De magia 『魔術論』 |
De magiaについて De magia(『魔術論』)は、ブルーノによって1589年に執筆された。しかしながら、彼の生前に出版されることはなかった。ようやく日の目を見るようになったのは1891年トッコによって出版されてからである。 ルネッサンス期の魔術というと、フィチーノやデッラ・ポルタなどの自然魔術を思い浮かべる方が多いであろう。フィチーノのピタゴラス主義と新プラトン主義に基く魔術であれ、デッラ・ポルタのアリストテレス的自然主義色が濃厚な魔術であれ、現代人の目から見たならば当然の如く迷信と捉えられてしまうではあろうが、しかし我々に与える印象はそう不可解なものではあるまい。 ただし、ブルーノの魔術についてはどうであろうか。魔術というものを日常的な願望成就の手段─すなわちおまじない─と考える人にとっては、おそらく理解できない代物なのではなかろうか。ブルーノの魔術とは何か、それは思弁のための魔術である。彼は『イデアの影』において独特のプラトン受容の仕方を展開しているが、その独特さが魔術という手段に彼を向かわせた。しかしながらその精神にはギリシャ以来の観想(テオーリア)の伝統が根付いており、彼の魔術は実用的というよりむしろ思弁的なものとなっているのである。(勿論フィチーノやデッラ・ポルタの魔術の体系には高度な思弁に基いた背景があり、テオーリアの伝統に則ってもいる。以上の比較は敢えてそれぞれの魔術の表面だけを見たとしたならばの話である)。 以下、簡単ながら『魔術論』を概観してみる。これによっていくらかでも彼の魔術の雰囲気を捉えていただければ幸いである。 *テクストは、Twilit Grottoのものを用いた。上記のトッコによる版を元にしたものである。 ジョルダーノ・ブルーノ『魔術論』概観 ・序文 魔術についての歴史的概観。 (工事中です) |
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