●ホールカットさんから届いたエドワードグリーンのMONTFORDの画像です

ホールカットさんより送っていただいたエドワードグリーンのMONTFORDを紹介します。
独特の雰囲気を持った存在感溢れる靴と思います。
詳しくは、ホールカットさんが掲示板に書かれた内容を転載しましたので、参考にして下さい。


ホールカットさんご自身が掲示板に書き込まれた内容を、以下にアレンジして転載します。


エドワード・グリーンとラルフローレンによるコラボレーション、パープルレーベルを代表するロング・ブーツ“Montford”です。
全体から醸し出される佇まいは、敬愛するショーンコネリーのボンド・スタイルに一歩近づいたかの錯覚に陥るほど、英国憧憬溢れる渾身の作です。完成度の高さは“The Bootsmaker ”Edward Greenの面目躍如といったところでしょうか。
なお、靴箱には“Herrick”と記載されていますが、これが正式名称かどうかは判断がつきません。よって、一般的に称されるMontfordを統一名称とします。


<構造上の特徴についてのレポート>

@レースアップとストラップのコンビネーション
Montfordの最大の特徴がこの部分だと思います。5穴(アッパー同色鳩目あり)レース部と上部に位置する2本のストラップの組み合わせが、とてもクラシカルな雰囲気を醸し出しています。かなり古い時代のブーツスタイルにインスパイアされたデザインではないかと推測しますが、昨今流行の英国調スタイルに見事に調和
する秀逸なデザインです。

Aアンラインド(ノーライニング)
くるぶし周辺にある野性味溢れる切り返し部分から上のストラップ装着部分並びにブーツ上部に及ぶタン部分ついてはUnlined(No Lining)、つまり裏地が付いておりません。この為、非常にソフトな履き心地でロング・ブーツにありがちな、ふくらはぎ周辺の圧迫感がありません。

B#89ラスト
かなり幅広のスクェア・トゥのラストで、つま先部分も広めのデザインです。とはいえ、甲の高さは#808同様に低く抑えられており、レングスとの絶妙なバランスにより幅の広さはあまり目立たず、ビスポークシューズを意識した無理のない美しいシェイプとなっています。履きやすさの面では#808以上かも知れません。

Cダークブラウン・カラー
通常ラインには存在しないと思われるダークブラウンで仕上げられています。全般的にマットな仕上げですが、磨き込むことで赤みを帯びていき、美しい栗色に変化していきます。(詳しくは「プレケア編」にて)

Dスペードソール
お馴染みのスペードソール仕上げとなっており、アッパーとのデザインバランスが見事です。これがダブルソールだとかなり重々しい雰囲気になってしまったことでしょう。

個人的にパープルレーベル特有の紫色のインソールが好きなのですが、残念ながらMontfordはアッパーと同色のダークブラウンとなります。紫色のインソールが入手出来れば交換するかも知れません。

重厚さとスマートさが両立したなんとも不思議な魅力に溢れるこのMontfordは、昨年末にラルフローレン銀座店で見て以来、とても気になる存在でした。今回、運良くセール品として格安で入手出来ましたが、おそらく定価のままでも購入していたと思います。


<フィッティングについてのレポート>

@ フィッティング(ショップにて)
購入にあたり、2種類のサイズを試着しました。EDWARD GREENの場合にはサイズ8が自身のベストフィッティングなのですが、今回は7hと8を用意して頂きました。(ちなみに、ウィズについてはラスト形状によりD〜Eを選択しています。)
これは初体験である#89ラストがかなり幅広であることを事前にアドバイス頂いていたことや、ウィズがEのみであることによりサイズ8は緩すぎるのではないかと不安に感じていたためです。
実際に2つを手にとって比較してみましたが、レングスにそれほどの違いが無いにも関わらず、横幅の違いが明確でした。やはり7h-Eで一般的な8-Eに近いと感じました。

そこで、まずサイズ7hを試着。#808ラストの8-Eに近いフィーリングでまずまずです。
足囲、ボールジョイント位置、土踏まずのフィット感共に特に問題となる箇所は無く、非常に心地よい履き心地です。店内を歩き回った後もこの印象は変わらなかったため、7hで問題ないと確信しました。(レングスが若干不足気味でトゥ・キャップの一文字ステッチ部分に負担が掛かりそうな気がするのですが...)
さらに姿見でバランスをチェックしましたが、幅広ラストの割にシャープに見えることで、身長・体格とのバランスも悪くありません。
私の場合、フィット感もさることながら、身長・体格とのバランスを非常に気にしてしまいます。

次にサイズ8を試着したところ、一の甲周辺に若干の緩さを感じるものの無理な感じではありません。厚手のカジュアルソックスを履いてベストフィットという感じでしょうか。
レングスについては、こちらの方が合っている様な気がするのですが、身長・体格とのバランスが悪いようで、なにやら足が大きく映ります。シャープさが薄れカジュアルな印象が若干強調されるようです。カジュアルジャケットの着用すればカッコ良くまとまるのでしょうが、スーツ着用時は若干靴が目立ってしまいそうです。
ただ、キルト・ホーズに合わせるのも良い雰囲気になりそうでこちらも捨てがたいです。(何時履くんだ!との意見もありますが...)
とても悩ましい選択でしたが、オン・ビジネスでの着用を想定したため、よりシャープに見える7hを購入しました。あと2o程度レングスがあれば完璧だったことでしょう。

基本的にはレングスに合わせるべきなのですが、今回は美しいシルエットを生かすべき着用時のバランスを優先しました。

A 他ラストとの比較
#89ラストは#808を改良した比較的新しいラストであるとのことですが、両サイドから足を支えるようにして履かせる#808に対し、#89はより自然な接地感が味わえます。加えて、#606のような作為的なアウトラインカーブも無く、非常にオーソドックスで美しい形状だと思います。
先般見かけたステファノ・ベーメルにも近い形状のものがありましたので、昨今のトレンドなのかも知れません。
ちなみに、同じスクェア・トゥの#808、#606と比較すると、
#606 > #89 > #808
といった感じになります。

#606のアウトラインに馴染めない方は一考の価値があるラストでしょう。私の場合、#808はけっこう足に負担が掛かり、オン・ビジネスでの長時間着用後は足全体が筋肉痛になる場合もありますので#89はとても重宝しそうです。

B 総括
フォーマルシューズの如きシャープさと共に、ブーツの醍醐味である踵の食い付きの素晴らしさを体現できるMontfordのフィッティングはかくの如く非常に悩みました。
個人的にには、この#89ラストが大変気に入りましたので、次回は内羽根・短靴を試して見たいと考えています。
#808のビスポークシューズへのオマージュを継承しつつ、よりコンフォート志向へ振った#89ラストは、前後方向のラインを強調したモデルGladstoneなどが似合いそうです。