関西学生アメリカンフットボール Div.1 シーズン展望

Updated, 2000 Aug. 17 at 10:18 JST.
Modified updated, 2000 Aug. 20 at 02:34 JST.
Modified updated, 2000 Aug. 21 at 01:01 JST.
Modified updated, 2000 Aug. 23 at 01:59 JST.
Last updated, 2000 Aug. 24 at 01:59 JST.


リーグ戦表へ 



関西学院大学・立命館大学・京都大学・甲南大学

神戸大学・近畿大学・大阪産業大学・同志社大学




 「関西学生Div.1秋の行方は・・・」の季節になった。2000年、そして、20世紀最後の秋季リーグ戦もきっと熱戦が繰り広げられるだろう。。・・・???? う〜ん・
 今春の試合を振り返りながらつらつら考えると、どうも、今までと少し違うシーズンになりそうだという思いが強い。

 いつもなら、春の段階で圧倒的なパワーを見せつけてくれる上位3強だが、今年はどうも様子が違う。「オフェンスはともかく、ディフェンスの前4人は完璧だから・・」とか、「ディフェンスはザルだけど、オフェンスがすぐに爆発するから・・」と言えるチームがない。

 いくつかのポジションにアスリートはいるし、DL・・とか、DB・・とか、QB・・とか、WRTE・・LB・・など個人名を挙げることがはできる。しかし、各人が点の存在でしかなく、効果的に結びついていない。「11人」になると3強攻守すべてに「??」が飛び交う。


 上位が揃いも揃ってこんなにモタモタしているシーズンは、ホントに珍しい。したがって、今年はシーズン最初から僅差の熱戦が続き、大アップセットがあってもおかしくはない。

 一般的には「上位校」対「中位校」のシリーズ前半は、結果が予想できるためか軽視する傾向にある。そして、観客数もシーズンが深まらないと増えてこないのだが、今年の見所・注目ポイントは、この「序盤戦」にある。

 3強のシステムが固定していない第3節までならば、「個人」を攻略すればいいのだから簡単(?)だ。ターゲットが明確だから、それに合わせた戦術を組み立てるだけで勝利できるかもしれない。『その試合』に向けてどれだけ策を練ったかが、勝敗の分かれ目になる。

 これほどまでに「アメリカンフットボールの醍醐味:知恵比べ」が堪能できるシーズンは、そんなには、ない。まさしく記念すべきシーズンになるだろう。

関西学院大学
 春の関西学院大学を見ていて、オフェンスに「コレ!」という迫力というか決め手がないという印象を受けた。

 シングルバックをするにはレシーバー不足だし、Iからのランをするにはパワーランナーがいない。OLは#76宮下・#66志次・#77吉田と関西最強メンバーだが、パスプロで時間を稼いでも・・、あるいは走路を作っても・・という感じだった。

 西宮ボウルではQB#15岡村のショートロングパスが炸裂したのだが、そのレシーバーは立命館大学だったり近畿大学だった。関西学院大学のターゲットとなると、WR#89榊原・TE#31高橋までとなる。ターゲット不足は否めない。さらに、一発逆転TDパスターゲットが存在しないことが、「決め手不足」の印象を濃くしているのだろう。

 WR不足とともに目立ったのがFBにパワーランナーがいない、ということだ。中央突破でDLLBをひきずってでもゲインしようとするランナーがいない。強いて挙げるならQB岡村ということになろうが、QBとの一人二役は最後の手段としたい。スピードランナーならば、#2三井・#3大谷と揃う。

 まあ普通に考えて、関西学院大学が春の姿のままで再登場してくることはないだろうし、シーズンが深まれば自然にFBとロングターゲットは生まれてくるだろうとは思う。ただ、序盤戦はオフェンスの組み立てに苦労するかもしれない。何をメインに据えてくるか。関西学院大学のことだから、いろいろと考えてくるだろう。開幕戦が楽しみである。

 一方でディフェンスだが、DL#99神様石田様が、OL2人を担当するほどの怪物振りを発揮するはず。さらに、DL#60弘中とのコンビによるライン戦だけで、もしかしたら、試合を決めてしまうかもしれない。
 ただ、「ケガ」を考えると、思いっきり不安になってくる・・・。DL層が人材不足と思えないし、石田が凄すぎて他のDLに目が行っていないだけなのかもしれないが。

 春の段階での攻守の印象は以上のとおりで、ディフェンス主導のシーズンになりそうな予感はある。あとはひと夏を超えた成長分と、伝統に裏打ちされたスタッフの臨機応変対応能力ということになるか。

立命館大学
 春の甲南大学戦第4Q残り2分自陣1ヤードからのQB#18宮崎によるTDドライブが印象に残る。95年の京都大学との最終戦を思い出させてくれるシーンだった。宮崎に2ミニッツの場を提供したの誰だったのか。ただの偶然の産物だったのだろうか。
 その前の長浜ボウルでも魅せてくれたQB宮崎の雨あられのパスオフェンス、これだけで今年は立命館大学で決まりと思った。

 しかし、西宮ボウルと平成ボウルでのQB宮崎のパフォーマンスを見てしまうと、少し不安になったのも事実だ。もっとも、西宮も平成も混合チームだったし、たまたまあの時期だけ調子が悪かったと見ることもできる。さらに、東野コーチもいることだし、QB宮崎については第1戦まで保留ということで。

 RB陣については関西学院大学と同じようなことが言える。#22高橋、#39礒谷などスピードランナーが揃うが、パワーランナーがいない。唯一ディフェンスをひきずってでもゲインしようとするのがQB#18宮崎である。しかし、これは最終手段にしたい。

 一方で関西学院大学と違ってパスターゲットは人材豊富である。TE#96加藤がショート〜ミドル、WR#9沖がロングターゲットとして、さらにサイドパスターゲットとなるRB陣と、完全分業制が成り立つ様は関西隋一である。今年の立命館大学オフェンスは「パス」中心になるか。

 あとは、OLがいかにQBを守るかであろう。QB宮崎が冷静にプレーできるか否か。QB宮崎のスクランブルが苦し紛れの選択か余裕の選択か。春のオフェンスシーンを再現できるならば、こんなに力強いものはない。

 DLは昨年一昨年からレベルダウンしているが、過去2年が「化け物」だったということで比較対象外とするべきだろう。
 その中は昨年から登場していた#57山中がDLの核になるのはいうまでもない。平成ボウルでは孤軍奮闘だったが続く核の出現を待ちます。
 LBは昨年のパワーからスピードへ変化した。DBも含めてスピードはありそうだ。LB#5片平、DB#21青木など昨年からの経験者も豊富だし形にはなりそうだ。

京都大学
 ここ数年は、あと一歩、あと少しに迫りながら最後のステップアップが完成しないという「もどかしさ」を感じていたのは、私だけだろうか。こんなはずでは・・の積み重ねが空回りになってしまう状況には、選ぶ言葉もなくなっていった。

 さらに、森コーチもチームを離れるという衝撃のニュースが走り、京都大学はどうなってしまうのだろうという思いで春を迎えた。私にとって初の長浜DM行きとなった立命館大学とのひょうたんボウルは、はっきり言って「怖いもの見たさ」だった。(すいません・・・)
 しかし、想像以上の大健闘を目にして、Kと二人「るんるん」気分で琵琶湖に沈む夕陽をみながら湖岸をサイクリング、長浜駅近くで食べたカツ丼のおいしかったこと(^^)
 さらに、ターンオーバーの嵐にも試合を捨てない執念を見せてくれた京関戦、完封劇となった東京大学との定期戦、社会人五洋建設相手の接戦と、好試合が続いた。

 オフェンスは、QB#16今西によるIフォーメーションは、スピードのTB#25関根、パワーのUB#40山田他、パワー系もスピード系も充実している。ただしレシーバー陣がWR#1灰井TE#4脇田あたりまでとなって若干手薄かなという印象だった。
 ディフェンスはDL#19中村LB##29山下#51村西という猛者が揃う。ただパスカバーが甘かったり崩れたプレーへの対応能力欠如など課題もありそうだ。

 しかし、「それは春だからだよ」と、簡単に流すことが出来るのが今年の特徴だ。

「春の京都大学はアテにならない」は、関西学生の通説だったが、久しぶりに蘇るか。秋が深まるとともに化けてくる・・・季節はずれの怪談話を楽しみにしています。

甲南大学
 #12桜井・#11仲田によるQB複数名体制も3年目に突入した。さらにRB#31内野・WR#87松下と核となる選手は揃う。しかし、春の立命館大学戦・関西学院大学戦ともに、1軍相手には完敗を喫した。春序盤ということもあるが、上位「4校目」と言うには、まだ、何か足りないのも事実だ。

 昨年は、第4Q残り2分ぐらいからのミラクルで4勝をもぎ取った。「2ミニッツ」の集中力は今年も健在か。願わくば、「60分間すべて」とか「シリーズ7戦すべて」に、という思いもあるが。

 今年と昨年との違いは、試合順にある。昨年は序盤を3強相手にある意味で「慣らし運転」ができた。だが今年は序盤から本番である。シリーズ後半に「3強」からの白星ゲットは至難の技だけに、序盤で白星を積み重ねておかないと大変なことになる。

 昨年の集中力がシーズンが深まったから生まれたものなのか否か、関西4番目のチームとなり得るか否かという意味からも、まさに、真価の問われるシーズンとなる。

神戸大学
 オフェンスは、例年どおりIフォーメーションからのオプションが基本となるのだろう。春を見た限りではQB・UBに「切れ」「いやらしさ」がもう少し欲しいかなという印象だったが、きっと、解決していることだろう。
 QB#12林・#16吉野、TB#40朴木・#29坂東・#33大月、UB藤村・#23沖本と選手層は揃っているし、毎年のように若い学年からとんでもないRBが登場するのが楽しみである。ただしレシーバー層が少し薄いか???

 ディフェンスは西宮ボウルでも活躍したCB#80伊藤をはじめ、キャプテン#57網本・昨年大活躍の#51佐々木と熱血LB陣が健在である。そして、DL#92矢島#97小島とメンバーが揃う。昨年のリーグ戦をディフェンス主導で切り抜けた自信と上乗せ分は、今年も期待できる。

 2年連続でディフェンスを軸にしたチームとなりそうだ。しかし、神戸大学は調子に乗ると怖いというのは、関西学生の通説である。

近畿大学
 QB#16綾部2年目の年である。RB陣にUB#99杉田、TB#80鋒山・#39大坪、WR#7向井・#8矢守・#88松永と人材は豊富である。あとはOLがいかに・・というところだが、これだけのメンバーが揃えばなんとかなるだろう。この充実したメンバー構成は、脅威である。

 ディフェンスはキャプテンDL#58泉田、LB#10東・#43伊賀並と核になる選手はいる。昨年もディフェンスはそこそこ健闘していたし、LBのパワーは中位校の中では上位にあった。ように思う。それを引き継ぐ今年のLB陣には十分に期待できよう。

 ディフェンス主導のシーズンになりそうだが、試合の流れを奪い取ってオフェンスがチャンスをモノにすれば、一気に突きぬけることも可能だろう。

 春は「基本形状を忠実に」という戦い振りだった。それを確実にこなした春から夏を越してどのレベルにまで到達したか?中位校の中ではもっとも楽しみなチームである。

 スタッフ一新した今シーズン、専修大学戦で見せてくれたベンチワークに私は光明を見出したい。

大阪産業大学
 昨シーズンは、ツルーアイとロンリ−センターでアメリカンフットボールの面白さを世間に披露してくれた。「策士」大阪産業大学は、今年もきっと何かしてくれるに違いない。
 すべての試合にテーマを持って臨んでくるので、試合を観る側にすれば目の離せないチームである。一つ一つの試合にどうやって勝利するか。「戦略」を見たい。

 ただ問題は選手層の薄さだろう。QB#5蘭牟田、QB/RB/WR兼任の超アスリート#3天野、DB長沼・・要所にはアスリートが揃うが、その次との差が少しあるか。また、昨年活躍したRB#31松岡のランを春の段階で見ることが出来なかったのも少々気がかりだが。夏を超えての上乗せ成長分と「策士」に期待します。

同志社大学
 一部復帰の今シーズンだが、正直言って、私が試合を観ていない。昨秋の入れ替え戦・出場校決定戦・春のフラッシュボールシリーズだけの印象だが、攻守ともに大型ラインの印象がある。
 QB#19君川率いるオフェンスは、WR#81布施・#80亀山へのパスとRB#36川戸のスピードランと、バランスアタックできるのは強みだ。少なくとも「昇格したチーム」として見るのは誤りで、中位の実力はある。



 現有戦力でいかに相手を上回ることが出来るか。「勝ちたい」という気持ちがあり、意欲がカラ回りせずに、しっかりと足元を見据えたチームが頂点に登りつめることができるシーズンと言える。

 試合の面白さ・楽しさと期待をこめて「AK's」では、「捲土重来」の京都大学と、「スタッフ一新」の近畿大学を挙げておく。

 さらに「優勝するのは、どこ?」ということならば、「伝統」の関西学院大学、「パワーと東野効果」の立命館大学も加わってくるのは間違いない。ただ、最終的な順位は、思わぬ結果に終わるかかもしれない。