〜 第 1 話 はじまりの恋物語 〜
その国のプリンセスは、いつでも城の宝物でした。
色とりどりの宝石に煌びやかなドレスを身にまとい、
国一番のメイクアーティストにおめかしされて、
毎食ごとに異国の珍しい食事が数々並び、
毎夜繰り広げられるパーティー、パレード、舞踏会。
王様と王妃様に、それはそれは大切に育てられたのでした。
しかしプリンセスは、毎日の優雅な生活に飽き飽きしていたのです。
──父も母も、近衛兵も使用人も、町の人達も皆、わたくしを愛して下さる。
──けれどわたくしには、真に愛する人がいない……。
そう、プリンセスは恋に憧れていたのでした。
いつしかプリンセスは、旅立ちを決意します。
彼女は、自分が宝物であることを望みませんでした。
ある晩、側近の女騎士を数人連れ立て、ついに城を抜け出します。
素敵な出会いと、素敵な思い出と、そして素敵な白馬の王子様に憧れて。
こうしてプリンセスは、自分だけの宝物を探しに、旅立ったのでした。
つづく