●ジョンロブ・パリのストレートチップ「フィリップ」

(ジョンロブ・パリの代表作、通称「フィリップ」:2000.7.購入)

これでも、あまり光らせないようにしたつもりです。
つま先のみを純正シューワックスを使って、それ以外は純正デリケートクリームのみ使用。

私は、靴好きでありながら、英国靴にはあまりいい印象を持ってはいませんでした。
しかしながら、プレーンな黒(コードヴァンに限らず)の内羽根式ストレートチップが欲しくなって、いろいろ物色していました。
内羽根式ですとJ.M.ウェストン、オールデンはあまりにもオーソドックスすぎるので、他のメーカも含めて洗練された雰囲気の靴はないかと考えていました。
そんな気分が強かったちょうどいいタイミングでパリに旅行に行ったのですが、ふとシャンゼリゼ近くのフランソワ1er通りのジョンロブに入りました。
何も飾りのないプレーンなタイプを探していたにもかかわらず、横1列にメダリオンが入ってはいますがエレガントで鋭い光沢を放つ靴が、私の目を引き付けました。
試着したところ、慣れているJ.M.ウェストン、オールデン程ではないにしろ、納得のいく履き心地でした。
そして、買ってしまいました。
それが、ジョンロブ・パリの代表作である、ストレートチップの「フィリップ」です。

後で知ったのですが、この「フィリップ」はジョンロブの最高峰で、日本価格が140,000円です。
ちなみに、パリではシューツリー付きで4850フランですので、靴そのものは6万円弱で買える計算になります。
(2000.7.現在の価格ですので、定価の値上げ、為替レートの変動によって価格が変わりますが、ここのページは変更しません。いずれにしても、J.M.ウェストン程ではないにしろ、内外価格差が大きいです)


●何一つ妥協していない完璧な芸術品

このフィリップは、カーフとは思えないような革の滑らかさといい、革のしなやかさといい、芸術品と言ってもいいような靴と思います。
革質もカーフとしては最高レベルのウルトラスムースですし、同じ牛の固体からの革で1足造られているとのことで、左右の革質の差も全くありません。
細部の縫製がしっかりしているのはもちろん、目に見えないソールの芯まで、一切妥協しないでほとんどフルハンドメイドで造られているとのことです。
しかも、踵の部分の縫い合わせが全くない1枚革なので、後ろ姿もスッキリとして美しいです。
私の持っている靴で、踵の部分の縫い合わせが全くない靴は、ジョンロブ・パリの靴(フィリップ、マッタ、ヴィンテージ2000)のみです。
ちなみに、ジョンロブ・パリでも、フィリップ以外の定番ではモンクストラップ(通称「マッタ」)のみが縫い合わせが全くないタイプです。
履き心地は、ピッタリと足に吸い付くわけではありませんが、全体的にホールド感があって安心感があります。
耐久性は、小傷がついてはいますが、履いた後にシューツリーを入れておけば、履き皺もきれいにとれてまるで新品のように回復します。
このフィリップを味わってから、ジョンロブ・パリの靴が好きになって、買うようになりました。

(縫い合わせが全くなく美しい踵部分)