悪魔の微笑み


La Notte del diavoli
aka : The Night of the Devils
La Noche de los Diablos
La Nuit des Diables
La Notte del Diavolo



1972年 イタリア=スペイン映画 カラー 91分 スコープ

フィルム・チネマトグラフィカ=デュ・エンム・チネマトグラフィカ=コペルチネス


製作総指揮:ルイジ・マリアーニ
製作:ソリー・V・ビアンコ
(ディエゴ・アルチメーデ?)
監督:ジョルジョ・フェローニ
原案:エドゥアルド・M・ブロッチェーロ
原作:アレックス・トルストイ(「吸血鬼ウーダラグ」)
脚本:ロマーノ・ミグリオリーニ
ジャンパティスダ・ミュゼット
エドゥアルド・M・ブロッチョーロ
撮影:マニュエル・ベレングアー
編集:ジャン・M・メッセーリ
美術:エウジニオ・リヴェラーニ
クベーロ・Y・ガリッチア
特殊効果:カルロ・ランバルディー
特殊メイク:マッシモ・ジュスティーニ
音楽:ジョルジョ・ガスリーニ


出演:ジャンニ・ガルコ(ニコラス)
アゴスティーナ・ベッリ(ステンカ)
マーク・ロバーツ(ヨハン・チウレバック)
テレサ・ギンペラ(ヘレナ・チウレバック)
シンシア・デ・カルロス(イレーネ・チウレバック)
マリア・モンティ(森の魔女−吸血鬼)
ウイリアム・ヴァンダース
ルイス・ソーレス
ウンベルト・ラーホ
サブリナ・タンボーラ、
ローサ・トーロス
ステファノ・オッペディサーノ



60年代初めに「生血を吸う女」という叙情あふれる佳作
(とは言わないか・・・ホラーの場合)を撮った、ジョルジョ・
フェローニが監督したホラー映画。基本的には1963年に
マリオ・バーヴァが映画化した「ブラック・サバス」に
入っていた吸血鬼の話と同じストーリーを用いながらも、
描写的には「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」辺りを
意識してなのか結構ゴアな見せ場もあり、1時間半は退屈しない。

また、プロット自体にも多少の変更や捻りが加えられていて、
ラストで主人公の愛した女性が吸血鬼ではなかった皮肉なオチ
(しかもそれは彼女が死んでから分かる)が用意されており、
今回も「泣き」のタップリ入った演出が堪らない仕上がりだ。

このオチについては賛否が分かれるところだろうが、
筆者はフェローニの皮肉な視点が感じられて、良かったクチだ。



<物語>


ある日、森の中を彷徨う1人の男が発見される。
彼は記憶を喪失しており、極度の神経症と診断される。
夜になって、彼の面会に現れたステンカという女性の
証言で、男がニコラスという材木商人であることが分かる。

数日前、買い付け出たニコラスは森の中を車で走らせていて
急に目前を横切った人影に驚き、大木に車をぶつけてしまう。
仕方なく森の中の一軒家にたどり着いたニコラスは、
そこで車の修理を頼み、美しい娘ステンカと出会った。

一家は田舎者なので、他者に対して態度がよそよそしいのは
当然なのだが、どうもそれだけでは済まない異様な雰囲気が
一家と森の中の屋敷には漂っている。
興味を持ったニコラスは屋敷に留まる事にするが、
翌日、一家の家長は「呪いを解く」と言い放ち
森へ出かけてしまう。家族の話によると、この森には魔女が住んでおり、

その呪いにかかった者は吸血鬼となってしまうのだという。
一家はこの森に残った最後の村人であり、家長は一族の復讐の為に
魔女の心臓を杭で突き刺し、滅ぼそうとしているのだった。

半信半疑のまま、真夜中まで一家と共に家長を待っていたニコラスの前に
青ざめた表情の家長が現れる。家長は魔女を倒した証拠として、
切り取られた手首を持ち帰るが、実は彼は戦いの途中で魔女に
傷を負わされていたのだ。夜が更けて、一家の長男の娘が連れ去られ
激情にかられた長男が家長の胸を杭で突き刺すと、その体は
ボロボロに崩れ去った(ランバルディの腕の見せ所!!)


一家は必死で娘の居所を探すが、その姿は一向に見つからない。
しかし明け方、娘はひょっこりと家の前に帰ってくる。
喜んで駆けつけた母親が見たものは、吸血鬼となった娘の姿だった!


ニコラスは恐怖のあまり車で森を抜け出すが、町の神父に会い
呪われた魔女の話が真実であった事を確認し、ステンカをどうか
救出して欲しいと頼まれる。既に肉体関係を結んでいたステンカを
見捨てることはどうしてもニコラスには出来ず、再び彼は車で
呪われた森に足を踏み入れる。


しかし、屋敷にいたのは吸血鬼となった一家だけだった。
屋敷の奥の部屋にいるステンカを抱きしめたニコラスは
その体の冷たさにゾッとする。彼女も吸血鬼になってしまったのか?


やがて不死の怪物と化した一家の血みどろの攻撃が始まった。
命からがら森を抜け出したニコラスは病院に収容されるが、
彼の前にステンカが姿を現す。恐怖に震えながら地下のボイラー室へ
逃げ込んだニコラスは、後を追ってきたステンカの心臓を
鉄棒で突き刺した。絶命するステンカ。駆けつけた医師達に
「女の顔を見てくれ!そいつは怪物だ!」と叫ぶニコラス。
しかし抱き起こされたステンカの顔は生前の美しい顔のままだった・・・。
彼女は吸血鬼ではなかったのだ・・・。


↑別の映画からのスティルだが女性がアゴスティーナ・ベッリ。

<解説>



主役のジャンニ・ガルコは「太陽の下の18歳」等の映画で
カトリーヌ・スパークの相手役を演じていた俳優。
他にもフルチの「ザ・サイキック」、アンソニー・リッチモンドの
「ミッシング・ゾーン」にも出ていた。


不幸なヒロイン、ステンカに扮したのはアゴスティーナ・ベッリ。
日本ではあまり有名ではないが、海外にはファンも多く、
イタリアには彼女だけのHPがある。筆者も行ってみたが、
ギャラリーには「悪魔の微笑み」のスティルはなかった・・・。
「悪魔が最後にやって来る」はあったのに・・・どういうことだ?
ベッリが演じた役柄は小さなものが多く、ジャンル物に関しては
上の他に、鷹につつき殺される奔放な少女を演じた「青ひげ」がある。


一家の長男の嫁を演じたテレサ・ギンペラも数多くのジャンル映画に
出ている女優。美人だがどこか品を欠いた顔立ちはホラー映画向けで、
それを活かして「ゾンパイア」では女吸血鬼を演じていた。


オマケとして一家の幼い娘を演じたのはアルジェントの
「わたしは目撃者」で幼女ローリーに扮したシンシア・デ・カルロス。

「・・・目撃者」では殺人犯に誘拐されて殴られ、この映画では吸血鬼になって
テレサ・ギンペラの血を啜っていたが、こんな映画にばかり出ていた彼女は、
無事大人になれたのだろうか・・・?ところが最近になって、そんな彼女の
ティーン時代の出演作を発見!それは何とA・ドーソンの「地獄の謝肉祭」!!
ジョン・サクソンの家の隣に住むお色気お姉さんがその役だが、
ご覧になった方はご存知のように結構凄い役。やはりマトモな大人には
なれかなったようだ・・・因みにクレジットはドーソンの映画らしく
英語の変名(シンディー・ハミルトン)になっている。




また「サスペリア2」で有名なジョルジョ・ガスリーニが
担当した音楽も聴きものだ(最近CDが出たそうだ)。
同じガスリーニの「SO SWEET, SO DEAD」もそうなのだが、
このジャンルの御大、モリコーネを意識しているのか、
女性の濡れたスキャットが全面に出た曲調は、好きな人には
堪らないだろう。オドロオドロなテーマもいい感じだ。



この映画の日本版のビデオは「ナイトメア・シティ」や
「ミッドナイト」等と並んで、TDKコアから発売されていたが、
あまりレンタル屋に置いてあるのは見たことがない。
見つけたら騙されたと思って観てみて下さいませ。