東日本・西日本大学王座決定戦



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12月08日(日) 博多の森陸上競技場 12:30
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
甲南大学7207741
九州大学00000
(現地観戦)
 
甲南大学
九州大学
1Q FG×
TD 1Q
2Q
TD
TD
TD P×
2Q
TD 3Q
3Q
4Q
G×
FL
TD
G×
G×
4Q END
(作者Aのメモより)


   ウエスタンボウルの観戦は始めてである。昨年までの関西学生DIV1の2位校との対戦では正直なところ関西優位は動かしがたい。しかし、今年のように6位校との対戦となれば少し様子が異なってくる。こういう表現をすると関係者には失礼に聞こえてしまうかもしれません、そこは、お詫びします。

 九州大学は春に神戸大学との交流戦を行っていて、これまでにも何回か観戦したことがある。接戦にまでは至らないこともあったが、それでも秋の成長分を加味したピークの姿を想像すると、大いに関心のあるところだった。さらに私自身は九州中国四国のリーグを関西学生DIV2と同列において入れ替え戦によってDIV1への道を付けるべきと考えていることもあって、今回のウエスタンボウルは座して結果を待つだけでは満足できない試合となった。そして、前日の長居球技場での入れ替え戦と同じ位置付けの意識を持って九州博多へ向かうことになった。

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 コイントスの結果九州大学のレシーブで試合開始。甲南大学K#14松岡のキックはタッチバックとなって九州大学は自陣20ヤードからのオフェンスシリーズとなった。

 九州大学はQB#19倉前によるオフェンスを展開し、UB#2庄司の中央突破5ヤード、右ピッチオープンラン、プレーアクションパスWR#23青木の10ヤードとテンポの良いランパスバランスオフェンスを披露する。そして再びWR#23青木へのスクリーンパスでフィールド中央に達する。
 その後もQB#19倉前キープ中央突破、TE#85桝口へのクイック縦パス8ヤードと、多彩なオフェンスで敵陣20ヤードまで侵攻した。甲南大学ディフェンスは立ち上がりの急襲で完全に後手に回ってしまった状態だった。
 しかし九州大学はここからハンドオフプレーでファンブルリカバーのゲイン、ノーバックからのクイックパス3ヤード止まり、そして第3D残り7ヤードでTEへのパスが決まらずFGトライに追い詰められる。ホルダー敵陣28ヤード飛距離約40ヤードのFGは少しだけ距離不足に終わった。

 続く甲南大学オフェンスは自陣22ヤード。QB#10池垣によるオフェンスは、WR#80伴へのクイックパス15ヤード、RB#29富田へのオプションピッチ20ヤードと立て続けにロングゲインを奪う。九州大学ディフェンスも立ちあがりの不慣れを突かれた様子だが、それよりもプレースピードに戸惑っているという感じだった。敵陣40ヤードにまで達してからも、WR#88吉田へのクイックパスに甘いタックルをかわして20ヤード、そして最後はRB#31増田による中央突破で先制した。

 甲南大学ディフェンス2回目のシリーズ、九州大学のパントボールを50ヤード付近からリターンを行いエンドゾーン前5ヤードまで戻して攻撃圏を奪取すると、RB#2油井と#31増田の中央突破で2個目のTDを奪った。

 そして甲南大学キックオフしたボールを、九州大学がバウンドを見ている間に甲南大学の選手がカバーしてしまうという落ち着かない試合展開になって行く。
 このシリーズ甲南大学はTDパスをDBにカットされてパントに終わるが、フィールド中央付近からの次のシリーズもRB#29富田の中央突破やWR#88吉田、#80伴へのパスなどでTDを挙げる。パスプロテクションは十分に持ちこたえ、さらにランホールもしっかりとOLが確保していた。そして前半最後の甲南大学の得点は、九州大学オフェンスパント時のスナップミスをエンドゾーンに持ち込んだことによる。

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 前半を終わって九州大学は4TDのリードを奪われてしまった。九州大学オフェンスも第1シリーズこそ自陣からドライブを行っている。そして、QB#19倉前中心にRB#14志賀の中央/オープンランや、TE#85桝口へのパスなど手数が多いのはよく判った。
 しかしそれ以降前半残りの4回は実質FD更新無しと完封されてしまっている。ライン戦で甲南大学に圧倒されててしまい十分にオフェンス機能しないまま時間が経過してしまった。途中にはリバースフェイクのパスやスクリーンパスなどスペシャルプレーも織り込んでいるのだが効果がない。

 第2Qの攻防は攻守全ての面で甲南大学が上回っている。九州大学は甲南大学のスピードに付いていけずに、パントリターンで戻され、さらにランパスドライブを止められない。そして甲南大学キックオフボールを奪われたことなど地に足がついていない状態だった。

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 第3Qは九州大学のキックオフで試合再開する。ここで九州大学はキックオフを左サイドに蹴り込むと見せて右サイドへオンサイドキック。試みは面白かったがボウルは甲南大学が敵陣45ヤード付近で確保。そこから、#29富田,#31増田などのランプレーで甲南大学が追加点を挙げた。

 しかし、この後は両チームとも攻守均衡してまま時間が経過していく。九州大学オフェンスはQB#19倉前が足を負傷しながらのプレーでRB#14志賀、#85桝口へのパスを通すが、ドライブがつながらない。一方の甲南大学オフェンスもライン戦で均衡するようになりLB#4古賀、DL#75山崎などに遮られてRB陣の中央突破が止まる。また#80伴,#88吉田へのパスもDB#20今田、#21山田のナイスカットが続いた。

 第4Q、九州大学が久しぶりに自陣からのドライブがつながった。きっっかけになったのは、RB#14志賀のオープンスイープ4ヤード、ショットガンフォーメーションから#27林へのハンドオフプレー。これで5ヤードゲインして第4D1ヤードギャンブルに右WR#27林へのクイックパスでFD更新と積極的な攻撃を披露、その後もランパスが続いたが敵陣40ヤード付近からのFD第1プレーでロスしたこととその後のパス失敗でシリーズが止まった。

 その後、甲南大学のパントでフィールドポジションで劣勢になった九州大学が自陣でファンブル、そして甲南大学の追加点となった。

 九州大学最後のシリーズは敵陣37ヤード付近から。QBに#16津村を配し、左WR2人の後ろに#19倉前。フリーフリッカーフォーメーションで、#16から#19へ後ろパス。#19からWRへの縦パスをフェイクにして#16への戻しパスから右オープンランという面白いプレーだったが12ヤード止まりだった。
 それでも時計を睨みながらスパイクを入れて第4D#85桝口への縦パス20ヤードなどでエンドゾーンまで5ヤードに迫る。ここで甲南大学もタイムアウトを使ってディフェンス整備、左WR#16津村へのTDパスはディフェンスカットで終わった。

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 後半は、両チームとも均衡したまま時間が経過している。前半を終わって27点差ということもあって、甲南大学側に少し緊張が途切れたというのもあるかも知れない。

 言い換えると甲南大学側がすこしでもつまずくと両校の力の差はそれほど大きくはないのではないかという印象の試合だった。ライン戦でも九州大学最初のオフェンスシリーズはイーブンだったし、後半も同様である。唯一力負けしていたのが第2Qだった。
 つまり、もし前半をもう少し均衡した試合になっていれば、後半の甲南大学が緊張しているのに対して九州大学はいいテンポの攻守を繰り広げていて、試合結果も変わっていた可能性も否定できない。

 後半甲南大学が慌てるであろう得点差は・・と考えたときに最大でも2TDまでだろうが、前半の4TDのうち2個目はパントリターンでスピードのミスマッチによるタックルの甘さから40ヤード戻されたこと、3個目はディフェンスがQBキープやUB中央突破を止めたが、フィールドポジションが悪かったこととパス2本で奪われ、4個目は自陣パント時のボールの後逸(もしかしたらギャンブルプレー)による。結果論でどれが余分という話をしても大きな意味を持たないかもしれないが、逆転の可能性があった試合と言える。

 この日も九州大学にフリーフリッカーやキックオフリターンでのスペシャルプレーがあったが、概して、後方でボールを左右に振るプレーなので、その間にディフェンスに寄られる可能性が高い。そしてロスゲインとなって1回のシリーズが消えてしまう。
 過去にも入れ替え戦出場校決定戦で北陸や東海の代表校が行っているのを見たことがあるが、そのほとんどがロスタックルに終わるのは、やはり、スピードのミスマッチがあるのだろう。そんなスペシャルプレーでなくとも十分に対抗できることは示せたのではないだろうか。

 来年も、福岡あるいは広島へ観戦しにくることになりそうだ。