日本選手権 ライスボウル



ライスボウル 



1月3日(水) 東京DM 14:00
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計
法政大学0001313
アサヒ飲料72171752
(現地観戦)
 


 法政大学のリターン&オフェンスで試合開始も最初はパント。これをアサヒ飲料#34吉田が35ヤードを返してアサヒ飲料最初の攻撃は敵陣27ヤードから。しかし、法政大学DLLBの壁がRB#27中村の中央突破を2回連続ストップする。さらにFGも失敗で均衡は保ったまま。法政大学ディフェンスの勢いが感じられる幸先のよいスタートだった。

 法政大学オフェンスは次のシリーズも自陣で簡単にパント。しかし、アサヒ飲料のラッシュのプレッシャーがきつかったのかキッカーがボールをファンブル、さらに、転がっているボールを故意に蹴ったことで反則となって、アサヒ飲料にエンド前7ヤードの攻撃権を献上、第1Q5分31秒先制点を奪われた。

 法政大学が先行すべき試合をイヤな展開からリードされて、このままズルズルいくかと思ったが、ここからの15分間(試合計時)は攻守ともまったくの均衡状態が続く。


 第2Q法政大学QB#4井川のパスがフィールド中央で再びインターセプト。ここから法政大学が一気に崩れていってしまった。

 ディフェンスの2回目の急発進は中央付近をズルズル行かれてTD。その次の法政大学パントでは、飛距離が出ずにエンド前30ヤードを献上してTD。さらにその次は、法政大学パントにアサヒ飲料#25山がノンストップで突っ込んでパントブロック、エンド前11ヤードを献上してTDと、約5分(試合計時)の間に試合の方向が決まってしまった。


 第3Q5個目までのTDの全てが法政大学のミスを出発点にしたものである。パントでのミス3回はすべてエンドゾーン直前の攻撃権を与え、パスインターセプトではフィールド中央からのドライブTDとダイレクトリターンTDである。ターンオーバーからのディフェンス登場は準備できていなかったのか、結果としてはTDを取られるシーンばかりだった。

 しかし、法政大学オフェンスのパント放棄からのディフェンスシーンでは、第3Qまでで、1ファンブルロスト、3パント、1ギャンブル失敗、FG失敗と完璧に抑えこんでいる。再三のLB#1志賀LB#47塚野のブリッツ突っ込みと、DLLBによるRB#27中村を止める気迫は、内容的にはイーブンの展開だったのではないか。アサヒ飲料にドライブされての得点シーンは第3Q残り4分からのドライブまで、ない。

 ディフェンスの健闘ぶりがはっきりと判るだけに、法政大学の自滅というのが正しいところだろう。ただ、なぜこんなにもミスが多発したか。大学生にない社会人アサヒ飲料のパワースピードサイズにびびったというのもあるかもしれない。
 QBのパスコントロールが乱れたのは急いで投げざるを得なかった/投げさせられたことによるのか。#25山がダイレクトでキッカーへ突っ込んで来たのは社会人うんぬんの問題ではないが、パントミス3回はスペシャルチームまで社会人対策ができなかったことの現れとも見れる。


 法政大学にすればオフェンスが進まなかったことが試合終盤まで調子に乗れなかった原因だろう。メインプレーであるRB#36白木、#29薄衣の中央突破は、ほとんど有効的なゲインが出来なかった。

 ランによる10ヤード以上のゲインは、全プレー中たったの3回。第1QのQB#4井川のキープ14ヤード、第2QのRB#29薄衣のドロー14ヤード、第4QのRB#2小高のドロー14ヤードのみで、あとは、アサヒ飲料DLLBの集まりとスピードでショートゲインに抑えられてしまった。

 一方でクイックパスだけはゲインする手段としてかろうじて残った。(Xリーグオフィシャルに掲載されているスタッツによると、法政大学ゲインはパスがランを上回っている。)第4Qの2個のTDもパスを中心のドライブだった。

 もっとも、成功するパスコースが左右の真横、あるいは、LB後ろへのクイックパスだけと限られたものだけだった。また、ランでのマイナスゲインをパスで挽回するもロスゲインが大きくてFD更新できないシーンが続く。ミドル〜ロングレンジを投げさせなかった/投げるまでの時間を与えなかったのはDLのプレッシャーによる。
 そして、コースの限られたパスを狙いうちしてのパスインターセプトでもあった。

 法政大学オフェンスもオプションを想像させるモーションランと、中央突破をフェイクにしてのプレーアクションからのパスなどで、なんとか突破口を見出そうとしていたのだが、この日はアサヒ飲料ディフェンスの勝利と言える。

 ただ、もう少し揺さぶりをかける手はあったように思う。RB3人横並び&両TEのノーマルTからのカウンターをもっと使用しても良かったのではないか。本編では第2QにQBキープ1回のみの登場だった。
 2個目のTD後の2ポイントコンバージョンでNHKの放送でははっきりとは映っていなかったが、ここでもノーマルTを用いている。そしてこの時はRB3人がWR位置へ散ってのノーバックになった。この瞬間は鳥肌モンだった。なぜ、本編の早いうちに用いなかったんだろう??それと、法政大学得意のIからのオプションと。
 アサヒ飲料DBLBはクイックパスに的を絞ればいいのだが、それでも見た目は、ギリギリのところでの防御だった。だから、あと少しだけ揺さぶっていれば、結果は少しだけは変わっていたかもしれない。


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 法政大学はオフェンスバリエーションも増え、第3Q最初にはオンサイドキックを行い、ディフェンスも攻撃的なディフェンスだった。攻守とも、考えうるほとんどのことをしていたように見えた。

 スタッツの獲得ヤードや攻撃所有時間の数値を見れば、なんでこんなに大差がついたのだろうかという試合ではある。直接的には法政大学のパントミス3回とパスインターセプトが原因なので法政大学がミスで負けたと言ってしまうのは簡単だが、ここが社会人と学生の大きな差なのだと思う。

 パスインターセプトはアサヒ飲料ディフェンス包囲網によって法政大学のミスを誘い出した結果のものであり、パントの3回はそれぞれ別の理由かもしれないが、学生にないサイズとスピードの初体験などなどで、緻密ではなかったということだろう。

 この差は、なかなか埋まりそうにない。52−13ほどの力の差はなかったかもしれないが、試合結果がひっくり返るまでにはならなかっただろう。法政大学でなく他の大学が出場していても似たような結果だったに違いない、という絶望感でいっぱいになったライスボウルだった。

(了)






ライスボウル




縦軸:フィールドポジション    横軸:経過時間

□印:FD獲得位置およびパント位置
黒線:キックによる攻撃権移動(ボール飛距離とリターン距離は表示せず)
赤線:法政大学オフェンスシリーズ(上から下へ)
青線:アサヒ飲料オフェンスシリーズ(下から上へ)

TD:タッチダウン          FG○:フィールドゴール成功
G×:第4Dギャンブル失敗      FG×:フィールドゴール失敗
FL:法政大学ディフェンスのファンブルロスト
PI:アサヒ飲料オフェンスによるパスインターセプト