痕〜きずあと〜

Leafビジュアルノベルの最高傑作



ゲーム情報
ゲーム情報システム
タイトル痕(きずあと)原画水無月 徹
メーカーLeafシナリオ高橋 龍也
発売日1996/07/26サウンド石川 真也、下川 直哉、中上 和英、高橋 龍也
ジャンルビジュアルノベル名前変更不可
メディアCD−ROM1枚セーブ箇所3箇所
HDD容量10.1MBスキップあり
音源PCMオートモードなし
画面Full/Window他6種類バックログあり
起動CD挿入必要あり既読判定あり
使用曲数25曲(ヴォーカル曲なし)メッセージ速度固定
CG枚数70枚フォント固定
回想シーン数なし音声なし

採点
0 10  20  30  40  50  60  70  80  90  100
システム70点
グラフィック69点
キャラクター98点
サウンド93点
シナリオ90点
総合90点

コメント

あらすじ
 1月前に別居していた父親が突然の事故で亡くなった。四十九日のうちぐらいは、と柏木耕一は父親の実家を訪れる。
そこには幼い頃に両親を亡くし、それ以後、耕一の父親とともに暮らしていた従姉妹の四姉妹が住んでいた。
父親がわりでもあった叔父を亡くし、悲しみに暮れていた姉妹たちだが、従兄弟である耕一を明るく暖かく迎え入れ そのうちに徐々に明るさを取り戻していく。そんな中起きた事件が耕一と四姉妹を更なる悲劇へと誘うのであった。

システム:70点
 基本的には雫と似たようなシステム。右クリックでシステムへ。セーブ・ロード・シナリオ回想・一つ前の選択肢に戻るが できる。あとは画面上の環境設定でBGM・効果音の有無、マウス移動、見た文章を早くするかどうかを選択できる。雫より 変わった点はセーブ画面。セーブ箇所は前作と変わらず3箇所のみだが今作ではクリア回数、セーブ日が出るようになっている。 あとは雫ではエンディングを迎えると強制的に最初からスタートとなっていたが、今回は途中からもはじめられるように なっている。あとはセーブする際に全てのしおりを選択できるところも前作からの変更部分であろう。

グラフィック:69点
 まぁ、昔のゲームである以上グラフィックについては期待はできない。ただ、背景の使い方等を見ても「雫」と似たり寄ったりな部分が 多く感じられる。鬼に襲われるシーンとかでつかわれる画面が赤く裂けるやつはなかなかいいような気もするのだが・・・。

キャラクター:98点
 登場するヒロインは柏木家の四姉妹のみだが、キャラクターの揃え方は絶妙の一言に尽きる。脇を固めるキャラクターも 性格付けがしっかりとされており、歴代のゲームの中でもトップクラスといえる。
「萌え」という言葉がいつから始まったかは知らないがこのゲームのキャラクターはまさしく「元祖萌えキャラ」ともいえる 存在であるだろう。これは余談だが以前、某巨大掲示板で葉鍵板最萌トーナメントなるものがあったらしくその優勝者が この作品の登場人物である「柏木千鶴」で、つい先日(2003年5月13日)に「柏木千鶴、30歳になります」なるスレッドが立ち
(ちなみに作中の設定では23歳ということになっており、発売から7年ということで30歳になるらしいです)
そのスレッドに多数のレスがついた(たしか0時の前後3時間ちょいでレス数600!!)のには驚くとともに改めてその人気の 高さをうかがわせるものがあった。

主な登場キャラクター(というか柏木四姉妹)
柏木千鶴(長女):甘えたくなるような暖かさを持った理想のお姉さん。ただし料理はダメダメ♪。実は偽善者? 設定では23歳。
柏木 梓(次女):竹を割ったような性格のボーイッシュな女の子。短気・暴力的と女らしくないが、家事全般は得意。設定では18歳。
柏木 楓(三女):薄幸の美少女というかすこし影ある少女。耕一を嫌いなのか距離を置いている。設定では16,7歳。
柏木初音(四女):おっとり穏やか、優しくそして甘えん坊という正しく理想の妹キャラ。設定では高校1年生で15歳。

サウンド:93点
 前作までサウンドスタッフに入っていた折戸氏が抜けて、中上氏が新たにサウンドスタッフとして加入。メンバーチェンジはあったものの 作中曲全体のクオリティは相変わらず高い。各キャラクターに使われる曲もそのキャラクターの性格に合いそうな曲になっており、場面場面で 使われる曲も雰囲気に合った曲が使用されていて作品をより盛り上げてくれている。戦闘シーンの音楽はとても良い。ちなみにこの作品では 1曲のみであるがシナリオライターの高橋龍也氏が作曲に参加している。

お気に入りの曲:「楓」「光の粒」「夜の風」「鬼神楽」

シナリオ:90点
 1周目はバットエンドから始まり、2週目のプレイ以降から新しい選択肢が出てきてシナリオが展開されていく。 EDは計17種類でその中には各ヒロインのハッピーエンドとバットエンド、そして千鶴編と楓編に限りトゥルーエンドが 用意されているが、このヒロインの攻略については攻略順の縛りが存在しその順どおりに攻略を進めていくと作中に 散りばめられた伏線が徐々に解き明かされていく形となっている。この伏線の張り方が実に見事の一言に尽きる。

 オープニングは「夢」の中から始まるが、実はここからしてプレイヤーの想像とは違うのだ。その後の流れから行くと この夢は当然主人公・耕一の夢だと思うだろう。ところが実はこの夢は耕一が見ている夢ではなく○○が見ている夢を 意識を共有していた耕一が「夢」のような形で見ていた・・・なんて事を誰が考えるであろうか??
 また、作品の中盤で本編からそれた話が1つ展開されるが、これが「痕」のストーリー上の重要な鍵になっているとともに 周りのキャラクターを上手く引き立たせている。そこからまた本編に戻り全ての謎が解けていくという形になる。 表現方法も余計な飾りはつけてなく、洗練されたテキストであろうと思う。惜しむらくは各ヒロインのシナリオともに 良くできているが物語最後になるキャラクターのシナリオより最初にクリアするキャラクターのシナリオの方がよく できているように感じられてしまうところであろうか。そのために若干減点はしているが、今、改めてプレイしても これ以上の作品はなかなかでてこないだろう。

総合:90点
 この作品が発売されてから7年。改めてプレイしてみてもやはりサウンド・シナリオ・キャラクターについては ゲーム史を振り返ってみても屈指のものであり、過去の名作としてはその座は揺るぎないものであると断言することが出来る。 まぁ、グラフィックとかはさすがに昔のものであるため最近のゲームと比べるのは酷であろうか。
 昨年「痕」のリニューアル版がでたが、それについてはどうかなぁ・・・。昔の名作が今の人にも名作足りえるか?? だが、良いものは良いということでプレイしたことのない人がいるのなら是非ともプレイをお勧めしたい。