『風』

updated, 1997. Feb. 26 at 01:55JST.



 今から約15年前、推理作家の斉藤栄氏の「魔法陣シリーズ」の中に『風の魔法陣』
というのがありました。この『風』は『かぜ』ではなく『ふう』と読みます。『ふう』
は、「風貌」「風体」「風姿」であり、「洋風」「和風」です。そして、今回のテーマ
『風』もそれにならって『ふう』です。「昔風」「今風」「校風」「家風」と言えばわ
かりやすいかもしれません。                          

 アメリカンフットボールは、組織の戦いと言われる。それでは、組織とは何かを考え
てみよう。ここからは、大学の経営学あるいは組織論の講義の抜粋(?)になります。
組織には、その存在目的というのがあって、企業体の場合、最も抽象的に表現すれば、
「全ての利害関係者を満足させること」である。アメリカンフットボールの場合も「 
楽しい時間を過ごし、かつ、試合に勝利すること」であろう。           

 さて、ある時点で組織目的を達成させるのに有効と予想した組織を組閣した。しかし
実際に運用してみると、うまく機能しない場合もあり、組織変更を余儀なくされる。あ
るいは、当初は、うまく機能していたが、時の経過と共に機能しなくなる場合もある。
これも組織変更が必要である。このように、組織を取り巻く周囲環境の変化に、柔軟に
対応変化させることは組織存続の必須条件である。                

 企業体を取り巻く環境とは、株主、消費者、従業員、地域住民、法律、国際関係など
である。経営者は企業を取り巻く環境変化を敏感に察知して、的確かつ瞬敏な対処が要
求される。失敗するば企業イメージの低下や経営成績の悪化、組織の滅亡へとつながる
からだ。現在の企業が直面している環境変化に対応しきれていない問題点の一つは従業
員の問題か。消費者や従業員は、団塊の世代とそのジュニアに対しての厚遇冷遇を企業
イメージにつなげる。対応を誤ると労働人口減少時の命取りになりかねない。    

 さて、本題のアメリカンフットボールチームにとっての周囲環境とは何だろうか。O
B、ファン、後方支援している学校企業、ゲームルール、試合会場の天然/人工芝、他
チームの試合展開の傾向等が挙げられる。変化の激しいものは、フォーメーションであ
る。基本の「I」や「T」を経て、ウイッシュボーンでオプションが一世を風靡すれば
それに対応するディフェンスを整備する。これに対抗してフリーズドになるなど、オフ
ェンスディフェンスとも変化発達していっている。                

 そして、もう一つ大きく変化しているものに「人」である。この「人」は物理的な意
味もあるが、それ以上に性格的な意味が大きい。私もそうだが、「とにかく頑張れ。根
性だ。」で動く様な世代ではなくなっている。そこで、マニュアルを揃えたが、それ以
上のことはしない。私のようなわがままな人間をどのように操縦するか。この変化に柔
軟に対応しているかが、今の最も重要な問題であろう。              

 ところで、環境変化で変更を余儀なくされる分野もあるが、一方で、幸いなことに、
当初設定してから10数年間も変更せずに満足に機能したものもあろう。これが伝統と
か「校風」「社風」と言われる。しかし、次の10年間で変更を迫られる可能性は充分
にある。                                   
 長い歴史を切り捨てる勇気の有無が、組織存続か衰退かの境界線を引く。つまり、歴
史切り捨てに邪魔だから伝統不要となる。だが、「伝統不要」を唱えているチームでも
脈々と受け継がれているものがある。それは、「環境に適応しなくなれば、的確瞬敏な
変更が必要である。」という思想だ。                      

 結論は、『風』向にしたがって『風』を変えよう・・・。            

 



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次回のテーマは、『濡れ雑巾』を予定しています。



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