浮気ゲー、鬱ゲーの最高峰
ゲーム情報
ゲーム情報 | システム | ||
タイトル | 君が望む永遠 | 原画 | バカ王子ペルシャ 遥伝説原画 いくたたかのん ほんとうのたからもの原画 ゆうろ |
メーカー | age(アージュ) | シナリオ | 鬼畜人タムー、マロ☆ガッツ、反重力生命マー |
発売日 | 2001/08/03 | サウンド | 渡来亜人 |
ジャンル | 多重恋愛アドベンチャー | 名前 | 変更不可 |
メディア | CD−ROM2枚 | セーブ箇所 | 最大1000箇所 |
HDD容量 | 980MB以上(1.1GB推奨) | スキップ | あり |
音源 | CD−DA、PCM | オートモード | あり |
画面 | Full/Window | バックログ | あり(ホイール対応) |
起動CD挿入 | 必要あり | 既読判定 | あり |
使用曲数 | 28曲(うちヴォーカル2曲) | メッセージ速度 | 11段階 |
CG枚数 | 137枚(パターン違い含めて総枚数309枚) | フォント | 変更可能 |
回想シーン数 | 24個 | 音声 | あり(主人公以外) |
ヴォーカル曲
OP | タイトル | Rumbling hearts | ED | タイトル | 君が望む永遠 |
作詞 | 栗林みな実 | 作詞 | Ikuko Ebata | ||
作曲 | 清水永之、飯塚昌明 | 作曲 | 加持久 忍 | ||
編曲 | 飯塚昌明 | 編曲 | 加持久 忍 | ||
Vocal | 栗林みな実 | Vocal | MEGUMI |
採点
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 | ||
システム | 82点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★ |
グラフィック | 90点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
キャラクター | 94点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
サウンド | 91点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
シナリオ | 95点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
総合 | 95点 | ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
コメント
あらすじ
システム:82点
グラフィック:90点
キャラクター:94点
登場キャラクター
みどころ♪
速瀬 水月
みどころ♪
涼宮 茜
大空寺あゆ:邪悪な性格と殺人的な口の悪さを誇る「すかいてんぷる」の核弾頭。
平 慎二:孝之の親友。一言で言うなら「いいヤツ」。
サウンド:91点
お勧めの曲:「時に忘れられた部屋」「六月のメモリーアレンジ」「Rumbling hearts pf」「君が望む永遠」
シナリオ:95点
第2章は第1章の青臭さが一掃され一転して重いムードが漂います。
その他のサブヒロインに関しても、どのキャラクターに関してもどこかしら一つは心に来るものがあるストーリーとなっているが
いかんせん、各シナリオに入るまでの導入に弱さを感じる。彼女達が孝之に惚れるあたり部分の描写がメインの2人に対して
非常に弱く読み手をぐっと引き込むだけの力は感じられない。はっきり言って別に孝之でなくてもいいじゃんと思えるだけに
感情移入もしづらいかと。ただ、一度入り込むと後になるほどキャラの個性、考え方が発揮されて一気に読み手を引き込む。
特にこれを強く感じたのは「天川 蛍」のシナリオ。全体的な流れを見るとストーリーの出来が一番良かったのは「水月」の
シナリオであるのだが、インパクトの強さと涙腺に最も響くシナリオであったのが実は「天川 蛍」シナリオだったりする。
この導入部分は正直最低(はいいすぎか??)だが、そこからの牽引力はかなり強い。感覚で言えば最後で一気に引き込む
追い込み型のストーリー。その為序盤から中盤ではストーリーが弛み気味となってしまい読む方も辛い。
特にこのゲーム総プレイ時間がかなり長いのでこのあたりで弛まれると非常に辛い。
あとこのゲームで最大の評価の分かれ目となるのが「主人公の心理描写」の受け止め方。
以下簡単に各ヒロインのシナリオをコメント。
涼宮 遙
速瀬水月
涼宮 茜
天川 蛍
大空寺あゆ・玉野まゆ
穂村愛美
サブキャラのシナリオは全て必要であったかどうか問えば全てはいらなかった気もする。一言で言えば「蛇足」。
総合:95点
主人公「鳴海孝之」は白陵大付属柊学園の3年生。周りが自分の進路を決めつつあり、親友の慎二、水月もそれぞれ大学進学、
実業団入りへと将来を見据えている中、自分だけは将来のビジョンを描けず、漠然とした憤りを感じながら日々を過ごしていた。
そんな夏のある日・・・夏祭りに水月は親友の「涼宮 遙」を連れてきた。それから遙を入れた4人での交流が始まる。
しかし内気な遙の行動に孝之は自分は避けられていると感じ、それと同時に戸惑いを覚える。
それから時が流れ、孝之は遙から想いを告白される。彼女を傷つけることを恐れて孝之は遙の告白を受け入れるが・・・。
システムはアージュ独自のシステム「rUGP」を使用。右クリックでスキップ、オートモード、セーブ・ロード・リセット
の選択が可能。その他音量・フォント等の選択は画面上のシステムバーから選択。文章履歴はホイールの上下で履歴再生可能で
各キャラのボイスの再生も可能。セーブはセーブ時の画面とその時の台詞と日付が残るのでどの変まで進んでいるかがわかり
コメントをつけることも可能。加えて重要度を上げるを選択すると上書きできなくなるので消したくないセーブはこれを使うと良い。
さらにセーブ箇所は10個使うたびに新しく10個増える形となっており、最大で1000個まで可能という事らしい。
システム面は概ね良好で十分合格点を出せるものと思われる。ただ、プレイしたところ誤字脱字が結構目立つのでその点が若干
いただけないかとは思うが。
背景は全体的に綺麗なものがそろっており(たしかエンドロールでは背景「草薙」とでていたはずなんで外注したものと思われ)
これについては文句なし、イベントCGと立ち絵のギャップもなく、立ち絵のほうは動きがある!!多くのゲームが表情のみ
で済ましてしまうところだがこの作品に関しては表情のみならず体全体の動きを出すことで臨場感を出し、さらにキャラクターの
アップをうまく使うことで遠近感も上手に出しておりここまでは非常に好感が持てます。
CG枚数も総枚数としては300枚オーバーとボリュームたっぷり。しかも全体的に質の高い絵がそろっているし。
ただ、難がないかといえばそうでもなく、たとえばキスシーンのアップ絵はちょっと微妙な感じ(個人的には今ひとつと感じた)に
なってしまうこととHシーンに関しては使い回しが目立ちます。(特にHシーンが多い水月シナリオではそれを強く感じるかと思います。
若干不満に感じる点もあり総合的にはこの点数かなと。
ヒロイン総数は7名。どれも良くも悪くも一癖あるキャラクターぞろい。どのキャラクターも個性的(濃いともいえる)。
各ヒロインのシナリオに入るとそのキャラクターの性格設定が上手く生きてきます。特筆すべきはメインヒロイン2人の
見事なまでの対称っぷりか。作品の軸となるメインヒロイン「遙」と「水月」の性格を外見的なものも含めて見事なまでに
対極に置いたキャラクター設定は見事の一言か。
涼宮 遙
第1章のヒロイン。家庭的で控えめな性格だが、時には大胆な言動をすることもある。
ちょっと変わり者。そして数々の伝説を創り出す少女。
遙に襲い掛かる数々の恐怖!
凶暴な生物!謎の飛行物体!迫り来る昆虫軍団!!
孝之は守りきることが出来るのか?!
遙は生き延びることができるか?!
第2章のヒロイン。孝之、慎二と同じクラスでよくつるんでいる。孝之にとっては気兼ねなく話ができる女友達。
元気で明るく面倒見が良いが、ちょっとお節介。水泳部に在籍し、県大会の常連で実業団入りの声もかかっている。
ついに封印はとかれた!
伝説の桜の木から蘇る旧日本兵が四つんばいで迫る!!
必殺ブローが孝之をあの世へ送る!
必中のスナイピングが孝之を屠る!
パンチラは気高く潔く・・・自由を舞うバラのように!
遙の妹で遙より3歳年下になる。水月に憧れていて、その言動もなんとなく水月っぽい??
姉の恋人として孝之のことを「お兄ちゃん」としてなついている。
玉野まゆ:動物と時代劇をこよなく愛する少女。口調もこれまた時代劇。そしてすさまじいドジっぷりをかます女の子。
天川 蛍:非常に頭が良く、真面目で一生懸命だが実践には弱い。自分のことを「天川さん」と呼ぶがそのわけは??
星乃文緒:遊び人に見えるが、傷つく恋愛をいくつも重ねている。本当は優しいがその不器用さゆえに誤解されることも。
穂村愛美:孝之より2つ年下。物腰穏やかで良く気がつく、至れり尽くせりの面倒見のよさも持つ。
崎山健三:孝之のバイト先「すかいてんぷる(ファミレス)」の店長。
使用曲数も程よく、場面場面に合った雰囲気の曲が使用されている。これは名曲!!と言い切れる曲はないものの全体的に
シナリオにあったかなり質の高いサウンドが揃っていると言える。曲の雰囲気は鬱ゲーに相応しく重めの曲が多い。
ボーカル曲のOP「Rumbling hearts」とEDの君が望む永遠」は十分に合格点を与えられる良曲。
OPは第1章の衝撃的な幕切れにマッチしているし、EDもシナリオを終えた後に聞くと名曲と思える。
曲だけで聴くより、シナリオの余韻に浸りながら聴きたい曲。個人的にはホワルバの「POWDER SNOW」以来の名曲かと。
シナリオは2章構成となっているが、1章はあくまで導入部分。孝之たちの学園時代、孝之、慎二、水月の交流に始まり
そこから遙が付き合うようになるまでの馴れ初めを描いており、これだけならばちょっと青臭い学園ラブストーリー。
ここまでならば全然名作とはいえないが、あくまで導入なのでこれぐらいでよいかと。
彼女がいるという設定で始まるゲームの場合、すでに彼女がいるところからストーリーが始まる場合が多く
(というかそれがほとんどを占める)それが感情移入を妨げる部分があるが、この作品では馴れ初めの部分も描かれており
その点は評価できると思う。加えていうと、所々で使われる思いっきりまんがチックな「遙伝説」が物語の
そこから衝撃的な結末を経て本編となる第2章へと突入する。
こちらは「愛」をメインテーマとして人生の苦悩と(一部)主人公の心の成長を描いた重厚なシナリオ。
第1章では余り強調されなかった各ヒロイン達の個性がこの章では遺憾なく発揮され読み手をぐっと引き込みます。
物語の軸は「遙」と「水月」の間で揺れ、悩み苦しみそして片方を選ぶまでに至る孝之の心を描いた
そのシナリオにあると思われる。メインヒロインとなる「遙」「水月」シナリオに関しては孝之とその周りのキャラの心理描写が
非常に上手く描かれており、説得力も高く、読み手を引き込むだけの力があるストーリーとなっている。
サブキャラのシナリオを作るのであればこちらも徹底的に作りこんで欲しかった。
個人的な意見を言えばシナリオは「遙」「水月」に絞り込んでも良かったのではと思っているだけにこの感は余計に強い。
孝之の苦悩は「遙が3年ぶりに意識を戻したこと」に始まるわけですが、ここから先の彼の苦悩、思いは非常に良く
描かれています。ただ、その心理描写の部分がシナリオ内でも大きな比重を占めていてこれを「細かな部分まで良く描いた」と
見るか「長々と描きすぎている」と感じるかで評価が分かれます。あとは主人公の優柔不断ぶりとシナリオごと
(特にバットエンドがらみになると)で変わる主人公の性格の変貌ぶりについていけるかどうかというか
受け入れられるかどうか次第です。個人的には心理描写は良しとしても、主人公の変貌ぶりにはあまりついていけない。
全ヒロインのED中、一番落ち着いた終わり方をしている。
そんな中でも一つを選ぶことで一つは傷つく構図は失われておらず、「水月」と別れるまでの
描写は見事に描かれている。
シナリオの重厚さと読み手を引き込む力が最も感じられるシナリオ。
エピローグを見たときに感動が心の中に残ることでしょう。
最後に出てくる「絵本」がとてもいい味を出しています。非常に上手いやり方です。
EDパターンが最も多いです。ただ、読み手を引き込む力には若干欠ける。
作中最大のインパクトと涙腺の破壊力をもつストーリー。
最後はものすごく良いが出だしが最悪なのが非常に惜しまれる。
孝之の日常部分を描くという意味で設けられたであろう「バイト」のパートで出てくる
ヒロイン達だがこのヒロインのシナリオは必要だったか微妙。
どちらもそのキャラクターの個性が発揮されていて悪くはないのですが・・・・。
作中最も好悪が別れるシナリオだと思う。心理的に受け付けるかどうかが分かれ目。
歪んだ愛の形だがある意味究極まで突き詰めた愛の形とも言える。
ただ、メインヒロインのシナリオの完成度は非常に高く、その点では間違いなく名作であることは確かで、
余計な部分があるため若干の減点をしてこの評価か。
シナリオ・サウンド・グラフィックの全てがハイレベルに纏まっており、名作と呼ぶに足る作品であると思う。
ただ、一ついえるのはこの作品は間違いなく人を選ぶ作品であるということ。重いテキストに耐性がある人には
是非プレイを勧めるがそうでない人にはとてもお勧めはできない。
ある意味恋愛の究極の形を見ることができたゲームであり、浮気ゲーとして捉えれば「WHITE ALBUM」に始まる
浮気ゲーを究極まで突き詰めた形が「君が望む永遠」とも言えるであろう。
シナリオ面においては、ここまで完成度の高い作品は数えるほどしかなく、間違いなく歴代ゲームの中でも五指に
入るものと確信する。重いゲームであるし時間もかかることは間違いないがぜひともプレイしてほしい作品の一つである。