Fate
stay night




ゲーム情報
ゲーム情報スタッフ・システム
タイトルFate/Stay night原画武内 崇
メーカーTYPE−MOONシナリオ奈須きのこ
発売日2004/01/30サウンドKATE
ジャンル伝奇活劇ビジュアルノベル名前変更不可
メディアCD−ROM3枚セーブ箇所300箇所
HDD容量1.7GB以上スキップあり
音源PCMオートモードあり
画面800×600/fullバックログあり
起動CD挿入必要あり既読判定あり
使用曲数38曲メッセージ速度50段階
CG枚数245枚(パターン違いは含まず)フォント変更可
回想シーン数なし音声なし

ヴォーカル曲
OPタイトルTHIS ILLUSIONEDタイトルdays
作詞KEITA HAGA作詞KEITA HAGA
作曲NUMBER 201作曲NUMBER 201
編曲NUMBER 201編曲NUMBER 201
VocalM.H.VocalCHINO

採点
0 10  20  30  40  50  60  70  80  90  100
システム82点
グラフィック83点
キャラクター88点
サウンド70点
シナリオ93点
総合90点

コメント

あらすじ
 主人公(衛宮士郎)は幼い頃、火災によって両親を失った。
辺り一面が火の海、何もかもが無くなったその地で自らも死を迎えるはずだった。
そこを自らを魔術師と名乗る男に助けられ、養子となってその男の許で暮らす事となる。
士郎は養父の反対を押し切って魔術を学ぶができるようになったのはただひとつだけ。

魔術師としては成長することがないまま、月日だけが流れていった。

そんなある日、士郎は彼が住む地で行われる魔術師同士の争いに巻き込まれる事となる。
聖杯に選ばれし7人の魔術師が聖杯の力によって与えられたサーヴァントと呼ばれる使い魔を駆使して
この地に眠る「聖杯」を求める争いは名を「聖杯戦争」と言う。

士郎は何も分からぬままに、自らが望まぬこの戦争に身を投じる事となる。

システム:82点
多少不備はあるものの使い良い部類に入るのではないかと思います。メッセージスピードも細かく設定出来、 スキップ、オートモード等の機能も搭載。既読部分に関してはシナリオ内に設けられたパートごとに 読むか飛ばすかの選択が可能。(ただし、飛ばしたパートの文章はバックログで閲覧不可。) セーブ数も300と十分な量がある。ちょっとした選択ミスで速攻BAD ENDするゲームであるため、 選択肢の度にセーブをする形になると思うがそれでも余りある事でしょう。

 ただ、難を言うと、このゲームのセーブデータはマイドキュメントに勝手に保存されてしまうこと。 余計なものをマイドキュメントに置かんでくれと言いたい。あともう一つ言うと、このゲーム、EDListは あるのだが、ED回想とシーン回想はない。ここだけはどういう事よと問いたい。
ついでに言うと、EDListなのに面積の半分はタイガースタンプ。すべてあつめると虎がいっぱい♪ EDListはただ、見たED数のチェックが出来るだけだが、タイガースタンプは集めるといいことあります。 ちなみに40個あるタイガースタンプ全てを集めると、最後のCGが回収できるのでそれを以ってフルコンプとなるはず。

あと、設定の中でエフェクトのオンオフ切り替えがありますが。エフェクトは切らない事を勧めます。 戦闘シーンとかはエフェクトの効果が大きいと思われるだけに切るとちょっと寂しいかと。 この演出効果については採点する項目がないのでグラフィックの部分で加点をします。

最後に私は幸い最後まであたらなかったのだが、プロテクトの誤作動とフリーズするバグがあったという話を どこかで聞いた。もしこれが本当であれば、それは発売する前に取り除いておかなくてはならないものであり、 これは次回作では改善されなくてはならないところであろう。私自身の評価としては当たらなかったので減点しないが 当たったのであれば多少評価を下げる必要が生じるか??

グラフィック:83点
 キャラ絵そのものだけでみるともっと評価を下げるところです。実際TYPE−MOONの「月姫」はかなりの名作と 聞いていながら、まったく手をつけなかった原因の一つに「絵」がどうもなぁ・・・というのがあったぐらいだから。 というわけでここの作品をやるのははじめてだったりするわけですが、「絵」そのものだけで行くとやっぱり微妙。 でもまぁ、この絵だからTYPE−MOONの作品ともいえるわけで、これはこれで味があっていいかということに しておくことにします。というか、見慣れてくるとこれはこれでいいんじゃないという気さえしたので・・・。

評価できる点としては、立ち絵パターン数が非常に多いこと。中には一度きりしか使われてないものまであったりで その数数えたらどれぐらいになるだろうか。表情のパターンも多く、この点はとてもよいと思われる。

メインとなる戦闘シーンについても様々な工夫がなされている。ただ絵を出すだけでなく動きがあるものに するために、画面をアップしたり、角度を変えて見せたり、味方からの視点だけでなく敵側からの視点で見せたり。 エフェクトを使用して画面そのものを動かしたり。宝具を繰り出すシーンあたりなんかはカッコイイの一言に尽きる。 ノベルと言う形で進行する上で弱点となるかと思われたゲームの華である「戦闘シーン」を上手く盛り上げている。

そして、最も力が入っていたと思われるのがHシーン。なんかここだけ塗りが違いすぎます。 他のシーンに比べ当社比50%増しで綺麗に、艶やかに仕上がっており、そこがなんとも言えずGood。 キャラ絵そのものは微妙であるもののその他の部分の出来は秀逸な出来と思われ、総合するとこんなところかなぁと。

キャラクター:88点
 このゲームでは3つのシナリオから話が成り立っており、各シナリオによって各キャラが演じる立場や 役割が異なっており、その点で若干性格が変わってくるものがあるが、大体のところで一貫としている。 また、話によっては登場してすぐに消えたり、まったく出て来ない事もある。

   キャラ一人一人をみると、それぞれが練りこんであってキャラが薄いというようなことはまずない。 ルートによってキャラクターの別の側面が見えてくるのもなかなか面白いと思う。 また、一般的なギャルゲーでは大抵男キャラはあくまで脇にある添え物程度のものであることが多く、 その重みも当然女キャラ>男キャラであるのが普通だが、この作品においては男キャラもとても上手く 描かれており、単に添え物にとどまらず、シナリオによってはヒロインでさえもそのキャラを惹きたてる 役目に回ってしまうと言う、他のギャルゲーとは一線を画したキャラの描き方がなされており、 どのキャラにもキャラの薄さを感じさせない。ヒロインに関しても皆、それぞれに味があって魅力的に 描かれており高い評価ができると言うところか。

以下ヒロインの紹介。

○セイバー
 士郎が聖杯戦争に身を投じるにあたり、士郎と契約したサーヴァント。
7人のサーヴァントの中では最強のクラスであるセイバー(剣士)の役割を担っている少女。
曲がったことを嫌い、非常に融通の利かないお堅い性格。

○遠坂 凛
 士郎と同じ学園に通い、学園内では優等生として園内の男子に高い人気がある。
が、その素顔は魔術の名門遠坂家の後継者。遠坂の血を継ぐ者として聖杯戦争に参戦する。

○間桐 桜
 士郎の後輩で、友人(間桐慎二)の妹。以前に士郎が怪我した時に士郎の家に手伝いに来て以来、
ずっと士郎の家に来ている。士郎に対して想いを寄せている。

サウンド:70点
 名作にはそれに相応しい名曲と言うものがあることが多いと思うのですが、このゲームを思い返したときに
これぞ!!と言った曲が思い浮かばないんですよねぇ・・・。選曲としては場面場面にそれなりに合っている様に
感じられるのですが、印象に残るかどうかと言われるとそれは微妙。

お気に入りの曲:「約束された勝利の剣」「THIS ILLUSION(Piano ver.)」

シナリオ:93点
 シナリオは3本立て。セイバールートの「Fate」、凛ルートの「Unlimited Blade Works」 桜ルートの「Heavens Feel」。で3本立てです。それぞれの話で登場するキャラの立場が変わり、 聖杯戦争を題材としながらも大いに話が異なってきます。
また、ストーリーの展開順序(攻略順)が縛られていて「セイバー」→「凛」→「桜」の順でしか攻略できず、 「凛」ルートが終了した段階で最後のストーリーへの道がオープンとなります。以下各パートごとにコメントしていきます。
(できるだけネタが割れない様にはしていきたいと思いますが多少割れてしまう部分もあると思うので読む際はその点ご了承ください。)

第1部「Fate」
セイバーをメインヒロインに据えたルート。セイバーが士郎と協力して聖杯戦争を戦い抜くといった 聖杯戦争の流れに沿った王道とも言えるストーリー。(後から省みると表の聖杯戦争と言うべきストーリーともいえる) その中でセイバーが聖杯を得て自らが成そうとしていた事が正しかったのか、そして自らの進むべき道を見出していき、 終焉を迎える。3本のストーリー中で最も華があり、話として美しいストーリー。
エンディングは1種類のみ。この話の終わり方については賛否が分かれるところであるかもしれないが、 個人的な感想を言わせてもらうならば、あれはあの終わり方で良かったのではないかと思います。
見る人によってはあの終わり方ではちょっと寂しいんじゃない?って言う人がいるかもしれない。
でも、あの終わり方だから美しいとも思えるわけで。個人的には納得の行く終わり方ではあると思います。

第2部「Unlimited Blade Works」
凛をメインヒロインに据えたルート、であると共に主人公である士郎の為のルートでもあります。 ここでは、凛をメインヒロインとしつつも、士郎にスポットライトを当てる形で話が進みます。 途中途中で士郎の過去と心境などが紐解かれていき、士郎が戦いを通じて成長していく過程が 見受けられます。主人公の為のストーリーということもあり、第1章よりもこっちの話の方が 熱くなれる・・・と言う人も多いかと。

第3部「Heavens Feel」
桜をメインヒロインに据えたルート。ここでは、第1部、第2部で登場しなかったまたは完全に 脇役だったキャラが話の中心としてでてきて、これまで、強かったはずのサーヴァント達は次々と・・・ とこれまでとは一線を画した展開となります。話の流れとしても暗くドロドロした部分が多分に 含まれていたりします。また、ここで第1部、2部で語られることのなかった聖杯戦争の成り立ち、 聖杯戦争の闇(真の姿と言う言葉に置き換えても良いかと)を見ることが出来ます。 いきなり登場してきた新キャラと聖杯戦争の真相の2つをもってこれまでとまったく違う話が 展開されていくことになります。

話全体を読んでいて思ったのが、結構解説部分に筆を割いているかなということ。 ただ、読み進めていくだけでは難解な部分も含まれているだけに説明は必要であるのは確かですが、 それが話の流れを止めてしまうということがありえるだけにこの説明を入れるときには細心の注意が 必要。私は必要分と思って受け止めましたが、人によっては説明がくどいと思う人がいても おかしくはないかもしれません。第3部は話の核心部分に迫るところである為、話が長くなるのは 仕方ないところではあるのかもしれないが、ちょっと話が延びてしまった感がある。 個人的にはこれを悪いとは思わないが、もう少し絞ってみても良かったような気もするのは確か。

総合:90点
 話全体が偉く長いというのはありますが、それを感じさせぬほどに読み手を引き込んでくれるストーリー展開。 ノベルという形態をとる以上、いかに読み手をその世界に引き込めるかと言うのがノベルとして評価の分かれ目で あろうかと個人的には思います。その点でこの作品は、読み手を引き込む部分で成功したと思われ(あくまで個人的にであるが) 個人的にはノベルゲームと称するものでここまでハマリ込んだのはLeafの「痕」以来であり、これだけの ストーリーを作り上げた奈須氏を素直に評価したいと思う。たしかに、説明文が多いとか、「文章表現」の部分で どうかと言う声はあるかもしれないが、それでも、読み手を十分に引き込ませることが出来るだけの力があり、 ちょっとした減点部分を大きく言って、作品そのものの評価を落とすのはどうかと思われる。

 純粋にシナリオ面だけで言ったら今年1,2を争いうる名作足りえると思う。 だが、その他の面を鑑みるとシステム面で不具合があったという話もあり、サウンド面でもより一層の向上を願いたい部分が あるのも確か。この部分があるだけに今回は総合で90に乗せるかどうかで大いに悩んだが、これだけハマリ込んだと 言う事実と今後への期待点を含めてぎりぎりで90点をつける事とします。次回に期待です。