ルチオ・フルチB
−果てしない虐殺の旅路−


「サンゲリア」の世界的ヒットにより、フルチの元には
ホラー映画の企画が大量に持ち込まれるようになった。
それらが所詮シリアスには取られない種類の映画で
あることを踏まえた上で、当時のフルチは職人監督と
してのテクニックを各々の作品に最大限投入していた
ように思われる。
「地獄の門」(80)、「ビヨンド」(81)
「ザ・リッパー」(82)と立て続けに発表された強烈な
残虐描写を満載した作品群は、毎回過剰なまでに
暴力的な内容と、ストーリー無視の展開によって

ホラー映画のファン達の間で数少ない好き者の
フォロアーを生み、同時に大半の人々に拒絶反応の
嵐を巻き起こした。

しかし年代が下がるに従って、フルチ自身、自分をホラー専門の
監督と見なし始めてしまったのか、ただやたらに血糊ばかりが
目立つお粗末な内容の作品が増えてくる。また時代柄、映画界が
ゴア描写を規制する方向に向かい、指針を失ったフルチの映画は
80年代中頃から異様な様相を呈してくる。

当時、健康状態も優れなかった事もあって、撮影半ばにしてB・マッティに
監督が交代した
「サンゲリア2」(87)、同じ年の「怒霊界エニグマ」(87)、
ハチャメチャな残虐描写が山盛りの
「タッチ・オブ・デス」(88)、
フルチ自身がオカルト殺人事件を調査する警部に扮した
「新・デモンズ」
やはりフルチ自身を題材に取ったような、悩める映画監督が主人公の
「ナイトメア・コンサート」(共に90年)辺りの作品は、どれも相当<狂った>
映画ばかりで、それ以外のTV物や低予算映画は目も当てられないような
ゴミばかりだった。


アルファ・チネマトグラフィカの製作で、TV用に製作された
「ゴーストキラー」「ホラーハウス」はフルチ曰く「低予算の小傑作」
だそうだが、この2本の前後にダルダノ・サケッティが脚本を書いた
「EVIL MESSENGER」という作品をフルチが監督する企画があった。
この作品も当初エンゾ・G・カステラーリに監督依頼があったのを
予算の関係で製作が棚上げになっていた作品だった。
結局アルファとの契約で、この映画はフルチの幻の作品となった。

またフルチがアイデアを出し、ダルダノ・サシェッティが脚本を書いた
「EVIL COMES BACK」も一時期製作が進んでいたが、フルチが別作品に
関わっている間にサシェッティが超大作「デモンズ」に引っ張られてしまい、
結局、企画は流れてしまった。その後(フルチに無断で?)ランベルト・
バーヴァが「アンティル・デス」として映画化し、サシェッティとフルチの関係は
完全に壊れてしまった。出来上がった「アンティル・デス」は散々な出来に
なったのは言うまでもない(バーヴァの「ブラストファイター」も最初はフルチが
監督するはずだった作品なのが知られている。)

フルチは基本的には監督業がメインの人だったが、幾つかの作品に
別の役職で関わっており、例えば「愛と青春の旅立ち」「炎の少女チャーリー」の
デイビッド・キースが監督した
「デッド・ウォーター」(87)では特殊効果を、
ジュセッペ・パトリーニ・グリッフィの
「スキャンダル/愛の罠」(85)では
脚本を担当している。

その他、フルチは自分の作品に俳優としてチョイ役で出演しており、
これはヒッチコックのような<お楽しみ出演>ではなく、エキストラの
出演費を削減する為の苦肉の策であったようだ。

病気を患い、映画の監督業もままならなくなった後年のフルチは
実質的には遺作になってしまった
「ヘルクラッシュ:地獄の霊柩車(V)」(91)の
前後には実際かなり生活に困っていたという話もあり、「ローマ郊外にある
雨漏りするようなあばら屋に住んでいた」とか、「フルチの居所を
探っていったら、あるアパートに辿り着いたが、フルチはそこの
オーナーが所収していた家具を勝手に売り払ってドロンした後だった」
などなど、寒い噂が絶えなかった。
長年、犬猿の仲にあったアルジェントが
「肉の蝋人形」
フルチの(特に生活?の)ために製作する、と申し出たときは
さすがのフルチ氏も大変に喜び、心からアルジェントに感謝していたそうだ。

ご存知の通り、1996年3月14日、糖尿病から来る合併症の発作により、
結果的には製作半ばにして突然フルチはこの世を去ってしまい、
(これには奇妙な噂があり、糖尿病の治療のために毎晩必ずインシュリンを
自ら注射してからベッドに入る習慣があったフルチが、その晩に限って
なぜか注射をしないまま眠ってしまったのだという。一部では自殺の
可能性も考えられているようだが、真相の程は明らかではない。)
映画自体はSFXマン、セルジョ・スティヴァレッティの監督で完成されたが
出来上がった映画は残念ながら、フルチのタッチとは全く異質の作品だった。


フルチの死は主要なメディアからは完全に無視されてしまったが、
彼の死を機に、世界中でフルチ映画の再評価が始まった形になっており、
今やすっかり企業家になってしまったQ・タランティーノや、映画俳優
S・スタローンの息子セージ、映画監督のウィリアム・ラスティグらが
アメリカでフルチの映画を劇場公開、あるいはビデオ/LDで発売する
大それた計画を続々と実行に移している。

フルチの残した作品、特に後半の映画は殆ど日本でビデオ化されている。
巨匠、と呼んでしまうには勿体ない、この変人監督のキャリアを
ビデオ屋から借りてきたソフトで追ってみるのも、また面白いと思う。
(因みにフルチとこのHPの作者は同じ誕生日。ううう・・・。)


<監督としてのフィルモグラフィー>
19801991

 

地獄の門」(1980) 
CITY OF THE LIVING DEAD
aka:Paura nella citta dei morti viventi, Gates of Hell,
Fear in the City of the Living Dead, Twilight of the Dead,
Miedo en la Ciudad de los Muertos Vivientos,
Ein Zombie Ling am Glockenseil,
Eintoter Hing am Glockenseil, Blood Orgy, Frayeurs

監督:ルチオ・フルチ/製作:ファブリッツィオ・デ・アンジェリス/
脚本:ルチオ・フルチ、ダルダノ・サチェッティ/撮影:セルジョ・サルヴァーティ
音楽:ファビオ・フィルッツィ/プロダクション・デザイン:ジョヴァンニ・マシーニ
衣装:マッシモ・アントネロ・ジェレング/編集:ヴィンセンゾ・トマッシ/
特殊効果:ジャネット・デ・ロッシ

出演:クリストファー・ジョージ(ピーター・ベル)、カトリオーナ・マッコール
(マリー・ウッドハウス)、カルロ・デ・メーヨ(ジェリー)、アントネッラ・インテルレンギ
(エミリー・ロビンズ)、ジョン・モーゲン[ジョヴァンニ・ランベルト・ラディーチェ](ボッブ)
ダニエレ・ドリア(ローズ・ケルヴィン)、ファブリッツィオ・ジョヴィーネ(ジョン・ロビンズ)
ミケーレ・ソアヴィ(トミー・フィッシャー)、ヴェナンティーノ・ヴェナンティーニ(ロス)
ルチアーノ・ロッシ(ウィリアム・トーマス神父)、ジャネット・アグレン(サンドラ)
ルカ・ペイズナー、エンゾ・ダウシーリオ、アデレイド・アーステ、ロバート・サンプソン
ルチオ・フルチ(ジョー・サンプソン医師)

*「サンゲリア」に続いてフルチが放った本格的ゴア映画。
美女の口から吐き出される内臓、電動ドリルの頭部貫通、
掴み出される脳味噌や吹き出る大量の血ノリ・・・。
その<鬼のようにグロい>描写は早くからファンの間で話題になり、
日本でも早くから海賊ビデオが出回った話題作。

神父の自殺という背徳行為によって、呪われた地ダンウィッチでは
<地獄の門>が開かれようとしていた。事件を知った記者(C・ジョージ)と
女霊媒師(C・マッコール)は彼の地へ赴くが・・・。
ストーリーは2の次で、現在何が起きているのかすら良く分からないまま
強烈なイメージの連鎖で90分を見せ切る展開は「ビヨンド」と並ぶ構成だが、
こちらは若干勢いに欠ける感じ。

ビデオ中心に知名度をUPさせたフルチだが、「地獄の門」は
「イタリアン・フィルム・コレクション」と銘打たれた特別上映で、
オリジナル完全版が特別に劇場公開(配給マウントライト)されている。

意味不明のエンディング(少年が走ってきると画面がフリーズし、
悲鳴と共にひび割れる)は編集室で、エディターに提案されたラストを
フルチがその場で採用したもの。

 

 

野獣死すべし(V)」(1980)
CONTRABAND
aka:Luca il contrabbandiere, The Napels Connections
The Smuggler, Luke The Smuggler, Luca Le Contrebandier
La Guerre Des Gangs, Das Syndikat des Gravens,
Luca El Contrabandista, Mean Blood, Vicious

監督:ルチオ・フルチ/製作:サンドラ・インファスチェリ/製作総指揮:エットーレ・サンゾ
脚本:ジャンニ・デ・チアーラ、ジョルジョ・マリウッゾ、ルチオ・フルチ/
撮影:セルジョ・サルヴァーティ/音楽:ファビオ・フィリッツィ

出演:ファビオ・テスティ(ルーカ・デ・アンジェロ)、マルチェル・ボズッフィ
(フランシス・ジャック<マリシグリース>)、イヴァ−ナ・モンティ
(アデーレ・ディ・アンジェロ)、グイド・アルベルティ(ドン・モローネ)
サヴェリオ・マルコーニ(ペランテ)、ヴェナンティーノ・ヴェナンティーニ(タランティーニ)
アジータ・ウィルソン(ルイ−ザ)、オフェリア・メイヤー(イングリッド)、
ロマーノ・プッポ(サグ)、ジョルダーナ・ファルゾーニ(チャーリー)
ダニエレ・ドゥブリーノ(検事助手)、アルベルティ・ジュイッコ、
ファブリッツィオ・ジョヴィーネ(ファンクッチョ・ディ・アンジェロ?:ルーカの息子)
エンリコ・マイサート、ジュリオ・ファルネーゼ(ミッキー・ディ・アンジェロ:ルーカの兄)
フェルナンド・ムローロ(シェリーノ)、ルチオ・フルチ(ドン・モローネの刺客)

*フルチが監督したマフィアもの。煙草の密輸組織の拠点である港町ナポリで、
縄張りの拡張をもくろむ組織に兄を殺された密輸業者の男(F・テスティ)が
血みどろの復讐に立ち上がる。

さすがにゴア映画にハマっていた80年代前半の作品らしく、
激しい銃撃戦や、顔をバーナーで焼かれる運び屋の女性、被爆した死体などが
続々登場。知名度が低いタイトルだが、ファンにはマストアイテム。

主演はイタリアの伊達男ファビオ・テスティと、フランスの性格俳優M・ボズッフィ。

 

ビヨンド(V)」(1981)
THE BEYOND/L'ALDILA (The Afterlife)
SEVEN DOORS OF DEATH
(米題:フルチはルイス・フラー名義)
aka: E tu vivrai nel terrore - L'aldila
(And you will live in terror...the Beyond),
Die Geisterstadt der Zombies, Uber Dem Jenseits,
Hotel Der Verdoemden, As Sete Portas do Inferno, El Mas Alla

監督:ルチオ・フルチ/製作:ファブリッツィオ・デ・アンジェリス/
脚本:ルチオ・フルチ、ジョルジョ・マウリッツィオ、ダルダノ・サチェッティ/
撮影:セルジョ・サルヴァーティ/音楽:ファビオ・フィリッツィ/衣装デザイン:
マッシモ・レンティーニ/編集:ヴィンセンゾ・トマッシ/特殊効果:ジャネット・デ・ロッシ

出演:デイビッド・ウォーベック(ジョン・マッキャベ医師)、カトリオーナ・マッコール
(ライザ・メリル)、サラ・ケラー[ チンジア・モンリエーレ ](エミリー)、
アントニー・セイント=ジョン(シュワイク:画家)、ヴェロニカ・ラッザール(マーサ)、
アンソニー・フィールズ(ラリー)、ジョヴァンニ・デ・ナーヴァ(ジョー:配管工)、
アル・クライヴァー[ ピエール・ルイジ・コンツィ ](ハリス医師)、ミケーレ・
ミラヴィーレ(マーティン・アヴェリー:建築家)、ジャンパオロ・サッカローラ
(アーサー)、マリア・ピア・マルサーラ(ジル)、ラウラ・デ・マーチ(メリー・アン)、
ルチオ・フルチ(司書)

*最近、海外でニュープリのLD/DVDがリリースされた傑作。
確固たるストーリーはないが、陰惨なイメージの連鎖で90分を
見せ切ってしまう、この当時のフルチの演出力は本当に凄い。
主演はD・ウォーベック、C・マッコール。「サンゲリア」の
A・クレヴァーと、「インフェルノ」のV・ラザールも出ている。

 

恐怖!黒猫(V)」(1981)
BLACK CAT (Il GATTO NERO)
aka:La Chat Noir, Il Gatto Nero di Park Lane
(Black Cat of Park Lane), Musta Kissa, Le Griffes de la Terreur,
Het Mysterie Van de Zwarte Kat, O Gato Preto, El Gato Negro

監督:ルチオ・フルチ/製作:エンニオ・オノラーティ、アントニオ・ダ・パドーヴァ/
脚本:ルチオ・フルチ、ビアッジョ・プロイエッティ/原作:エドガー・アラン・ポー/
撮影:セルジョ・サルヴァーティ/音楽:ピノ・ドナッジョ/編集:ヴィンセンゾ・トマッシ

出演:デイビッド・ウォーベック(ゴーレイ警部)、ミムジー・ファーマー(ジル・
トレヴァーズ)、アル・クレイヴァー[ ピエール・ルイジ・コンツィ ](ウィルソン巡査)、
ジェフリー・コプレストン(フリン警部)、ダニエレ・ドリア(モーリーン)、
ダグマール・ラッセンダール(リリアン)、パトリック・マッギー(ロバート・マイルズ教授)、
ブルーノ・コラッツァーリ(ファーガソン:酔っぱらい)

*「ビヨンド」同様、今回はE・A・ポーの著作をモチーフに、
様々な恐怖のイメージを描いた場面が登場する。
レア物ばかりリリースすることで有名なクラリオンから
字幕付きのビデオが発売されていた作品だが、
残念ながら日本版はTVサイズにトリミング済み。

故に画面が見辛く、キャメラのS・サルヴァーティが
作り出した雰囲気のある画面が十分に効果を発揮していない。

本来の画面サイズのままのイタリア版ビデオを見ると
印象が全く違い、より不気味なムードが強調されている。
この作品を日本版だけで切り捨ててしまうのは間違いである。

 大まかなストーリーは、ロンドンの静かな村に住む心霊研究家
(「時計じかけのオレンジ」のP・マッギー)が、飼っている黒猫の
魔力に操られ、奇妙な殺人に荷担させられる内容で、
それを調査するイギリス人の警部が「ビヨンド」のD・ウォーベック、
彼に協力する女記者のヒロインに「4匹の蠅」のM・ファーマーという配置。
ラストは原作と同じく壁に塗り込められたヒロインが、猫の鳴き声を
聞きつけた警察によって救助されるという展開を迎える。

 撮影中のエピソードとして、クレーンカメラを地下室に入れた
クライマックスシーンで、撮影に熱が入りすぎたフルチ(猫の声を
真似てウォーベックをファーマーの元へ導くショットを撮っていた)が、
高さの引き尻りに気付かず、天井をクレーンで磨ってしまった
事件があったそうだ。
 また、ボートに乗った母親(D・ラッセンダール)が行方不明になった
娘(フルチ映画の殺され専門女優D・ドリア)を探して回るシーンで、
レンタルの予算をケチった為に、ボートが重量オーヴァーで火を噴き、
川にブクブクと沈み始めた事もあった。ラッセンダールはパニックに陥って
ウォーベックにしがみついて絶叫しまくりだったとか。

 音楽を担当するのはデ・パルマ映画群で有名なP・ドナッジョ。
手持ちキャメラが多い、グラグラした画面にドナッジョ特有の
叫ぶような安いバイオリン・スコアがかかりまくる演出も
ちょっと異様。何度も書くが、物語を追うより、
あくまで雰囲気を楽しむべき1本。


 見せ場として今回用意されているゴア・シーンは、
ボート小屋に閉じこめられたD・ドリアとそのBFが、
腐乱死体になってネズミに目を食われている場面、
猫に追いつめられた酔っぱらいが、バランスを崩して
鉄パイプに体を串刺しにされるシーン、追突事故を
起こした男が火だるまになる場面などなど。


 

墓地裏の家(V)」(1981)
THE HOUSE BY THE CEMETERY
QUELLA VILLA ACCANTO AL CIMITERO

*映画としてはやや地味な感じだが、80年前半の

フルチの代表作。C・マッコールとP・マルコが越してきた
ボストンの屋敷には人体実験を繰り返したフロイトシュテイン博士が
ゾンビとなって潜んでいた。次々に繰り広げられる血の祭りを
冴えたキャメラワークでとらえた佳作。
アニア・ピエロニ、ダグマー・ラッセンダールも出演。

不思議な亡霊少女メイを演じた、シルヴィア・コラッティーナは
「マーダーロック」の車椅子少女や、「パニック・アリゲーター」
の子役でお馴染み。5歳から仕事を続けていた彼女も現在は29歳。
夫マークとの間に可愛らしい娘アリスをもうけ、ローマに住んでいる。
本作の撮影当時は9歳で、同じく8歳の共演者ジョヴァンニ・フレッザを
現場で良く苛めたそうである。ええ話やね。

 

ザ・リッパー(V)」(1982)
NEW YORK RIPPER
LO SQUARTATORE DI NEW YORK
aka:Ripper, Ripper of New York,
El Descuartizador de Nueva York (New York Avenger),
L'Eventreur de New York, De Doder Van New York,
Blodig Voldtaegt, Der New York Ripper,
De Slachter van New York, El Destripador de Nueva York

監督:ルチオ・フルチ/製作:ファブリッツィオ・デ・アンジェリス/
脚本:ジャンフランコ・クレリッチ、ルチオ・フルチ、ヴィンセンゾ・マンニーノ、
ダルダノ・サチェッティ/撮影:ルイジ・クヴェイレル/
音楽:フランチェスコ・デ・マージ/プロダクション・デザイン&衣装:
マッシモ・レンティーニ/編集:ヴィンセンゾ・トマッシ

出演:ジャック・ヘドリー(フレッド・ウィリアムズ警部)、アルマンテ・ケレール
[アントネッラ・インテルレンギ](フェイ・メイジャーズ)、ハワード・ロス
[レナート・ロッシーニ](ミッキー・シェランダ:ギリシャ人)、アンドリュー・ペインター
[アンドレア・オッチピンティ](ピーター・バンチ)、アレクサンドラ・デリ・コッリ
(ジェーン・フォレスター・ロッジ)、パオロ・マルコ(精神分析医ポール・デイビス)、
チンジア・デ・ポンティ(フェリーの犠牲者:ロージー)、ローレンス・ウェルズ
[コジモ・シニエッリ](ロッジ医師)、ダニエラ・ドリア(売春婦キッティ)、
バベッテ・ミュー(ワイズバーガー夫人)、ゾラ・ケローヴァ(本番ショー小屋の
犠牲者:エヴァ)、ポール・E・ガスキン、アントン・ケーガン、ジョシュ・クルーズ、
マーシャ・マクブライド、リタ・シルヴァ(本番ショーの踊り子)、ジョルダーノ・
ファルッツォーニ(バリー・ジョーンズ医師)、ルチオ・フルチ(警察署長)、
バーバラ・キュピスピー、マーティン・ソレンティーノ、ヴィオレッタ・ジェーン、
チェザーレ・デ・ヴィート、エリサ・チェルヴィ、チアーラ・フェラーリ

*フルチがNYにロケした血みどろスラッシャー物。
鋭い刃物で次々と女性を襲ってはバラバラに切り裂く
異常者と、事件を捜査するやさぐれ警部の対決は

なかなかの見物。もう一つの見どころが犠牲者役に扮した
女優の顔ぶれで、冒頭からフェリーで殺される尻軽娘役で
「死神ジョーズ」のチンシア・デ・ポンティ、ストリップ小屋では
ゾラ・ケローヴァ(「猟奇!食人鬼の島」)が登場、見知らぬ男との
行きずりの情事に溺れるお色気妻に「Dr.ブッチャー」の
アレッサンドラ・デリ・コッリ、そして剃刀で眼球を真っ二つに
切り裂かれる売春婦役にお馴染みダニエラ・ドリアがそれぞれ扮する。

更に事件を報道する新聞をスタンドで買うカップルの女役で
「アクエリアス」以前のバーバラ・キュピスピーが、また
ストリップ小屋のお姉さん役で、「妖艶妃クレオパトラ」など、
イタリアン・エロティック映画の有名女優リタ・シルヴァが
顔を見せているのも注目。

殺人鬼に狙われながらも単身捜査に乗り出し、
意外な犯人を探り出すヒロインには「地獄の門」の
アントネッラ・インテルレンギが扮し、そのBF役には
「暗闇の殺意」のアンドレア・オッチピンティがクレジットされている。
「墓地裏の家」の旦那さま、パオロ・マルコが(いかにもNYっぽい)
ホモの心理学者を演じるほか、「マンハッタン・ベイビー」の
コジモ・シニエッリ(性的不能の医者役)と、ハワード・ロス
(異常性欲者のギリシャ人)の不気味な存在感も味わい深い。

アクション映画を得意とするフランチェスコ・デ・マージの
音楽も、安っぽい刑事ドラマ風で楽しい。


同じ脚本を使ってルッジェロ・デオダートが「ヘルバランス」を
撮った逸話は有名だが、両者を比較すると、「リッパー」の方は
殺人事件の引き金になる<不治の病>というモチーフの使い方が

やや唐突で、伏線の役割を果たしていない難点がある。
・・・が、フルチの監督作であるこの映画を喜んで見る人達は
そんなことをいちいち考えてはいないだろう。

血みどろ描写は一々書く必要がないくらい派手で、数も満載である。

 

 

マンハッタンベイビー(V)」(1983) 
MANHATTAN BABY
L' OCCHIO DEL MALE (Eye of the Evil Dead)
MANHATTAN BABY
a.k.a. Possessed, La Malediction du Pharoan,
Das Amulet Des Bosen, Paha Silma

監督:ルチオ・フルチ/製作:ファブリッツィオ・デ・アンジェリス/
脚本:エリサ・リヴィア・ブリガンティ、ダルダノ・サシェッティ、
ルチオ・フルチ/撮影:ググリエルモ・マンコーリ/
音楽:ファビオ・フィリッツィ(実際に書いたのはヴィンス・テンペーラ?)

出演:クリストファー・コネリー(ジョージ・ハッカー教授)、ブリギッタ・
ボッコリ(スーザン・ハッカー)、チンジア・デ・ポンティ(ベビー・シッター:
ジェミー・リー)、ジョヴァンニ・フレッザ(トミー・ハッカー)、
ルチオ・フルチ(医者)、ローレンス・ウェルズ[ コジモ・シニエーリ]
(古美術商:エイドリアン・メルカート)、マーサ・テイラー(エミリー・ハッカー)、
カルロ・デ・メーヨ(スーザンの同僚の編集者:ルーク)、ヴィンチェンゾ・
ベランキ、マリオ・モレッティ、アンドレア・ボシック


*大映同時リリース3部作の1本。他の作品と違い、
デ・アンジェリスの強い要望により、わざわざエジプトロケを敢行、
結果的に予算が不足してしまい、映画の内容が
不明瞭になってしまった作品。だが、「ポルターガイスト」を筆頭に
様々なパクリ場面が登場、それ以外にもオリジナルの面白いシーンが
随所に散りばめられていていて退屈はしない仕上がり。

主演のクリストファー・コネリーは往年のファミリー向けTVドラマの
若者役が有名な俳優(番組名を失念。)その後、ファブリッツィオ・デ・
アンジェリスの製作で「コブラミッション」等のアクション映画にも
何本か出演している。

トミー少年役のジョヴァンニ・フレッザは「墓地裏の家」と
この作品以外にも、「デモンズ」のエンディングに登場する一家の
ミリタリー少年役、エンゾ・G・カステラーリの「マッド・ファイター」の
メカ少年役、「暗闇の殺意」では殺人事件の鍵となる劇中劇の
登場人物(犯人役?)を演じていた子役。今は何をしているのだろう?
悪魔のメダリオンの魔力で、妙な死に方をする犠牲者役で、
「リッパー」のチンジア・デ・ポンティ、「地獄の門」のカルロ・デ・メイヨが
出演している。

この作品の音楽に関して、フルチが面白いことを言っており、
クレジットではファビオ・フィリッツィとなっているスコアを書いたのは、
実はヴィンス・テンペーラらしい。ネームヴァリューの関係で
クレジットを奪われたようだが、フィリッツィとテンペラ(それと
フランコ・ビクシオ)は長年のコンビのようなので、単なる名義の
問題なのかもしれない。劇中には「サンゲリア」のスコアも流用されている。

 

 

SFコンクエスト:魔界の制圧(V)」(1983) 
CONQUEST
aka:LA CONQUISTA DE LA TIERRA PERDIDA

監督:ルチオ・フルチ/製作:ジョヴァンニ・ディ・クレメンテ/
原案・脚本:ジョヴァンニ・ディ・クレメンテ、ジーノ・カッポーネ、
ジョゼ−アントニオ・デ・ラローマ、カルルス・ヴァサーロ、
ルチオ・フルチ/撮影:アレハンドロ・ウローア/
音楽:クラウディオ・シモネッティ

出演:アンドレア・オッチピィンティ(イリアス)、ジョルジ・リヴェロ(メイス)、
サブリア・シアーニ(オクロン)、ジョイア・マリア・スコーラ、
ヴィオレンタ・セーラ、マリア・エスコーラ、コンラッド・サン・マルティン、
ロベルト・グラス

*イタリア=スペイン=メキシコ合作。
80年代前半に世界的なブームになったファンタジー・
アクションを先取りする企画だった筈が、様々なトラブルで
製作が遅れ、すっかり時代遅れになってしまった問題作。

マッチョなヒーローを演じるJ・リヴェロは、メキシコの人気俳優だったので
ご当地ではヒットしたとか。中盤で死んでしまう、
もう一人の美青年系ヒーローは「暗闇の殺意」「ザ・リッパー」
「ボレロ:愛欲の日々(主演:ボー・デレク!!)」の
アンドレア・オッチピンティ (アンドリュー・ペインター)。
イタリアン娯楽映画のヌード女王、サブリア・シアーニが
全編顔を仮面を被ったまま、太陽神オクロンに扮しているのも見もの。

キャメラマンを担当したアレハンドロ・ウローアもメキシコ人で、

フルチと彼は今までにない独創的な画面を作ろうと奮闘、
全編スリガラスをかませたような度の強いソフトフォーカスを多用し、
更に全体に濃い霧を漂わせた冒険的な画面を作り上げたが
一般の評価は「見辛いだけ」という冷淡なものだった。

音楽をゴブリンのクラウディオ・シモネッティが担当しているが、
フルチはこの映画を監督している時には、一度もシモネッティと
顔をあわせておらず、どうもやっつけ仕事っぽい雰囲気だ。

 

未来帝国ローマ(V)」(1983) 
ROME 2033 A.D.:THE FIGHTER CENTURIONS
ROMA 2033 A.D.: ICENTURIONI DEL FUTURO
aka: New Gladiators, I Guerrieri dell anno 2072,
Fighting Centurions, Warriors of the Year 2072,
Rome 2033-Fighting Centurions,
Roma Ano 2072 D.C.-Los Gladiadores

監督:ルチオ・フルチ/製作:エドモンド・アマティ/
原案・脚本:エリサ・(リヴィア)・ブリガンティ、ダルダノ・サケッティ
ルチオ・フルチ、チェザーレ・フルゴーニ/撮影:ジュセッペ・ピノーリ、
アルド・トーニ/音楽:リズ・オルトラーニ

出演:クラウディオ・カッシネリ(コルテズ)、アル・クリヴァー
[ ピエール・ルイジ・コンツィ ] (剣闘士)、ハワード・ロス
[ レナート・ロッシーニ ](レイヴァン)、エレオノーラ・ブリガドーリ(サラ)、
ジャレッド・マーティン(ドレイク)、フレッド・ウィリアムソン(アブドゥル)、
ハルヒコ・ヤマノウチ(アジア人の剣闘士)、マリオ・ノヴェーリ、
ドナルド・オブライエン(僧侶)

*TVシリーズ「エイリアン(別題:「新・宇宙戦争」?)」や、
「ナイトライダー5/強敵!赤い殺人カー」(84)に出演していた
ジャレッド・マーティンを主演に迎えた近未来アクション。


平和な生活に退屈し切った未来の住人達の為に、
囚人同士を戦わせるTV番組を企画する悪人コルテズの
罠にはまって殺人ゲームに参加することになってしまった
ヒーロー(しかし演じるのはダサダサオヤジのJ・マーティン)が倒し、
その背後に隠された巨大な陰謀を暴くまで。

イタリアのロートル職人が集結して仕上げた、ダンボール箱のビル群に
豆電球のライトがつけたような余りに安すぎる特撮は、好きな人には
たまらない出来だとか。
オープニングで被さるR・オルトラーニの音楽も
いくら何でもありな80年代とは言え・・・二の句がつげない出来。
TVで放映された時は「ローマ2072年・虐殺のグラディエーター」、
あるいは「ローマ2072年・恐怖のグラディエーター」という題名で
オンエアされている。

「サンゲリア」でお馴染みアル・クライヴァーと、ブラック・
エクスプロイテーション映画のスター、フレッド・ウィリアムソン
(「フロム・ダスク・ティル・ドーン」に出演)、イタリア・アクション御用達の
アジア系俳優、ハルヒコ・ヤマノウチ(別名:アル・ヤマノウチ)らが
顔を揃えた<グラディエーター>の面々が最大の見どころか?
<Dr.ブッチャー>ことドナルド・オブライエン、「片腕サイボーグ」の
ヘリ事故で死亡したクラウディオ・カッシネリら、芸達者も出演している。

 

 

マーダロック(デビルズ・ダンシング)(V/TV)」(1984)
MURDEROCK (MURDER ROCK)
aka:Murderock - Uccide a Passo di Danza
(Murderock kills at Dance Pace)
Giallo a Disco, Murder Rock - Dancing Death

監督:ルチオ・フルチ/製作:アウグスト・カミニート/
脚本:ジャンフランコ・クレリッチ、ヴィンセンゾ・マンニーノ、ルチオ・フルチ/
撮影:ジュセッペ・ピノーリ/音楽:キース・エマーソン

出演:クラウディオ・カッシネリ(ディック)、オルガ・カルラトス(キャンディス)
レイ(モンド)・ラブロック(ウェッブ)、ジャンナ・ライアン(マギー)、
コジモ・シニエーリ(警部)、クリスチャン・バーロメオ、ロベルト・グリゴロフ、
アル・クリヴァー[ピエール・ルイジ・コンツィ]、ルチオ・フルチ(プロデューサー)

*「サンゲリア」のO・カルラトスをヒロインに、
NYのショービズ界に起きた猟奇連続殺人を描いた1本。
製作は「ヴァンパイア・イン・ベニス」の監督、A・カミニート。
残虐描写が意図的に自主規制したぶん、キャメラ・ワークや

演出が工夫され、結果的には見応えある内容になっている。
音楽には元ELPのキース・エマーソンを起用、

「ザ・リッパー」以来のNYロケも敢行した力作だ。

フルチのジャーロ映画ではヒロインが夢や超能力を持って
事件を解決する話が多いが、今回もヒロインの見る夢が
事件を解く鍵(そんなたいそうなものではないが)として
用いられている。

共演は「Dr.モリスの島/フィッシュマン」のC・カッシネリと、
往年の美青年レイモンド・ラブロック(「悪魔の墓場」)。
脇を固める若手俳優に面白いメンツが揃っていて、
「シャドー」「真夜中の狂気」のC・バーロメオ、「アクエリアス」の
R・グリゴロフを始め、名前も良く分からないお姉さん達が大挙出演。
「ラッツ」の黒人娘チョコレート(役名に工夫なし)を演じたJ・ライアンと
コジモ・シニエッリの相変わらず気持ち悪い顔、常連アル・クリヴァー&
フルチ(美人の娘がいるCMプロデューサー役!)のクレジットなしの
特別出演もお見のがしなく。

 

イノセント・ドール 虜」(1986〜87)
DANGEROUS OBSESSION
aka:Devil's Honey, Divine Obsession
La Miel del diablo, La Miele del diavolo

監督:ルチオ・フルチ/製作:フランコ・カサーティ、セルジョ・マルティネリ/
脚本:ルドヴィカ・マルティネオ、ジェイミー・イエズス・バルカザール、
ヴィンチェンゾ・サルヴィアーニ/撮影:アレハンドロ・ウルロア/
音楽:クラウディオ・ナティーリ/ヘンシュウ:ヴィンセンゾ・トマッシ

出演:ブレット・ハルセー(グイド・ドメニッチ医師)、コリンヌ・クレリー(キャロル)
ブランカ・マルシラッチ(セシリア)、ステファーノ・マディア(ガエタノ)、
パウラ・モリーナ(サンドラ)、ベルナルド・セライ(ニコラ)、ルチオ・フルチ(行商)


*スペイン=イタリア合作。しばらく仕事を干されたフルチが
久々に映画製作の現場に復帰したエロティック映画。
かつてフルチが脚本を担当した「スキャンダル:愛の罠」と
似たような内容の作品で、「オペラ座:血の喝采」のヒロイン、
C・マルシラッチの姉ブランカが印象的な使われ方をしている。
共演はB・ハルセーと、元ボンドガールのC・クレリー。

 

サンゲリア2(V)」(1987)
ZOMBI 3
aka:Zombie 3(Tre)

監督:ルチオ・フルチ/(クレジットなしで)ヴィンセント・ドーン
[ブルーノ・マッティ]/製作:フランコ・ガウレンツィ/原案・脚本:
クラウディオ・フラガッソ(クライド・アンダーソン)/
撮影:ルカルド・グラッセッティ/音楽:ステファーノ・マイネッティ

出演:アレックス・マクブライド(ボゥ)、リチャード・レイモンド(ロジャー)
ベアトリス・リング(パトリシア)、デラン・サラフィアン(ケニー)、
ウーリ・レインサラー(ナンシー)、ミケーレ・モンティ

*健康状態が優れなかったフルチが、フィリピン・ロケ
半ばにして監督から降板、後をB・マッティが引き継いで
完成させた曰く付きのゾンビ映画。実施的にフルチが撮影したのは
全体の30〜40分ぶんだったという。しかし制作側はフルチの名前を
監督としてクレジット。フルチ自身「自分が巻き込まれた中で最悪の
スキャンダル」と語っている。
本来は「サンゲリア」と同じヴードゥー教の要素を持った脚本だったのを
「バタリアン」のヒットで急遽毒ガス路線に内容を変更、毎日が描き直しの
連続で、最終脚本はほとんどパッチワーク状態だったという。

この作品、実は当初日本ロケを敢行して3D(立体映画)で撮るという
企画だったとか(製作はかのマウントライト社長:光山昌男氏)。
結局は予算が掛かりすぎると判断されて企画はボツになったようだが、
実現していれば「サンゲリア2/Zombie 3-D」という題名になったはず。
ううう、絶対見てぇ!

若手中心のキャスト中、デラン・サラフィアンは監督もこなす実力者。
同じベアトリス・リング(他にもL・バーヴァの「グレイブヤード」に出演)を
使って「インターゾーン」「エイリアン・プレデター(こっちの主演は、
リン=ホリー・ジョンソン!ブロンド好きか?)」等を発表している。
ベアトリス・リングはトニーノ・ヴァレリ監督がお金欲しさに日本からの
資本で作った吉川晃司主演の「シャタラー」にも出演している。
(同じく出る映画を選ばない「悪魔のはらわた」の女人造人間こと
ダリラ・ディ・ラッザーロ、マリーナ・スーナらも顔を出している)
「怒霊界エニグマ」のウーリ・レインサラーもクレジットされている。

 

怒霊界エニグマ(V)」(1987) 
AENIGMA

監督:ルチオ・フルチ/製作:エットーレ・スパクニョーロ/
原案・脚本:ジョルジョ・マウリッツィオ、ルチオ・フルチ/
撮影:ルイジ・チッカレーゼ/音楽:カルロ・マリア・コルディーオ

出演:ララ・ナツィンスキー(キャロル)、ジャレッド・マーティン(アンダーソン医師)
ジェニファー・ナウド(グレース)、ウーリ・レインサラー(ジェニー)、
キャシー・ワイズ(ヴァージニア)、ミエリガーナ・ジロヨヴィク(キャシー)
ソフィー・ドーラン(キム)、リカルド・アチェルビ、キャスリーン・オヒーニー、
スージー・ケンドール(クレジットなし)、ルチオ・フルチ(警部)

*「レッド・ソニア」で端役を演じ、L・バーヴァの「暗闇の殺意」では
堂々ヒロインに扮した、ララ・ナツィンスキー(ナスターシャ・キンスキーの
従姉妹)が、事故で脳死したブス少女の悪霊に取り憑かれて
残虐な殺人を巻き起こす世紀末スプラッター。
サラエボ側と共同製作で作られた異色作で、88〜89年当時、
劇場公開も予定されていたが、残念ながら実現せず。

ナツィンスキー嬢と絡む医者役で出演しているのは
「未来帝国ローマ」のJ・マーティン。
ラスティー・ダスティーというニックネームを持つ彼は、
フィラデルフィアに生まれ、65年にコロムビア大学を卒業。
何と当時のルームメイトはブライアン・デ・パルマだった!

その後、NYタイムズ誌のコピー係を経て、俳優に。
「スタークラッシュ」に参加したダニエラ・ジョルダーノによれば、
撮影当時、彼はキャロライン・マンローの旦那様でもあったとか!
ぬわに!聞き捨てならん!ということで、早速IMDbで調査。
すると、63年から連れ添ったナンシー・フィールズと
77年(スタークラッシュの年だ!)に離婚していることが判明。
彼女との間に出来た(であろう)67年生まれの息子のクリスチャンは
NBCデイトラインのプロデューサーをしているとか。

更に期日の詳細は定かではないが、キャロルという女性と
結婚していた形跡がある。怪しい・・・って、ココは探偵サイトか!
現在は2000年に結ばれたユウ・ウエイというアジア系女性と共に、
フィリピンに移住。高校の生徒を相手に映画作りの授業をしているらしい。

また、キャストの中に「歓びの毒牙」のスージー・ケンドールの
名前があるが、実際に彼女が出ているかどうかは未確認。
とことん安いが、異様にヴァラエティに富んだ、
C・M・コルディーオ担当のスコア音楽もGood!

 

タッチ・オブ・デス(V)」(1988) 
TOUCH OF DEATH
aka:Quando Alice Ruppe lo Specchio,
When Alice Broke the Mirror
Soupcons De Mort

監督:ルチオ・フルチ/製作:ルイジ・マンエリーニ、アントニオ・ルチディ/
脚本:ルチオ・フルチ、カルロ・アルベルト・アルフィエーリ
撮影:シルヴァーノ・テッシチーニ/音楽:カルロ・マリア・コルディーオ

出演:サッシャ・ダーウィン(マギー・マクドナード)、
アル・クリヴァー[ピエール・ルイジ・コンツィ](ランディ)、
ブレッド・ハルセー(レスター・パーソン)、
ウーラ・ケローヴァ(アリス)、マルコ・ディ・ステファーノ、
リア・(デ)・シモーネ(ヴァージニア・フィールド)

*いよいよ足元が危なくなってきたフルチのウルトラ・ゴア映画。
金持ちの中年女や、容姿にコンプレックスを持った女性ばかりを狙い、
彼女達に上手く取り入って金品を巻き上げた挙げ句、
惨たらしい手口で殺害していく異常者(B・ハルセー)が主人公。
彼は証拠を完璧に始末するのだが、なぜか現場には手がかりが残され、
それは自分の分身の仕業だったというオカルティックな内容。

殺され女優として登場するのは、ロミー・シュナイダーの妹!で
80年代以降のユーロトラッシュの顔となったS・ダーウィン、
イタリア製の女囚モノや、ナチ映画、エロティック作品を中心に
活躍してきた姉御リア・デ・シモーネ(「青い体験」にも出ていた)ら、
年季の入った人達ばかり。「人喰族」で乳房鈎針吊りを披露した
ゾラ・ケローヴァが顔に妙な痣をつけて怪演、ちょっと老けが
入った彼女はまるで別人のようでコワイ。
主演のB・ハルセーは、60年代から様々な作品で活躍、
マリオ・バーヴァの映画などでも主役を演じていた俳優だ。

原題の一つ、「When Alice Broke the Mirror」は
バージニア・ウルフの小説からいただいたもの。
鏡を割ると災いが起きるという意味らしい。

 

「ゴーストキラー(V)」(1988)
SODOMA'S GHOST
aka:I Fantasmi di Sodoma, Ghosts of Sodom

監督:ルチオ・フルチ/製作:ルイギ・マンネリーニ、アントニオ・ルチディ/
原案・脚本:ルチオ・フルチ、カルロ・アルベルト・アルフィエーリ
撮影:シルヴァーノ・テッシチーニ/音楽:カルロ・マリア・コルディーオ

出演:アル・クライヴァー[ピエール・ルイジ・コンツィ](泥酔したナチス)
ロバート・エーゴン(マーク)、クラウス・アリオット(ポール)、
アラン・ジョンソン(ジョン)、テレサ・ラッザウティ(メアリー)、
ギルダ・ジェラマーノ(セリーヌ)、ジェシカ・ムーア(アン)、
セバスチャン・ハリソン(ナチス)

*後期フルチ映画の中でも、かなりヤバイ出来の1本。
退廃的な享楽に耽るナチス将校たちの亡霊が彷徨う屋敷に
バカンス中の若者が迷い込み、様々な悪夢に悩まされる筋書き。
こういう映画を見ていると、後半のフルチ映画とは
恐怖を主題にしたエッセイなんじゃなかろうか?とか、
無駄に深い考察をしてしまうが、見る側でそれくらい
フォローしなければ、90分という上映時間が
丸っきり無駄になろうというもの(金返せー!)。

若者グループの一人として、ジョー・ダマートの
エロティック映画でヒロインを演じていたJ・ムーアが登場。
彼女を得たフルチが、エロにグロに手腕を発揮した1本という感じ?
日本版ビデオはイタリア語バージョン。
英語音声のバージョンもあって、そちらはコアなマニア諸氏が
一生懸命探し回っているテープだとか。


フルチお得意のドロドロ描写。

 

 

ホラーハウス(V)」(1989)
(THE) SWEET HOUSE OF HORRORS
aka:La Dolce casa degli orrori

監督:ルチオ・フルチ/脚本:ヴィンセンゾ・マンニーノ、
ジグリオーラ・バッタグリーニ、ルチオ・フルチ/撮影:ニーノ・セレステ
出演:ジャン=クリストフ・ベレティグナー(カルロ)、
チンジア・モンレアーレ(モニカ)、リーノ・サレーメ(グイド)、
ヴァーノン・ドブチェフ

*フルチがイタリアのTV局RAI用に製作したホラー映画。
余りのバイオレンスさに?暫くオンエアされなかった1本。
U・レンツィが監督した2本(海賊ビデオで見られる)を合わせ、
合計4本が製作された。この映画は内容的にはファンタジーに
分類される映画だが、顔面を文鎮で殴られた女性の眼球が
ベロン!と飛び出したりと(しかも両目とも飛び出す!!)、
TV用とは思えぬ凄まじいゴア描写が連発。

“不可能を想うとき、童心に帰りたい。不可能に届くのは
子供だけだから”というナサニエル・ホーソンの言葉が
冒頭テロップで登場。ホーソンは「緋文字」「七つの破風の有る家」で
有名なアメリカの文豪。ピューリタンで至って道徳的だが、
怪奇を愛する心の持ち主らしい。かつてホーソンの
「ラパチーニの娘」を、水木しげるが漫画化したこともあるらしい。

主演は「ビヨンド」「新・復讐の用心棒」のC・モンリエーレ。
共演に「ラッツ:恐怖の殺人ネズミ」(83)のJ・クリストフ・
ベレティグナー、「魔王」(96)「悪霊墓地カタコーム」(88)、
「コンドルマン」(81)「これがピーター・セラーズだ!/
艶笑・パリ武装娼館」(73)などに出演する個性派V・ドブチェフら。

下男グイド役のリーノ(パスクワリーノ)・サレーメは
L・バーヴァの「デモンズ」(85)で演じたパンクが記憶に残る俳優。
「デモンズ2」(86)では警備員を演じ、「新・デモンズ」(88)では
舌に釘を打たれる肉屋青年に扮した。他にも「デモンズキラー」(87)や
「グレイブヤード」(87)など、多数のジャンル出演作がある。

クロック(V)」(1989) 
(THE) HOUSE OF CLOCKS
aka:La Casa del tempo (House of Time)

監督:ルチオ・フルチ/脚本:ジャンフランコ・クレリッチ、ルチオ・フルチ、
ダニエレ・ストロッパ/撮影:ニーノ・セレステ/音楽:ヴェインセンゾ・テンペーラ
編集:アルベルト・モリス/助監督:カミラ・フルチ

出演:キース・ヴァン・ホーヴェン(トミー)、
カリーナ・ハフ(サンドラ)、ペーター・ハインツ(ポール)、
パオロ・ベルナンディ、カルラ・カッソーラ(マリア)、
アル・クライヴァー[ピエール・ルイジ・コンツィ](ピエロ)、
フランチェスカ・デローズ、マッシモ・サルキエッリ

*日本ではファンタゾーン映画祭で劇場特殊公開された作品だが、
基本的には「ホラー・ハウス」同様、TV用のホラー映画。
TV用ということで、いつもよりはゴア描写もお手軽な?雰囲気。
お話的にも時計が逆回りして死者が蘇る内容で、非常にイージーな感じ。

出演は後期フルチ映画の常連TV女優カリーナ・ハフを筆頭に、
U・レンツィの「Demoni 3 (Black Demons)」(91)に出ていた
K・V・ホーヴェン、「SFゾーン・トルーパーズ」(86)の
P・ハインツらが無軌道な若者を演じる。

老夫婦に殺されてしまう家政婦を演じるC・カッソーラは、
リリアーナ・カヴァーニ監督&ブリット・エクランド主演の
「The Cannibals」(70)に出ていた女優で、ユーロホラーでも
M・ソアヴィの「デモンズ4(ペルナース医師役)」(90)や、
「新・デモンズ」(88)のスージー役などを演じている。

 

新・デモンズ(V)」(1990)
DEMONIA
aka:Liza

監督:ルチオ・フルチ/製作:エットーレ・スパニョーロ/
脚本:ルチオ・フルチ、ピエロ・レニョーリ/撮影:ルイジ・チッカレーゼ
音楽:ジョヴァンニ・クリスティアーニ/衣装:マッシモ・ボロナーロ/
編集:オテーロ・コランゲーリ/助監督:カミラ・フルチ/特殊効果:
フランコ・ナンニーニ

出演:ブレット・ハルセー(マルコム・エヴァンズ教授)、
メグ・レジスター(ライザ・ハリス)、パスカル・ドローン(ケヴィン)、
リーノ・サレーメ(肉屋の青年トゥーリ)、クリスティーナ・
イングルハード、グラディ・トーマス・クラークソン(シャウン)、
エットーレ・コ−ミ、カルラ・カッソーラ(スージー)、
ミケーレ・アロニーニ[マイケル・J・アロニーニ名義]、
アル・クライヴァー(ポーター)、イザベラ・コラディーニ、
パオラ・コッゾ(妊娠した尼僧)、クルーナ・ロッシ、
パオラ・カラーティ、アントニオ・メリーロ、ルース・アンダーソン、
ジャングランコ・ボナヴィータ、クロリンダ・プッチ、
ケルスティン・ソダーバーグ、フランチェスコ・クシマルノ、
ルチオ・フルチ(カーター警部:クレジットなし)

*シシリア島にギリシア・ローマ文明の遺跡を発掘調査しに来た
考古学グループが、中世の悪魔尼の呪いを受けて次々非業の死を遂げる。
60年代にはセクシー吸血鬼物で一世を風靡し、80年代には
「ゾンビ3」の原案で復活し、一部のファンを驚かせた
P・レニョーリが脚本に参加したせいか、ゴア描写は異例の充実ぶり。
猫の大群が眼球をえぐり出したり、舌に釘を打ったり、
体が半分に引き裂かれたりとまさにやりたい邦題!
制約の多いTV映画と違って(それでもフルチの作品は相当血みどろだが)、
低予算ながら好きなように作れた作品(本人談)だけあって、
出来はともかく惨劇シーンの派手さでは後期フルチ映画を代表する作品。

殺される肉屋の青年役のリーノ・サレーメは「デモンズ」のパンクス、
「デモンズ2」の警備員を演じていたアクの強いマスクの若手俳優。
同じく「デモンズ」では怪物を背中から出現させていたP・コッツォ
(L・バーヴァから出た映画は「デモンズ」1本などとコメントされた
彼女だが、本作以外にファブリッツィオ・コスタ監督、
キャロル・アルト&ロレンツォ・アレッサンドリ共演のTV映画
「Il Grande fuoco(aka:The Great Fire)」(96)に出演している)
が、妊娠した尼僧役で登場するのもお見逃しなく。

オカルト連続殺人を調査する警部の役で、後半は出ずっぱりの
怪演を見せるフルチの大活躍ぶりにも注目!

 

ナイトメア・コンサート(V)」(1990)
NIGHTMARE CONCERT:A CAT IN THE BRAIN
a.k.a. Un Gatto nel cervello: I Tre Volti Del Terrore
(A Cat in the Brain :The Faces of Fear)、
A Cat In the Brain、 Nightmare Concert

監督:ルチオ・フルチ/脚本:ルチオ・フルチ、ジョヴァンニ・
シモネッリ、アントニオ・テントーリ、ジョン・フィッツィモンズ/
撮影:アレッサンドロ・グロッシ/音楽:ファビオ・フィリッツィ/
編集:ヴィンセンゾ・トマッシ/製作:アントニオ・ルチディ
(アンソニー・クリアー名義?)、ルイジ・ナンネリーニ/
特殊メイク:ピーノ・(ジュセッペ・)フェランティ/
記録&プロダクション・スーパーヴァイザー:カミーラ・フルチ/
助監督:ロベルト・ルチディ/編集助手:パオラ・トマッシ、
クラウディア・ヴィヴェンツィオ/プロダクション・マネージャー:
シルヴァーノ・ツィグナーリ

出演:ルチオ・フルチ(彼自身)、デイビッド・L・サンプソン(心理学者)
ジェフリー・ケネディ(警官)、マリッサ・ロンゴ(心理学者の妻)
リア・デ・シモーネ(ソプラノ歌手)、ブレット・ハルセイ(怪物)、サッシャ・
ダーウィン(オーヴンで顔を焼かれる女)、ロベルト・エーゴン(怪物その2)
シレット・エンジェル(プロデューサー)、ジュディ・モロウ(看護婦)
ライラ・フランク、ジョージア・ムーア、ポール・ミューラー、
マルコ・ディ・ステファーノ、モーリス・ポリ、ルベカ・レンジ

*自分の作ったホラー映画の幻影に悩まされる映画監督を
フルチ自身が演じたメタフィクション感覚?溢れる1作。

撮影が終わったフルチが(海が大好きで、娘2人と共に
出かけるクルージング旅行を毎年楽しみにしていたという)
美女と共に、豪華ヨットで大海原に消えていくラスト・
シーンは、ナゼか異常に不吉な予感を感じさせ、
いみじくも日本版ビデオの裏ジャケに書かれた
「これが最後か?」というキャッチ・コピーと合わせて
<引退>、あるいは<死>を彷彿させる不気味な場面だった。

本作の製作者が「地獄の門2」や「新ゾンゲリア」、
「ゴーストキラー」「タッチ・オブ・デス」なども
兼任した人物のためか、俗に言うフルチ・プレゼンツ作品や、
様々なゴア映画からの血みどろ場面を本編にコラージュ。
それら諸作はフルチが2,3度現場に赴いただけで、
実際には撮影に関わっておらず、クレジットに名前を
利用されただけの作品のようだ。

映画自体はエクスキューティヴ・シネ・TVと共同で
フルチが製作も担当、元は16ミリで撮影されたフィルムを
劇場では35ミリにブローアップして上映された。
アメリカで付録満載のLDが発売されている。
ドイツ版のDVDは本編の音声が英語・ドイツ語に
切り替えられるだけで特に映像特典は入っていないようす。

 

地獄の門2(V)」(1990〜91)
VOICES FROM BEYOND
aka:Voci dal Profondo (Voices from the Deep)

監督:ルチオ・フルチ/脚本:ルチオ・フルチ、ピエロ・レグノーリ/
撮影:アレッサンドロ・グロッシ/音楽:スティルヴィオ・チプリアーニ/
衣装:ロベルタ・チオッティ/編集:ヴィンセンゾ・トマッシ/
出演:カリーナ・ハフ(ロージー)、ドュリオ・デル・プレーテ(ジョルジョ・
マイナルディ)、ダミアーノ・アッゾス、サッシャ・ダーウィン、
ロレンゾ・フラヘルティ、ルチオ・フルチ(解剖医)、ベッティーナ・
ジョヴァンニーニ、ローザ・マリア・グラウソ、フランセス・ナックマン、
パオロ・パオローニ、パスカル・ペルシアーノ、アントネッラ・ティナッゾ

*フルチが「死者と生者のコミュニケーションを描いた」と称する
この作品は、フルチ自身が執筆した短編小説(ガゼッタ・ディ・
フィレンツェから刊行)を元に映像化した1本。
家族の誰かに殺された父親がテレパシーを使って実娘に
真犯人を捜させるのが大まかなプロット。

ヌードも見せるヒロインにK・ハフ。「ミッドナイト・リッパー(V)」の
ベッティーナ・ジョヴァンニーニも出ている。
題名に「地獄の門2」とあるが、内容に直接の関係は全くない。

 因みに海外でも「Gates of Hell 2」なるビデオが出回ったが、
日本では劇場公開された「悪魔のドロドロ人間」を改題したものだとか。
この辺の事情は全世界に共通した出来事のようだ。

音楽は大御所、ステルヴィオ・チプリアーニ。

 

「ヘルクラッシュ:地獄の霊柩車(V)」(1991〜92)
DOOR TO SILENCE
aka:La Porte cel Silenzio, Door to Silence

監督:ルチオ・フルチ/製作:アリスティーデ・マサチェッシ(ジョー・ダマート)
脚本:ルチオ・フルチ/撮影:ジャンカルロ・フェランド
音楽:フランコ・ピアーナ、エンリコ・バルダンブリーニ/
美術:マックス・スロゥイング/編集:キャスリーン・ストラットン
出演:ジョン・サヴェージ(メルヴィン・デベロー)、サンディ・
シュルツ(謎の女性)ジェニファー・ウェブ、リチャード・キャステルマン

*ジョー・ダマートが製作したフルチの遺作。
映画のネガを持っていた製作会社が倒産したり
クレジットが変名になっていたりして、ビデオ発売が
大幅に遅れた。日本でビデオが出ると聞かされたファン達の
期待は高まったのだが、実際中身を観てみると余りの
出来の悪さに愕然。ダマートは何度も<自信作>って
言ってたのになぁ・・・またダマされた・・・。

主演は「ディア・ハンター」のジョン・サヴェージ。
さすがに中年太りでブクブクになっていたのが哀れ。

フルチはこの映画に当初ジャズのスコアを使っていたが、
ダマートがホラーっぽいスコアにすげ替えたので
(毎度の事ながら)大喧嘩になったようだ。

 

肉の蝋人形」(1991〜92)
WAX MASK
aka:Maschera di Cera

監督:セルジョ・スティヴァレッティ/製作:ジュセッペ・コロンボ
原作:ルチオ・フルチ、ダリオ・アルジェント、ダニエレ・ストロッパ/
撮影:セルジョ・サルヴァーティ/特殊効果F/X:セルジョ・スティヴァレッティ

出演:ロベール・オッセン(ボリス・ヴォルコフ)、ロミーナ・モンデーロ
(ソニア)、リカルド・セルヴェンティ・ロンジ(アンドレア)、

ヴァレリー・ヴァルモンド(ジョルジーナ)、ウンベルト・バリ(アレックス)、
アルド・マッサリ(ライヴァン刑事)、ジャンニ・フランコ(パラッツィ刑事)

*フルチが死去する寸前まで企画を進めていた作品。
結局はイタリア映画界きっての特殊メイクの才人、セルジョ・
スティヴァレッティの手によって完成したが、出来はイマイチだった。

 主演のロベール・オッセンはフランス映画の名優。
アルジェントが「歓びの毒牙」以前にクレジットなしで監督したと
噂される「傷だらけの用心棒」を(名目上?)監督、自ら主演もしている。
ヒロイン役のロミーナ・モンデーロはソフィー・マルソーが主演した
ヴェラ・ベルモンの「女優マルキーズ」に出演していた女優さんだ。

 真っ赤なカーテンに囲まれた蝋人形館、影や薄暗い部分が
やたらと多い画面作りに、かつてのイタリアン・ホラーの面影が
垣間見えるのだが、異常にロケ場所が少なかったり、
恐怖場面以外のシーン(の演出)がボロボロだったりと、
どうも素人が撮った低予算映画という雰囲気は拭い切れない。


フルチのフィルモグラフィ
(年代、あるいは作品タイトルを
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1959〜1969年

「泥棒たち(未)」(1959)
「RAGAZZI DEL JUKE BOX」(1959)
「URLATORI ALLA SBARRA 」(1960)
「TWO FOREIGN LEGIONNARIES」(1962)
「Le MASSAGGIATRICI 」(1962)
「COLPO GOBBO ALL'ITALIANA」 (1962)
「Gli IMBROGLIONI」(1963)
「Uno STRANO TIPO」(1963)
「EXTREMELY SECRET AGENTS 002」(1964)
「DUE EVASI DI SING SING」(1964)
「マニアックス(未)」(1964)
「00-2 OPERAZIONE LUNA」(1965)
「HOW WE GOT THE ARMY INTO TROUBLE」(1965)
「THE TWO PUBLIC ENEMIES」(1965)
「I DUE PARA」(1966)
「COME SVAGLIAMMO LA BANCA D'ITALIA」(1966)
「真昼の用心棒」(1966)
「HOW WE STOLE THE ATOMIC BOMB」(1967)
「Il LUNGO, IL CORTO, IL GATTO」(1967)
「OPERATION S.T PETERS 」(1968)
「ベアトリス・チェンツィ(未)」(1969)
「女の秘め事(未)」(1969)

1970年〜1979年

「幻想殺人(TV)」(1971) 
「マッキラー(V)」(1972) 
「エロティスト(未)」(1972) 
「白い牙(TV)」(1973) 
「名犬ホワイト・大雪原の死闘(未)」(1974) 
「ブリアンザのドラキュラ(未)」(1975)
「荒野の処刑(V)」(1975〜76) 
「ラ・プレトーラ(未)」(1976) 
「ザ・サイキック(V)」(1977)
「新・復讐の用心棒(TV)」(1978) 
「サンゲリア」(1979)

1980〜1991年

「地獄の門」(1980) 
「野獣死すべし(V)」(1980)
「ビヨンド(V)」(1981)
「恐怖!黒猫(V)」(1981)
「墓地裏の家(V)」(1981)
「ザ・リッパー(V)」(1982)
「マンハッタンベイビー(V)」(1983) 
「SFコンクエスト:魔界の制圧(V)」(1983) 
「未来帝国ローマ(V)」(1983) 
「マーダロック(デビルズ・ダンシング)(V&TV)」(1984)
「イノセント・ドール 虜」(1986〜87)
「サンゲリア2(V)」(1987)
「怒霊界エニグマ(V)」(1987) 
「タッチ・オブ・デス(V)」(1988) 
「ゴーストキラー(V)」(1988) 
「ホラーハウス(V)」(1989)
「クロック(V)」(1989) 
「新・デモンズ(V)」(1990)
「ナイトメア・コンサート(V)」(1990)
「地獄の門2(V)」(1991)
「ヘルクラッシュ:地獄の霊柩車(V)」(1991)
「肉の蝋人形」(1992)


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