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コイントスによって早稲田大学先攻で試合が始まった。その第1プレーはRB#28新田の左オープン15ヤード、これで40ヤード地点に達すると今度はQB#5波木のキープが右オープン40ヤードとわずか2プレーで敵陣20ヤードに達した。さらにショットガンからのパス5ヤードを挟んで左コーナーWR#88八角へのTDパスが決まった。 ビッグゲイン連発の早稲田大学オフェンスだったが、対する東海大学もランによるゲインをくりかえして、こちらも簡単にドライブしている。 東海大学最初のオフェンスシリーズは自陣24ヤードから。QB#7石川によるショットガン体型からのTB#2岩崎へのハンドオフランで13ヤード、さらにRB#2岩崎、#1進士の中央付近のランプレーが6ヤード、1ヤード、3ヤード、6ヤードと続く。さらにWR#83林へ7ヤード、WR#80白井へ13ヤードのパス、QBキープが8ヤード、5ヤードとビッグゲインはないが、刻んであっと言う間に敵陣11ヤードに到達した。 この間に早稲田大学ディフェンスが積極的にオフェンスを止めたというシーンは数えるほどしかなく、オフェンス殴り合いの試合の様相を呈してくる。 このシリーズ、最後はRB#2岩崎の連続キャリーによって約5分のドライブがTDで完結した。 東海大学前半のオフェンスシリーズは全4シリーズ、うち1回は第2Q残り1分自陣からのシリーズだったので除外すると、3シリーズ全てが自陣からラン中心によるロングドライブとなった。 第2シリーズは、RB#1進士の右オープン16ヤードから始まって、RB#2岩崎と#1進士の中央突破が18ヤード、12ヤードと止まる気配がない。敵陣25ヤードから再びRB#2岩崎の連続キャリーによってエンドゾーン前5ヤードに達する。 ただこのシリーズは、ここからホールディングロスや右コーナーへのTDパス失敗、QBキープと若干毛色の違う組立になり、最後はFGも外してしまった。 それでも第3シリーズは圧巻で、自陣25ヤード付近からの約3分30秒のドライブをわずか8プレーの中央突破ランだけでTDへと結び付けている。RB#1進士と#2岩崎をほぼ均等交互に起用しており、そのスピードがランドライブの立役者である。 ただ東海大学オフェンスが両TEでセットしているのに対して、早稲田大学ディフェンスは3−4というよりも実質5−2でセット、TEに対してOLBをラインとして割り当てているので中央付近のディフェンス層が薄くなっている。 したがって東海大学中央突破ランプレーがDL位置を抜けると、あとはLB2人しか存在しないので、OLに処理されやすく、RBが簡単に交わしてしまっている。RBへのタックラーが最終列担当となるのだからこの段階で10ヤード近くゲインしているのも、仕方のないことかもしれない。 3−4でOLBとして配置すれば中央突破ランに対してもTEに対しても十分機能するが、DLとして使てしまうと追走にしかならない。そして、この5−2は後半も続いた。 ******** 一方の早稲田大学QB#5波木によるオフェンスも、最初のシリーズは一気に持っていったふが、その後は東海大学ディフェンスの勢いに押されて苦労しながらのTDであり、必ずしも力で圧倒しているのではなかった。 UB#49神の中央突破もほぼノーゲインに終わり、TE#4安村などへの横パスも成功するのだが、そこからのランはDBに付かれて上がれないなど、ディフェンスの活躍が光る。 DL#10吉田、LB#52佐藤がQBにプレスをかけたりランプレーをシャットアウトすれば、第3列もフリーフリッカーの縦ロングパスにDB#27大川、#42本田のカバーがあり、DB#24岩根の再三のパスカットなど東海大学ディフェンスのマークは厳しかった。 だが、それでも早稲田大学が得点できているのは、レシーバーがほんの少しの時間だけフリーになるという瞬間をしっかりと見極めているQB波木の冷静な目にあった。DBのレシーバーカバーはほぼ完璧だったが、ミドルレンジのパスを何回も試みるとレシーバーの空く瞬間はある。それをしっかりと捉えたのがオフェンス第3シリーズ、右WR#1吉田への縦パス42ヤードだった。 レシーバー陣#20斉藤、#82小林もフリーになるべくのDBとのポイント争いはすごかった。そこへ投げ込むQB#5波木のパスコントロールはやはり秀逸で、東海大学#24岩根などのDB陣とWR陣との再三の競演は、QB波木がギリギリのところへのピンポイントパスを投げ込んでいることの証でもある。 早稲田大学の第3シリーズは、敵陣26ヤードでの第4DをQBキープ中央スクランブルのキープでTDへとつなげ、そして第4シリーズは#16新田のキックオフリターン40ヤードで掴んだ敵陣34ヤード付近からのFDで、エンドゾーン内WR#82小林へのロングパスTDという華麗なオフェンスシリーズが続いた。 ******** 前半を終わって20−14.早稲田大学にPATキック失敗があって微妙な点差のまま、後半を迎える。そして第3Qは、ほぼ前半と同様の流れで時間が経過していった。 ******** 後半先攻の東海大学はキックオフリターンで42ヤード地点まで戻すと、RB#2岩崎のラン16ヤード、そして前半は見ることのなかったQB#7石川のロングパスがWR#83林へヒット、44ヤードのTDパスとなってリターン含めわずか3プレーで逆転に成功する。 さらに、DB#42本多のパスインターセプトで掴んだ敵陣33ヤードからのシリーズもTE#80白井への外パス13ヤードとRB#1進士,#2岩崎のラン計4回でTDとなり、この地点で8点の差がついた。 一方の早稲田大学はLB#44谷川などのブリッツ等ディフェンスのプレッシャーが厳しくドライブがつながらないまま時間が経過していった。 だが、東海大学この試合の初パントで迎えた第4Q最初からの早稲田大学オフェンスシリーズでUB#49神の中央突破ダイブがロングゲインとなって、試合の流れが大きく変わった。 前半のUB#49神の中央突破は2回しかなく(私のメモによる)QBキープとパス中心のオフェンスだった。さらにUBダイブは2回ともゲインはしていなかったのだが、突如、第4Q早稲田大学オフェンスの立役者となった。 早稲田大学は自陣4ヤード、プレーアクションパスをDB#27大川にカットされるなどDBの動きに悩む中で、UB#49神の中央突破が突然72ヤードのビッグゲインとなった。これで敵陣24ヤードに達すると、東海大学パスインターフェアでさらに10ヤード前進して敵陣14ヤード。ここからUB#49神の5回キャリーによって1点差に迫るTDを挙げた。 一方の東海大学もキックオフリターンを#80白井のリバースによって40ヤード近く戻すと、さらにRB#1進士の中央突破ランが30ヤードのTDランとなって、とられたら取り返すの「オフェンス殴り合い」が続く。 続く早稲田大学はQB#5波木のピンポイントパス50ヤードでエンドゾーン前10ヤードに達するが、左コーナーのフリーレシーバへのTDパスが2回失敗となってギャンブル失敗。この時点で残り時間3分23秒の時点、まだ、8点差だった そして早稲田大学に訪れた最後のオフェンスシリーズは残り時間57秒からだった。ポジションは自陣9ヤード、そして残りタイムアウトは1回だった。 ショットガンパスがWR#20斉藤,#82小林へ2本計30ヤードのゲインとなったのは東海大学ディフェンスが下がり目だったこともある。40ヤード付近で第4Dギャンブルを迎えることになるが、WR#20斉藤への23ヤードパスがディフェンスの隙間に成功してドライブがつながった。 ただ敵陣32ヤードでのFD更新後スパイクによって時計を止めた時点で残り8秒。第2Dパス狙いはDL#10吉田に追われてパス失敗。そして時間が1秒だけ残った。エンドゾーンまで32ヤード。ここで早稲田大学は最後のタイムアウトを使った。 ******** この距離を一つのプレーでゲインするためには、私が考える限りはやはりパスしかなかった。ただ現実は東海大学DB陣のカバーはそんなに甘くはない。どうするのだろう、早稲田大学側に立ってみて考えても私には「ほとんど無謀なパス」しか思いつかなかった。 ******** そしてラスト・ワンプレーが始まる。 QB#5波木はパスプレードロップバックによって、東海大学LBDB陣はやはり後方重視のために下がった。ディフェンス11人の隙間が空いたところをQBスクランブルキープ。DLLBが手を伸ばすのだが、届かなかった。中央付近から左コーナーを目指し、最後はパイロンに触れながらボールはエンドゾーン内を通過した。この時点で残り時間0秒。だが、PATは行える。ただ2ポイントを決めないと同点にはならない。 QB右ロール。ディフェンス陣もそれに吊られてサイドへシフト。そして左レシーバー#4安村がエンドゾーンの左のがら空きのコーナーへ。このパスが成功した。 ******** タイブレイク先攻は早稲田大学だった。敵陣25ヤードからのドライブは、WR#20斉藤への右パス9ヤードとQBスクランブル右オープン7ヤードでエンドゾーン前9ヤード。ここで、右コーナーへのTDパスを投じたが、これを東海大学DB#21志村がエンドゾーン内でインターセプト、早稲田大学は無得点に終わった。 続く東海大学は、RB#2岩崎と#1進士によるゴリ押しのランドライブを狙った。これで敵陣9ヤードに達するが、エンドゾーン近くなると中央突破ランが出ない。そして第4D、FGキッカーは、先ほどパスインターセプトしたDB#21志村である。試合最初のFGとPATキックも1回失敗しているが、ここは左ハッシュから飛距離25ヤードのFGを通した。 |
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第1試合の熱気が覚めやらぬままのキックオフとなったが、試合が始まってからもヒートダウンしていく地味な試合展開となった。 専修大学第1シリーズは自陣31ヤード。その第1プレーのフォーメーションがショットガンだった。専修大学といえばランプレーのイメージが強く、この段階では驚きがあった。だが、オフェンススタイルとしては以後もショットガンからのランパスというスタイルを盛んに用いている。 ただ、この第1シリーズの第2Dでフォルススタート、ホールディング、フォルススタートの順に3連続ロス計20ヤードとなって自陣エンドゾーンを背負うことになった。そして第4Dパント。これを法政大学がブロック、エンドゾーン内に転がったボールを確保した法政大学がTD7点を先制した。 専修大学オフェンス第2シリーズはWR#6尾崎のビッグリターンによって敵陣40ヤードからと、早速挽回のチャンスを掴んだ。RB#8岡本のカウンターとオープンランで計15ヤード、さらにQB#9富田のパスからスクランブルランでFD更新、さらにRB#8岡本のオープン8ヤードとテンポ良く続いたが、次のパスをDB#21鹿島にインターセプトされてしまった。 さらに第3DシリーズもTE#87佃へのミドルレンジのパスをDB#21鹿島にインターセプトと決めるべきパスがつながらない。 一方の法政大学オフェンスは第1QをRB#29伊藤、#22小沼のランプレー中心に組み立てるがDL陣LB陣#5遠山、#4後藤,#47中村等の動きが良く、ほとんどゲインできない状態だった。さらに専修大学ディフェンスは法政大学の攻撃にパスがないと決めて掛かっているようで、第3列も通常の第2列位置まで上がるという前方重視・後方無視の体型でセットしている。 この極端な専修大学フォーメーションに対して法政大学が始めてパスを投じたのが第2Qに入ってすぐだった。このパスはインテンショナルグランディングだったが、次のシリーズではRB#29伊藤カウンター8ヤードゲイン後の第2D残り2ヤードのシチュエーションで左コーナーへのミドルパスを投じているように、プレーセレクションとしては面白い。ただパスレシーバーと合わずに失敗となることが多い。 専修大学ディフェンスもこの頃からノーマルセットに戻した。ただ、これでランディフェンスが甘くなることもなく、、QB#4永浦キープやカウンター、RB#22小沼のランプレーに対してもDL#59中島、DB#22中山などがしっかりと詰めてロスゲインを奪い、シングルバック4レシーバーのRB#22小沼へのショベルパスにも集まりが良くてロングゲインに至らない。 こうして第2Q終盤まで専修大学FD更新1回、法政大学FD更新2回というディフェンス戦の様相を呈してくる。 一方、前半の法政大学はオフェンスドライブシリーズがなく、専修大学ディフェンスフロント陣のプレッシャーに手を焼く状態が続く。 前半最後のシリーズ、RB#29伊藤をボールキャリアにした凝ったプレーが続いたが、オープンプレーも逆サイドのDLが追いつくなどでビッグゲインにならない。 こうして、ディフェンス優位のまま前半は7−7の同点で終わった。 ******** 後半は専修大学先攻で再開したが、パス2連続失敗などでFD更新ならずにパント。相変わらずレシーバーはDB陣を抜いてフリーになっているのだがQBWRのコンビネーションが悪くチャンスを逸してしまう。 続く法政大学は自陣46ヤード付近から。左3レシーバーシングルバックのOTラン、フレックスボーンから右WR#20丸田へのミドルパス25ヤードと、ランパス絡めた展開になっていく。ただし、ランプレーはDL#76池上、#57永桶等によってショートゲインに止まってしまうのは相変わらずで、敵陣15ヤードにまで持ってきたがここから3連続ノーゲインとドライブが完成しない。この第4DではFGを狙ったが、外れてしまう。 ただこのシリーズあたりから専修大学ディフェンスフロントが担架で運び出されるシーンが増えていく。結局、これが第3Q以降試合が動く原因となっていく。 法政大学自陣17ヤード、RB#20丸田へのピッチプレーでオープンサイドを50ヤードと大きくゲインすると、RB#20丸田のパワープレー6ヤード、RB#29伊藤のカウンターオープンが9ヤード、6ヤードと、これまでと違ってランプレーがミドルゲインとなってつながった。そして最後はUB#22小沼がエンドゾーンへ飛び込んだ。 さらに第4QもウイッシュボーンHB#20丸田の左オープン19ヤードとリバースフェイクのQBキープが54ヤードのTDランとなり前後左右に大きく振り回したプレーで加点した。 一方の専修大学も自陣40ヤード付近からTE#87佃へのプレーアクションパス7ヤード、左サイドライン際WR#6崎への縦パス37ヤードと、終盤になってようやくパスがつながるようになって来た。そしてエンドゾーン前17ヤード、ここからさらにパス2本とQBキープランで約1分40秒の速攻TDドライブを完成、この時点で残り5分34秒、得点差は6点へ縮まった。 続く法政大学はTB#29伊藤の中央・カウンターを止められてFD更新なくパント。 そして残り3分14秒、専修大学自陣36ヤードから同点逆転をかけた最後のオフェンスシリーズが始まった。専修大学はここからQBスクランブル以外をすべてパスプレーでつないでいる。 その第1DはQBスクランブル20ヤードゲインも反則で15ヤード交替と出鼻をくじかれた恰好になったが、その後、WR#8岡本、WR#7梅本へのショートパスをつないで第4D残り4ヤード、自陣42ヤード付近。 この時点で残り1分45秒なので、ここは絶対にFD更新しなければならない。第4Dギャンブルプレー、WR#7梅本へのショートパスがつながった。 続く第2Dも右WR#20後藤へのロングパス15ヤード、これで敵陣38ヤードに達したが、このFD更新と同時にタイムアウト2回目を行使。 残り1分01秒。QBキープとスクランブルで計9ヤードゲインするが、時間がなくなっていくスピードに対して前進するスピードが追いついていかない。この第3D、WR#6尾崎へのパスに対して法政大学ホールディングの反則で残り41秒、ようやく、敵陣19ヤードに達した。 だが、ここからエンドゾーン内へパスを2回投げ込むもレシーバーと合わずにパス失敗が続く。そして、第4DギャンブルでのパスをDB#34山下にカットされてしまい、ドライブが潰えた。 ******** 専修大学オフェンスはラン中心のイメージがあったので、ショットガンによるパスプレーは全く予想していなかった。ただレシーバー陣は複数名がDBを抜いてフリーになっている状態であり、もう少しQBとレシーバーのコンビネーション・パス精度が高ければ、試合結果はどうなっていたかわからない。 また春に活躍していたRB陣によるランプレーの試行回数自体も少なかった。 ディフェンスはDLLBDBとも法政大学のランパスをほぼ完璧にシャットアウトしていたのだが、後半になって怪我人が発生するようになってきたあたりから、一気に形勢が逆転、大きく崩れてしまったのは惜しい。 これを法政大学オフェンス側から見ると、前半はほとんどゲインできていなかったことから、もしも、相手メンバーが変わらなかったらどのような展開になっていたのだろうか、と考えてしまう。ただオフェンス全体としては、第1Qはランオンリー、第2Qにパスを加えて、第3Qにはランパスで左右に大きく振り回すという、ストーリーの立つ組み立て方になっている。やはり「たられば」は禁物で、「勝ったチームが強い」ということなのだろう。 |