■□白き王の夢続き。 <<noveltop
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ナナリーとロロは、台所に立つ兄、ルルーシュを
心配そうな面持ちで見つめる。
妹と弟の前では、健気に振舞う兄ではあるが
本来の気質が変わる訳ではなく、表情や行動に感情が出やすい。
――と、言っても彼をよく理解した者でなければ解らない程だが。
本日の朝食である、スコーンの生地を
バッコン、バッコンと調理台に垂直角度から叩き付けている。
叩きつける場合、斜め45度が望ましい。
そもそも、スコーンは『パン』や『うどん』ではないので
生地がまとまればよく、捏ねる必要はあまりない。
「あれだけ捏ねて
コシができるのでしょうか……それとも、通常より膨らむのでしょうか」
「その前に、まな板が壊れそうだよぉ」
決して怯えてる訳ではなく、凄く心配しているのだ。
当人は、そんな妹と弟の視線に気づかず、一心不乱にスコーンの生地を捏ねていた。
そうだ。
ルルーシュ・ランペルージ――中身にルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの記憶有。
頗る機嫌が悪かった。

話は一日前に遡る。
前世とでも言おうか、同じ人物であるので、判断が難しい所ではあるが
悪逆皇帝ルルーシュの記憶が、断片的であるが思い出したルルーシュ。
努力をすれば、全て思い出す事も可能らしいが
一つの肉体に、二つ分の記憶という『個』が宿るのは危険らしい。
あくまで必要最低限の部分だけ、取り戻した。
だが、本来、ルルーシュの記憶であるが、現在のルルーシュのものではない
誤差が生じるのは当然で、定着するのに4週間ほどかかり
体調も先日やっと良くなった。
体調悪くとも、枢木神社に通ったルルーシュの行動は執念といえるだろう。
そして、昨日、ようやく落ち着き
色々とスザクとC.C.に聞いたのだ。
英雄ゼロの事は、教科書の通りで、細かく聞く必要はなかった。
ただ気になった点が幾つかあった。
「400年の間、どのように生活をしていたんだ?」
小首を傾げるスザクに可愛いなと思いつつ
周りを仰いだ。
「移動は遺跡を利用したのは分かった。
だが、生活費は?」
皇帝ルルーシュの記憶がなかった間のスザクは、何か働いている様子はなかった。
C.C.は論外。
この神社の賽銭で賄えているかもしれないが、それより以前は此処にいなかったと
聞いたからだ。
世界に尽くしているとしても、一介の公務員としてゼロに給料が下りていたとしても
400年もの間、生活できたとは到底思えない。
スザクなら無人島でも生活できるかもしれないが、今、横目で宅配ピザを食べている
C.C.が快く共にいたとは考えられなかった。
「え? えーと……俺…じゃない、私は、お小遣い制度だから」
財布の紐はC.C.が握っているというのか。
信じられないというルルーシュの視線を気にする風もなく、C.C.は手についた
チーズを舐め取った。
「お前を習ってな、ベガスにコイツを連れて行った」
「は?」
「よくやっていたではないか、お前は」
まさか…と考えあぐねているルルーシュを他所に
斜め上を仰いで、スザクは思い出しているらしい。
「べがす?…ああ、ラスベガスか……懐かしいね。
C.C.のバニーさん姿、可愛いかったよ。
相変わらず、遅い設定のスロットをやって
一緒にポーカーとか、やったよね」
ああ、なるほど。
スザクの動体視力を考えれば、スロットを揃えるなんぞ朝飯前
というか寝ていても出来そうだ。
ポーカーなどのテーブルゲームはディーラーとの心理戦も絡んでくる
その辺りはC.C.が誘導したとすれば合点がいく。
つまり、賭け事をし、元よりあった貯金を倍にしたのだろう。
どれだけ倍にしたのかは、敢えて聞かない事にして
基本の生活費は利率で賄っているという事か。
「ルルーシュ?」
「……まぁいい。
生活が、それでも大変だろう?
俺の所に来ないか? 序でにC.C.も来てもいい」
今は学生の身、ナナリーとロロも心配だ。
親から与えられた屋敷に住んでいるが、
最終的には自身の稼ぎで家を買い、生活をしていくつもりだ。
その隣りにはスザク――一応、C.C.も引き取る。
だが、今、現在。
なるべくなら、スザクと共にいれる時間を増やしたい。
今、住んでいる場所へ来てもらうのが、手っ取り早いのだ。
ちょうど、屋敷は、二人ほど来たって問題のない広さだ。
「いいよ。ナナリーとロロが吃驚するじゃないか」
「突然ならばな。だが、その辺りの段取りは俺に任せておけばいい」
少しだけ考えて、ルルーシュからすれば、あんまり考えていないように見えているが
スザクは首を縦には振らなかった。
「大変じゃないから、大丈夫だよ」
「それはお前が、そう思っているだけではないか?」
「……C.C.、大変かな?」
ならば、とばかりにスザクはC.C.に問いかける。
C.C.はもくもくと持っていたピザを食べきり、口を開いた。
食べている最中でも話す事のあった彼女が、
口に物が入っている時は喋らなくなったという事実に
ルルーシュは少しだけ感心した。
乱暴でありながらも、妙な所で礼儀正しいスザクのお陰であろうが。
「これといって、大変ではないな
……お前がしてくれるマッサージは中々いい」
「マッサージだと?」
「筋肉を解しているだけだよ? 気持ちよかった?」
「そこそこ、な。悪くはない。
あとは、そうだな……シャンプーか」
C.C.の発言に
思考が追いついていないルルーシュは、苦笑するスザクを見る。
「湯船が、狭くなっちゃうけれどね」
「………おい、スザク。
まさか、一緒に入っているとは言わないよな?」
「嫌だな、ルルーシュ。
同時に入る訳ないじゃないか」
たとえ、どんな態度で、どんな性格であれ
C.C.は女であるし、スザクは男である。
言葉の表現方法を間違えたのかと、軽く笑うルルーシュだったが
「私が洗っている間に、湯船にはC.C.が入ってもらっているよ」
「はっ!?!」
「でも、何処だったかな……すっごく湯船が狭い所があって
申し訳ないなって」
「ああ、あれは気にするなと言ったろ?
私も必然的に、触らざる終えなかったしな」
ゼロを辞めた当時。
スザクはとても不安定で、お風呂に入るのもままならかった。
その際、C.C.が手伝ってやり
節約もあり、そのまま一緒にお風呂に入るようになった。
C.C.を女性として接してはいるが、その時の事もあり、
半ば親子の入浴と言おうか、それとも飼い主とペットか。
だが、その辺りの説明はよく、ルルーシュの耳に入っていなかった。
「……………」
「ルルーシュ?」
近くにあった座布団をスザクへと投げつける。
スザクは動作なく、それを受け止めたが
「この、馬鹿がぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
怒鳴りつけ、そのままルルーシュは駆け出して行った。
「……あ…えと、え?」
突然のルルーシュの行動の意を、
本気で分からないスザクは呆然とその背を見る。
「追いかけた方が、いいのかな???」
「……相変わらず、だな。お前は」
クスクスと笑って、C.C.はピザを取る。




バシンッ、バンッ、ドンッ
スコーンの生地を、これでもか、というぐらいに叩き付ける。
(あの馬鹿が! あの馬鹿が!! あの馬鹿が!!!)
これが、うどんの生地であれば、さぞやコシのある麺に仕上がったであろう。
頗る機嫌が悪い要因はスザク。
原因は此処に一緒に住む事を
断った事ではなく――恥ずかしさから断ったのだろうと前向きに捉えている
(マッサージだと!!あまつさえ、一緒に入浴!!!
俺とは、皇帝となった時でさえ、一緒に入った事などないというのに!!!!)

バンッ、バンッ、バンッ

あの魔女め。
あの天然め。
機嫌が悪い原因は、何とも子供じみた物だった。


それでも、ちゃんと朝食は準備され
ナナリーとロロが心配する中、
本日のスコーンは通常より倍の膨らみだった。









記憶が取り戻したといえど、今はルルーシュ・ランペルージ。
一介の男子学生だ。
しっかりと学園へ行き、少々サボりつつ
授業が終わると枢木神社へと急いだ。
歩み慣れた道程、そして何度も上る階段を進みながら
拳を握り締めた。
沸々と怒りを溜めて、上りきった其処に

「こんにちわ、ルルーシュ。
早かったね」

ニッコリと笑う袴姿のスザク。
天然の為せる技か。
昨日のルルーシュの行動を気にする様子もない相手に
怒りは簡単に収まっていく。
この場合、怒っても意味がないと言おうか。
本日もせっせと、箒で境内を掃いているスザクに溜息をついた。
「どうかした?」
半ば、彼の天然には頭痛を覚える。
「……いや、何でも」
「あ、そうだ。
今日は、ドラ焼きを貰ったんだ」
「またか!! 今度は、誰だっ」
「参拝者の、ルイチャスターさん。
断ったんだけどね。たくさんドラ焼きを貰って食べきれないからって」
そうか、と頷くルルーシュの顔は引き攣る。
名前からして、ブリタニア人。
(ブリタニア人が、ドラ焼きをたくさん貰う確率など低すぎるだろ!!)
そもそも、この枢木神社に奉られている神に信仰があるなら
それへ奉納するだろう。
だが、態々、スザクへと手渡しているのだ。
本人は手助けの意味合いで受け取っているようだが。
(チェックリスト入りだっっ)
本気で此処に防犯カメラとトラップをしかけようかと考えている
ルルーシュを奥の離れへとスザクは案内する。
スザクは、ルルーシュのように、絶世の美を誇っているワケではない。
といっても、整っている部類に該当はしている。
一般よりも上というくらいだ。
だが、日本人特有の童顔と、健康的な中で何処か淫猥なモノを感じさせる。
穢れのない純粋さや奥ゆかしさも感じられ、その辺りはブリタニアの者に
ウケが良いのだろう。
本人は褒めているつもりで、口説いている時もある。
イレブンと虐げられていた時でも、好意を持つ者ができたくらいだ。
開放的な此処で、ルルーシュにとって邪魔者が発生するのは容易であった。
要注意リストに脳内でインプットし、縁側から離れへと入る。
障子を閉めて、入る客間はとても暖かかった。
室内の暖は、暖房などの電気機器ではなく
火鉢であるから驚きだ。
着ていたコートを脱いでいると、奥からドラ焼きとお茶をお盆で
スザクが持ってきた。
「寒くないかい?」
「いや、ちょうど良い」
火鉢の性能を改めて感心し、畳の上に腰を下ろした。
「C.C.は?」
「えっと、重要探索……」
「ピザ探索か」
苦笑するスザクに、息をついてお茶を受け取る。
「いただきます」
日本式の挨拶をし、ルルーシュはまずお茶を飲んだ。
「美味しい?」
「ああ……和菓子には、緑茶だな」
「ブリタニア人にとっては、
この餡子はあまり好まれていないみたいだけど」
ああ、とルルーシュは頷いた。
「甘いとは、部類しないからな。
豆を食べているという印象が強い」
「豆……確かに、豆だけど」
もくもくと食べるルルーシュの隣にスザクは座る。
食し終えた皿と湯のみをお盆ごと隅に寄せると室内は静かになった。

「……」
「……」

とても、とても長閑な午後。
表情こそ出てはいないが、ルルーシュの脳内は大騒ぎだった。
(体調も戻り、久しぶりの二人きりっっ)
穏やかに気を許しているスザクを横目に映すと、心臓は高鳴り
いやでも期待してしまう。
「スザク、」
「ん? 何? るるー……っ、」
本当に気を許していなのだろう。
瞳を瞬かせるスザクを畳の上に押し倒せた。
呆然としていたスザクであったが、状況を把握したのか
覆い被さろうとするルルーシュの肩を掴む。
「ちょ、ちょっと、待て!! 君は、体調が」
「体調なら、昨日で万全となった」
「だけど、ちょっとっ……ルルーシュっ、ここじゃあ、駄目だってっ」
抵抗は気遣ってか弱いが、声色に少しの苛立ちも感じられる。
場合によっては、実力行使もされかねない。
ルルーシュはスザクから離れ、立ち上がった。
「…え、あ…えと、ルルーシュ?」
まさか離れるとは思っていなかったスザクは
突然のルルーシュの行動に戸惑う。
ルルーシュは我が部屋のように、襖を開けて
中から客人用の敷き布団を取り出し畳の上に広げた。
さすが『主夫』。
手際よく、それこそ高級旅館の如くの敷き方だ。
イレギュラーに弱いルルーシュであるが、彼の行動も
十二分にイレギュラーに該当する。
付いていけていないスザクの手を引いて、布団へと招いた。
「営みに相応の場所だったら、良いんだろ?」
ああ、なるほど。
合点のいったらしいスザクは、それでも布団の上で正座となる。
「君は、いつでも突然だね」
「お前ほど、ではない」
ルルーシュもスザクを習って、正座になった。
さながら、新婚ほやほやの初夜と言うべきか
互いに俯き真っ赤だ。
先に動いたのは、ルルーシュだった。
唇が触れ合う。
ゆっくりと布団の上へと押し倒して、スザクを見下ろした。
「……酷い事、たくさん…したな」
このルルーシュも、皇帝であったルルーシュも。
二つの記憶に、発せられる言葉に
スザクは息を零した。
「はは……気にする事、ないよ」
見つめる瞳は、しっかりとルルーシュを映している。
小袖の袂を緩めて、合間から手を入れる。
「っ、」
「冷たかったか?」
「ん……少し、でも、大丈夫だ」
ピクピクと震えるスザクの首筋に唇を寄せた。
「写真、」
言葉に首を傾げる相手の耳を啄ばんだ。
「携帯の、写真。勿体無いが、破棄した」
「…っ……どうし、て?」
微笑んだ。
「もう、必要ないだろ? スザク」
吐息交じりの低音の声。
それにそっぽを向かれた。
「……っ……あのさ…」
そっぽを向いたまま何かを囁くスザクを横目に、
袴の合間から手を入れる。
つくづく性的な服装であると、ルルーシュは思う。
「あのさ、何か……その……っ、うあ!?」
解りやすい、快楽に直結するモノを掴むと
スザクの体は布団の上で跳ねた。
「なんだ?」
「っ…っ……ぅ……そこは、やめっ、」
肘をついて、スザクを見下ろしながら、手を動かす。
袴の布に隠れ、どうなっているのか明確には解らないが
布の動きは卑猥で
くちゅ、ぐちゅ、と淫音が鳴っていた。
「お前の、狡猾で冷酷な想い人は、どのようにしていた?」
「うっ、う…、それは、君が、」
頬を舐めて、真っ赤になっているスザクを見つめた。
「断片的にしか、思い出せないからな。
一番、よく知っているお前に聞くのが…いいだろ?」
「んんんっ、あ、あっ、う……悪趣味、」
唇を引き締め、悔しげに悪態をつく様は
ルルーシュの知るスザクだった。
「ふぅん……いま此処で、それを言うのか?」
あるのは少しの余裕。
イレギュラーに弱いルルーシュであるが、逆に情報が揃っていれば
対応ができるというコトだ。
少しの余裕であるが、今の状況下では十分だった。
「くっ、うっ、ゃ……っっ…」
か細い喘ぎを零し、首を左右に振る。
袴で隠れている布下で何が行われているか見えない分
快楽を煽るのだ。
「ん…、ぁ、あっ、そっちは、まだっ……ひっ!?!」
「……っ……悪い、痛かったか?」
瞳は生理的な涙で滲ませて、ゆるくスザクは横に首を振った。
「そうか……なら、」
脚がびくつき、布団を蹴る。
「やっ、いやだっ、やめっ……っ…ぐっ、いっ、いうぅ、うあ!!」
全力疾走しても息を乱さないスザクが
息を荒げ、体を震わせている。
その様は加虐心を煽った。
「ぐちゅぐちゅ、するな…っ…っ、あ…うあっ、んんっ、」
「……はぁ……後ろだけで、出せそうだな」
指先は締め付けの強い、秘所へ突き入れている。
モノの先走りを潤滑油変わりに、気遣いながらも激しく。
「っ、っ、出せないっ、出せないって…っ…あ、ぐぅ、やっ、いやだっ
やだっ、やっ……んんんっ、んっ」
「なぁ、スザク……指、何本。入っているか解るか?」
苦痛の中、それでも悶えているスザクは閉じた唇を開いた。
「…に、二本…っっ、」
「外れ。三本だ……あまり慣らしていないのに……凄い、な。
こんなに、いやらしく」
「……っ…うあっ、あ、だめだ、だめっ……あっ、ルルーシュ、
出る…っっ…から、」
焦点が彷徨っていた瞳が、ルルーシュと合うなり
ずっと見つめられていた事を
殊更、スザクに知らせる。
頬を真っ赤に染め上げ、首を振った。
「あ…っ……み、見るなっ、見るな、見ないで…っっ」
ぽろぽろと泣きながら言われる。
だが、スザクの手はルルーシュの腕を掴み
引き寄せようとしているかのようだ。
「んっ、やぁ、いっ……あっ、ううっ!?!!」
体が跳ねた。
背中を弓なりにさせて、そして弛緩させるスザクは息も絶え絶えだ。
イったのだろう。
その瞬間のスザクを余り見れないルルーシュは
恍惚として見つめた。
「……はぁ…はぁ…はぁ……」
袴から手を出し、帯を解いて、袴を下ろせば、白濁の液が糸を引く。
閉じようとする太股を押さえて開かせた、中心と秘所は
淫猥に濡れていた。
「………」
滲ませているスザクの瞳は、ルルーシュの下肢を見て
手をゆっくりと伸ばさせた。
その手を掴み、唇を這わせると、見上げられる。
「ルルーシュの……」
大変な事になっているのは、確かだ。
「こっちが、いい」
触れる秘所に、スザクの腰が揺れる。
「仕方ない…な……」
呟きを聞いて、膝裏を掴んでグイッと腰を上げさせた。
腰に帯が絡まり、布の合間から見えるお尻に触れる。
「んっ、」
鼻にかかった吐息が零れ、ルルーシュの手には程よい弾力と
張り、すべらかな感触が伝わった。
やはりスザクのお尻は良すぎる。
触っているだけで、イってしまいそうで、撫でるだけで留めて
ズボンのホックを外し、張ち切れんばかりのモノを出した。
「……っ、」
そのモノを、ゆっくりと孔へと持って行く途中。
コクリと息を飲む音が聞こえた。
モノを宛がうと、体はビクつき、小刻みに震えられる。
「俺が、初めてではないのは、腹立たしいな」
「……はは……男では、君だけだよ」
笑みを零しながらの、発言は遠巻きに女性と経験があると
言っているようなモノであるが
敢えて気づかないフリをした。
本能的なものだ。
ならば、その本能までも、自分に向けさせればいい。
「入れるぞ……」
声が掠れる。
こくりと頷き、顔を真っ赤にさせながらも
スザクは繋がろうとしている部分を見つめていた。
本当にいやらしい。
清純そうに見えての、現実との違いは
性的に煽る。
「あ…でも、ゆっくり……ゆっくり、してくれ」
「痛い、のか?」
「ううん……その、少し苦しいだけ……君の、大きくて
中が……中が、ね……っ……うっ…」
言われた通り、ゆっくりと入れるが、
そのキツイ締め付けと、熱に吸い込まれ
「ひっ、ぐ、うあああ!?!!」
一気に根元まで突き入れた。
脚が宙を蹴り、見開いた瞳から涙が飛び散る。
痙攣するように震えて、されど、腰を上げさせられる事で
見えている結合部分へと向けられていた。
「はぁ…はぁ……此処が、どうかしたか?」
結合部分の、孔の媚肉をなぞると
「ひゃっ、うぅぅっ!?」
「っ、あ…馬鹿っ、急にっ……っ」
締め付けに、耐える間もなく動く前に
吐精してしまう。
「うああ…ぁ、あっ、熱いっ……いっぱい、出てるっ、」
幾分かの理性が
叩き付けるように、流し込むように
内部で出されている事を把握させた。
ルルーシュ側からすれば、失態であるのだが
ほんわりとしているスザクは差ほど気にしていないようだ。
程よく筋肉のついているお腹の、下部を撫でて
蕩けるような眼差しとなる。
「ルルーシュの、いっぱい……
これじゃあ、お腹がパンパンになりそうだ」
スザクからすれば、感想だ。
想っている心情を、懸命に伝えようとしていてくれているだけだ。
だが、しかしだ。
「ふぇ…っ…え、もう、大きくっ…っっ、」
「っっ、馬鹿っ! お前が、悪いっっ!!」
「え? え、あ、ごめ…ごめんっ、あっ、うあっ!!」
エロい。
本当に、いやらしいのを通り越して、エロすぎる。
なんだ、この生物は。
と、理性を片っ端から砕いて行く相手に
半ば内心で八つ当たりと責任転嫁をして
「あ、ぐっ、ううっ、深いっ、やっ…んんっ、んんーーーっ、んっ!」
叩き付けるように挿入を繰り返し、唇を重ねる。
舌を吸い、向こうが絡めてきて、それを絡み返した。
奪い、奪われ、シーツを掴んでいるスザクの手を背中へと回させる。
戸惑いがちの瞳を見つめて、唇を少し離す。
唾液の糸が隙間を繋げ、唇を赤く濡らした。
「はぁ…はぁ、ぁ……ちゃんと、捕まえていろ」
「っ、……ん……うん、」
何度も頷いて、懸命にしがみついてきた。
「はぁ、あっ、あっ、るる、しゅっ…ぐぅ、あっ、」
苦痛もあるのだろう。
けれど、声はそれと甘い声色を含み、何とも加虐心を尚も煽るのだ。
「ルルーシュ、っ、あ、ンっ、またっ…出てっ…っっ!!!」
スザクもだが、ルルーシュも一概に感じやすい体だ。
吐精してしまうも、休む間もなく貫かれて
ぐちゅぐちゅと、いやらしい音を充満させる。
「スザク…んっ、ぁ…ぁ…」
甘い吐息を零すルルーシュに、スザクが興奮しているなど
本人は気づいていないだろう。
「やっ、あっ、うっ、私…、俺も、出そ…っ、あ、ひっ、あああ!?!」
「まだ、だっ……」
ぎゅっ、と根元を掴むと、吐き出す事は叶わず
空イキとなる。
「うう、ううっ、あう、ぐっ、ず、ずるいぞっ…君ばっかり、ひゃあっ、
やだっ、そこっ、ばっかり…っ、っ、」
「俺に意地悪…されるの、好きだった……だろ?」
「んっ、あっ、ううっ、そんな事ない……うああっ、はぁあっ、
ちが、ちがうっ…んんっ、くんっ……ルルーシュが、俺をっ、」
こんな風に変えたのだと。
嬉しすぎる事を言う。
これが本心であるから、尚更の事。
彼が日本人である事が、よく理解できる発言でもある。
――ルルーシュの中では日本人=大和撫子的なイメージがあるからだ。
「ルルーシュ、ルルーシュっっ、出したいっ……頼む…っ、
出させて…っ…変に、おかしく、なるっっ」
そのしなやかでありながらも強靭な破壊力を持つ脚が
淫猥に腰へと絡む。
それは奥深くまで、抉られる事を望んでいる。。
「あっ、あ…もっと、おかしくなれ…スザクっっ、」
「やっ、だめだってっ、はあっ、こんなのっ……んんっ、んあ!!
はぁ、あッ、あぐっ、だ…ぁぁ、めぇぇっ、えっ、あっあああ!!」
狂ったように悶え、ビクつく体を全身で閉じ込めて
「んんっ、馬鹿…っ…スザク、そんなに、絡みつかれるとっっ」
「はっ、そんな、知らな…っッ・・・あうっ、!!うっ!、やっ、やああっ!!」
強く強く、繋げて、二度と、切れぬように。
何度も何度も、飽くなくまで。
白い世界が広がり、体が動かなくなるまで、かき抱く。
愚かな中で、確かなモノが、はっきりと見えて
額のコードを口づけて
「スザク……」
「ん…っ…ルルーシュ…っっ、」
熱に攫われる前に、その安堵の微笑みを受け止めた。











陽も堕ちかけている。
布団の上で身を寄せて、過ぎ去った嵐の延長、
他愛もなく、触れ合う。
「むっつりさん、だね…やっぱり君は」
「どういう意味だ……そもそも、やっぱり、とは何だ」
「そのままの意味だよ……わっ、駄目だって…このっ、」
下腹部を辿る指先は、少し性的で、目元を赤くさせてスザクは抗議した。
制服の上着を脱ぎ捨てた、ルルーシュの、ワイシャツから覗く胸板に触れて
脇腹をなぞった。
「んっ……お前こそっ、」
「お仕置き、しちゃうよ? ほら、お尻触ってもいいから、さ」
小袖の裾を上げて、お尻を少しだけ晒す。
翳りと布の織り成すそれは、本能を刺激する。
所謂、チラリズムだ。
スザクとしては、ただ触りやすいようにしてくれただけという事は
推測が容易く
「まったく、お前は……本当に、」
小言を云いながら、されど細い手は臀部に当てられた。
「……ルルーシュ、あのさ、」
「俺は、お前の前を駆け抜ける。
だが、それを捕まえられたら、愛してやるし
最期まで、するつもりだ」
頭を撫でると、くすぐったそうな声を零し、スザクは笑った。
「まったく君は……大人になっても、するつもりかい?」
当たり前だと、不敵に笑うルルーシュに、
スザクは呆れたような吐息を零すが表情は綻んでいる。
「でも、大きくなったルルーシュか……」
美しい容姿と容貌のままなのは、想像難なくない。
密かに頬を染めるスザクに、どのような想像をしているのか
敢えて考えずに、抱きしめた。
本人に確かめた訳ではないが、可愛いものが好きであると同時に
スザクには少し年上の者が好きな傾向も見受けられる。
あと、意外に面食いだ。
自分が容姿端麗であるのは、重々承知しているルルーシュは
今も、これからも、魅了できる自信があった。
「楽しみだな」
「……縦ロールには絶対にならないからな」
「解っているって」
苦笑交じりで返されて、やはり想像の中で、あったのだろうと思いながら
抱きしめている相手の胸へ頬を寄せた。

「俺は、生きるよ……君と共に」

それは、確かな覚悟で
スザクを今だけは、腕の中に捕えられた証拠でもあった。
頭上では、銀の懐中時計が秒針を刻み続けている。






「スザク、」
「ん?」
ぷにゅぷにゅと、相変わらずお尻を触りながらルルーシュが呼ぶと
眠気に蕩け始めていたスザクが小首を傾げる。
「一緒に、お風呂に入るぞ!!!!」
「え? 君と?」
突然の事で、さすがのスザクも戸惑っていると
不機嫌そうにルルーシュが顔を歪めた。
「なんだ! 俺と入浴したくないと言うのか!!!」
「そういう訳じゃないけど、なんで、急に…え? ええ?」





次の日、頗るルルーシュが機嫌が良かったのは言うまでもない。






(終?)
+++++++++
番外編というか、その後というか、ばかっぷるです。
この後は、段取り?通り、徐々にスザクを周りに
紹介していくルルさんです。
世間体を気遣うスザクに渋々、友人だと紹介していくのですが
C.C.はスザクの遠い親戚という紹介になります。
記憶は、その人物の『個』であるので
取り戻した分、ルルーシュは『ギアス』を宿しておりますが
完全に取り戻す事はできないので
『ギアス』でありながら、その力は他者へと発揮できません。
なのでC.C.などのコード譲渡は不可能となっております。
『死』の手は振り払う事はできましたが
『業』は消えた訳ではないので
通常より短い『生』となってしまうのですが
それでもルルさんは駆け抜けるでしょう。
そんな、ルルスザであります。

+++++++
ご褒美、尻。
この白き王。実はルルさんではなく、スザクさんを指していたりいます。