こみパ以来のLeaf東京開発室期待の一作。
ゲーム情報
ゲーム情報 | システム | ||
タイトル | うたわれるもの | 原画 | 甘露 樹 |
メーカー | Leaf | シナリオ | 菅 宗光 |
発売日 | 2002/04/26 | サウンド | 松岡 純也、米村 高広、石川 真也 |
ジャンル | シミュレーションRPG+AVG | 名前 | 変更不可 |
メディア | CD−ROM3枚 | セーブ箇所 | 100箇所 |
HDD容量 | 950MB | スキップ | あり |
音源 | CD−DA | オートモード | なし |
画面 | Full/Window | バックログ | あり |
起動CD挿入 | 必要あり | 既読判定 | なし |
使用曲数 | 24曲(うちヴォーカル2曲) | メッセージ速度 | 2段階 |
CG枚数 | 78枚 | フォント | 変更可能 |
回想シーン数 | 9個 | 音声 | なし |
ヴォーカル曲
TM | タイトル | 運命−SADAME− | ED | タイトル | 永久に |
作詞 | 牛島弥美 | 作詞 | 須谷尚子 | ||
作曲 | 豆田 将 | 作曲 | 松岡純也 | ||
編曲 | 豆田 将 | 編曲 | 松岡純也、豆田 将 | ||
Vocal | 元田恵美 | Vocal | 元田恵美 |
採点
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 | ||
システム | 75点 | ★★★★★★★★★★★★★★★ |
グラフィック | 88点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
キャラクター | 78点 | ★★★★★★★★★★★★★★★ |
サウンド | 72点 | ★★★★★★★★★★★★★★ |
シナリオ | 82点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★ |
総合 | 79点 | ★★★★★★★★★★★★★★★ |
コメント
あらすじ
システム:74点
SLGをあまりやらない人にとっては難しいのは困る、だけどSLG部分を期待した人にとっては期待はずれな
ものになってしまったような気がしてならない。そう、あまりに簡単すぎるのだ。簡単すぎるためにスリルも
なにもあったものではない。この部分については一考の余地があったのではないだろうか??
グラフィック:88点
キャラクター:78点
ヒロイン級のキャラクター達
エルルゥ:ハクオロを助けた少女、そして村長の孫娘で薬師の卵。一応本作のメインヒロイン。
サウンド:72点
EDの「永久に」はなかなかいい出来であったと思います。(これまでのLeaf作品の歴代EDと比べると1枚落ちぐらいの
感があるのは否めませんが。)ゲームをクリアした後にあんな音楽が流れるとぐっときますねぇ。あとは最近のゲーム
でありながらボイスなしというのが微妙なところでしょうか。ボイスなしでもいい作品はあるけどこの作品に関しては
できれば声があった方が良かったかと思われます。
お気に入りの曲:「永久に」「白皇」そして・・・「アルルゥが逃げるときのピコピコ音」
シナリオ:82点
ちょっとネタばれのため伏字
1度のプレイが大体20〜25時間ほどで、上手く全ての要素を盛り込みつつ話を完結させたところは作者の巧さを感じさせます。
長すぎずかといって短すぎずですが、個人的にはもう少しボリュームがほしかった感があります。
総合:79点
シナリオの流れを重視するなら十分良作に属する作品ですがSLGをうたう作品としては肝心の「SLG」パートが
弱かったことには間違いなく、その部分が実に惜しまれる作品であったと思います。というわけでシナリオ「良作」
SLG「普通」でトータルで見ると「良作にあと一歩の佳作」というところに落ち着くというところでしょう。
「熱ィ・・・、灼ケル・・・躰ガ・・・咽ガ灼ケル・・・」
瀕死の重傷を負った主人公は一人の少女に助けられ手当てを受け、そこで目が覚める。
少女の名は「エルルゥ」。主人公は森の中で倒れていたらしく、それを見て家に連れて帰り手当てをしたのだという。
1日が過ぎ、2日が過ぎ・・・怪我の方は良くなったが記憶だけは戻らなかった。自分はいったい誰なのか?どこから来たのか?
「エルルゥ」のおばあちゃんはそんな主人公を「ハクオロ」と名付けた。しばらくして怪我も癒えたが、「ハクオロ」は
行くあてもなく、この村の人たちとともに生活をすることになる・・・。
システムそのものには問題がない。このブランドにとっては珍しいことだ。いつも何かしらあるというのに。
少なくとも自分が最後までプレイした中にはバグもなく不備もなかった。セーブ箇所数、スキップ等見ても特に
悪いところは見当たらなくここまでなら80点をつけてもいいところであるが、問題はゲーム中のSLGのパート
にあるであろう。たしかにアドベンチャーゲームでもある以上、SLGパートが難しすぎてここで躓くことがあって
はならないのは確かであるが、だからと言って簡単すぎるのはいかがなものであろうか??
例えば、戦闘練習では難易度が選べるようになっているが、これを本編でも導入するとか出来ていればよりSLG
パートも楽しめるものになったのではないかと思われる。この部分が減点か??
さすがLeaf、といったところでしょうか。この部分についてはおおよそ文句は出てこないはずです。
原画は甘露 樹さん。こみっくパーティー以来の久しぶりの原画です。かわいいキャラも綺麗なキャラも上手く
描けています。そしてそれに見劣りしないその他のグラフィック。作画スタッフのレベルの高さが窺えます。
全てが高いレベルで均衡しており作品を盛り立ててくれています。もちろん立ち絵とCGでキャラが変わってしまう
なんてことはあろうはずがありません。
ヒロイン級の女の子だけでも7名、戦闘パートで戦う仲間達はヒロインたち含め11名、その他脇役
まで含めると何人いるんでしょう??と言うぐらい登場人物が多いです。どのキャラもキャラが立っていて、
男性キャラは格好よく、女性キャラはかわいくうつくしく書かれていて・・・まではいいのですが、
ゲームの流れ的に1度で終わってしまうためにキャラ別にシナリオが立つわけではなく、
全てのキャラとよく言えば平等に、悪く言えばちょこっとづつ(?)接するために特にこのキャラへ・・・
というような感情移入がしづらいです。そのためどのキャラもインパクトが弱くなってしまい
全体的に印象が薄くなってしまいがち。そういうわけでキャラそのものはいいけれど評価としては微妙になりました。
アルルゥ:エルルゥの妹。人見知りが激しいが一度仲良くなればよく懐いてくれる。
ユズハ:後で仲間となるオボロの妹。生まれつき病弱な少女で、目が見えない。
ウルトリィ:宗教国家「オンカミヤムカイ」の皇女でハクオロ達に興味を持ちハクオロたちの国にやってくる。
カミュ:ウルトリィの妹で元気な少女。一族の中で唯一「黒い翼」を持つ。
トウカ:エヴェンクルガ族の女で、義を重んじる武人。ハクオロ達と戦うが捕虜になって後仲間となる。
カルラ:ギリヤギナ族の剣奴。奴隷船で運ばれる途中嵐により座礁したところをハクオロに助けられ仲間となる。
これまでのリーフ作品のメインサウンドスタッフが抜けていて、こみっくパーティーの時にちょこっとスタッフと
して参加していた松岡氏がほぼ全面にかけて曲を手がけている。曲数24曲のうち20曲が松岡氏のもので残りが米村氏と
石川氏の作品となっている。全体的に曲が悪いわけではないが、印象に残る曲が少なかったのも確か。あらためてレビューを
書くに当たり音楽鑑賞しなおしたほどですから・・・。また似たような曲調のものがあったりした気もします。
物語は最初は小さな村の中の生活を描くほのぼのとした展開に始まり、そこから徐々に戦乱の時代へ、戦乱を経て
訪れるつかの間の平和、そして最後に迎える大きな敵との戦いへと、スケールを大きくしながら話が展開されていきます。
その中で出会い、仲間となった少女たちと紡がれる愛、適度な笑いとシリアスが上手に作中に盛り込まれており物語に
彩を添えています。また、全体的に話の展開の広げ方が上手くプレイしているとついつい引き込まれ先へ先へと進めたく
なるような気持ちにさせてくれ、最後まで飽きることなく楽しむことが出来ました。
と、書いてみたものの実のところは微妙に話の流れから行くとあれっ?という部分が若干有かも。例えば、最後にラスボスである
ハクオロを倒し封印するのですが、エピローグを見るとなぜか「ハクオロ」が帰ってきたかのような話の流れになっていたりします。
いつか会えるにしても早すぎやしませんか??どういうことなんでしょうねぇ??
あと、途中で選択肢みたいなものがなく最後まで1本道なために1度のプレイでコンプリートできてしまうのが
惜しまれるか。まぁ、RPGの要素が入っている以上このような展開になってもおかしくはないのですが、ちょっともったいなかった
かなぁとも思われます。
よく言えば「全面的にバランスが取れた良作」。悪く言ってしまえば「こじんまりと纏まった作品」。
名作・大作とは言えないもののいかにも大手ブランドが出しそうな誰にでもそこそこ受ける万人受けしそうな作品でした。
作品の流れから言えばHシーンがなくても作品として成り立ちそうなのでコンシューマ化が狙えると思われます。
というかそれを意識して作ったのかもしれませんが。まぁ、その前年に出たあの作品が・・・だっただけに今回は
無難に纏まっていて良かったのではないかと。