間違って入られた場合は退出を願います。読まれる方は、何卒ご注意の程を。
後、かなりの捏造設定入ってますのでご容赦の程を。
















 あの人――なのはさんに少しでも近づく為に、誰かを護れる為に私は一生懸命やってきた。
未だ目標は遙か彼方だけれでも、それでも一歩一歩前に向かって歩んできたつもりだ。

 そんな中、ティアと二人一組で一緒に受けた魔導士ランク昇格試験。
結果は残念ながら不合格だったけど、ティアと一緒に再試験を受けられるチャンスを得られた。
 それはそれで嬉しかったのだが、私的にはそれよりも嬉しい事出来事があった。

 八神二等陸佐が設立する新部隊――機動六課という部署への誘いを受けたのだ。
そして、その部隊にはなのはさんも配属され、入隊すればその指導を受けられると云う事を伝えられる。
 返事は再試験後で良いと言われたが、その後のティアとの話で私の決意は既に固まっていた。
憧れだった人と一緒の仕事が出来る。そして、なのはさんの指導をこなしていけば
一人でもより多くの人を救う事が出来るようになれるのだ。その為には何としても講習をこなし
そして、再試験に受からなければいけない!
 そんな決意の元、私は特別講習を受ける為、ティアと一緒に本局へと訪れていた。






リリカルなのは StrikerS 短編
『出会い、そして……』






「はぁ……疲れた」


 本局通路を私はトボトボと歩く。
体の至る所が悲鳴を上げているのが自分でも分かる。
いや体だけではない、リンカーコアも同様だ。魔力が枯渇し、鈍い痛みが伴う。


「一日目からこんなだとは思わなかった。……持つかな後二日。というか試験を入れれば三日か」


 ついそんな弱音が私の口から漏れる。
それなりの覚悟はしていたが、特別講習は予想以上にハードだった。
初日はティアと別れて個別講習という形式。
恐らく先日の試験の結果を踏まえての事だと云うのは容易に想像が付くのだけれでも
それにしても、ハードだった。
まだまだ、覚えなければいけない事、守らなければいけない事がたくさんある事を痛感させられた。


「……? あれ? ここ何処?」


 ふと我に返り、辺りを見回すといつの間にか見覚えのない処に来ているのに気付く。
少なくともティアとの待ち合わせ場所ではないのは確かだ。
横を見ると、其処に重厚な扉があった。そして、扉の上のプレートにはこう書かれていた。


「……無限書庫?」


 私は首を捻る。
書庫と言うからには資料が収められているというのは想像が付くのだけれでも、無限≠ニ云うのは
どういう事なのだろうか?
 ちょっとした興味心から、私は扉の前に近づく。
すると、重厚な扉が小さな排気音とともに開き、中の光景が私の視界に飛び込んできた。


「うわぁ……」


 視界に入ってきた光景に、私はただ感嘆の声を上げる事しか出来なかった。
見渡す限りに広がる本棚と所狭しと納められている無数の本。そして、空間を縦横無尽に
飛び回る本達。
 それら――今まで見た事のない光景に私は少なからず心を奪われた。
だから、気付かなかった。いつの間にか入り口付近まで来ていた事を。
そして、気付いた時には、


「へ?」


 片足が扉の向こう側――無限書庫に入っていた。
だが、入った足の先には地面などはない。そこには果てしなく広がる空間が存在しているだけ。
 何とか体勢を立て直そうとするが、一度失ったバランスは取り戻す事が出来ず
結果、前のめりで空間内に倒れ込む。


(落ちるっ!?)


 あまりの出来事に私は目を瞑る事しか出来なかった。
だが、何時まで経っても体に衝撃は来ない。恐る恐る目を開けると私は空間にプカプカと浮いていた。
ふと、眼前に誰かの足下があるのに気付く。
誰だろうと思い、視線を上へと向けると、


「大丈夫?」


 私を心配そうに見ている人物と目線があった。


「誰か、ロックし忘れたな? 全くしょうがないな。ほら」


 差し出された手。
私は為すがままにその手を取った。
受け取った手は大きく、そして温かった。


 それが、ユーノ・スクライア≠ウんと私との最初の出会いだった。



――― ☆ ――― ☆ ――― ☆ ――― ☆ ――― ☆ ―――




「ぶっ!?」
「ティア、汚い〜」


 講習初日の夜、私達の部屋でティアと一緒に夕食をしている時だった。
待ち合わせの場所に遅れた事を問われたので私は正直に、ありのままの事を話した。
それを聞いたティアは咽せた。それはもうかなり。


「げほっ、げほっ! スバル、あんた自分が何をしたのか分かっているんでしょうね?」
「何を?」


 私の返答を訊いて、ティアの眼が半眼と変わっていく。
それを見て、私は反射的に腰を浮かそうとするが……


「ドあほッ!!」
「痛っ」


 見事に頭を叩かれた。
かなり痛い。何も殴る事は無いと思うんだけど。
そんな様子が伝わったのか、ティアは溜息混じりに話し出した。


「あのね、無限書庫っていったら私達みたいな階級じゃ、許可無く立ち寄れないところなのよ!」
「へ……!?」


 それを聞いて、私の口から出たのは間抜けな言葉。
書庫って単なる資料室なんだし、そんな事ないんじゃないのと思っていたのだけれど、どうも
ティアの言葉からはそうでない事が伝わってくる。


「『無限書庫』は、管理局が誇る超巨大データベース。そこに納められている知識は無限とも云われている。
 そして、そこの情報は様々な事件解決や裁判、そして次元災害防止。兎も角色んな処で重宝されているのよ。
 そんな場所だから、『無限書庫』を利用するにはそれなりの制限があるのよ」
「どういう事? そんな便利なところ何だから、誰が使っても良いじゃない」


 ティアは、掌を額に当てて少し鬱ぐ。
あ、これは呆れている姿だと見て直ぐに分かった。


「やっぱり分かってないわね、スバル。誰彼構わず利用して、肝心な情報の提供が滞ったらどうすんのよ。
 防げる事件が防げなくて、助けられる者が助けられなくなるでしょうが!」


 確かにそうだ。ティアに言われて気付く。
事件や事故は待ってはくれないのだから。


「それに、情報が無限な分、機密性も高い。だから、『無限書庫』にアクセス――資料請求が出来るのはそれなりの階級。
 執務官レベル以上でないと無理なのよ」
「……良く知っているね、ティア」
「あ、当たり前よ、これくらい。知っていて当然よ!」


 何故か、明後日の方向を向いて喋るティア。
なんでだろうと思っていると、ふと疑問が浮かぶ。


「でも……」
「……何よ」


 私の言葉に、ティアが反応する。
その表情は、「また何かあるの?」という感情がありありと読める。


「そこで、出会った男の人は怒らなかったよ。普通なら怒るでしょう?」


 私は、そこで出会った男の人を思い浮かべる。
眼鏡を掛けた、長髪で優しそうな感じの人。多分、そこの司書さんかなんかだと思うけど、その人は私が入ってきても
咎めるとか、怒る事はしなかった。少なくともティアの言っている事と矛盾する。


「……新人じゃないの。その人」
「そうなのかな? 確か、ユーノ・スクライア≠チて名乗ってくれたけど」


 少し前の出来事を思い返しながら、ティアに返事をした。
だが次の瞬間。どこからかブチッという何かが切れる音が聞こえた。
何の音だろうとその出所を探すと……ティアだった。


「……アンタ」
「は、はいぃ!!」
「今のホント?」


 私は、ただ人形のようにただただ頷く事しか出来なかった。
それ程にティアは怖かった。そして、次の瞬間。
ティアの感情が爆発した。


「あんたね! ユーノ・スクライア≠チて言えば、今し方話した『無限書庫』の司書長! トップなのよ!!
 知ってる!? 司書長は管理局でもかなりの上層に位置している役職なの!! 私達がおいそれと
 話していい人じゃないのよ!!」


 つまり、それって……


「失態もいいところよ! 知らないじゃ済まないんだから、スバル! 間違いなくお咎めがあるかも知れない……」


 ティアの言葉の最後の方は耳に入らなかった。
私は、全身からサーっと血の気が引いていくのを感じていた。
何でこうやることなすこと、私は色々と空回りするのだろうか……と。


 しかし、取り越し苦労だったのか、その後も、何のお咎めもないまま無事に三日間の特別講習が終わり
私とティアは無事にランクアップを果たす事が出来た。
 そして、機動六課への配属が無事決まりなのはさんの訓練を受け始めた頃だった。

私が再び、ユーノさんと出会う事になるのは……。

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 □ あとがき □
 とまあ、こんな出だしで書いてみたのですが。
……けど、この後どう収拾を付けていいやら分からず、悶々と。挑戦という形でスバル×ユーノでも
書いてみようかなと思い書き始めた物のごらんの通り。
 ……全然、ユースバになってない(T.T) というか、ユーノの台詞が一行だけという仕様。
一つのSSで完結するような短編を書けるようになりたいこの頃です。
誰か、ユーノ×スバル(ユーノ&スバルでもいい)の短編書いてくれないかな。個人的にはすっごく読みたい。

 では、お付き合い頂いた方に感謝申し上げます_(_^_)_