マウントライト・ユーロホラー
(勝手に命名)シリーズB
悪魔の入浴・死霊の行水(V)
The Female Butcher

↑Jap VHS sleeve
(Thanks to Primon !)
(aka):Ceremonia
Sangrienta
Le Vergini Cavalcano la Morte
Countess Dracura
The Legend
of Blood Castle
Lady
Dracura / Ritual of Blood
Blood
Ceremony / Bloody Butcher
1972年 スペイン=イタリア
映画 カラー スコープ 102分
Xフィルムズ(マドリッド)=ルイス・フィルムズ(ローマ)
製作総指揮:ジョゼ・マリーア
ゴンザレス・シンデ
監督:ジョルディ・グロウ(ホルヘ・グロウ)
原案:ジョージ・グロウ[ジョルディ・グロウ]
脚本:ジョージ・グロウ
ジュアン・テバール
サンドロ・コンチネンザ
撮影:フェルナンド・アライバス
オベルダン・トロイアーニ
編集:ペドロ・デル・レイ
衣装デザイン:エリザ・ルイズ
SFX:バジリーオ・コルティーヨ
メイクアップ:カルロス・パラデーラ
音楽:カルロ・サヴィーナ
出演
ルチア・ボーゼ(エリザベータ・バートレィ)
エスパルターコ・サントーニ(カール・ジマール)
エヴァ・オーリン(マリーナ)
アンナ・ファーラ(家政婦:乳母?)/フランカ・グレイ(ナディア)
シルヴァーノ・トランクイーリ(医者)
ローラ・ガオス(カルミーラ)/アンジェル・メンデズ(治安判事)
エンリコ・ヴィーヴォ(市長)/マリア・ヴィーコ(マリア・プロヨヴィッツ)
アドルフォ・トース(裁判長)/イズメール・ガルシア・ローマン(キャプテン)
ラクゥエル・オルトゥーノ(イレーナ)/ドロレス・トヴァー(サンドラ)
ジッカ(インゲ)/ミグゥエル・ブーネル(秘書)
ファビアン・コード(巡査)/エステインス・コンザレス(宿屋の主人)
アントニオ・プーガ(クラウス)/フランシスコ・アゴスティン(郵便配達夫)
アントニオ・デ・モッスル(鷹匠)/ロベルト・ダニエル(プロヨヴィッチ)
ラファエル・ヴァケーロ[ラファエル・ボクエーロ](画家)
アンゲル・ローダル(マリオ少年)/ジュリアン・ジョセ・オテグイ(召使い)
マリ・パズ・バレステロス(メイド)/セルジョ・アルベルティ(巡査部長)
ソフィア・ノイラス(ラウラ)/ジョクイン・プエーヨ(宿屋の少年)
フェルナンド・デ・ブラン(レクター)/ラファエル・フライアス(馬上の少年)
<物語>
17世紀のハンガリーにあった小さな村カイセでは
吸血鬼の仕業とされる殺人事件が起き、村人達は
吸血鬼だと噂される死んだ男の棺を暴き、
その死体の胸に木杭を打ち込んだ。
カイセを治めるカール・ジマール侯爵は、飼っている鷹に
鳩を襲わせ、鳩が血まみれになって食い殺されるのを見て
微笑みを浮かべるような奇人だった。
村の宿屋に泊まったジマール侯爵は、美しい宿屋の娘
マリーナに目を奪われる。退屈な日々を送るマリーナの方も
暗い影を持った侯爵に心惹かれるものを感じていた。
侯爵の城では公爵夫人であるエリザベータが、乳母の
ヌートリーチェと共に鏡を覗き込んで溜息をついていた。
美しさに固執するエリザベータは、次第に自分の美貌を
衰えさせていく時の無情さに打ちひしがれていた。
そんな彼女の姿を見て、従順な乳母は一族の闇の歴史に
葬られた一人の美しい公爵夫人の物語を話す。
エリザベータと同じ名前を持つ彼女は、永遠の美しさを
保つために何人もの処女を殺し、その生き血風呂に
全身を浸して過ごしていたのだという。
村では今まさに吸血鬼裁判が開かれようとしていた。
吸血鬼と噂される男の死体が法廷に持ち込まれ、
男に呪いのメダルを売った老婆や、夫のいかがわしい
行いを証言する妻が法廷に立ち、民衆は吸血鬼を
火刑にかけろ!といきり立つ。
最後に男の娘が証言台に立ち、父親から血を吸われた
首筋の傷跡を見せ、裁判は男を吸血鬼と見なす判決を下す。
裁判に出席していた侯爵はかける者に死をもたらすという
呪いのメダルに興味を示し、それを屋敷に持ち帰る。
一方、屋敷では長い髪を侍女に梳かさせていたエリザベートが
ちょっとした侍女の無礼に逆上して、その顔を鏡で殴ってしまう。
侍女の鼻から一筋の血が流れ、エリザベートの手のひらに
滴り落ちた。取り憑かれたように血痕を眺める彼女は
その部分だけが真っ白に若返っているのを発見する。
エリザベートと乳母のヌートリーチェは奇妙な魔術を使った
儀式に没頭し、鳩の生き血を体に塗ってみるが効果はなかった。
それを屋根裏部屋から目撃した夫のカールは目を輝かせ、
呪いのメダルを使った恐るべき計画を妻にうち明ける。
・・・それは彼がメダルの呪いで死んだ事にし、
埋葬が終わった後で、吸血鬼として蘇り、処女をさらって来て
妻に生き血を浴びさせてやろう・・・というものだった。
鳩の血で若返り効果を得られなかった妻は、処女の生き血に
取り憑かれたようになり、夫の考えた悪魔の計画に
荷担することを誓う。
まず標的に選ばれたのは、吸血鬼裁判で父親に血を
吸われたと証言した少女ナディア。実は彼女の一家は
父親の残した遺産目当てで裁判を起こしており、
彼女の首筋にあった傷もペンダントのクサリで
傷つけたものだったのだ。
夜更けにナディアの寝室に忍び込んだ侯爵は
怯える彼女を連れ去り、屋根裏部屋で首を刺し抜いて殺害、
階下の部屋では全裸になったエリザベートが天井の穴から
滴り落ちるベットリとした生き血を全身に浴び、
恍惚の表情を浮かべているのだった・・・。
翌日、侯爵の死に疑いを持たせない為、城の召使い達は
全員解雇になるが、その中の一人イリーナは
城の庭を歩いていて、屋敷の窓に侯爵の姿をみとめてしまう。
街にやって来たヌートリーチェに、親切心からその話をした
イリーナは、結局口封じに現れた侯爵にさらわれてしまい、
城の屋根裏部屋で惨殺されてしまう。
エリザベートの生き血浴びはエスカレートし、次々に
村の生娘達が失踪、血まみれの死体となって発見される。
さすがに村の人間達の間にも、死んだ筈の侯爵が
吸血鬼として蘇って来たという噂が広がっていく。
不安を感じたエリザベートは、乳母と共に持てるだけの
宝石を身につけて城から逃げ出そうとするが、
行く手を村人達に阻まれる。村人達は侯爵の墓を暴くが
棺の中にあったのは血を抜かれた処女達の死体だった。
悪行を続ける侯爵は、いつか見た宿屋の娘マリーナに
目をつけ、彼女の部屋に現れる。事件の真実を話してくれた
侯爵に心を開いたマリーナは誘われるまま城の屋根裏部屋に
連れ込まれ、甘い言葉に酔っているところを刺し殺されてしまう。
しかしマリーナは今際の際に自分が殺されることを
知っていたと侯爵に告白、侯爵を愛している為に
どんな運命でも受け入れる覚悟だったと告げて息絶える。
愕然とする侯爵はマリーナの死体を堅く抱きしめるが、
その背後で一部始終を見て、嫉妬に駆られたエリザベータによって
同じナイフで背中を突き刺され、絶命してしまう。
村人達はエリザベータと乳母ヌートリーチェを裁判にかけ、
全ては侯爵の仕業だったと主張するヌートリーチェを遮り、
エリザベータは自分が生き血風呂に浸かっていたことを
告白してしまう。裁判の結果、美しさへの執着から
精神に異常をきたしたエリザベータは身分の高さを考慮されて
極刑を免れ、その代わり一生を城に閉じこめられて過ごす
判決を受ける。だがそれは皮肉にも、自分の美しさがゆっくりと、
だが確実に衰えていくのを見せつけられる、彼女にとっては
死よりも残酷な判決だった。乳母ヌートリーチェは偽証の罪で
舌を切断され、死ぬまでエリザベータに仕えるよう命じられる。
レンガの壁に塗り込められ、幽閉された城の中で、美しかった
エリザベータの顔は、恐ろしい怪物のように変貌し、彼女はただ
死んだように鏡の前に座って、その顔を眺め続けるのだった・・・。
<解説>
有名なエリザベータ・バートリー伝説を題材に取り、
ゾンビ映画のクラシック「悪魔の墓場」(74)を発表する
2年前にホルヘ・グロウが監督した歴史物。
「悪魔の墓場」とはひと味違うが、この映画も
怪奇映画っぽいムードが非常に濃厚で、見応えあり。
映画の主な舞台となる城や村などのロケーションも
重厚感があって実にリアル。これでもう少し展開が早くて
見せ場が沢山用意されていれば・・・というのは
贅沢すぎる要求なのかもしれません。
とはいえ、鳩が鷹に襲われて食われたり(実写)、
コウモリが羽根を釘で打ち付けられてバタバタ(実写)して
いたりと、かなりヒドい動物虐待描写が続出。
「悪魔の墓場」のゴア描写を望むのは最初から無理だとしても
吸血鬼と疑われた死体の首が切り落とされ、
火にかけられてブズブズと焦げていったり、
殺された処女達から真っ赤な血が流れ出して来る
描写は息詰まるほど雰囲気タップリ。
たまには直接描写が少ない、こういうムード中心の
猟奇映画も悪くないかも、と思わせる1本です。
美しい田園風景を贅沢にとらえたキャメラ・ワークや、
いかにも怪奇映画風の音楽(カルロ・サヴィーナ担当!)も
この映画の画面に貢献しており、この時代に作られて
未だ正当な評価を受けていない隠れた名作としての
貫禄十分の仕上がりになっている。
監督のホルヘ・グロウは1930年の10月27日生まれ。
スペインのバルセロナ出身。他にどんな作品を撮っているのか
余り良く知られていないが、基本的にはホラー映画専門というよりも
一般作の分野の監督で、マリサ・メルとフェルナンド・レイが主演した
犯罪スリラー「Pena de Muerte」(73)をスペインで撮ったりも
しているようだ。
出演は、美しさと残酷さが表裏一体となったエリザベートに
「地獄のシャイニング」(71)のルチア・ボゼ。
美しい全裸と醜くなった老婆の姿を同時に披露し、
ユーロ女優ならではの存在感をアピールしている。
彼女と反対に純真なブロンドの美少女に「キャンディ」で
ブレイクしたエヴァ・オーリン。一度見たら忘れられない
大きな目と、まるで人形の様な顔立ちで、一時はアイドル女優
だった彼女だが、出演作には妙な映画が多く、
「殺しを呼ぶ卵」(67)や「欲情の血族」(72)など
ジャーロやユーロ・トラッシュにも何本か出演している。
もちろん「悪魔の入浴・死霊の行水」も彼女の<変>な方の
フィルモグラフィーに分類される作品だ。
マウントライトから87年に発売された日本のテープはイタリア語版で、
「Le Vergini Cavalcano la Morte」とタイトルの出るマスター。
世界的にもかなりレアな映像ソースであるようだ。
(恵比寿にあるツタヤには在庫が1本置いてある)
かつて「血の儀式」と言う題名でTV放映されたこともあるらしい。
同じホルヘ・グロウ監督の
「悪魔の墓場」(74)を見る