MURDER OBSESSION
(FOLLIA OMICIDA)

(aka):L'OSSESSIONE CHE UCCIDE
MURDER SYNDROME
UNCONSCIOUS
UNCONSCIENTE
FOLIE MEURTRIERE
(仏:ビデオ題?)
FOLLIA OMICIDA
(スペイン題)
SATAN'S ALTER
(英:ビデオ題)
THE WAILING
(英:ビデオ別題)
FEAR
(米題)
DELIRIA
(撮影時の題名)



1980年/伊=仏合作映画/テクニカラー/97分?/シネスコ

ディオニッシオ・シネマット(ローマ)
ソシエッテ・ヌーベル・チネヴォーグ(パリ)


製作:ピーノ・コルーラ
   エンゾ・ボエターニ
サイモン・ミッヅァーリ
監督:ロバート・ハンプトン(リカルド・フレーダ)
原案:アントニオ・チェザーレ・コルティ
   ファビオ・ピッチョーニ
   脚本:アントニオ・チェザーレ・コルティ
   ファビオ・ピッチョーニ
 リカルド・フレーダ
台詞監修:サイモン・ミッヅァーリ
撮影:クリスチャーノ・ポガーニ
編集:リカルド・フレーダ(クレジットなし)
編集助手:アン・バラゥー
美術&衣装:ジョルジョ・デジデーリ
音楽:フランコ・マンニーノ
追加音楽:バッハ&リスト
助監督:アントニオ・チェザーレ・コルティ
ベルナルド・コーン


出演:
ステファーノ・パトリッツィ(マイケル・スタンフォード)
アニタ・ストリンドベルグ(グレンダ・スタンフォード)
ラウラ・ジェムサー(ベリル)
ジョン・リチャードソン(執事オリバー)
マルティーヌ・ブロンチャード(シェリル・ドーソン)
シルヴィア・ディオニッシーオ(デボラ)
ヘンリ・ガルキン(ハンス)
ファブリッツィオ・モローニ



<物語>

何世紀もの間、様々な学者や知識人達が
悪魔について研究してきた。しかし本当は
悪魔は人の心の中に棲んでいる物なのだ・・・。

という字幕で「MURDER OBSESSION」は幕を開ける。


マイケル(S・パトリッツィ)は売れない俳優。今日は低予算の
殺人鬼映画の撮影でスタジオに入っていたが、主演女優の
ベリル(L・ジェムサー)襲うシーンで、どういう訳か
何かに取り憑かれたようになり、彼女のドレスを引き裂くと
首を絞めて危うく殺してしまう寸前まで行ってしまった。

自分では制御できない凶暴な側面があることに気づいて
ショックを受けたマイケルは、田舎の大邸宅に住む
母親(A・ストリンドベルグ)を訪ね、そこで休養も兼ねて
週末を過ごそうと、GFのデボラ(S・ディオニッシーオ)を
伴って、車で出かける。


彼らは奇妙な態度を取る執事(J・リチャードソン)の案内で
久しぶりの生家に案内される。中年に差し掛かりながらも
未だに美しい母親を前にしたマイケルは、デボラの事を
自分の秘書だと説明してしまう。
屋敷に漂う説明しがたい不穏な空気を肌で感じたデボラは、
その夜、自分が黒魔術の生贄に捧げられる異様な悪夢を見る。


翌日、マイケルの仕事仲間で映画監督のハンス(H・ガルキン)、
助監督のシェリル(M・ブロッチャード)、そして女優のベリルも
車に分乗して森の中の屋敷に到着した。


美しい屋敷の外見とは裏腹に、邪悪な何者かの
存在を感じる一行。不安なまま夜が訪れ、
悪夢を見たベリルはシェリルに勧められて
風呂にはいることにするが、突然侵入してきた
黒手袋の人物によってバスタブに沈められ、
危うく溺死しかけてしまう。

デボラも再び悪夢を見る。夢の中でやはり彼女は白装束の
ゾンビに追われて洞窟を逃げ回るうち、
大きな蜘蛛の巣に捕らわれたり、
コウモリの大群に襲われてしまう。そして最後には
やはり黒魔術の生贄に捧げられてしまうのだった。


マイケルは母の寝室に隠されていた父親の肖像画を発見し、
恐ろしい自分の過去を思い出してしまう。
それは有名な作曲家だったが、常に母親に暴力を
振るっていた父を、マイケルが思いあまって刺し殺して
しまったという事実であった。


翌日、小川のほとりでくつろぐベリルを見つけたマイケルは
お互いの衝動にまかせて彼女と肉体関係を結んでしまう。
その様子を木陰から目撃したハンスは、まるで
狂ったように彼らの情事を写真に撮りまくる。

暫くして目が覚めたマイケルが見たものは、
無惨にも腹を引き裂かれて全裸で横たわる
ベリルの死体だった。しかも自分が持ち歩いていた
ナイフには彼女の血らしき液体がベットリついていた。
恐怖を感じたマイケルはベリルの死体を屋敷に隠す。



一方、屋敷ではハンスがメモを残して立ち去ろうと
帰り支度をしていた。廊下に出た彼は、突然振り下ろされた
斧で脳天を真っ二つに割られてしまう。


散歩から帰ってきたシェリルとデボラは、ハンスの
キャメラを発見、シェリルが現像することになるが、
写真に写された物を見て愕然とする彼女の首に
今度は唸るチェーンソーが振り降ろされる。


何も知らないデボラはマイケルの母親と2人で
夕食を取るが、ふと目を留めた母親の胸のペンダントが
悪夢に出てくる黒魔術のシンボルと同じなのに気づく。
恐ろしくなったデボラはシェリルを探しに屋根裏部屋の
現像室に向かうが、そこには切断されたシェリルの
生首が置かれていた。悲鳴を上げて豪雨の庭に
飛び出したデボラは木陰に隠れていた何者かによって
突然、捕らえられてしまう・・・。


暖炉の前ではマイケルが母親から過去の惨劇の一部始終を
詳しく聞かされていた。あの晩、執事は寝室にいた母親を
レイプし、それを目撃したマイケルの父親ともみ合いになるうち
手にしたナイフで刺し殺してしまったのだった。
物音を聞いて駆けつけたマイケルに執事が
「お前が殺したんだ」という嘘の記憶を植え付けたのだった。



真相を知ったマイケルは執事の部屋に向かうが
そこには毒薬で自殺した彼の死体と、回り続ける
テープレコーダーが残されていた。
テープには彼が死ぬ直前に吹き込んだ告白が
録音されており、それをマイケルが再生すると
彼の母親の告白よりもずっと<おぞましい>事件の
真相が明らかにされていた。

あの晩、執事は彼女をレイプしたのではなく、
彼女に誘われて合意の上で肉体関係を結んでいたのだ。
それを目撃した夫と、執事がもみ合いになったのは
本当だが、夫にナイフを突き刺したのは他ならぬ
マイケルの母親だったのだ。そして駆けつけた
マイケルに罪の意識を吹き込んだのも彼女だった・・・。


一連の惨殺事件もマイケルが他の女と性交渉を持つのが
我慢できなかった彼の母親の仕業だった。
自分がベリルを殺している証拠写真を撮ったハンスも、
それを現像して真相を知ってしまったシェリルも
同様にマイケルの母親が殺していたのだ。

執事は彼女からデボラも消してしまうように命令されるが
罪のないデボラを殺すことは出来ず、マイケルの母親を
愛しているので自分は自殺すると言い残していた。


愕然とするマイケルの前に不気味な微笑みを
浮かべた母親が現れる・・・そして・・・。

気を失っていたデボラは、ふと目を覚ますと
夢で見たとおりの地下室に降りていく。
そこにはマイケルの死体を抱きかかえた
恐ろしい形相の母親が座っていた。
悲鳴を上げる彼女の背後で地下室の扉がゆっくりと閉まる・・・。

 

<解説>


イタリアン・ホラーの創始者リカルド・フレーダが
キャリアの後年に発表した奇妙なホラー映画。
物語を読んでいただくと、典型的なジャーロ映画の
ように思われるかもしれませんが、実際は一筋縄では
いかない困った仕上がり。


画面を暗躍する殺人犯のいでたちは、お馴染みの
「黒手袋」系で、完全に70年代ジャーロ映画の雰囲気。

チェーンソーや斧が肉体に食い込むストレートな描写を
中心にした血みどろの殺人は殆ど80年代のスプラッター風。

そこにS・ディオニッシーオと、L・ジェムサーの
2大セクシー女優による気前の良いヌード・シーンを
盛り込んで、どうせならオカルトチックな黒魔術の場面と
悪夢のシークエンスも入れてしまえ!とばかりに
このジャンルの美味しい部分を全て投げ込んだ構成。


サーヴィス精神旺盛なのは大変に結構なのだが、
ご想像通り、そんな映画に収拾がつく筈がなく、
一寸刻みに変わっていく内容に、観客はある意味でジェット・
コースター・ムーヴィーを観ているような気分になるかも。




フランコ・マンニーノが担当した音楽は、
基本的に安いシンセを使ったスラッシャー映画風の
スコアなのだが、やはりマンニーノ本人が
ピアノで演奏した、リストやバッハのクラシックも
随所に挟み込まれ、やはり映画の印象を
チグハグなものにしている。

ということで、全体的にまとまりに欠けるが、
それが良くも悪くもこの映画を魅力的にしている、
という感想を持った。



さて、豪華な出演者もこの映画の呼び物のひとつ。


今更説明も不用でしょうが、エマニュエル・ネラこと
ローラ・ジェムサーが劇中映画の主演女優として登場、
謎の殺人鬼に何度も襲われる美女を熱演している。
結局は中盤で殺されてしまうものの、彼女が見事な
プロポーションを披露する見せ場も沢山用意されている。


ルッジェロ・デオダートの奥さん(現在は離婚?)だった
シルヴィア・ディオニシーオは主人公のGF役。
金髪で可愛らしいルックスなのに、やたら脱ぎっぷりが良く、
「処女の生血」(74)や、「Terror Express」(79)でも
体当たり?演技を見せてくれていた。
もちろん、この映画でも彼女の魅力は十分に
満喫できる仕上がりになってます。
(クレジットにディオニッシーオと名前がついた
製作プロダクションがあるので、身内の企画かも)


前述のセクシー女優2人に加え、60〜70年代を代表する
グラマー女優、A・ストリンドベルグと、M・ブロンチャードが
顔を見せてくれるのも嬉しい。

A・ストリンドベルグの方はA・デ・マルティーノの
「夢魔」(74)や、フルチの「幻想殺人」(71)で
素晴らしい肉体を惜しみなく見せていた女優さん。
さすがに80年製作のこの映画ではヌードはなしか?
と思っていたら、終盤のレイプ場面で脱いでました。
さすが!!


M・ブロンチャードはやっぱり娯楽系の映画に
良く出ていた女優さん。この映画では脱ぎはなしです。




それ以外にもマリオ・バーヴァの「血塗られた墓標」(60)で
B・スティールの相手役に扮したJ・リチャードソンが
事件の鍵を握る執事の役で懐かしい顔を見せてくれるのも
非常にナイスなキャスティングだ。



撮影中は後にM・ソアヴィが「アクエリアス」(86)で
使うことになる「Deliria」という題名で撮影が行われた。

 


<ビデオに関して>



イギリスで出ている改題バージョン、「Satan's Alter」と、
「The Wailing」はどちらも1分強カットされたビデオ。
同じ「The Wailing」でもアメリカのHGVから出ている
テープは90分の長さがあるバージョン。
Wizard版(米)、プラザ版(ベルギー)はカットだそうだ。

LTBXフォーマットで出ているのはイタリア(93分版)と
スェーデン(カット版)。筆者が観た海賊版テープは
Uncutという触れ込みで、およそ92分の
ランニング・タイムがあった。


日本でSONY=マウントライトからビデオとLDが出た
「生ける屍の群れゾンビーズ」に収録された
(解説書にはキャスト・スタッフ資料がない正体不明の作品と
書かれているが、)「Fear」というのがまさにこの映画で、
そのテープなら美味しいハイライトが字幕つきで観られる。

興味を持った方はご覧になってみるのも良いのでは?