悪魔の墓場

Let Sleeping Corpses Lie


(aka):Breakfast at the Manchester Morgue
Don't Opwn the Window
No Profanar el Sueno de Los Muertos
Fin de Samana para los Muertos
Non si Deve Profanare il Sonno del Morti
The Living Dead at the Manchester Morgue
The Living Dead / Weekend per I Morti
Invasion der Zombies / Breakfast with the Dead
Le Massacre des Morts-Vivants
Das Leichenhaus der Lebenden Toten
Zombie 3-Da Dove Vieni ?
Sdejen que los Muertos Duermen
Levend in het Lijkenhuis





1974年 スペイン=イタリア 映画 (イーストマン)カラー 93分
日本劇場公開75年6月(配給:ヘラルド)
日本版ビデオ/LD(にっかつ)

製作会社:フラミニア・モーション・ピクチャーズ=
スター・フィルムズ(マドリッド)=キャピトリーナB.C.(ローマ)

製作総指揮:マニュエル・ペレーズ
製作:エドモンド・アマティ
   監督:ジョルディ・グロウ(ホルヘ・グロウ)
脚本/原案:サンドロ・コンチネンザ
   マルチェロ・コシア
ミグエル・ルビーノ
ジュアン・コーボス
   撮影:フランシスコ・センペレ
編集:ヴィンセンゾ・トマッシ/ドミンゴ・ガルシア
プロダクション・デザイン:カルロ・レーヴァ
セット装飾:ラファエル・フェッリ
カルロ・レーヴァ
ダビング・エディター:ニック・アレキサンダー
特殊効果:ジュアン・アントニオ・バランディン
ルチアーノ・バード
特殊メイク:ジャネット・デ・ロッシ(オプチカル効果担当?)
音楽:ジュリアーノ・ソルジーニ




出演:

レイモンド・ラブロック
(ジョージ)クリスティーネ・ガルボ(エドナ)
アーサー・ケネディ
(マコーミック警部)/ジャニーレ・メストーレ(ケイティ)
フェルナンド・ハイベック
(浮浪者ガズリー)/ジョーゼ・ルイズ・ライファンテ(マーティン)
ヴェラ・ドゥルーディ
(マリー)/ジョルジョ・トレスティーニ(クレイグ)
ロベルト・ポッセ
(ベンソン)/ヴィンセンテ・ヴェーガ(ドッフィールド医師)
ウィリアム・リトン[パコ・(フランチェスコ)サンズ?]
(パーキンス)
ジンジャー・ガッティ
(キース)/アニア・コルビー(看護婦)
ジャクゥイン・ヒンヨーラ
(解剖医)/ヴィート・セイリアー(裸の死体)
ポール・ベンソン
(ウッド)/イザベル・メストーレス(女性電話交換手)
アルド・マッサーソ
(キンゼイ)

 

<物語>

 

ジョージ(ラブロック)はロンドンの中心部で骨董品屋を営んでいる
当世風の若者。彼はスモッグや公害で汚れた都心部を嫌い、
週末には郊外にある山荘で過ごすのを日課にしていた。

ある週末、いつものように店を閉め、仲間達と山荘で落ち合う
予定を立てたジョージは、その道すがら客から注文された
悪魔の像を渡してしまおうと考え、バッグに像を詰めて
美しい緑の森や田園風景の広がる郊外へオートバイを走らせる。


途中、ガソリンスタンドに立ち寄って一息ついていた時、
給油を終えた一台の車が停めてあったジョージのオートバイに
ぶつかって大破させてしまう。車を運転していたのは
エドナと名乗る美しい女性(ガルボ)だった。どこか不安気で
怯えた様子の彼女は、これから姉夫婦が住んでいる屋敷に行くのだと
説明する。足がなくなってしまったジョージは強引に
エドナの車に乗車、山荘まで送ってくれるように話をつける。

しかしお互いの目的地へ向かう別れ道で、エドナからどうしても
日暮れまでに姉の屋敷に着きたいと懇願され、ジョージは
仕方なく姉夫婦の屋敷目指して車を走らせる事にする。
車が標識のない丘陵地帯に入ると二人は道に迷ってしまった。
仕方なくジョージは川っぷちに車を停め、近くにある農場に
道を聞きに行った。逃げられると困るということで
車のキーを持って行かれ、所在なく川沿いをそぞろ歩いていた
エドナは、背の高い黒い服を着た奇妙な男がこちらにフラフラと
歩いてくるのをみとめる。幽鬼の相を浮かべたその男は
突然手を突き出すとエドナに襲いかかってきた。

命辛々逃げ出したエドナはジョージと農場の持ち主に助けを求めるが、
逃げ走ってきた小径を振り返ると男の姿はなかった。


その夜、エドナの姉ケイティが納屋で同じ幽鬼の男に襲われる。
悲鳴を上げて逃げ出した彼女は、滝で趣味の写真を撮っていた夫
マーティンに助けを求めるが、後を追ってきた幽鬼の男は彼を絞め殺すと
なおもケイティに襲いかかる。間一髪、かけつけたジョージ達によって
救い出されたケイティだったが、翌朝調査にやって来た警察達は
ケイティを第一容疑者にしてしまう。実は彼女は重度の麻薬中毒者で
夫マーティンはケイティを病院に入れようとしていたのだった。
その事で夫婦仲は非常に悪く、エドナがやって来たのも
姉に頼まれて病院行きを夫に止めて貰うよう説得する為だったのだ。

調査にやってきたマコーミック警部(ケネディ)は頑固者で、
幽鬼の男の話を一笑に伏し、怪力を発揮し、記憶が曖昧になる
麻薬中毒者特有の症状をみせるケイティだけを疑う。
ジョージとエドナは警部の考えに反論するが、その事で警部は
ケイティばかりではなく、先進的な格好をしているジョージや
挙動不審なエドナまでをも容疑者リストに加えてしまう。



あくまで事件とは何の関係もないと警部に食ってかかった
ジョージだが結局は相手にされず、エドナの懇願もあって、
この事件を調査してみようと決める。

現場で集められた夫の遺留品の中からキャメラが見つかり、
ジョージとエドナは警察の車からフィルムだけを盗み出して
それを現像する。もし殺人現場が撮られていれば、
犯人を特定できると思ったのだ。


二人は町中にあるひなびたホテルに宿を取ることにするが、
そこにケイティが倒れたという知らせが入る。
二人は姉が収容されている病院にかけつけるが、
そこでジョージは興味深い奇妙な事実を発見する。
幽鬼の男が現れた川沿いで非常に攻撃性の高い赤ん坊が
生まれているというのだ。

そういえば、ジョージは道を聞きにいった農場で、政府の
研究機関から派遣された男達が超音波を使って害虫同士を
共食いさせる機械を実験している現場に出くわしたのだ。
もしかすると、一連の事件は超音波が関係しているのでは・・・?
ジョージの話に興味を持った医師と共に、彼らは再び農場へ
向かうが、研究員達は人体には影響はないといって
全くジョージ達の話に取り合わない。


ジョージが町のストアーに出してきた写真が焼き上がった。
しかし現像されたフィルムには、ケイティと夫以外の何者も写って
おらず、彼らの証言を実証できる証拠にはならなかった。
そこにマコーミック警部らが現れ、現像された写真は証拠として
押収されてしまった。しかもジョージとエドナは事件の証拠を
隠滅しようとした重要参考人として遠出を禁じられてしまう。


幽鬼の男は現場にいたのに・・・混乱するエドナをストアーの店主が
「写真に写らないのは幽霊だけさ」と冗談混じりにからかう。
しかしエドナが見た幽鬼の男は確かに存在した。新聞に顔写真入りの
記事が出ていたのだ。だが、それは物乞い乞食のガズリーが
一週間前に川で溺れ、引き取り手がいないまま共同墓地に
埋葬された事を伝える記事だった。


ガズリーの死体が安置されている事を確かめて、怯えるエドナを
安心させようとジョージは共同墓地に向けて車を走らせる。
しかし恐るべき事態は既に始まっていた。彼らが墓地に着くと
管理人が血塗れになって殺されており、安置されていた死体が
次々に起きあがって彼らを襲い始めたのだ。
その中には乞食のガズリーの姿もあった。

納骨堂に閉じこめられたジョージ達は何とか脱出に成功し、
マコーミック警部に言われて彼らの後をつけてきた警官と合流する。
しかし墓地の入り口には既に蘇った死体が待ち受けていた。
慌てた彼らは納骨堂に引き返すが、その際警官が無線を
落としてきてしまう。籠城し閉ざした扉も死者達の執拗な攻撃で
破られようとしている。警官は老婆の頭を銃で撃ち抜くが、
全く効果がない。意を煮やした彼は単身無線を取りに外へ
出てしまい、無惨にも死者達の生贄になってしまった。

引き裂かれた腹から内蔵が、えぐられた眼窩から目玉が取り出され
次々に死者達がむさぼり食っていく。余りに凄惨な眺めに
我が目を疑うジョージたち。しかし次の瞬間、死者達の攻撃が
再び濃厚都度卯へ向けて開始された。戦く彼らは偶然にも
死者達が火に弱いことを知る。燃えさかる炎の中で
次第に黒く焼けこげ、動かなくなっていく死者達・・・。


共同墓地を脱出したジョージはエドナを姉の屋敷に返し、
警部に連絡を取るように言う。しかしエドナが屋敷に着くと
蘇ったマーティンの死体が殺害した警官の肉を喰っていた・・・。

ジョージは超音波の発生を押さえるべく、機械を破壊しに
農場へ向かうが、調査員達は彼の話を全く取り合わないばかりか
狂人として決めつけてしまった。超音波の届く範囲が拡大した事を
知ったジョージはエドナを救出に向かうが、マーティンに襲われた
彼女はショック状態に陥っており、救急車で病院に運ばれてしまう。

ジョージは共同墓地で部下の死体を発見し、逆上した
マコーミック警部に逮捕され、持っていた悪魔像を事件の証拠に
されてしまう。死体が蘇って殺人を続けていることを説明しても
絵空事として取り合っては貰えず、逆に暴力を振るわれてしまう。
警察から逃げ出したジョージはエドナが収容された病院に急ぐ。


しかし時既に遅し。運び込まれたマーティンの死体やモルグに
安置された解剖途中の死体が次々に起きあがって、
医者や電話交換手を襲い始めたのだ。乳房を、肉体を、
ズタズタに引き裂かれて内臓を喰い千切られる犠牲者達。
病院は阿鼻叫喚の地獄と化した。

そんな中、妹エドナに会いにフロアーに出たケイティも
マーティンに襲われ命を落とした。そして更には
姉に襲われたエドナまでもが・・・。
ジョージが病院に到着して炎を使って死者達を退治し
やっとの思い出エドナの病室に辿り着いた時、
既に彼女も怪物と化していた。やり切れない思いで
エドナを穂の炎の中に突き飛ばすジョージ。
彼女は業火の中で、まるで助けを求めるかのようにジョージに
向けて腕を伸ばし、哀しげに燃え落ち崩れていった。




信じられない表情のジョージ。その瞬間、彼の背中に銃弾が
撃ち込まれた。病院に到着したマコーミック警部が彼に発砲したのだ。
何度もジョージの体に撃ち込まれる弾丸・・・力つきた彼は床に
崩れ落ちた。警部はジョージに捨てぜりふを吐くと現場を立ち去る。


翌日、部屋に帰ってきたマコーミック警部の元に、死んだ筈の
ジョージが現れる。ショックを受け、動けなくなった警部の首を
締め上げるジョージ・・・。今日も超音波害虫駆除マシーンは
郊外で耳障りな音を立てて動き続けている・・・。

 

 

<解説>

日本ではアンディ・ウォホールの監督作として宣伝された
「悪魔のはらわた」(73)、トビー・フーパーの監督デビュー作
「悪魔のいけにえ」(74)に続いて、<悪魔シリーズ>の第3弾として
75年に公開された「悪魔の墓場」は、本来スペイン=イタリア合作で
ありながら、まるでイギリス映画であるかのように宣伝され、
かつてはアイドル・スターだったレイモンド・ラブロックの
久々の主演作ということもあって注目を浴びた作品である。


この映画はジョージ・A・ロメロが68年に撮った
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の影響を
強く受けているとされるが、最もそれが顕著に出ているのが
主人公が誤解を受けたまま射殺されてしまう
クライマックスだろう。「ナイト・・・」と同様に、
この映画のヒロインも蘇ってきた身内に襲われ
命を奪われてしまう。絶望と混乱の中で若い主人公は
助けを求めるまもなく、理解を示さない大人達によって
その命を絶たれる。60年代に作られた「ナイト・・・」の背景には
敵も味方もなくなってしまたった泥沼のベトナム戦争が
あったとされるが、「悪魔の墓場」はその辺の批判精神をも
パクっており、70年代という時代がらスモッグや公害、
超音波害虫駆除機など、文明が生み出した様々な
弊害によって死者が蘇り、生者に自然からの怒りの
鉄槌を下す、といった内容になっている。

もっともスペインのホラー映画は、割合に
この種の文明批判をテーマに持ってくるケースが多く、
1975年にナルシソ・イバネス・セラドールが監督した
「ザ・チャイルド」でも、事件の背景には(暗示的に)
歴史に虐待されてきた子供達の姿があった。



一時期、TV番組の解説でジョージ・ロメロと
グロウの事を取り違えた記述が広がった事があったが、
ロメロには(良くも悪くも)こんな映画は撮れないだろう。


キャストに関しては、この種の映画にしては珍しく
渋めの俳優がクレジットされており、頭の固い警部を
演じたアーサー・ケネディの個性が一番光っている。

主役の青年を演じるのはイタリアで唯一<この時代>を
表現できる俳優として人気があったレイモンド・ラブロック。
それまでは「ガラスの部屋」(69)や「ダーリング」(65)など
青春物が似合うアイドル・スターだったのに、70年に入って
「火の森」に出てからは、屈折した役柄もこなすようになった。
オートバイでどこへでも行く、自由気ままな生活を送る
青年の役は「火の森」や、U・レンツィが監督した
「ガラスの旅」(71)に一脈通じる物を持ったキャラクターだろう。
父親がイギリス人というだけあって?この映画で話す
イギリス訛の入ったセリフも仲々似合っている。

不幸なヒロインを演じる
クリスティーネ・ガルボ
「象牙色のアイドル」(69)や、「新・青い体験」(75)に
出ていたスペインの若手女優。彼女が出演する映画では
常に映画の途中で死んでしまったり、不幸な目に遭う
役柄が多かったが、何となくそれを納得させてしまう
幸薄そうなルックスが印象に残る不思議な女優さんだ。

 

田園地帯の緑が美しい風景や、重みのあるレンガの建物、
それに裏びれた共同墓地などを利用して、巧みに不気味な
ムードを盛り上げる(ただしロケーション撮影の殆どは
イギリスではなく、スペインで行われたようだが)
フランシスコ・センペレのキャメラを始め、
この映画ではスペイン映画独特のスタイルが、非常に上手く
イギリス特有の怪奇なスタイルと融合、一瞬、英語圏の映画と
見間違ってしまうような作品に仕上がっている点にも注目したい。
(プロデューサー、エドモンド・アマティの手腕なのだろうか?)


「エクソシスト3(W・P・ブラッツィの監督作ではなく、
イタリア映画の方)」等で知られるジュリアーノ・ソルジーニが
担当した音楽は、主に気味の悪い効果音を使用したスコアで、
暗い画面とマッチして最大の効果を上げている。
ルチオ・フルチの「地獄の門」とのカップリングで
CDも発売されているので、購入された方もいるだろう。


恐らく今後もファンに愛され続けるであろう
ユーロ・ゾンビ映画の傑作である。

 

<バージョン違いについて>

かつてBBFC(映倫のような基準)が施行されていなかった頃の
イギリスで発売された「The Living Dead at the Manchester
Morgue」版のビデオには、日本版からカットされてしまった
オープニング・シーンが若干長めに収録されている。

レイモンド・ラブロックがバイクに乗って骨董品屋を後にする
場面に続いて、ロンドン(らしき?)の町並みや、
スモッグを嫌ってマフラーを鼻まで引き上げて巻いている
通行人、信号待ちの人々などが写し出される。

日本版のビデオはこの部分が抜けていて、すぐストリーキング女が
走ってくる編集になっている(音楽も途切れている感じだ)。
残虐描写については日本版以上の追加ショットはなし。

フランス版、スペイン版はまだ未確認だが、これ以上のゴア場面は
もしかしたらないのかも。詳しいことが分かり次第またUPします。

 

同じホルヘ・グロウ監督の
「悪魔の入浴・死霊の行水」(72)を見る