東西大学王座決定戦 毎日甲子園ボウル



甲子園ボウル 



12月16日(日) 阪神甲子園球場 13:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
関西学院大学7143024
法政大学00066
(現地観戦)
 
関西学院大学
法政大学
1Q
TD
1Q
TD 2Q
TD
END 2Q
3Q
G×
FG 3Q
4Q
FG×
P×
TD
G×
4Q END
(作者Aのメモより)


年間最優秀選手(チャックミルズ杯):尾崎陽介(関西学院大学)

甲子園ボウル最優秀選手:石田力哉(関西学院大学)

敢闘選手:桑野智行(法政大学)



 コイントスで関西学院大学が後半行使を選択し、法政大学のレシ−ブで試合開始した。

 法政大学自陣14ヤード付近からの最初のプレーは、QB#17桑野からTE#87日田へのクイックパス4ヤードが決まった。しかし、続く中央突破2回は関西学院大学ディフェンスにシャットアウトされる。

 この日の関西学院大学ディフェンスは、DLに#52佐岡、#58西村、#95今東、ILBには#90石田と#5平郡、OLBに#44星田と#53財満という布陣を敷き、第3列DB陣は#14植田、#29河合、#22田尻、#9矢野の4人を配した。そして、LB#5平郡と#44星田が法政大学のトリッキーなランプレーに正確に対応して確実に止める。さらに、DB陣も完璧なパスディフェンスを披露した。

 関西学院大学QB#16尾崎によるの第1シリーズは自陣44ヤード付近から。シングルバック両TEでRB#2三井の中央突破6ヤード、第2DRB#3大谷の中央突破2ヤードに続く第3DをRB#2三井へのピッチオープンラン、スピードでディフェンスを抜いて10ヤードと大きくゲインした。
 そして敵陣25ヤード付近からの第1Dで、QB#16尾崎が右オープンキープからそのまま25ヤードTDランとなる。TDの瞬間に法政大学ディフェンスの強烈なタックルを浴びて頭から地面に落ちて、一瞬ヒヤリとしたが、その後は元気に復活した。

 法政大学オフェンスはノーマルTからのカウンターやQBキープスクランブルで3連続更新してフィールド中央まで来るが、ランプレーだけではここから先には進めない。パスもDLによるQBへのプレッシャーが厳しく簡単には投げられないし、投げてもDB#9矢野、#29河合、#22田尻によるナイスカットの連続やインターセプトされて、なかなかゲイン出来ない状態が続く。

 一方の関西学院大学オフェンスも法政大学DL#97小林、#94園田などの厳しいプレシャーに簡単にパントに追いこまれたり、ボールに勢いのないミドルパスをDB#37水上にインターセプトされるなど、こちらもなかなか調子に乗れない。

 それでも、この膠着状態に終止符を打ったのは関西学院大学オフェンスだった。

 第1Q終了間際の28秒から始まったフィールド中央からのオフェンスシリーズ、まずUB#30岡村の中央突破12ヤードが抜けると、WR#86東畠へのクイックパス4ヤードが成功する。そしてサイドがかわった直後には、UB#6兵頭の中央突破などで敵陣26ヤードでFDを更新、さらにWR#86東畠へのクイックパスで再更新した。最後はRB#2三井へのピッチからの左オープンランで法政大学ディフェンスをスピードで抜きさってTDを挙げる。

 さらに、自陣18ヤードからの次のシリーズも、WR#86東畠へクイックパス17ヤード、WR#27松山へ24ヤードと法政大学パスディフェンスの隙間を縫ったパスを連続ヒットさせて、簡単に敵陣40ヤード付近へ攻め入った。さらに、ホールディング罰退とQBサックロスを取り戻すRB#3大谷の左オープンスピードランで第3D残り1ヤード、ここで関西学院大学がタイムアウトを要求する。

 持って入ったプレーは、中央突破フェイクのQB#16尾崎からRB#2三井への右オープンピッチ、見事なトリックプレーとナイスブロックもあったが自チームと交錯してFD獲得に留まった。
 それでも両校の反則罰退で右往左往した末の関西学院大学FDはエンド前2ヤード、、OLに#90石田、#58西村も加わっての中央突破3回はすべて0ヤードに終わったが、第4Dギャンブルで中央突破フェイクのQB左OTで関西学院大学が3個目のTDをもぎ取った。


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 前半を終わって関西学院大学の21点リードは、試合内容から見て、ほぼ安全圏に近い得点差だった。なお前半のFD更新回数は私のメモによれば法政大学が4回、関西学院大学が10回である。

 法政大学オフェンスはランもパスも単発ゲインに留まっていた。RB#36白木、#29中島、#39伊藤およびQBのランには関西学院大学LB#44星田と#5平郡に完全にアジャストされ、パスにはDL#58西村のプレッシャーでコントロールを乱し、レシーバー陣もDBをかわすことが出来ない。さらにレシーバーも正面に来たパスをキャッチミスがあったりで、関西学院大学ディフェンスが圧倒していた。

 一方3TDを挙げた関西学院大学オフェンスも反則が多く一進一退が続いて波に乗りきれない。ランはDLをかわすとある程度ゲインするのだが、パスも含めてDLの壁が厚かった。

 それでも、攻守/守攻の全体バランスでは関西学院大学優位で後半に突入する。後半の見どころは、どちらが先に得点を挙げるかにあった。関西学院大学が勝利を引き寄せるか、法政大学が混沌に持ちこむか。

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 後半、関西学院大学最初のオフェンスは簡単に第4Dパントになる。

 そして、法政大学自陣42ヤード付近からのオフェンスシーンは、パス連続ヒットで始まった。右WR#25久米へ15ヤード、オプションランフェイクのTE#87日田へクイック17ヤードで、この日始めての敵陣へ侵攻した。さらに、TB#39伊藤のカウンター、QB#17桑野キープなど法政大学得意のランも織りまぜる。関西学院大学ディフェンスが目覚める前の怒涛の前進だった。

 そしてエンド前4ヤードからのFDという絶好の得点チャンスを迎えた。しかし、ここからの3回連続の中央突破が関西学院大学ディフェンスに遮られてゲインしなかった。そして法政大学は第4DでTD狙いのギャンブルプレーを試みた。しかし、4回目の中央突破も関西学院大学ディフェンスが復活しては通用しなかった。

 ギャンブルの選択自体は正しいと思う。関西学院大学ディフェンスがズルズルと後退していたので、FG3点ではなく一気にTDを奪えば試合の流れは大きく変わっていただろう。しかし結果論では4回とも同じような中央突破だった。ちなみに、関西学院大学も第2Qエンド前でのギャンブルは中央フェイクの左OTだった。

 このシリーズで法政大学は約5分を使用している。このギャンブル失敗は大きかった。


 関西学院大学オフェンスは、LB#44星田のパスインターセプトで掴んだ敵陣35ヤードからのシリーズをFGに結びつけるが、後半も乗り切れない状態が続く。DL#97小林、#78西川などの厳しい前への押しが続くので、散発ゲインはするのだがなかなかロングドライブにつながらない。

 それでも、時間だけは経過して最終Qをむかえることになる。

 残り時間11分28秒、法政大学自陣25ヤードからのオフェンスシリーズが始まる。QBオプションキープが始めてのロングゲイン42ヤードとなって敵陣33ヤードへ。しかし、ここからがゲイン出来ない。残り時間約9分40秒、第4D残り5ヤード、17点差。法政大学はFGの3点を狙ったが、逸れた。

 残り時間9分18秒、法政大学自陣40ヤード付近からのシリーズ。ノーバックからのパスやQBキープなどでFD2連続更新も敵陣34ヤードまで。第4D残り10ヤード、残り時間約5分50秒。17点差。フィールドポジションなどを考えると普通はギャンブルだと思うが、法政大学は簡単にパントを蹴って攻撃権を放棄してしまった。

 結局法政大学が得点を挙げたのは、関西学院大学自陣でのパントをブロックしてエンド前1ヤードの攻撃権を獲得してからとなるが、2PATを失敗した時点で残り時間2分54秒では17点差はあまりにも大きかった。その後にオンサイドキックを試みたのだが失敗に終わる。

 関西学院大学は#24足立の左オープン45ヤードのビッグゲインすると追加点をQB#10山田他4年生に託したが第4Dギャンブルも届かなかった。そして残り時間30秒で法政大学自陣9ヤードのポジションを渡して勝利を決定づけた。

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 関西学院大学ディフェンスと法政大学オフェンスの結果がそのまま試合結果になった。モーションやカウンターなど複雑なランプレーを仕掛けた法政大学だったが、関西学院大学DL#58西村、LB#5平郡、#44星田が完全にアジャストした。さらに、パスプレーではLB#90石田、DL#58西村、#95今東がQBにプレッシャーを与えるとともにDB#9矢野、#14植田などが完璧にレシーバーカバーしていたので、オフェンスの攻め手が完全に無くなってしまった。
 さらに第3Q法政大学エンド前4ヤードを無得点におさえ、第4Qパントブロックからのエンド前1ヤードも第4Dまで得点させなかった。この日の関西学院大学はディフェンスで試合を組み立てていった。

 法政大学について何よりも疑問に思ったことは、第4QでのFGトライと次のシリーズのパントである。第4Qでリードされている展開で敵陣地ならば、普通はギャンブルだと思うのだが、なぜ攻撃権をアッサリと放棄してしまうのだろうか。FGトライは戦術的には「あり」なのだが次のシリーズでパントを蹴っているのをあわせて考えると、「FGかギャンブル」で悩んだのではなく「パントかFG」の選択だったように見える。観戦者としては「第4Dギャンブル」の絶好の見せ場を奪われた心境だった。

(了)