得した。 この飛距離では決して簡単なFGキックではない。敵陣30ヤード付近での第4D残り1ヤードをギャンブルせずに40ヤードのFGを狙うという選択をチームにさせた太田のキック力を再認識した。ここで得点できたことで次回の第4D残り1ヤードギャンブルトライを選択できている。 ******** ただ、試合の流れは、その後もバタバタした落ち着かない状態が続く。松下電工フィールド中央でのショートパスをアサヒビールDB#21白濱がレシーバーの前に割り込んでパスインターセプトするが、続くアサヒビールの第4Dパントでスナップが乱れ、さらに#13山中のプレッシャーもあってパントを蹴ることができず。 これで松下電工も絶好のフィールドポジションを得たのだが、DL#94のQBサックロスとテンポが悪い。さらにFGトライではキックボールをアサヒビールにブロックされて得点に至らない。 こうして第1Q15分間は両チームともターンオーバーの連続で試合の流れをモノにすることができなかった。 ******** だが第2Qに入いると、ようやく試合の方向性がはっきりしてきた。 松下電工がフィールド中央付近でQB#17高橋幸のパスからスクランブルランで15ヤードゲイン、さらに敵陣30ヤード付近での第4D残り1ヤードを今度はギャンブルで更新するとQB#7高橋公からWR#86野口へのミドルパス17ヤード、最尾はRB#33粳田の中央突破ランでTDを獲得した。 さらにその次のシリーズもフィールド中央からのドライブをTE#2霊山へのミドルパス15ヤードをきっかけにして敵陣へ侵攻、敵陣15ヤード付近での第4D1ヤードを再びK#9太田のキック力に託して3点を獲得、第2Q残り時間5分22秒の時点で12−0とした。 12点差というのは普通に考えるとわずかに2TDで逆転であり、まったくセイフティーリードではないのだが、それが鉄壁ディフェンスの松下電工相手ならば、少し様子が違ってくる。 アサヒビールはこれまで5回の攻撃をいずれもFD更新できずに攻撃権を失っている。LB#13山中、DL#43脇坂のパワースピードあふれるフロント陣がランゲインを許さず、DB#21小路、#24仲田のパスカバーがロングパスを許さない。 アサヒビールにはWR#22梶山、#81藤縄筆頭にスピードあるレシーバーがいるのだが、まったくフリーにならなかったた。DBのパスカバーとフロントのランタックルQBへのプレッシャーが相まって、ここまでアサヒビールの攻撃をシャットアウトしていた。 そしていずれかが欠けるとディフェンスのバランスが崩れるかもしれないということであり、第2Q残り5分から始まったアサヒビールのロングドライブが示している。 このシリーズ最初のほうではディフェンスメンバーが若干変わっており、それがQB#8金岡からWR#7井本、TE#88橋詰へのショートミドルパス連続ヒットの一つの原因として良いだろう。 アサヒビールは自陣22ヤードからこの試合始めてのロングドライブFD4回更新によって敵陣に侵攻する。ただ敵陣17ヤードからRB#32野本中央ラン4ヤード後のパス2本をDBなどにしっかりとカバーされて前進を止められてしまった。結局アサヒビールはここをFG3点得るに止まり、前半は松下電工12−3アサヒビールで終わる。 ******** 後半、松下電工は再びQB#17高橋幸からWR#81塚崎へのロングパス31ヤードをきっかけにしてFG3点を獲得するが、その後は両チームとも攻撃が進まなくなる。 どちらかと言えばアサヒビールオフェンスのほうが優勢で、RB#43伊是名のスピードランが中央付近を時々ミドルゲインする。ただロングパスだけは松下電工DB陣の完璧マークが続き、WR#7井本へのロングパスをDB#21小路がカット、WR#22梶山へのパスも執拗なDBマークでパスキャッチを許さない。 アサヒビールは第3Q中盤にフィールド中央からRB#30吉岡の左OTランプレーが40ヤードゲインとなって敵陣12ヤードに到達するが、TDパスでキャッチ失敗コントロールミスと続いて結局FG3点に止まった。 9点は1TDとれば勢いで逆転できる点差ではあるのだが、アサヒビールの攻撃は一発ゲインはあるもののコンスタントなドライブが出来ない。後半敵陣へ入ったのが実質わずか1回では完全にオフェンス手詰まりに陥ってしまった。 こうして終始松下電工ディフェンスの動きが上回り、その後もDL#43脇坂などのQBサック、DB#24仲田パスインターセプトと続いてアサヒビールは9点差を詰めることが出来なかった。 ******** 松下電工は9年ぶり4回目の社会人チャンピオンとなった。来年1月3日に学生代表立命館大学と対戦する。日本選手権ではこの3年間で社会人が3連敗、さらに試合内容でも学生優位が続いている。 だが今回は3年ぶりに西西対決になったこともあって、戦略戦術駆け引きのある面白い試合になるに違いない。立命館大学が日本選手権3連覇を達成するか、それとも、松下電工が10年ぶり2回目の日本一となるか。1月3日東京ドーム14時キックオフです。 |
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