日本選手権 ライスボウル



ライスボウル 



 今年のライスボウルは、法政大学とアサヒ飲料の対戦というフレッシュな顔合わせとなった。法政大学は2年ぶり2回目、一方のアサヒ飲料は初出場である。

 法政大学の前回ライスボウルは、2年前に鹿島と対戦して36−0だった。内容は攻守ともにまったく手も足も出ずの完敗だった。もっともこの結果は法政大学甲子園ボウルでのラン重視の攻撃内容と、社会人鹿島の学生トップレベルを集めた陣容からすれば、予測できる試合結果のなかでは、一番可能性のあるものだった。

 ライスボウルで社会人の連覇が続いている。今回も、法政大学が社会人アサヒ飲料を相手にどこまで・・・というところが、「見どころ」であるのは言うまでもない。

 ところで、法政大学の試合は関東大学選手権と甲子園ボウルの2試合のみの観戦、アサヒ飲料についてはWESTリーグ戦2試合のみの観戦で、FINAL6リクルート戦と松下電工戦は録画はしたが「ながら再生」であまり印象にない。したがって、「展望」みたいなことはあまり書けないのだが、この状態で私の思ったこととして受け止めてほしい。


 法政大学は今までのオプション重視のオフェンスからランパスマルチへと大きな変貌を遂げた。そして、ランパス比率が普通になったことによって、攻撃パターンが飛躍的に増えた。同じパターンを用いずにロングドライブが出来てしまう。ディフェンスの的が絞れないために守備側からすれば非常に厄介なオフェンスだろう。

 QB#4井川からUB#39白木、TB#29薄衣の中央突破、TE#80日田、WR#8山岸へのクイック〜ロングパスという多彩なオフェンスを繰り広げる。QB#4井川はボールをキープして右往左往するタイプではないだけに、逆にLBサックの可能性も低くなるのではないか。


 一方の法政大学ディフェンスだが、これが、よく判らない。何が判らないかというと、関東大学選手権決勝と甲子園ボウルとで全く異なる内容だったからである。決勝ではパスがフリーで通りそうなDBの動きだった。だから甲子園ボウル展望で関西学院大学フェンスはパスの方がゲインするのではないかと書いたのだが、甲子園ボウルではDBがしっかりとWRをマークしてパスのゲインを許さなかった。
 確かに関東大学選手権準決勝では日本大学のショットガンを完封している。さて、どちらが、本来の法政大学なのだろうか。


 アサヒ飲料QB#18桂は、1999年の日本大学ショットガンQBである。この時の法政大学−日本大学は関東大学選手権決勝で対戦している。もちろん法政大学ディフェンスメンバー構成は異なるのだが、なんとなく感触が残っている分と、2000年の日本大学ショットガンを完封した実績と合わせて、法政大学側に優位に働くかもしれない。

 ただし、法政大学ディフェンスはアサヒ飲料RB#27中村を止めることができるだろうか。学生にはないパワーとサイズを持ったRBの中央突破は2人がかりでも止まりそうにないのだが。このRB中村を止める動きとQB桂のショットガンパスへの対応が同時に可能なディフェンス体形というのが存在するか、あるいは、気迫でカバーできるか。ディフェンスの注目点はここにある。


 この試合も社会人アサヒ飲料優位は動きそうにない。ただアサヒ飲料はFINAL6になってからは目立ったミスをしていないが、リーグ戦では自らがモメンタムを放棄するようなシーンは時々だが、ある。したがって法政大学にアサヒ飲料ミスを誘発するようなディフェンスブリッツとタックルがあれば、チャンスは転がりこんでくるかもしれない。これを確実に得点に結びつけられるか。
 そして、法政大学の多彩なオフェンスがアサヒ飲料ディフェンを翻弄できるか。多彩なプレーの全てをアサヒ飲料に止められることはないだろう。どれかがきっかけになって突破口が開ければ・・なのだが。


 法政大学は勢いに乗ると止まりそうにないタイプである。したがって、法政大学が序盤で試合の主導権を握るような展開になれば可能性はある。


(1月2日 ラグビー観戦のために上京中の新幹線車内にて。の予定だったのですが、いきなりのトラブルで、国立競技場にて。)