★国際教育・平和教育・環境教育
☆「東京オリンピック閉会式」(道徳)


記録映画「東京オリンピック」市川崑監督の閉会式の場面を教材にした授業


授業の意図

とかくこうした道徳の授業は建前の意見に終始しがちなのは周知の通りです。ただ、どんなにりっぱな事をしゃべっても本当に人間を行動させているのは「情動」というか心の動きそのもの(イメージ運動)なので、そこに触れる授業ということを工夫してみました。

具体的には、子供たちのイメージ世界に「世界の人々がひとつになった嬉しそうな姿」を取り込んでおいてもらう事で、たとえ人間同士の醜い争いがあっても「本来の人間はすばらしい」という夢を持ちつづけてもらえるのではないか、という期待があります。


授業の流れ

学年によって多小違いましたが基本的には一回見せて、みんなの様子から気がついた事を自由に出し合い(高学年では戦争などと対比させて意見を出し合って)最後にまたもう一度観る、という形を取りました。


平成元年度6年3組

(事前に戦争や人種差別についても折りに触れて話しておいた。)


☆最初に観て

特に表情や態度にはこれといった変化はなくごく普通に画面をながめていた。


☆発表

*みんな一緒に泣いたり笑ったり人種差別をしないでいるのがいいなと思いました。

*戦争からそんなにたっていないのに、外国の人が日本の旗をふっているのがすごく印象的だった。

*今でも差別なんかはあるから、オリンピックをやったのが無駄っていうか、せっかくやっても意味がない。

*みんな仲がよくて、国境がないって感じ。

*みんな平和そおうにやっているんだから、もっと早く戦争なんてやる前にやめればいいのに。

☆映画に出てくることば「人類は4年に一度夢をみる。この創られた平和を夢で終わらせていいのであろうか」について話し合う。

*夢っていうけど、一応はオリンピックっていう形になっているんだから、ただ続いていかないだけだと思うから、だからやろうと思えばできないことはないんじゃないかと思う。

*核兵器を持つっていうのは、みんなを信用していないからだと思うから、みんなが信用するようになれば夢じゃなくなると思う。

*みかけだけ仲良くしようとかそんなことを言ったって現実に起こることはあるわけないから、本当にそのように思ったらいい。自分たちの接し方を変えればいい。

*自分たちだって仲間はずれをしたりしてるから、簡単にはなくならない。だから夢で終わると思う。

*信じ合える閉会式が出来たんだから、オリンピックに出ていなかった人も、ちゃんと信じ合えるようなことをやれば戦争なんて起きないと思う。

☆もう一度閉会式の場面をみる

一回目よりも食い入るように画面を見つめ、終わった瞬間には「オー」っという声とともに拍手が出た。さっぱりした笑顔や涙ぐんでいる顔がみられた。

☆事後の感想文(要点のみ記載)

*もう本当に同じ人間どうしという感じだった。本当に戦争や差別があったのか疑問だった。これが本当の平和なんだと思って思わず感動した。だれもいなかったら涙が出ていたかもしれない。 S君

*閉会式をみてそっちょくに感じたのは「こんなことってあるの?」ということでした。人種差別や戦争についての現実があるからです。・・・・このようなことを言ってはいけませんが、私はオリンピックは意味がないと思います。だってオリンピックというものは世界の人々が信じあえてみんなが友達のようになることでしょう?なのに世界中どこでも軍隊をもったり秘密兵器を作るというのは世界が世界を信じていないからだと思います。もしこのまま形だけのオリンピックだったら閉会のことばなんてきれいごとだとおもいます。・・・ただ私は意味がないとはいいましたが決してオリンピックが悪いと思っているわけではありません。Tさん


*私はこの閉会式をみて何か自分に課せられた使命みたいなものを感じた。・・・とにかく私はこの変な世の中で一生をボツにしたくない。そのためには、ちっちゃなことでうだうだしている暇があったらどこまで出来るかわからないけどやるしかない。誰もやらなきゃ私がやる!ちゅうの根性だ!少しずつ確実に・・・ Yさん

*一番最初のあの笑顔が素敵だった。きっとあんな風に心から笑ったのはひさしぶりなのでは?あんな感じでいつも心から笑えたら笑っている人も楽しいし、見ている人も楽しいし、国全体でも楽しいと思う。原爆などを作っている国はまだ安心感が持てないんだと思う。 Tさん

*黒人も白人も肩をくっつけあいながら入場していた。私が大人になっても今のままなら力を合わすことを忘れたくない。 Kさん

*世界中の人が戦争をしないでオリンピックが出来、世界みんながオリンピックに参加できるようになってほしいと思う。・・・オリンピックの戦いは勝っても負けても死んだ人はでないし、心の底からの笑顔が見れる。 I さん


*閉会式を観てみんな素直なような気がした。・・・黒人も奴隷じゃなくて人間という気持ちがあったからだろう。人種差別がないことはとってもいいことだと思う。でも僕らは人種差別のようなことを友達にしている。 O君


*競技の時はたたかっていたみんながそれを忘れてグランドで親しみあっている。僕はこれが人間の素の状態だと思う。F君


*閉会式を観て泣きそうになった。・・・白人も黒人も仲良く笑っていたのに、そんな平和そうなものがあと4年たたないとみられないかもしれないから。もしかしたら4年たってもみられないかもしれないから。それなのにオリンピックが幕をおろしてしまうから。 Tさん


*平和になるにはまず心の持ち方が大事じゃないですか?心の奥の片隅にでも「あの国は嫌い」というイメージがあったら永久に本当の平和は生まれてこない。 Sさん


*みんなが国境を忘れ人種を忘れ本当の平和を心の底から求めればそれが現実、当たり前になる。もともと不幸を求める人はいない。もしいたとしてもみんなが平和というプラスを求めればそういう人のマイナスは消えて行く。T君


*歌にも「世界中だれだってほほえめば仲良しさ」ってあるから涙なんか流さないで笑えばいいんだ。 Sさん


*4年に一度の夢。この夢が終わってしまったら人々は本当の親友のように仲良くしていた他国の人たちとまた戦争をしたり差別をしたりするのか・・・。そうやって朝おきた時のせっかくよい夢をみたのに思い出せない、そんなやるせない気分を味わうんだろうか。・・・結局そういう戦争があるのは今日の授業で誰かが言っていたように、信じ合っていないからだと思う。でも信じ合いなさい、といきなり言われてもそんな簡単には出来ない。少しずつ身の回りからだんだんと増やしていくしかない。

本当は私が思うには「国」とかいって区切ってしまうから溝が生まれてしまうのだと思う。いっそのこと国境なんてなくしてしまえばいいのに。けれどそれは欲張りなのかもしれない。

だからやっぱり一つ一つ積み重ねていかなければならない。Mさん


★このクラスで「戦争・平和」についていろいろと考えた作文が「ことばのスナップ」にある
作文コーナーにもあります。


平成2年度3年1組

*閉会式の時にみんなうれしそうだった。・・・ちがう国の人たちが日本のはたをもっていたりしていたけれど、なんかすごくうれしそうだった。なんでそんなにうれしいのかな、と思った。 Oさん


*みんなニコニコして楽しそうだった。このまま、またやるといいなー。せんそうなんかでやめたらもったいないもん。みんなあんなにニコニコしてやっているんだからせんそうはもうやらないで、これからもオリンピックがずっと続けばいいなー! I さん


*むかしはなぜ白人は黒人をつかまえてきたんだろう。同じ人間なのになぜそんなことをしたんだろう。・・・Eさん


*いっせいにみんなが走り出して楽しそうだった。みんなウキウキワクワクしているみたいだった。もう外国人と日本人がまじって走り出してた。まじってんならもうみんななかがいいのかな、と思った。 Kさん


*外国人が3人たっていておじぎをするときに右の手をおなかにあてておじぎをするのです。アーハハハハ、アーハハハハ、おおわらいするほど楽しいや。何で外国人の人のおじぎってこんなに楽しいんだろう。おおわらいしようとしたけれど、みんながいっしょうけんめいしんけんにみていたからおおわらいするのはやめたけれどクスクスとわらってしまった。 Yくん


*みんないろいろな色のふくをきていたし、いろんなおじぎをしていたりしてすごくおもしろかった。 K君


*みんななかよくすればせんそうなんてできないで、楽しいオリンピックになると思います。オリンピックはかんたんにいえば運動会です。みんなで楽しくやったほうがいいと思います。なかよくするためにあいさつがあるんだから、それでいっぱいお友達を作って、せんそうなんてないせかいにすればいいと思いました。 S君


平成3年度3年1組

*私はおにいちゃんや弟とよくけんかをしている。それが世界でのかんかだったら、せんそうになってとてもすさまじいけんかになってしまう。どのくらいの人が死んでしまうんだろう。東京オリンピックをみているとみんなが楽しく仲良くできる世界の運動会なんだ、と思った。これからも続けていけるように、まず私は一円玉ぼきんをしてみんなとなかよくできるようにしたい。口だけでいうのはかんたんだけどそれをやれるようにどりょくしたい。 Wさん


*先生がみのまわりのへいぼんなことから平和になっていくと思う、と言ったけどぼくはなっとくがいかない。 N君


*ぼくたちが運動会の閉会式でバラバラになったらおこられるけど、オリンピックではバラバラになってもおこられないからいいな、ばらばらで。平和にするには、自分がさんせいしない意見の中にもいいところをみつけて、いいところと自分のさんせいする意見を組み合わせて平和にしたい。 S君


*オリンピックでなかよくしたこたが「ゆめ」っていったけれども、できることだと思う。みんなけんかをしてもすぐになかよしになれば、けんかさえあってもせんそうまではいかないと思うし、国と国どうしがなかよしになればせんそうなんておきない。黒人だからといってばかにしなければみんななかよしこよし! Kさん