BasiL最後の作品。多くのファンに惜しまれる未完の大作。
ゲーム情報
ゲーム情報 | システム | ||
タイトル | それは舞い散る桜のように | 原画 | 西又 葵 |
メーカー | BasiL | シナリオ | 王 雀孫、あごバリア |
発売日 | 2002/06/28 | サウンド | アッチョリケ、coldhand、内藤侑史、山田和裕 |
ジャンル | アドベンチャーゲーム | 名前 | 変更不可 |
メディア | CD−ROM3枚 | セーブ箇所 | 15箇所+QS3箇所+拡張セーブ |
HDD容量 | 1.5GB以上 | スキップ | あり |
音源 | CD−DA | オートモード | あり |
画面 | Full/Window | バックログ | あり |
起動CD挿入 | 必要あり | 既読判定 | あり |
使用曲数 | 22曲(うちヴォーカル3曲) | メッセージ速度 | 6段階 |
CG枚数 | 110枚 | フォント | 変更可 |
回想シーン数 | 16個 | 音声 | あり |
ヴォーカル曲
OP | タイトル | days | ED | タイトル | dear | 挿入歌 | タイトル | Beloved〜桜の彼方へ〜 |
作詞 | BasiL | 作詞 | BasiL | 作詞 | BasiL | |||
作曲 | アッチョリケ | 作曲 | coldhand | 作曲 | 内藤侑史 | |||
Vocal | 2G70 | Vocal | Nori | Vocal | Spanky |
採点
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 | ||
システム | 85点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★ | グラフィック | 70点 | ★★★★★★★★★★★★★★ |
キャラクター | 90点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
サウンド | 74点 | ★★★★★★★★★★★★★★★ |
シナリオ | 65点 | ★★★★★★★★★★★★★ |
総合 | 75点 | ★★★★★★★★★★★★★★★ |
コメント
あらすじ
物語は春休み最後の一日から始まる。何気ない会話を交わしつつ街を歩く舞人とその親友山彦。そうするうちに
一人の少女と出会う。少女の名は「星崎希望」。同じ私立桜坂学園に通うプリンセス。
システム:85点
グラフィック:70点
キャラクター:90点
ちなみにヒロインは5名。
その他にも舞人の唯一とも呼べる親友の相良山彦や青葉の親友、芹沢かぐらなどサブキャラも充実したメンバー構成といったところ。
中でも、文芸部部長でこだまの親友「結城ひかり」の姐さんぶりがとても素敵です。
サウンド:74点
お気に入りの曲:やっぱり「beloved〜桜の彼方へ〜」ですかねぇ・・・。
シナリオ:65点
しかし問題はその先にある。物語の分岐点となる「はじまりの雨」。ヒロインとの恋の始まりであるところだが
同時におぼろげな不安と恐怖にも似た焦燥感を感じて、再び丘に登る。そこで待つ「未来に待つ別れの宣告」。
「俺は負けない」
ここからプレイヤーが主人公(舞人)についていけなくなり始める。
その先にある束の間の幸せと、突然訪れる幸せな日々の崩壊。
後半部分はえらくファンタジーな部分が存在し、この一連の流れは「ONE〜輝く季節へ〜」を彷彿とさせるものがあり、
後半部分についてはなにぶん説明不足な部分が多いため、プレイヤーはその足りない部分を自分で想像するなり
考えたりしながらプレイを続けていくことになるわけですが、それはあくまでプレイヤー側の推測になるわけで。
プレイヤーに考える余地を与えるためにわざわざ難解なシナリオにしたのか、それともただの説明不足か。
どちらにしても、もう少しシナリオのほうは詰めていった方が良かったのではないかと思われます。
ちなみにこの作品ではシナリオライターが2人いるが、シナリオは新幹線の名前がついたキャラクターのシナリオは
「王 雀孫」氏が担当、それ以外のキャラクターのシナリオは「あごバリア」氏が担当ということになっています。
総合:75点
だが、この作品を評価する上でポイントとなるのは(不可解な部分は多分にあるものの)読むものを惹きこんだ
テキストの良さとキャラクターの出来ではないかと思う。後半部分の評価は微妙なところではあるが、
それまでの部分は良く出来ていてかなり楽しむことができた。
さて、最後にシナリオのところで挙げた、お子様キャラの話。
実際、「それちる」を作っていた段階からその続編となる作品の準備も平行して進められていて、
その舞台設定もキャラクターの絵の原案もシナリオもすでに用意できていたという話を
某イベント中に製作スタッフの方から聞いたことがある。
だから、あえて言うなら「それちるは未完の大作」であった・・・。
幼い頃を過ごしてきた思い出の街、桜坂。桜井舞人は高校進学のときに再びこの街に舞い戻ってきた。
幼い頃のことはほとんど記憶にない。しかし、二本の桜が寄り添うように立つ小高い丘・・・ここだけはなぜか
懐かしさを覚える場所であった。ここにくるとなぜか不思議な気持ちにさせられる。この感覚を人はなんと
呼ぶのだろう・・・。
そして、学校が始まり、新たな1年の始まる。1年の生活の中で舞人はヒロインたちと友好を深めていき、
その中で何かを見つけ、それから何かを失い・・・・その先にあるものは・・・・。
基本的には前作「21−Two One−」のシステムを引き継いだ形のものとなっている。
履歴モードは文章履歴と選択肢履歴があり、履歴中の会話の再生も可能。テキストスキップもあり、既読でなくても
チェックを外せば文章を飛ばせる。オートプレイもあり、メッセージスピードも変更可。また、セーブ箇所は16箇所と
クイックセーブが3箇所だが、拡張セーブを使うことでいくらでもセーブ可能。結構良いのではないかと思われる。
ヒロインはみんな可愛く描けていてヨロシ、といいたい所ですが、どうも構図によって得意不得意があるのが窺える。
良く描けているなぁと思う絵もあれば、「え〜!!」と思う絵もあったりして同じ人が描いているはずなのに波が激しい。
背景絵についてはまぁ平均点といったところであろうか。個人的には好きな絵ではあるけれど、上記の理由により
厳しめに採点してこの点数といったところ。
この作品に出てくるキャラは平均して「濃い」です。中でも、主人公「桜井舞人」からしてかなり濃いです。
こんなキャラクターが実在していたらさぞかし面白いだろうと思われます。はったりたっぷりな言動とその周りの
キャラとの掛け合いはとても楽しめます。その周りの登場人物にしても個性的でキャラが立っています。
間違いなくこの作品で最も評価できるところでしょう。
星崎希望:メインヒロイン。「プリンセス」とも「桜坂の最終兵器」とも呼ばれる学園の人気者。口癖は「ありえない」?。
雪村小町:舞人とは同郷で後輩。ジェットコースターのような性格で、一度しゃべらせたら止まらない口から先に生まれた
様な女の子。でも、昔はこんな感じではなかった・・・??
八重樫つばさ:舞人と同じく恋愛否定組のマブダチ。成績優秀、スポーツ万能、そして読書家。口癖は「や、」??
里見こだま:文芸部に所属し、児童文学作家を目指す、そしてとってもぷりちぃな猫リュックがよく似合う舞人の小さな大先輩。
森青葉:隣室に住むシゲさんの一人娘。家事全般をそつなくこなすが勉強の方は今ひとつ。舞人の事を「おにいちゃん」と呼ぶ。
オープニングの「Days」、挿入歌の「beloved〜桜の彼方へ〜」は良作。挿入歌はゲームの流れと雰囲気から言えば
あっているのではないかと思われ。しかし、EDの「dear」は今ひとつ。BGMはそれぞれの場面とキャラにそこそこ
あった曲が揃っているように思われるが、印象に残るような曲はない。というか他のゲームで聞いたことのあるような
曲調の曲もあったりする気がするのは気のせいだろうか。
このゲームで最も評価すべきところであると共に一番の審議対象になる部分です。競馬だったら審議の青ランプ物です。
テキストそのものは読む人を面白おかしく笑わせてくれる。あの独特のノリは読む人を引き込み、それがために体験版
が配布されたときに話題となったわけである。このテキストを作り上げた王 雀孫氏の力量は高く評価すべきところであろう。
物語前半部分だけを見ればこの作品以上に笑わせてくれた作品は他になく、ギャルゲーならぬギャグゲー??とまでいえる
のではないだろうか。笑いについてはこの作品の右に出るものなしで、100点をつけてもいいぐらいである。
(作中に出てくる舞人と小町の創作料理合戦(?)などは多くの人が実際にこれに近いことをやったりしたことがあるのでは
ないだろうか??ちなみに私は昔、友人と焼肉バイキングに行った際にこれに近いことをやっていたのでこの部分はかなり
笑えました。)
なぜ、この時、こういう宣告を受けなければならないのか?過去に何があって今につながるのか?
この説明がないまま後半戦に突入します。
絶望に打ちひしがれ空虚な日々を送る舞人に、桜香が与えた「一筋の光」
そして物語はハッピーエンド(??)へとつながっていく・・・のだが。
いかがなものかと思われます。なにがなんだかわからないまま終わりを迎えるので、プレイし終えたあと感動が残るとかは
あまりなく、一言で言えば「ふぅん。」というしかないような状態??
あと、もうひとつは作中に登場するお子様キャラのことですが、これは総評のところで改めて書くことにします。
この後半部分のところが個人的には大減点。で、結果この点数ということで。
この物語のテーマはなんだったのだろうというとそれはやはり「恋愛」というところなんでしょう。
ただ、ここで言う恋愛はその甘い部分だけを見つめた物ではなく、その先に訪れるかもしれない「別れ」を踏まえて
その痛い部分をも見つめた上での「恋愛」の姿。
この作品がこのEDと共に完結してしまうのなら、あえてこれらのキャラクターは必要ないはず。では、
なぜこのキャラクターが存在するのか?それはここで物語が終わらないからであるはずだったから。
そう考えれば、後半部分に不可解な部分を残しまくった理由も説明がつく。「完」であるならプレイヤーが
ある程度納得がいく終わり方を見せなくてはならないが、「つづく」ならシナリオの謎は残っていても
なんら不思議はない。その先のシナリオで謎を紐解きつつ終着点を目指せばよい。実のところはそれを
踏まえて、こういうシナリオになったのではないだろうか??
舞台は8年後(だったか?)の桜坂、主人公は佐伯和人。ヒロインは瑛、瑞音、椿に加え桜香もいた(んだっけ?)
逝く逝くもそうだったか。ここで謎の少年「朝陽」の過去にも触れるとかそうでないとか。
ここで、「それちる」部分の謎が明かされ、本当の意味での物語の完結となる、「それは舞い散る桜のように」続編
「けれど輝く夜空のような」があり、「それちる」と「けれそら」の2つをプレイすることで1つの物語と
なるはずだった。という話だったわけで・・・・。
たしか「それちる」の通販をしたときに一緒についていたペーパーにも「セーブデータは消さないで置くといいかもYO!」
みたいな事が書いてあったはずだし。まぁ、今となってはBasiL自体があのような形になってしまい、某イベントで出るはずだった
「けれそら」シナリオ本も差し止められたためその結末は見ることは出来なくなったのだが。