
監督:セルジョ・マルティーノ
音楽:ブルーノ・ニコライ
出演:ジョージ・ヒルトン(ピーター・リンチ:私立探偵)
アニータ・ストリンドベルグ(クレオ・デュポン:記者)
イヴリン・スチュアート[イダ・ガッリ]( リサ・バウマー:若妻)
ジャニーン・レイナウド(ララ・フロラキス:先妻)
ルイス・バルブー(シャリフ弁護士:ララの夫)
ルイジ・ピスティレリ(警部)
アルベルト・デ・メンドーザ(ジョン・スタンリー:アメリカ側のエージェント)
偶然の飛行機事故で夫を亡くしてしまったロンドンの若妻が、
保険会社からの遺産を受け取る為にアテネに向かう。
実は彼女には若い恋人がおり、保険会社は彼女の身辺を
調査させるために探偵(ヒルトン)を雇う。
若妻は死んだ夫の先妻(レイナウド)とその現在の夫に会うが、
危うく暴力を振るわれそうになってしまう。彼女を危機から救ったのは
探偵で、2人は急速に接近する。しかし若妻が保険金を受け取り、
ホテルの部屋で探偵を待っていた時、突如何者かが侵入し、
無力な彼女を襲うと、ナイフをふるって喉と腹を切り裂き、惨殺してしまう。
失意の探偵は犯人を先妻とその夫に絞り込むが、
果たしてその晩、先妻も何者かに襲われ
喉笛を切り裂かれ惨殺されてしまった。
更に現場に駆けつけ、犯人と格闘した夫も
屋根から突き落とされて転落死する。
若妻が受け取ったはずの保険金がホテルの部屋から消え、
スクープを狙う美人記者が探偵にまとわりついてくる。
しかし、彼女も襲われ犯人に切りつけられてしまった。
更に事件の関係者が次々と残忍な殺され方で消されていく。
謎の犯人を追う探偵と、今や彼を愛するようになった女性記者にも
何者かの魔手が迫っていくが・・・。
日本未公開のジャーロ映画だが、配役がとても面白い。
殺される若妻に「火の森」のイヴリン・スチュアート。彼女は
「サイコ」でいうところのジャネット・リーの役。
一見、清純派なルックスが映画の前半で無惨に殺されて
しまうシーンのショックを良く盛り上げている。
探偵役はお馴染みジョージ・ヒルトン。彼と後半絡んでくる
憎めない性格の美人女性記者に「レディ・イポリタの恋人:夢魔」や
「幻想殺人」のお色気担当だったスゥエーデン女優アニタ・ストリンドベルグ。
この映画ではエロティック場面のみならず、ヒルトンの為に
作った料理にパプリカを瓶ごと入れてしまうお茶目ぶりを発揮、
ゴージャスな見かけに可愛い中身、という儲け役を演じている。
他にも事件を調査する警部に「血みどろの入江」の
ルイジ・ピスティレリ、アメリカから来たエージェントに
「ゾンビ特急地獄行き」のアルベルト・デ・メンドーザ。
先妻に「愛欲のネクロノミコン」(67)等、ジェス・フランコ映画に
良く出ていたジャニーン・レイナウド。彼女の夫役にも
フランコ映画の顔、ルイス・バルブーがキャスティングされている。
こうしたオールスター物とも呼べそうな豪華なキャスト、
本当に思いもよらない真犯人、ロンドン&アテネ・ロケ、
更には70oで撮影&上映にも関わらず、日本ではなぜか未公開。
まぁこのキャストじゃ弱いと言われればそれまでだが・・・。
後に「影なき淫獣」で観客を仰け反らせるマルティーノの
残虐描写への萌芽はこの映画にもハッキリ現れており、
鋭利なナイフで若い女性が喉や腹を切り裂かれたり、
割れたガラス瓶で眼球を抉ったりと、血も涙もないゴア描写の
連打はさすが。取り敢えずのUncut版はフル・スクリーンの
ギリシャ経由ビデオで見ることが出来る。
それと犠牲者の一人が殺されるシーンで、ドアにかけられた鍵を隙間から
差し込んだナイフで開けようとするショットがあり、後にアルジェントが発表する
「サスペリア」のワン・シーンを嫌がおうにも連想させた。