間違って入られた場合は退出を願います。読まれる方は、何卒ご注意の程を。
後、かなりの捏造設定入ってますのでご容赦の程を。
(ヴィヴィオの自分の呼称とユーノへの呼び方は実の処今まで書いた事無いので間違っていたら済みません。
 なのはwikiで探したのですけど、見つけられなくて。即興で思いついたSSSなのでDVDやサウンドステージまでは
 調べてません……orz)
















 ユーノ・スクライア(29)はかつてないほどの困難に直面していた。と云うか真っ最中である。
それは未曾有の次元災害に遭遇したわけでもなければ、凶悪な犯罪に巻き込まれたわけでもない。
ましてや、腐れ縁と言っていい悪友からの鬼のような資料請求でもない。だが、今となってはそれらの方が
遙かにかわいく思えてしまう、いや寧ろ来てくれと願わずには入られない程の危険な渦に巻き込まれていた。

……例え、他人から見れば、かなりくだらないことだとしても。

「絶対私の方がいいよね?」
「違うよ!私だよね」
「「ユーノくん!!」」
「・・・・・・・・・・・・」

故に、周囲に助けを求めようと視線を巡らしても、一人の例外もなく誰もがユーノから視線を逸らす。
誰もが似たような表情をしていた。即ち

『巻き込まないでください(くれ)』

と。

場所は、ミッドチルダのとある会場一室。俗に言う新年会と呼ばれるものが催されていた。
尤も、集まっているのは顔なじみのメンバーのみ。なので階級差関係なく和気藹々としていたはずなのだが……。

「ヴィヴィオが――」
「なのはが――」
「「ユーノくんのお嫁さんに一番ふさわしいよね!!」」







リリカルなのは 短編
『母娘狂想……曲?』






ユーノとなのは。

この二人の曖昧な関係は互いが29歳になっても未だに続いていた。ただの友人と呼ぶにはあまりにも親密すぎて、
百人に問えば、百人が間違いなく「恋人か夫婦」と答えるだろう。
なのに、互いから返ってくる答えはいつも一緒。

「大事な幼なじみです(だよ)」

 10年ほどは周りがいろいろと策を弄するものの、全て失敗。空振りに終わる。ここまで暖簾に腕押しな状態が続けば、
流石に周囲も諦めざるを得ないわけで徐々に老婆心をやくものは少なくなっていき、気づけば出会ってから20年の月日が経っていた。
この間、誰かが二人のうちのどちらかにでも告白でもしていれば、もしかしたら二人の仲も進展したのかもしれない。
が、周りからは入りづらい、不可侵のような空気が二人の周囲に存在したが故に、誰一人として告白する者が、と云うか
想いを抱く者すら現れず、今に至っている。
 しかし、ただ一人だけ、誰にも知られることなくユーノに強い想いを抱いている者がいた。憧れではない。
正真正銘の『愛』を。10年前、正式になのはの娘となったヴィヴィオである。
 確かに最初は憧れもあったかっもしれない。けど、この10年の歳月を得て、その想いは確かなものとなり、既に
胸の内に閉まっておくことなど出来ないところまで膨らんでいた。

 さて、新年会といえばアルコールはつき物である。体質にも寄るが、少なくとも酔えば通常の思考――理性が鈍ることは
往々にしてある。ヴィヴィオとて例外ではない。
ノンアルコールと間違って飲んでしまったのが引き金となった。ほろ酔い気分となったヴィヴィオは、
クロノと談笑していたユーノの腕に掴むと、こともなげに言い放った。

「ユーノくん、私と結婚してください!!」

瞬間、世界が凍った。少なくともその会場にいる面々の時が一瞬止まったのは確か。
止まってないのはヴィヴィオだけ。他の面々の時間が止まった中、彼女の告白は続いていく。

「私はユーノくんのことが好き。大好き。世界で一番愛してます!!」

頬をアルコールではない、確かな想いで赤らめ、瞳を潤ませてユーノを見上げながら告白するヴィヴィオは誰の目から見ても美 しい女性だった。いつも彼女の顔を見慣れているはずのユーノですら見取れてしまっている。
事実、酒が強ユーノの頬が赤くなっているのだから。

「なのはママもユーノくんなら認めてくれるよね?」

この一言がきっかけだった。
止まっていた時が一気に動き出す。

「……だ」
「なのはママ?」
「駄目ーーーーーっ!! それは、絶対駄目!!」

会場を埋め尽くさんばかりの声量がなのはの口から発せられる。

「ユーノくんだけは、絶対に駄目!」
「何で? なのはママいつも言っていたじゃない。『ユーノくんのような優しい人がヴィヴィオの彼氏になってくれたら』って言っていたじゃない!」
「それは『ユーノくんのような』であって、ユーノくんは駄目なの!」
「何がいけないの!? ユーノくんはなのはママの大切なお友達だけなだけじゃないの? 
 駄目だなんていう資格無いでしょう!!」
「……っ!」

娘に痛いところを指摘されなのはは押し黙らされる。実のところなのはも何故ここまで拒否するかよくわかっていなかった。

(何で、こんなにも心が乱れるの? まるで、これじゃ、まるで……っ!?)

知識としては知っていた。この感情がどんなのか。そしてこの事が何を意味するのかを。

「なのはママ?」

(そっか、そうだったんだ。こんなことで気づかされるなんて)

自分の心が見えれば後する事は一つ。

「ユーノくんは絶対駄目なの!」
「だから何で!」

次第にヒートアップしていく親子の会話。周囲はただただ成り行きを見守るばかりしかできない。
ただ一人、オロオロしているユーノを除いて。

「それは、私もユーノくんが好きだからだよ! こればっかりはヴィヴィオにも譲れない!!」

このなのはの告白から、母娘達にとってみれば熾烈な戦いが、他人からみれば真にくだらない争いが始まっていく事になり、
渦中のユーノはいろんな意味で平穏な生活からかけ離れていくのだが、それはまた別な話である。

この三人の物語はまだ始まったばかりなのだから。




□ 後書きというなの言い訳 □

……一体何が書きたかったのか、本人ですら分かりません(ぉ
取り敢えず思いつく物を書こうかな、と思ったらこんなSSSに。
本当は母娘のバトルが書きたかったんですが……とは言ってもシリアスではなくコメディチックの方ですけどね。
ユーノを巡ってはた迷惑なバトルを繰り広げるはずだったんですけど、力量不足でお流れに(マテ
何時か気が向いた時には手直ししたいです。

こんな文章を読んで頂けた方に感謝申し上げ、締めとさせて頂きます。


死蔵作品欄
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