・たくさん投げるということ

長いイニングをそこそこに抑えるのと、短いイニングを零封するのとどっちがえらいのか?これは比べられるものではないでしょう。しかし、近年先発投手の投球回数が減少しています。それは、中継ぎ投手能力向上等の理由もあるでしょうが、多くのイニングを投球した投手への評価が低いんではないでしょうか?

試みに、こんなことを考えてみました。

    登板 投球回 自責点 防御率
金村 F98 31 135 41 2.73
小宮山 M98 27 201.2 80 3.57

’98パリーグの防御率1位の金村と最多投球回の小宮山です。金村小宮山の投球回数の差は66イニング2/3、言い方を変えればこれだけの回数を他の投手に託さねばならないわけです。「投球回62回2/3自責点39、防御率にして5.60以内で他の投手が抑えられるか?」なんですが、先発5人を除いたファイターズ投手陣の防御率は4.19ですので、こういう見方でも金村が上になります。

では、他の投手も見てみましょう。

  登板 投球回 自責点 防御率 基準差・回 基準差・点 防御率A 基準との差
黒木 31 197 72 3.2893 4.2 8 17.14 13.57
西口 33 181 68 3.38 20.2 12 5.35 1.78
金村 31 135 41 2.73 66.2 39 5.30 1.73
関根 25 160.2 60 3.361 41 20 4.39 0.82
石井 30 145 53 3.2897 56.2 27 4.32 0.75
西村 25 152.2 57 3.36 49 23 4.22 0.65
小宮山 27 201.2 80 3.57 0 0 0.00 0.00
武田 28 176.1 71 3.62 25.1 9 3.23 -0.34
武藤 26 141.1 59 3.76 60.1 21 3.14 -0.43
芝草 25 145.1 63 3.9 56.1 17 2.73 -0.84
岡本 30 158 71 4.04 43.2 9 1.88 -1.70
高村 25 159 86 4.87 42.2 -6 -1.28 -4.85
岩本 27 181.2 83 4.11 20 -3 -1.35 -4.92

登板・投球回・自責点・防御率はそれぞれの投手の成績。
基準差・回点は、基準となる小宮山との差
防御率Aは、その投手が投げなかったイニングを、他の投手がこれだけの防御率をあげれば、トータルで小宮山と同じになる。ある意味では、他の投手の負担といえるかもしれない。
基準との差は、防御率Aと小宮山の防御率との差。この数値がおおきければおおきいほど、その投手により、他の投手の負担が軽減されているとみます。

この見方でいくと、197イニングを投げ防御率2位の黒木の評価が非常に高くなっています。

中継ぎ投手の能力は全般的に高くなってきてはおりますが、先発投手と比べると劣る場合が多いのです。(例外はありますが・・・)
多くのイニングを投げることにより、リリーフ投手の負担を減らしていることは、もっと評価すべきではないでしょうか?

さてどうごらんになりますか?