・併殺を防ぐ技術

打者の技術を図る指標はいろいろとあります。今回評価してみたいのは、併殺を防ぐということについてです。

たとえ、凡打であったとしても併殺にならなければ、走者を残し次の打者の打撃に期待することもできます。

’99セリーグで打撃30傑の平均併殺打数は約9個です。まず、規定打席到達者のうちシーズン併殺打が2個以下(現在の規定打席419で換算すると四捨五入して0%になる:2個の場合0.48%)の回数を調べて上位の選手をだしてみました。

規定打席到達 併殺2個以下 併殺5個以下 併殺10個以上
利夫 11 11
福本 17 15
毒島 章一 12 10
蔭山 和夫
本多 逸郎

このメンバーを見ると、ほとんどが1・2番を打っていた打者です。クリーンアップにいかにつなぐかを考えれば、彼らのこうした打撃がチームの戦力発揮におおきく貢献していたのは疑う余地がないでしょう。それから、蔭山を除けば、すべて左打者です。打ってから走る場合の左打者の優位性もみてとれます。

反対に併殺の多い打者をみてみると、上記の打者の併殺の少なさが際立ちます。

規定打席到達 併殺20個以上 併殺15個以上 併殺10個以下
野村 克也 20 14
長島 茂雄 17 10
小玉 明利 13
大杉 勝男 15
レオン   10

いずれ劣らぬ強打者ばかりです。この中の小玉明利は、あまり有名ではありませんが、’50〜60年代の弱かった頃のバファローズの強打者で3割6回、規定打席到達13回のうち11回のシーズンで20二塁打以上を記録し、通算でも17位の358二塁打を放っています。

まあ、あたりまえのことですが、他に技がなくて併殺ばかり多くては試合にでられません。足に故障のある選手や鈍足になりやすい捕手の場合は致し方ないこともありますが・・

こうした特長をもった選手をうまく配して試合を行うのが「打線・打順の妙」というものです。「二番打者のいやらしい打撃」を見直す機会になれば、それもまたおもしろいです。