日本選手権 ライスボウル



ライスボウル 



 2001年度を締めくくるライスボウルは、2年ぶり5回目出場の学生チャンピオン関西学院大学と2年連続2回目出場の社会人王者アサヒ飲料の対決となった。

 この両チームの対戦はライスボウルでは始めてだが、1999年の神戸ボウルで1回だけ対決している。この試合は関西学院大学が40−6で勝利するとともに、4年生QB有馬が大活躍をして復活を遂げるという1999年の関西学院大学にとってターニングポイントとなった試合だった。そして、これをきっかけにしてそのままライスボウル出場にまで登り詰めた。しかし、社会人代表はQB金岡率いるアサヒビールに33−17の敗戦だったが得点差以上の力の差を見せつけられた試合だった。

 さらに関西学院大学ライスボウル出場の歴史をさかのぼると、1993年度にQB東海率いるアサヒビールシルバースターに28−23の逆転負け、1991年度のオンワード戦ではQB山田のショットガンスクランブルにかきまわされ、1985年度のレナウン戦では第3Q終盤からの5連続TDも時間切れで42−45と、ライスボウル4戦4敗という戦績を残している。

 関西学院大学5回目の出場となった今年は、学生代表として日本大学・京都大学に続く3校目の日本一と成り得るか、それとも、社会人連覇のお膳立てをするだけになってしまうのだろうか。

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 今年の関西学院大学がシーズン当初から掲げてきた目標が「ライスボウルに勝利すること」だったが、その意味するところを私なりに勝手に想像したその意味するところというのがこの2ヶ月でなんとなく見えてきた。

 関西学生が二強時代から三強時代へ変わっていった90年代前半に、「甲子園で勝利するのも難しいが、それと同じくらい関西学生リーグを勝ち抜くのが難しくなってきた」と言われていたことがあった。これは「リーグ戦1」「リーグ戦2」「甲子園ボウル」「ライスボウル」と2ヶ月間で4回もピークを作るコンディショニングの難しさを現している。
 どこで気を抜くか、知らぬ間に手を緩めてしまう試合はどれだろうかと考えたときに、昨年は甲子園ボウルに来てしまったのかもしれない。もちろん、シーズン通りのチーム雰囲気だったとしても勝利していたかは判らないが、少なくとも、コンディション的にはベストではなかったように見えた。

 設定した今年の目標が「ライスボウルに勝利すること」ならば、リーグ戦の立命館大学戦勝利でも緊張の糸を切らず、京都大学戦勝利で甲子園出場が決定しても冷静に次を見つめていたように見えた。リーグの勝利でも喜びを爆発させない、気を緩めない、シーズン頂点を迎えない、そして、甲子園ボウルを確実に勝利した。今年のメンバーによる本当の最終戦「ライスボウルで社会人に勝利」して始めて、歓喜の爆発が起きるのだろう。

 以上は私が勝手に想像しているだけのことだが、いくつかの天王山の試合が終わってもエネルギーが発散していないことだけは確かなので、火山噴火の可能性は充分にあると見ている。

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 この試合は、アサヒ飲料オフェンスと関西学院大学ディフェンスの対戦結果がそのまま試合結果に結びつきそうだ。それも、ズバリ、関西学院大学ディフェンスがアサヒ飲料RB#27中村を止めることが出来るか否かが大きなポイントになる。

 関西学院大学ディフェンスでサイズ的にRB#27中村と対抗できるのはDLの#58西村、#90石田、#95今東などの数名に留まる。中央突破を止めるためにはLB山田,星田のパワータックルが確実にヒットしなければならない。
 さらに、キックオフリターン・パントリターンでのリターナーとしての#27中村も要注意である。東京スーパーでの松下電工もフィールド中央付近までのリターンを何回か許しているが、スピードに乗られると止めるのは苦しい。そこで、P#89榊原が飛距離を稼ぐパントでエンドゾーンへ蹴りこむか、ポジションを確保しつつサイドラインを切るという絶妙なパントが必要になってくる。

 また、ショットガンQB#桂のパスと関西学院大学DB陣の駆け引きも一つの見どころである。関西学院大学2,3列はロングパスをほとんど許していない。しかし、アサヒ飲料がTEへのショートパスとロングパスを織り混ぜてくると、関西学院大学ディフェンスはランパスに両方に対応するのは少し苦しいかも。


 関西学院大学オフェンスOLQB#16尾崎とアサヒ飲料ディフェンスDLLBの対決も見どころは多い。 LB河口・山田の動きを関西学院大学側がどのように対応するかだが、それを左右するのはもちろんOL対DLの結果である。OLの動きがコントロールされてしまうとLBに翻弄されてしまいそうだ。神戸ボウルや立命館大学戦を観ていると、強力ディフェンス相手にしたときに尾崎の危ういシーンが多かっただけに、いかに回避するか。
 早いボール廻しによるRB#2三井へのピッチからオープンへのスピード競争や、WRへのクイックパスが精度よく決まれば、アサヒ飲料ディフェンスを広げることも可能だ。そして、リターナー#2三井のスピードとカットランでの一気TDというシーンも観たい。

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 冷静に両チームを比較すると、アサヒ飲料優位にしか見えてこない。関西学院大学がこの差を縮めて逆転するためには、アサヒ飲料のミスを誘い出して、それを確実にモノにすることが必要である。逆に関西学院大学がミスをしていては勝ち目は、ない。

「ライスボウルに勝利すること」が今年の目標であるならば、最上級+αのコンディションで東京DMに現れてくるに違いない。「今年の関西学院大学を披露する最後の場」にふさわしい集中力に期待する。