圧巻は視線の合う場所をみつけて目をじっと合わせてみたときです。ナゾのXさんにその話をしたら「仏像をみる時のですね」といわれたのですが、本当にそんな感じです。ラピュタを御覧になった方はわかると思うのですが、あのロボットたちは永遠の楽園を守る側面と恐ろしい破壊兵器としての側面をもって描かれています。
やさしく私を見下ろしているようで、もしあの映画のようにこの目でじっと睨まれて光線が飛び出してきたら無茶苦茶コワイだろうな、という思いが同居していました。(正確に言えば腕に突起がついているか否かで戦闘用と園丁用の2種があるそうですが、園丁用が光線を出せないとは限りませんから)

屋上の道なりに進むとロボット兵の裏側です。これもこれですごい存在感。壊れかけている背中が何とも言えません。フト、もしここにチョコレートさんを連れてきたらどうなるかなと想像してみました。ジジのぬいぐるみなどをあちこちに配置して面白い世界をつくりあげるでしょうね。

狭い部分を通って屋上の反対側・・・そこからロボット兵をみるとちょうど周囲の葉の落ちている木々をバックにしていい雰囲気で立っています。風情があるというか憂いがあるというか・・・。木々の向こうにはコンクリート中心の街並がチラリとみえているのですが、それがまたいいんです。私もロボット兵と一緒に写真を撮りたかったのですが、さすがに人気の場所だけに人がたくさんいたので断念しました。

再び3階に戻り図書室をちょっとのぞいた後、ショップ「マンマユート」に行ってみました。ここも大混雑。商品になかなか近づけません。一番欲しいと思ったのが額に飾られた背景画なのですが(紙に描いてありましたがまさか使用されたホンモノではないですよね?多分模写か何かと思うのですが・・・確かめたわけではないのでわかりません)相場が数万円なので買えませんでした。ここではゴム印と、フィルムを用いたしおりを買いました。3枚セットで1000円ほど、紙袋に入っていて例のごとくどのシーンかは開けてからのお楽しみなのですが、これは何のアニメかはわかって買えるので「千と千尋の神隠し」のを選びました。
ここまででだいたい2時間が経過していました。ほとんど休まず歩き足の痛みと頭痛と疲れで体中が悲鳴をあげていたのでガイドブックでのお目当てだったカフェ「むぎわらぼうし」に行ってみました。いつも行列と書いてあったのですが、やっぱり行列でした。(屋外の椅子に座って並んでいます。周囲は透明のビニールシートに囲まれていてストーブもたかれているのでそんなには寒くないです)かなり待たされそうだったので、一度館内に戻りました。
もう一度「映画の生まれる場所」に行ってみました。4時をまわっていたのでかなりすいていたのですが、もう体が言うことをきいてくれなくてまともにじっくりと展示をみるだけの体力も集中力もなくなっていました。早々に通過してまた外へ。
相変わらず行列。仕方なくその脇のテイクアウトショップでアイスを買いました。ジェラード各種380円の中でイチゴを選びました。やっと腰をおちつけて屋外テーブルのストーブわきに座って食べました。食べ終わって戻ろうとした時に、むぎわらぼうしの厨房が窓からみえたのですが分厚いチョコレートを包丁で削っているのがみえました。多分チョコレートケーキ用なのでしょう。
それをみたらせっかくここまで来たのだし、という思いになって並ぶことにしました。待っている間にメニューも渡されたのですが、以前自分でも作るのに凝ったことのあるオムライスと冷たい飲み物を頼もうと思っていました。ガイドブックの下調べでオムライスは「むぎわらぼうしのオムライス」というその名の通り麦わら帽子の形をしたものです。値段は1000円ですが(一般に値段の相場は高めです)野菜なども無農薬栽培のを専用に契約している農家から仕入れているなど素材に気をつかっているためでもあるようです。
ところが待っている間にこれがなくなってしまいました。そうしたら・・・と決めたのがケーキ。ショートケーキとチョコレートケーキ、どちらにしようかと迷っていたのですが、最後はショートケーキに決めました。

待つこと30分、夕暮れが迫る頃、やっと中に入れました。カウンターですが、目の前でポットが3つ湯気をたてています。注文したのは「ふぞろいイチゴのショートケーキ」(790円)と、今の気分に合わせて「夕焼けのクリームソーダ」(580円)。
さっきアイスを食べて体が冷え切っているのに冷たい飲み物を頼んだのには理由があります。これもガイドブックにあったのですが、ここのストローはその語源「麦わら」の通り、ホンモノの麦わらを使ったものです。ホットコーヒーなどにはきっとついてこないと思ったので、ストローの間違いなくついてきそうなクリームソーダを注文したのです。
やがてでてきたショートケーキは普通のより二回りくらい大きくてイチゴがたくさん並んでいました。生クリームは甘さがかなり抑えられていて、全部食べてもまだ食べられそうなくらいでした。スポンジの部分はしっとりとしたものでとってもおいしかったです。麦わらのストローはくわえてビックリ!フワッとあたたかい温もりが感じられました。そんなストローから冷たいソーダが、というのが面白い感覚でした。
満足して外にでると雲が夕焼けっぽくなってきています。フト思い立ってもう一度屋上へ行ってみました。ほとんど人がいない屋上にあのロボット兵がひっそりとたたずんでいます。

奥の方からみるとちょうど赤く染まり始めた空を背景にいいぐあい。急いでデジカメをとりだして撮ったのですが、空と木々とロボットの位置関係がきまりません。
思い切り腕を高く伸ばして撮ってもいまひとつ。もっと高い場所から撮りたい!!!そう思って見渡した時に目にはいったのが、屋上に置いてある黒いオブジェです。ラピュタに出てきた暗号文字がビッシリと刻まれていたあれです。さわってみると頑丈な石で出来ていました。私が乗ってもビクともしないようです。
意を決してクツをぬぎ、痛む足をよいこらしょとやって台の上に乗りました。靴下を通して石のひんやりしたのが伝わってきました。こうしていいバランスで撮ることができたのです。
数人の人がやってくる気配がしたので急いで石から降りました。クツをはきながら石の表面をみると・・・ナント靴下ごしに汗がくっついて私の足形がくっきりと残っています。夏だったらアットいう間に乾いてしまって足形は消えてしまうのでしょうが、夕暮れ時なのでなかなか消えてくれません。「アッ、あれラピュタに出てきた石じゃない!」とやってきた若い男女数人が歩いてきます。私は素知らぬ顔をして早々にその場を立ち去りました。刻まれた古文書よりも私の足形を見ることになったことでしょう。夢を壊してスミマセン。
それからみんないなくなるまでロボット兵のあたりで木々の間から見える富士山わきに夕日が沈むところなどを撮っていました。(実際は雲ごしなので見事な夕日とはいきませんでしたが)
*風情重視で撮ったものは環境ホームページの方に載せてあります。ぜひこの後でクリックをしてみてください。

この画像の大判も載っています
そしていなくなったのをみはからって先ほど出来なかったこと・・・セルフタイマーを用いてロボット兵との2ショットを撮ることを決行しました。こうした時間を過ごしながら10時に入場としないで本当に良かったと思いました。最も込んでいる時間を過ごして、こんな写真も撮れなかったでしょうしね。(オムライスは心残りですが)
螺旋階段を下りて館内に入ると子ども達のいなくなったネコバスコーナーで係員のお姉さん達が後かたづけをしていました。ここは小学生以下のコーナーです。でも今は子どもはいない。「ちょっと中で横になりたいんですが」と言いたかったのですが、絶対断られると思ったのでやめました。でも小学生以上でも大人でもあの中で横になってみたいと思う人は私だけではないと思います。5時半以降「大人のためにネコバスタイム」なんてやってくれないでしょうかね。大人にだって夢は必要です。

美術館の外に出るとますます夕暮れ時という感じです。ここでもう一度ニセ受付に行ってみました。すると受付内には電気がついているのでトトロがくっきりと中にみえます。今だったら人もいないし、周囲のものもガラスに反射しないで撮れる!しかも、バス停でサツキがトトロと並んでいるイメージに近い!
急いでデジカメをミニ三脚につけて地面に置きました。アングルをきめるのに地面すれすれなので頭痛と目眩の私にはそのまま倒れて地面に頭をゴツンとしそうだったのですが、何とかふんばってセルフターマーのスイッチをいれヨロヨロとトトロのわきに並びました。ちょうどその時、カップルがやってきて、たった一人で薄暗い中トトロと並んで写真を撮って喜んでいる怪しげな中年男性をみてクスクスと笑っていました。そりゃおかしいでしょうね。しかも格好だって茶羽織姿だし・・・・・。

満足!!!
(実は半分冗談でうちにあるトトロやネコバスの着ぐるみパジャマを持ってきて、トイレでこっそり着替えて館内を歩き回ったら子ども達がどんな反応をするかな、なんていう想像もしていました。ただ怪しい人間として通報されたり、珍事として報道されたら末代までの恥になると思って実行はしませんでしたが)
帰りは絶対あのバスに乗ってやる!という執念で、バス停から少し離れたところにいて、道をくるのがどちらかをたしかめてから停留所に行きました。間違えなく帰りはジブリ仕様のに乗れました。もっとも内部は来るときのバスと変わりなかったです。
帰りの電車の中でしきりに思い出していたのが高校生の頃のことです。現在住んでいるのは母方の実家なので、当時はおじいちゃん・おばあちゃんのおうちに行くというときにこの電車の乗っていました。高校生の頃は家族みんなでというよりも一人で夕方頃のに乗ってということが多かったので、なんかその時の自分にタイムワープしたようでした。
こうして電車に乗って駅につく・・・その先にはおじいちゃんとおばあちゃんがいる。そんな当時の思いが蘇りながらボーッ暗い外をながめて乗っていました。そのうちに雲が切れて月がみえてきました。その時にフト思い出したのが幼稚園の頃だったと思うのですが、夜道を母と歩いていた時に空をみあげた時の月のことです。
歩いても歩いても月が自分にくっついてきているアノ感覚を初めて味わったのがその時でした。体が弱くて幼稚園も半分以上欠席という生活でしたからその頃から友達と遊ぶというのはなじめませんでした。というよりみんなの遊びに全くついていけなくて相手にされないのはこの頃からでした。だから月が自分に寄り添ってくれているようなこの感覚がとても心地よかった思い出があります。私がセラミュなどにひきつけられる原点はこんなところにあるのかな等と考えていました。

駅を降りうんと寒い中、月をながめながら歩いていきました。あの当時だったら「こんばんは」と行って玄関を開けると暖かい中おばあちゃんに迎えられたのですが、今は誰もいない冷え切った家の中に入っていくことになります。こんなことを考えたりするのもジブリ美術館で心の奥底から何かがゆさぶられたからなのでしょうね・・・。
自分でストーブをつけ暖かくなってきてから、マンマユートで買ってきたしおりを開けてみました。フィルムをすかしてみると最初のは暗い中に筋がみえます。何かと思ったら最初の方で千尋が階段を駆け下りる場面の遠景。2枚目3枚目もそんな調子だったら・・・と恐る恐るみると次は湯婆婆の怒りの表情でした。そして3枚目は千尋の顔。まあまあか。

旗はショートケーキについていたものです。
決してお子様ランチを食べたのではありません!
体調としてはひどかったですが、心にとっては大事な一日となりました。月への思いもさらに深まったし。これで Everlasting
Moonlight のような歌の世界が実感として分かってくると昨年春からの長いトンネルの出口が見えてくるのでしょう。