東西大学王座決定戦 毎日甲子園ボウル



甲子園ボウル 




 第58回の東西大学王座決定戦甲子園ボウルは、立命館大学と法政大学による5年ぶり3回目の対決となった。過去の甲子園ボウルでの対戦は2回あって、1998年立命館大学25−17法政大学、1994年立命館大学24−22法政大学と、いずれも立命館大学が勝利している。

 当時の立命館大学はパワースピードによって超人的なアメリカンフットボールを組み立ててきており、これまで事実上関京二強で甲子園ボウル出場校を分け合ってきた流れに新しい風を吹き込んで関西学生三強時代に突入した頃である。その後、関西学生を勝ち上がれない苦労した時代が続いたが、昨年はリーグ戦を完勝し、そして一気にライスボウル初制覇にまで上り詰めた。

 一方の法政大学は、1994年から2001年まで関東大学選手権8連覇を達成した。立命館大学との対戦はこの時のものである。ただし8連覇中の甲子園ボウルの戦績は1勝6敗1分けとなっている。昨年は関東の覇権を早稲田大学に譲ることになって連覇が途絶えたが、今年は関東大学リーグ戦と関東大学選手権をロースコアながら圧勝で勝ち進んで2年ぶりの甲子園ボウル出場となった。

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 立命館大学の関西学生リーグ戦を振り返ってみると、序盤戦を圧勝続きで乗り切ると、京都大学を31−0と完封し、続く近畿大学戦で初の関西学生二連覇を達成した。最終節関西学院大学との試合では主導権を握られ続けるという苦しい試合展開になりながらも、最後は試合残り時間1秒のFGキックを決めて完全優勝を遂げたている。

 今年の立命館大学オフェンスは、QB#18高田のショットガン完成の年となって、オフェンスバックスにRB#21岸野、#22佃、#23古川、#44齋藤、WRには#11木下、#19冷水、#84河瀬、#7長谷川、TE#89栗山とランパスキャリアとも人材が揃っている。RB陣はツルーIとかノーマルTとかこれまでの立命館大学RB陣にはないフォーメーションを取り入れた工夫があって面白い。ケガでリーグ戦欠場していたWR#11木下も関西学院大学戦ではブランクを感じさせるシーンもあったが、ここでは完全復帰してくることだろう。
 今シーズンは、京都大学戦・関西学院大学戦とも2ミニッツオフェンスを丁寧にドライブするシーンがあり、パワー・スピードに戦術戦略も兼ね備えたチームとなっている。

 このオフェンスにあってOLだけはシーズン終盤でも不安定さが解消されなかった。リーグ戦序盤の試合からDLに押し込まれるシーンが続き、昨年と比較するとQB高田もポケット内から動き回ることが多かった。それでも冷静にパスターゲットを探したり、自らのQBスクランブルランとか、RBへのショベルパスとか、打開策を完全である。

 ディフェンスはDL#56飾磨、#90紀平、LB#5西、#99八木、DB#4高橋、#34長田というのが今年の布陣であり、昨年からのメンバーも多く残っている。今年の試合ではベストメンバーでは第6節まで無失点だった。第7節関西学院大学戦で試合前半に3TDを奪われる苦しい展開だったが、後半はしっかりと立て直している。
 今年のディフェンスメンバーではDB陣(CB)に2年生が加わったことと、Sがシーズン中盤まで定まらなかったこともあって、第3列のコンビネーション作りが最も遅れたように見える。時々、ロングパスを抜かれたり、オープンランで後手に回ることもあるが、取られたら取り返すの精神でインターセプト奪取も多い。

 この立命館大学ディフェンスを攻略するのはかなり難しそうだがが、以前から言われているように、反応のよさ・スピードを逆手にとったカウンタープレー等は、やはり苦手なようで、関西学院大学戦でも翻弄されるシーンが少しだが、見えている。ただこれで何回もビッグプレーを奪われるということは、さすがに無いだろう。

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 今年の法政大学は、春の関西大学との定期戦で黒星を喫したことで、いろいろな憶測を提供するという波乱の2003年幕開けとなった。さらに秋リーグ戦では大量得点の試合がなくロースコアの試合が続いている。ただ私はこのリーグ戦スコアを眺めながら、攻守とも試合をコントロールして勝ち上がってきているのだろうと思い巡らしていた。そして実際に観戦した関東大学選手権の2試合でその印象を確かなものとした。

 さて今年の法政大学オフェンス・ディフェンスについて2試合を観戦しただけだが感じたことの特徴を挙げておく。
 まずオフェンスはQB#4永浦によるランパスが主体で、RB#22小沼のダイブ、TB#29伊藤、#20丸田のスピードランが、Iとかウイッシュボーンなどから繰り出される。またWR#82蔵重などをターゲットとしたプレーアクションパスとか第2Dショートでパスを投じるなど、プレーセレクションの面でも面白みがある。
 ただ専修大学東海大学に大して攻め悩むシーンも多く、得点はビッグプレーで大きく抜けた時に勢いに乗って挙げたものが多く、相手を力でなぎ倒して圧倒するというスタイルではない。

 ディフェンスはLB#42森田、#47二上のILB陣、そしてDE#90野村などの判断・スピードがいい。気迫溢れるブリッツあり、QBサックありで、ディフェンス側には試合をコントロール力はある。

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 この試合だが、やはり立命館大学オフェンスと法政大学ディフェンスの攻防が試合の行方を大きく左右するのは言うまでもない。法政大学オフェンスの得点スピードと立命館大学のスピードを比較すると、やはり、立命館大学が一枚上という感じがする。したがって法政大学としてはロースコアの展開に持ち込まないと苦しくなってしまうだろう。
 今年の立命館大学にあってはOLのパワー不足が大きな課題であり、ここに法政大学DL#90野村、#90石田、LB#42二上などが、QBにどれだけのプレッシャーを与えることが出来るか。QB高田に迷いを生じさせることができるか否か。ここが試合展開を分ける重要ポイントになる。

 もう一つの見所は、立命館大学WR陣と立命館大学DB陣#21鹿島等のパス競争は見所のひとつになる。

 ただし試合的には、法政大学ディフェンスフロント陣がQB高田を追いまわす展開にしないと、やはり、ショットガンパスターゲットが大量に存在する立命館大学オフェンスに、自由にさせてしまっては苦しい試合展開になるだろう。
 ロースコアの競った試合展開になった時に法政大学オフェンスがカウンター系のビッグプレーで得点を積み重ねると言う展開にならないだろうか。

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 一方の立命館大学は、関西リーグ戦最終節関西学院大学戦を今季初の接戦、それも追い上げる側に回るという試合を初経験している。したがって、もし、このような展開になったとしても、一度経験していることの強みは、大きい。

 QB#18高田も4年生最後の学年となる。昨年はケガにより甲子園のフィールドに立つことは出来なかったが、今年は甲子園でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

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 今年は14時試合開始です。1Q15分なので、おそらくこの試合が終了するのは16時30分を回ることでしょう。陽も西へ大きく傾き、寒さが徐々に増してくるころです。寒さを忘れるためにも、両チーム今季最高の試合をお願いいたします。