Routes

Leaf大阪開発室の復活を賭けた一作




ゲーム情報
ゲーム情報システム
タイトルRoutes原画カワタヒサシ
メーカーLeaf(大阪開発室)シナリオ永田和久、まるいたけし
発売日2003/02/28サウンド松岡純也、石川真也、下川直哉、中上和英
ジャンルビジュアルノベル名前変更不可
メディアCD−ROM2枚セーブ箇所100箇所
HDD容量1GB以上スキップあり
音源PCMオートモードなし
画面Full/800×600バックログあり
起動CD挿入必要あり既読判定あり
使用曲数40曲メッセージ速度4段階
CG枚数72枚フォント変更不可
回想シーン数9個音声なし

ボーカル曲
OPタイトルRoutesEDタイトルあなたを想いたいBTタイトル君をのせて
作詞須谷尚子作詞須谷尚子作詞須谷尚子
作曲M.I.S.N作曲石川真也作曲下川直哉
編曲M.I.S.N編曲石川真也、松岡純也編曲豆田 将
Vocal中山愛梨紗Vocal池田春菜Vocal中山愛梨紗

採点
0 10  20  30  40  50  60  70  80  90  100
システム66点
グラフィック77点
キャラクター80点
サウンド94点
シナリオ83点
総合81点

コメント

あらすじ
 どこにでもいる普通の学生「那須宗一」。今日もいつもと変わらない騒々しくも楽しい学園生活を送っている。 ところがそんな平和な日々にひとつの事件が起こる。大型タンカーが急に跡形もなく消え去ったのだ。そんな所に 謎の女性リサ=ヴィクセンが現れ宗一にタンカー消失事件の調査を依頼する。そう、表向きにはただの学生宗一は 実は凄腕のエージェント。この事件から物語が始まる。

システム:66点
 画面モードはフルスクリーンとウィンドウから、環境設定からはサウンド管理、テキスト設定、ホイールボタン、 スキップボタンの設定、テキスト送りの設定ができる。セーブ箇所は100箇所。今までのLeaf作品の中では最も 多いセーブ箇所のような気がします。右クリックでシステム画面に行くのは昔と変わらないがセーブ、ロード以外 に使い道がない。昔はここに文字消しと履歴があったが、文字消しはサイドバーかShiftキーで可能、履歴はホイール ボタンで済んでしまうためにこういう形になってしまったのだろうか??
それならば上に詰め込まれすぎている環境設定を右クリックでできるようにした方がよっぽどいいと思うが。
サイドバーとシステムで同じことしかできないのはかなりいただけません。何のためのシステムボタンなのか 理解に苦しむところです。システム設計の至らなさが大減点。
スキップの方法がわかりづらかったのも難。後でCtrlキーでできるのがわかったからまぁ良いが。
もうひとつの問題は「オートモード」がないこと。これは痛い。この昨日あれば便利で結構使う。
ビジュアルノベルの形式を取るゲームには絶対入れてほしい機能のひとつだが・・・。

グラフィック:77点
 CGモードで見られるイベントCGが72枚、シーン回想が9個、ま、数はそこそこか。
背景は草薙(まぁ有名なところですね)が担当、物語を影から支える縁の下の力持ち。いい絵を描いています。
まぁ、どこも悪くはないが、高評価を与えられるほどのものでもないという意味でこの点数。難をあげるのであれば 立ち絵であろうか。あくまでビジュアル「ノベル」であるためなのか立ち絵は表情勝負になりがち。ポーズ変化が 足りない気がするか。「ビジュアル」と上につけるのであればもう少しここをプッシュしてもよろしいのでは??

キャラクター:80点
 とりあえずキャラクター原画はカワタヒサシ氏。そう「WHITE ALBUM」「誰彼」の原画のあの人である。が、 なんか違う。この人の絵ってこんな漫画チックだったかぁ??「ありえない、うん、ありえない、ありえない♪(by希望)」
たしか、ゲーム発表当時原画非公開になっていたが、その段階で絵を見たときに誰が描いたんだぁ??と思ったぐらいだ。 髪の描き方ひとつにしてもこんな描き方してなかったはずだ。少なくとも昔は。かな〜り手抜きっぽい雰囲気がかもしだされて いるような気がする。今までは個人的にはカワタ氏の絵は一番好きな絵だったのだが・・・。少なくともこれでは絵買いは できないだろう。キャラはおねーさんから少女までとりあえず揃えてみましたって感じであろうか。でも、まぁ元々の カワタ氏の絵をアニメチックに描けばこんなもんだろう・・・。ま、これはこれでいいかというのと個人的に氏のファンのために 採点が若干甘めでこの点数。私情抜きで点数つけるなら75点がいいところか?

登場するキャラクターは5名。
湯浅皐月:宗一の同級生。思い込んだら一直線、直情径行気味。ギャグ以外のセンスは抜群。
伏見ゆかり:宗一の同級生。宗一と皐月の面倒をよく見てくれる。柔らかな物腰、頭脳明晰、そしてちょいボケ。
リサ=ヴィクセン:何をしてるか全てが謎に包まれた女性。「大型船消失」事件のことで宗一にコンタクトを取る。
立田七海:宗一が立ち寄った飲み屋で働く少女。明るく前向き、元気に働く女の子。
梶原夕菜:郊外の住宅地で一人暮らしをしている女性。宗一とは旧知の知り合い。

その他は全キャラクターをクリアした後に語られるもう一つの物語で出てくる少女「さくや」がいる。
あとは・・・「まじかるアンティーク」以来、久々にLeaf定番キャラ「長瀬」が復活!!

お気に入りのキャラ:梶原夕菜
「姉さんはずっと、そうちゃんの・・・そうちゃんだけのハックルベリー・フィンでいてあげるよ」
この言葉にやられましたです。はい。

サウンド:94点
 サウンド担当は4名。そして、今回久々に下川氏がサウンドスタッフとして復活。作品中でいいなぁと思った曲は「Face to Face」「E Junk」「君をのせて」 あたりだったが、これが全て下川氏だった・・・。往年のリーフVNを思い起こさせる良曲がある。
使用曲数も40曲と多く、この作品中では最も評価できるところであるだろう。日常パートではインパクトのある曲は ないが、要所要所でのBGMは物語を盛り上げる良曲が多くさすがといえる。ただ、やはりいいなぁと思った曲の多くが 昔からのリーフサウンドスタッフの手で作られているあたりを考えると曲の作り手のレベル差を感じ、このギャップは ちょっと・・・というところか。

お気に入りの曲:「君をのせて St.」「Face to Face」「E Junk」「流れゆく時の中で」「君をのせて」

シナリオ:83点
 1周するのに3、4時間程度でさくさくプレイできるといえば聞こえが良いが物足りない部分もある。
物語は宗一がエージェントとしてタンカー消失事件を調査するというのが本筋でそこにヒロインたちとの恋愛を絡めて行く というものであるが、ファーストプレイでは謎だった部分がプレイを進めていくうちにこうだったのかとわかるようになる。 このクリア順の縛りを設けて、序盤に伏線を張り、それを明らかにして行くやり方は昔のLeafVNの手法に通じるものがあるが 今回はそこにもうひとつのシナリオである「Roots」編を設けることで物語に幅を持たせ??というところになるのだろうか?。 「Routes」編は話としては面白いが文章表現が今ひとつな部分がところどころに見受けられる。面白く見せようとしているためか 文章に凝っているみたいだがこれを面白くするための演出というか余計なものをごてごてとつけすぎかと捉えるかは読む人次第。 ただ、昔のLeafのVNはもっとシンプルな文章であったような気はしたが。飾りなしで読ませる文章を書けるのがベストでしょう。 あと、恋愛の部分についてはなんかとっても熱いです、いや暑苦しいかも。あの甘ったるさなんとも言えません。
ここまでベタな展開ありなのでしょうかぐらいなアツアツぶり。あれに耐えられれば良作として扱えるでしょう。
 そして、後半の「Roots」編。ここに至るまでになんか過去を連想させる伏線がいくつも張ってありましたねぇ。
まずは主人公の名前「那須」宗一。この名前を聞いて真っ先に思い浮かべたのが「扇の的」で有名な「那須与一」。ご丁寧にも 敵が那須「の」宗一と呼ぶ、クサナギブレード=草薙の剣??、そして日本史のネタが「源氏と平氏」・・・。なんか、 いかにもくさいネタの数々。まぁ、これはさて置いて後半の「Roots」編ですが、ここではもう一人の主人公「那須大八郎」が 出てきます。そしてこの章でのヒロイン「さくや」との恋の物語が始まるわけですが、ここにも「宗一」の敵と同じような 性質の敵が存在し、それと戦うという話があり、そこに「宗一」の戦いの結末が絡みこまれ・・・。800年前と今の事件の行く末は そして2人の結末はどうなる・・・??というわけですが、実はこの「Roots」編については元ネタとなるものがあるようです。
ここでのヒロイン「さくや」は平家の貴種。舞台は平家谷。ということで平家落人伝説のひとつである「椎葉物語」が この物語の元ネタではないであろうかと思われます。
 あと、物語の最後の終わり方について。一言で言ってなんかすっきりしなかった。というところです。
最後にこれはシナリオとは直接かかわりないことですが文章の改行の仕方が下手というかおかしい。これは文章を読み 進めていく上で厄介といえば厄介でした。まぁ、どれを誰がしゃべっているかはさすがにわかるけど、あれではわかりづらいです。

総合:81点
 この作品自体については所々で厳しいことは書きはしましたが、悪くないどころか十分良作の域に入りうる作品であると思われます。 ただ、問題はこれがLeafのビジュアルノベルシリーズとして出たことでしょうか。確かに音楽はすごく良いし、シナリオもかなり造りこんでいますが 名作と言われた「痕」とかと比べてしまうとやはり1枚落ちな感があるかもしれません。まぁ、見る人によっては当然違う意見が出ることでしょうが。 それでもプレイする事をお勧めできる作品であることには変わりなく、賭けには成功した感じに思えます。Leafの復活を感じさせた一作でありました。