蜘蛛(未)
The Dark is Death’s Friend

aka : L'Assassino e Costretto
ad Uccidere Ancora
: La Morte e' Come un Ragno
(伊題?)
: The Killer Must Strike Again
(ギリシャ:ビデオ題)
: La Arana
(スペイン)
: The Murderer Must Kill Again(翻訳題)
:Il Ragno


1975年/イタリア=フランス合作映画/90分/テクニカラー/
テクニスコープ(イタリア版はほぼヴィスタ・サイズ)

アルビオーネ・チネマトグラフカ
ギット・インテルナツィオーネ(ミラノ)
カンヌ・シネ(パリ)

監督:ルイジ・コッツィ
製作総指揮:ジュセッペ・トルトレーラ
原案・脚本:ルイジ・コッツィ
:ダニエレ・デル・グイディース
台詞:アドリアーノ・ボルゾーニ
撮影:リッカールド・パロッティーニ
キャメラ:ピエールジョルジョ・ポッズィ
編集:アルベルト・モーノ
編集助手:エリオ・モレッティ
音楽:ナンド・デ・ルーカ
助監督:ルチアーノ・サクリパンティ

出演:ジョージ・ヒルトン(マイナルディ)/マイケル・アントニー(殺し屋)/
フェミ・ベニュッシ(頭の弱いブロンド)/クリスティーナ・ガルボ(ラウラ)/
アレッシオ・オラーノ(ルーカ)/エドゥアルド・ファヤールド(警察官)/
テレサ・ヴェラズケズ(ノーラ・マイナルディ)/ダリオ・グリアッキ/
ルイジ・アントニオ・グエッラ/カルラ・マンシーニ/シドニー・ローム


<物語>

大金持ちの妻が邪魔になった冷酷な男(
ヒルトン)は、ある晩、
偶然にも運河で車に乗せた死体を処理している殺し屋を目撃。
黙っている代わりに、妻を殺してくれと持ちかける。

ヒルトンがパーティーに出席してアリバイを作っている間に、
殺し屋は妻を絞殺し、その死体を車のトランクに押し込む。
しかし油断した殺し屋は、死体の入った車を無軌道な若いカップル
ラウラとルーカ(演じるのは
「悪魔の墓場」C・ガルボと
新・エクソシスト」のA・オラーノ!)に盗まれてしまう。

彼らは友達に会いに行こう!とバカンス気分で車を走らせる。
途中、警官の詰問にあったりもしたが、何とか切り抜けた2人は
寂しい海辺の廃屋に宿をとる。しかし、そこに怒り狂った殺し屋の影が!
車で買い出しに出かけたルーカは、山道で車が故障して困っている
金髪美女(
ベニュッシ)と出会い、誘惑されるがままに
彼女と肉体関係を持ってしまった。

山道から車を出す際に金髪美女が盗んだ車を木にぶつけてしまい、
トランクが閉まらなくなる。しかし二人は死体に全く気づかない。
一方ラウラは、いつのまにか廃屋に侵入していた殺し屋に
暴行を受け、更には残忍にもレイプされる。

ルーカと金髪美女が廃屋に帰ってくるが、縛られ身動きできない
ラウラは助けを求められない。何も知らないで屋敷に入ってきた
ルーカは殺し屋に殴られ気絶してしまう。殺し屋が二人を
始末しようと表に出ると、車の脇では金髪美女がトランクに入った
女の死体を発見し、ひどいショックを受けていた。
しかし彼女は殺し屋に言いくるめられ、
不審に思いながらも廃屋の中に連れ込まれてしまう。

そこで殺人者の正体を知った金髪美女は屋敷から逃げようとするが、
逆に殺し屋に包丁でメッタ刺しにされ息絶える。その死体から包丁を
抜き取ったラウラは迫ってくる殺し屋にナイフで必死で斬り付け、
何とか倒すことに成功。ルーカと共に警察へ向かう。

そこで一切をうち明けた2人の証言により、警察から妻殺しの嫌疑を
かけられたヒルトンは、罠とも知らず、自分の屋敷の前に置かれた
妻の死体入りの車を処理するために、冒頭のドックへとやって来る。
そこに待ちかまえていた警察が現れ、彼が計画した全ての犯罪が
明るみに出るのだった・・・。

 

<解説>


ヘボ監督として有名な
ルイジ・コッツィが、「サスペリア2」と同じ
75年に撮っていた未公開
ジャッロがこの「蜘蛛」である。
コッツィはそれまでゴダールの「アルファヴィル」風のSF映画や、
ノーマルな内容の映画を数本(嫌々ながら?)撮っていたが、
その後、本領を発揮して製作することになる映画に関しては
どれも散々な出来。日本では「
スター・クラッシュ」や
エイリアン・ドローム」等、しょうもない作品が良く知られている。

コッツィはかつて日本の出資、P・ピロレージの主演で
ラスト・コンサート」というベタなお涙頂戴物も
撮っており、そっちは思ったより普通の仕上がりだったが、
この種の映画のファンがそんな映画を見る筈もなく、
結果的に前述のような有り難くない称号を獲得していた
わけだが、この「
蜘蛛」は大方の予想を裏切り、
思いもよらない小傑作に仕上がっている。
多分この映画も
コッツィの好きじゃないタイプの
作品なのだろう。故に仕上がりの方は
(多少の脱線はあるものの)非常にタイトで、
ベスト作と呼んでもおかしくない出来になっている。


日本で正式にビデオリリースするのはちょっと無理だとしても、
安めの海賊版なら観ても損はしないし、
コッツィの評価を見直す意味で
ラスト・コンサート」と並んで、一見の価値あり!のお薦め品です。

コッツィ氏はアルジェントの経営するホラー・ショップ、
プロフォンド・ロッソの店番兼映画監督としてイタリアン・ホラーの
ファンには有名な人。SF映画オタクとしても相当<ツウ>のようだが、
最近は店番の方がもっぱら本業になっているみたいだ。



物語を読んでいただければお分かりの様に、単純ながらも
<次はどうなるのだろう?>というハラハラ・ドキドキ系の
展開になっていて、結構楽しめる仕上がりになっている。

ヒルトンの「妻殺し」を描いた正統派ジャッロ映画風の
前半から、車を盗んだカップルが殺し屋に狙われる
「暴力」モノへの転調を、小道具を「死体入りの車」にしたり、
冒頭のドックで描かれた死体処理の場面が、丸々エンディングで
再現されたりと、単純ながらキッチリした構成になっている点は
非常に好感が持てる。全体的に若々しさが溢れる作品だ。

 

また各々がちょっとステレオタイプ過ぎる感じはあっても、
役者の選択と配置も悪くない。
M・バーヴァ
クレイジーキラー:悪魔の焼却炉」を始め、
60年代からキャリアを築いてきたイタリアン・グラマー、
フェミ・ベニュッシが頭の悪いブロンドを演じていて笑えます。
彼女ならではの濡れ場もふんだんに用意されていて、この辺も
コッツィらしからぬ描写で、ちょいとビックリ。

またジャッロ映画の帝王=ジョージ・ヒルトン(しかし
なんで
ジャッロ映画はこの人ばかり主役に起用するんだろう?)、
「新・エクソシスト」よりも顔が怖くなった
アレッシオ・オラーノ
常に不幸な感じが漂う
クリスティーネ・ガルボもそれぞれ適材適所。
殺し屋役の
マイケル・アントニーも雰囲気が良く出ていていい感じ。
それと
シドニー・ロームがクレジットなしの出演をしているようだが、
どこに出ているのか良く分からない。もしかすると冒頭の死体役で
ゲスト出演?してるのかも。

英語版のビデオはギリシャから出ているが、86分で画面が
TVサイズにトリミングされている。他にはヴェネスエラ版が
英語音声バージョン。
イタリア版のビデオ(「蜘蛛:IL RAGNO」という別題が
ついている)は当然イタリア語音声だが、
一応ワイドサイズのままリリースされている。