COLUMN No.19 ( 19/Jan/02)
■ スパイ・ゲーム ■
2001年 アメリカ 監督:トニー・スコット
| CIA局員のネイサン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)は引退直前。 以前に自分が引き抜いて教育した若い工作員トム・ビショップ(ブラッド・ピット)が わずかなミスで中国政府に捕らえられたと情報が入る。 処刑が決まった彼を、米中首脳会議の直前でタイミングが悪いと見殺しにする決定を 下したCIA上層部。 それを何とかして助けようと、今まで培ってきたあらゆるノウハウを使い、たった一人で 動き出す・・・というあらすじ。 テンポが早く小気味のいいカット割と、主役2人の魅力を最大限に引き出す演出。 中国から遠く離れたアメリカで、どうやって救出作戦を実行出来るのか。 それはまあ、お見事と言うしかない。(笑) しかしだ。 始めはその救出劇がメインだと思っていたのに、それがなかなか始まらないのだ。 やっと最後の最後で、畳み掛ける様に作戦が実行される為、え?終わり?って感じは どうしても拭えないんだなぁ。 でもいいの。 レッドフォードがカッコイイから。(笑) 如何にして彼らに熱い信頼関係が生まれたのか? 様々なエピソードとして、回想シーンに盛り込まれているのだが、それが長すぎて、 「まだぁ? 早くしないと死んじゃうよぉ。」 ってな気持ちになり、落ち着いて見ていられなくなるのは事実。 でもいいの。 レッドフォードがカッコイイから。(爆) 処刑は翌日の朝というタイムリミットが付き、否が応でも緊迫感溢れる作りだが、 時折出るモノトーンのストップ・モーションに時刻が打ち込まれる画面は、ストーリーを 整理させるのに、都合の良い深呼吸場所になっている。 つーかその度に「あ〜もうこんな時間じゃん、早く助けろよ〜。」ってな方が近い。 でもいいの。 レッドフォードがカッコイイから。(くどい?) 仮眠中、トム・ビショップが処刑される悪夢を見て飛び起きたネイサン・ミュアー。 その時のレッドフォードが、ブラピにそっくりでビックリ! ミュアーは恐らく、ビショップは自分の若い頃を見ているようだと感じているのだろう。 それを想像させる、いくつかのシーンのひとつだ。 レッドフォードは、映画「リバー・ランズ・スルー・イット」の監督としてブラッド・ピットを 主役に抜擢、出世作にした経緯もあり、実際にも目を掛けたブラピに昔の自分自身を 投影させているのではと想像に難くない。 監督はトニー・スコット。 そう、トム・クルーズを一躍スターダムに押し上げた「トップ・ガン」や、一つ前のコラムで 取り上げた「エネミー・オブ・アメリカ」なども、世に送り出したヒット・メーカーである。 裏で何かをしているのではとミュアーに疑いを掛ける、体制側の局員ハーカー役を 好演するスティーブン・ディレインにも注目。 ちょっと剃り込み気味の黒髪が印象的な彼の、表情細やかな演技に拍手を送りたい。 さてお約束、私のお気に入りのシーンは・・・。 ビル屋上に置いたテーブルで、「これは危険なゲームなのだ。」とブラピ演ずるトムに 言い放つ、タキシード姿のレッドフォード。 蝶タイの結び目をほどき、ドレスシャツの第一ボタンを外し上着のポケットに手を入れる。 真っ白になった矢吹ジョーの様に、力なく椅子に腰掛ける彼は、苦悩の表情を浮かべ 近寄り難い感すらあるが、それさえも堪らなくSEXY。 そしてエンディングじゃ、ブルーのポルシェで颯爽と走り去るのだ。 やっぱり男って羨ましい。 カッコイイ男は年を重ねてもそれなりの魅力が出てくるが、女はまたちょっと違うと思う。 年老いた美人女優が老いた姿を隠し、カメラを嫌いマスコミに一切登場しないという話は だからこそ理解出来る気がするのだ。 「おじいさんになったレッドフォードなんて・・・」 そう思っていた私は馬鹿でした。 腐っても鯛・・・いいえ、決して腐ってなんかおりませんでしたよ。 ひと所をじっと見詰めるあの真剣な眼差し、顔に刻まれた深い皺には人生の哀愁。 映画評論家に「あのビッグ・スマイルは今も健在!」と絶賛された笑顔の爽やかさ。 いいのだ、例え入れ歯でも。 (あれは・・・どう見ても・・・綺麗過ぎる・・・) 御年64歳のダンディズムに、わたくしノックアウトです。 だけど・・・ スパイとか工作員って、なんで「ネイサン」とか「イイサン」って名前が多いんだ?(笑) しかも引退後の蓄えを、部下の為に全て使ってしまうのはどうかと思うぞ。 |