日本選手権 ライスボウル



ライスボウル 



1月3日(土) 東京DM 14:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
立命館大学7147028
オン・すかい360716
(現地観戦)
 
立命館大学
オンすかい
1Q FG
TD
1Q
TD 2Q
TD
FG×
TD
2Q REND
3Q
G×
TD 3Q
4Q G×
TD
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)


 コイントスによって立命館大学は後半行使を選択、これによりオンワードすかいらーく(OS)の先攻で試合が始まった。そのOS第1シリーズは自陣22ヤード。QB#13冨澤によるショットガンショートパスが左サイドWR#80浦へ決まる。さらにRB#34加畑のランプレー2回でFD更新すると、今度は右コーナーパスがWR#81神へ30ヤードヒットした。
 これらのパスは、OSの2人のレシーバーが交差してDBマークを外した瞬間へのショート〜ミドルパス等レシーバーの巧みなコース取りと、基本的に止めにくいパスコースということもあって、このパスだけは試合全体を通じて立命館大学が止めたとは言い難いプレーだった。
 なお、この第1シリーズはショートパス2回とランプレーに立命館大学ディフェンスが対応、飛距離30ヤードのFG3点にとどまった。

 続く立命館大学QB高田によるショットガンオフェンスは、第1プレーでWR#7長谷川へのサイドパスが決まったが、その後DL#94矢部、#37早崎等OSのOLに圧倒されてFD更新できずにパントとなった。

 最初の1回の攻守/守攻は、社会人OS優位に見えた。今年はもしかしたら社会人にチャンピオンは渡るのかと思ったが、ここから立命館大学攻守の様々な策が溢れ出てくることになる。

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 立命館大学は、OS攻撃第2シリーズをLB#99八木のタックルなどでFD更新無くパントに追い込むと、ここからTDシリーズが続くことになった。

 #23古川のリターンによって敵陣スタートとなったオフェンスは、RB#21岸野へのサイドパス・ハンドオフランなどで計7ヤード前進した第3D、ここで左WR#84河瀬をターゲットとしたコーナーパスを投じる。これがOSDBのパスインターフェアを誘って難なく前進、敵陣24ヤード付近でFDを獲得した。
 ただ、ここまでのシリーズでは、まだ立命館大学オフェンスのランパスで切り崩せるほどの勢いもなく、DL#94矢部に追い込まれたりと全体的には苦労している。したがって高田のフェイクによるTDプレーは効果的だった。

 QBスクランブルによって獲得したFD後のポジション敵陣16ヤード第2D残り12ヤード。ショットガンフェイクプレーが飛び出す。
 OL4人は直立でセット、そして、プレーが始まったのかと疑うほど緩慢な動作のセンタースナップで始まった。QB高田は相手に背を向けてHB、WRへのフェイク動作1回2回。バックスがそれぞれオープンへ展開したのでディフェンスもつられてしまい、中央付近に大きな走路が空いた。ここをQB高田がエンドゾーンまで走り抜けて第1Q経過時間10分22秒、立命館大学が7−3と逆転に成功すると同時にOSにあった攻守の勢いをイーブンにした。

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 続く自陣34ヤード付近からのOSオフェンスは、RB#34によるこの日唯一の一発FD更新プレー12ヤード、さらにショートパスが左サイドに連続ヒットして3連続FD更新となり敵陣30ヤードに達する。だが続く右サイドのミドルパスに、DB#27福島がレシーバーの前に割りこんでインターセプト、ターンオーバーとなる。

 立命館大学が自陣からRB#21岸野、#22佃へのショートランパス等で自陣45ヤード付近に達した時点で第1Qが終了、そして第2Q最初のプレーが左WR#19冷水へのポストパターンのロングパスだった。DBとの駆け引きの末にフリーになったところでボールをキャッチすると、そのままエンドゾーンへ飛び込んで得点差を広げる。
 しかしOSオフェンスもフィールド中央付近でQB#10小島からWR#2渡部へのロングパス。こちらもDBを振り切って6点を返すという一進一退が続いた。

 この攻守めまぐるしく変わる荒れた試合を、立命館大学の約7分に渡るロングドライブで沈静化した。
 自陣20ヤードから始まったドライブは、LB#6時本によるQBサックもあったが、DLに追われながら探したWR#84河瀬へのミドルパス19ヤード、RB#21岸野オープンラン19ヤードとゲインを重ねる。さらにOSのパスインターフェアで前進、そしてクリッピングの反則で後退という状況なのだが、トータルでは時間を使った前進ドライブになっている。

 さらに、第3DFD更新まで残り15ヤードとなってもQB#18高田は冷静にレシーバーを探し出す余裕があった。崩れたプレーだったので一瞬はスクランブルしかかったのだが、そこから右サイドに空いているRB#22佃を見つけるとパスを投げた。これがパス+ランで20ヤードゲインとなってFD更新すうr。

 なお、これ以外にもQB高田はスクランブルからパスへ切り替えたプレーが何回かあったが、いずれもOLの反則(無資格レシーバーのダウンフィールドへの侵入)になっていない。一般的には、パスからスクランブルに切り替えた時点でOLはラン走路を確保するために前に出るのだが、この瞬間にQBが空いているレシーバーを見つけてパスを投げてしまうと、この反則になってしまう。OLとQBの意思疎通が図れていないことが原因なのだが、立命館大学のOLQBは完璧だった。

 このシリーズはエンドゾーン手前4ヤードのFDを得ながら、ラン0ヤードとパス2回失敗によるFGトライ、それも失敗に終わってしまった。5点差という微妙なバランスが残ったまま、つまり、ロングドライブが得点につながらなかったことで試合の流れが変わってしまいそうだったのだが、立命館大学ディフェンスがあっさりと攻撃権を奪い取った。

 続くOSオフェンスQB#10小島のポストパスをDB#34長田がインターセプト、さらにブロックも良くで大きくリターンし、敵陣30ヤードから再び立命館大学オフェンスとなった。この時点で前半残り3分48秒。

 なお、このシリーズ、立命館大学は最終的にTD7点を獲得するのだが時間の使い方が悪かった。エンドゾーン近くに達した時点で残り時間1分を切っていたのだが、時計を見ることがなく、ランプレーによって時計が動き続ける。さらに、タイムアウトを審判に要求する際の不手際もあって、時計が止まったのは残り11秒だった。
 この時点でポジションは残り8ヤードだったので、もしも得点できていなければ気分的にはイヤなハーフタイムを迎えるところだったのだが、最後はQB#18高田のスクランブルランによってTD、21−9とリードを広げて前半を終了することができた。

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 前半を終わっての印象だが、立命館大学ディフェンスはRB#34加畑に対してILB#99八木が対応、DB陣の上がりもよくノーゲインに押さえている。他のランキャリアもいたのだが、ランプレーは完璧にシャットアウトした。
 OSのオフェンスで唯一ゲインしたのが両サイドへのクイックパスで、DBが振り回されていたのだが、他のプレーが止まっていたので第1シリーズと一発ロングパスTD以外の3シリーズは立命館大学のペースと言っていいだろう。

 一方のOSのディフェンスは、DL#94矢部、#37早崎、LB#6時本,#99青木等によるQBサック等キャリアへのプレッシャーで立命館大学をマイナスゲインに止めている。しかし、DBのパスインタフェア連発とか途中の負傷退場などで機能しないこともあり、またWR陣のダウンフィールドブロックによってRB陣のショートパスが確実にゲインされてしまっている。

 しかし、12点差は、後半にどちらが咲きにどのような方法で得点するかによって大きく展開が変わってしまう点差である。また体力的スタミナ的にはやはり社会人の方が上回るだろうことと、第2Q最後の立命館大学オフェンスのタイムアウトのとり方・ベンチワークに丁寧さが欠けていたこともあって、もしもOSが先に得点するようなことがあれば、試合の行方は再び混沌としていく可能性があった。

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 後半は立命館大学先攻で再開する。ここでショットガンノーバック片側4レシーバーという極端なフォーメーションを披露したが、DL#69才丸のサック等でFD更新ならずにパントに追いこまれる。
 一方のOSもRB#34加畑の連続ランプレーをLB#99八木、#5西が前半と同様にシャットアウト、してこちらもFD更新できない。

 後半は両チームともディフェンス優位の展開となり、立命館大学RB#21岸野のショベルパスや、ツルーIからのパス狙いにDL#94矢部、#37早崎がロスタックルを見舞えば、OSのパスをDB#13三宅がインターセプトと、両オフェンスとも膠着状態が約10分間続いた。

 この均衡状態を打破するきっかけとなったのがOSのオフェンス、それもQBドローだった。もっとも、パスターゲットを探して見つからなかった結果のスクランブルだったが、ここで33ヤードのビッグゲインになって以降ディフェンスがアジャストするまで、このQBドローはRB#34加畑とロングパスとを併せた有効なプレーになった。
 OSはこのQB#13冨澤のドローによって敵陣35ヤードに達するが、RB#34加畑へのスクリーンパス等をDL#92紀平、#93森に対応されて第4Dに追い込まれると、ギャンブルパスもレシーバーのいないところへ飛んで行ってしまった。

 これで攻撃権を得た立命館大学は自陣30ヤード付近、RB#23古川の中央突破ランはOLがランホールを作り出したところをスピードで突き抜けて独走の70ヤードTDラン、第3Q残り2分38秒、長い均衡の末に立命館大学が得点差を19点に広げて試合の主導権を握ぎると同時に第4Qへ突入していった。

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 しかし、この第4Qは両チームオフェンスとも焦点の絞れないあいまいな時間が続く。

 第4QのOSの得点は、立命館大学の反則罰退がきっかけとなっている。パーソナルファウルが同時に2個発生して計30ヤード前進。ここからサイドへのショート〜ミドルパス計4本の4プレーでOSがあっさりと得点、12点差とした。

 一方の立命館大学は今までになく積極的なパス狙いだった。パスでTDドライブすることが目的だったのかは当事者でないと判らないことだが、パスターゲットから類推すると大きくは間違っていないだろう。
 さらに4分37秒から始まった立命館大学オフェンスシリーズでも時間を消費するよりも得点することに主眼を置いたように見えた。2分35秒からのFDシリーズの攻撃権4回でわずか1分消費しただけ、それも第3Dでパスを投じ、パス失敗で時計を止めてしまっている。
 関西学生リーグ戦では、時計を見ながら丁寧なベンチワークを繰り返していて、このような雑な時計の使い方はなかった。したがって、ここではおそらく「最後の試合」という別の意図があるのかもしれない

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 得点差は12点なのでOSが逆転するには最低でも2回のチャンスが必要だった。しかし、第4Q最初の得点シリーズでも早いタイミングのショートパスが有効だったので、これを連発すれば充分にドライブできると思って見ていたのだが、昨年同様Xリーグはターゲットのいないところへ投げるロングパスにこだわりがあるようだ。
 最終Qの立命館大学には付け入るスキがたくさんあったと思うのだが、これが見えていただろうか。わずか12点差なので試合の流れ・モメンタムを掴んで一気に逆転することも可能だったと思う。

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 立命館大学ディフェンスはDLを実質3人にしてライン戦に巻き込まれる人数を減らしている。そしてRB#34加畑にはILBとDBがしっかりとカバーして最後までランゲインを許さなかった。左右サイドへのパスだけは最後まで止まらなかったが、中央付近のミドル〜ロングパスはDBカバーは完璧となって、ランと中央へのパスに対しては立命館大学ディフェンスが完全に支配していた。

 一方の立命館大学ショットガンオフェンスはRB#21岸野、#22佃へのハンドオフショートパスを中心のドライブを行い、WR#84河瀬、#19冷水へのミドル〜ロングレンジのパスを時々織り交ぜるという、甲子園ボウル同様の組み立て方で、第3Qまでは時間消費型のショットガンが機能した。試合最初のシリーズでOLが押し込まれた時には、やはり苦しいかと思っていたが、パスインターフェアやフェイクプレーで流れを掴み、さらにOLも慣れてきた中盤からは、こちらもイーブンの力関係となっていった。

(了)