漫画家のアシスタントとは?

一般の人に「職業は?」と聞かれて、「漫画家のアシスタントです」と答えると、「どんなことするの?」とか「あー、アニメの色塗り?」とか「それって仕事なの?」などと言われることが多い。日本を代表する文化とまで言われている「マンガ」なのに、それを生産している漫画家やそのアシスタントの地位は非常に地味で低く見られがちなのです。(酷いところは雑誌の編集者にまで・・・)
しかしいわゆる「専門業界」の仕事というのは(「専門」に限りませんが)説明しなければ分からないものなので、それも仕方がないと思います。そんなわけで、ここではその「アシスタント」について簡単に説明します。

アシスタントは何をする人か?

「アシスタント」を辞書で引くと、その意味は【補助の、副,,,、助,,,、,,,補・助手、協力者(helpより賢い言い方)】とある。その意味の通り、マンガ家がマンガの原稿を描きあげる補助をするのがアシスタントの仕事。
これは直接原稿に携わることでなくても、お茶を入れる、ご飯を作る、買い物に行く、食事をした食器を洗う、ペットの世話などが含まれることがある。しかしこれら直接原稿に携わらない仕事を嫌うアシスタントもいる。やる、やらないは本人の勝手。それで仕事が減っても文句は言えない。
それ以外には、ネームやアイデアの相談を受けることもある。

アシスタントの
具体的な仕事内容

背景描き

人物が今どこで何をしているのかを表すための背景(建物、車、風景など)や場面転換のための背景を描く。基本的には下描きから仕上げ(ベタ、ホワイト、トーン処理)までを一人の人が担当することが多い。パースの知識が必要。

小物描き

人物が持っている電話やコップ、カバンなどの小物を描く。背景と一緒に描いてしまうことが多い。パースの知識が必要。

服の柄

人物が着ている服やネクタイ、マフラーなどの柄を描く。トーンをはる場合もあり、仕上げ作業と一緒にやることが多い。

効果

画面により迫力を出すために、スピード線やフラッシュを描く作業。質感を出すために、ベタではなくカケアミや点描なども多様する。またトーンで処理する効果もある。

消しゴムかけ

下描きの鉛筆線を消す作業。簡単そうに見えるが、結構その人の性格が出る。きれいにかけないと、下描きの線が印刷に出てしまう。原稿を曲げたり破ったりしないように気をつけなければいけない。枚数が多いと大変で体力が必要。

ベタ

「ベタ」とはマンガ用語で「黒く塗りつぶす」作業。夜の空や人物の髪の毛、洋服など黒いところは筆ペンやマジックで塗りつぶす。効果でコマの中を塗ることもある。

ホワイト

「ホワイトをかける」などと言って、ペンで描いた線やベタがはみ出したところをミスノンやマンガ用のホワイト修正液で消す作業。それ以外にも人物の瞳にホワイトを入れてより輝いて見えるようにしたり、描き文字のまわりにかけて見やすくしたり、夜景の光や星にしたりする。

トーン貼り

人物や建物などに「スクリーントーン」と呼ばれる、透明のフィルムに網点や幾何学模様などが印刷されたものをカッターで切って貼り、陰影や遠近感、質感などを出す。また、ただ貼るだけではなく重ね貼りをしたり削ったりできる。トーン処理もかなりテクニックが必要。

仕上げ

消しゴムかけ〜トーン貼りまでの一連の作業を主に「仕上げ」と呼ぶ。「仕上げだけ」と言われて仕事に行って、背景をたくさん描かせられることもある。

番外編

カラー

カラー原稿の色塗り。主線だけを入れて、カラーはアシスタントに塗らせている先生もいる。カラー原稿は稿料も高いので、アシスタント料も少し高い。でも責任重大。

Macアシ

何もMac(Macintosh)に限らないが、パソコンを使って作業の補助をするアシスタントのこと。最近マンガを描くのにパソコンを導入している先生が増えたが、本人は仕事が忙しくてパソコンを覚える暇がない場合に、アシスタントでパソコンを使える人がいたら、代わりに作業してもらう。アシスタント料は変わらない(と思う)。

メシスタント

ご飯を作ってくれるアシスタントのこと。マンガの技術はあまりないが、作業しているスタッフのお腹の管理をしてくれる人。先生のお母さん(または身内の人)だったりすることが多い。専門のメシスタント(ご飯を作るだけの人)を使える先生は金銭的に結構余裕のある人だと思う。

仕事場

自宅兼仕事場というのが一番多いが、仕事場を別に持っている先生もいる。

仕事時間

通いは別として、泊まり込みなら寝ている時と食べている時以外は仕事中。休憩やおやつの時間をとっている先生もいる。基本的には夜型なので、4時か5時ごろ寝てお昼に起きるというところが多い。しかし朝方の先生や、超夜型(午前10時頃寝て4時か5時に起きる)の仕事場、人によってまちまちという仕事場もある。

食事

コンビニ弁当や店屋物が多い。アシスタントが交代で作ったり、先生が作ってくれるところもある。食費は全額先生が負担しているところが多いが、1日***円まで支給で、オーバーする分は自費とか全額自費という仕事場もあるそう。また食べ物の好き嫌いの多い人は辛いかも。

お風呂

毎日入るところもなくはないが少ない。良くて1日置き。2泊3日くらいだと入らないつもりで行く。中には1週間入れてくれない仕事場もある。

睡眠

基本的には毎日寝る。だいたい6時間から8時間。しかし最後の1日くらいは完徹になることが多い。またあんまり寝かせてくれない仕事場や、先生のネームが遅れていてアシスタントの仕事がないときなどは腰が痛くなるほど延々寝かされ続けることもある。
布団に寝かせてくれない仕事場もあるとの話。仕事机の下にゴロン、というところもあるそう。枕が変わると眠れない、人が寝たあとの布団はダメという人はキツイと思う。そういう人は通いにしてもらえるならそうした方がお互いのため。寝ることもアシスタントの仕事のうち。

環境

アシスタントをする上で「タバコ」と「ネコ」は要チェック。タバコを吸う人とネコを飼っている人は多い。ダメな人は仕事に行く前に聞いておくのがいい。
音楽もくせ者。先生と同じ趣味ならいいが、そうでないと延々と嫌いな音楽を聴かされ続けることになる。ウオークマンを持参している人も多い。しかし仕事中はラジオやテレビをつけっぱなしにしている先生も多い。
イスか地座りかも要チェック。腰を痛めないように注意。

アシスタント料

これは千差万別。その漫画家さんの原稿料1枚分という話もあるが、どう考えてもそれ以上やそれ以下というところもある。アシスタントの技術によっても当然違ってくる。時給計算だったり、24時間拘束で**円とかそれプラス技術料などをくれる場所もある。交通費を別にくれたり、込みだったりと本当に色々。単行本が出るとボーナスをくれたり、遊びに連れていってくれる先生もいる。

その他

自己管理ができないとアシスタントは難しいと思う。スケジューリングもそうだし、大切なのは体調管理。体調が悪くて働けないのは自己責任。風邪をひいて仕事場に行くのも、本人はがんばっているつもりでも、こられた方は結構迷惑な場合もある。それでも行く(呼ばれる)なら他の人にうつさない対策をするのも義務。何事も体が資本なのだ。

アシスタントは大雑把に分けて、連載を抱えている一人の漫画家を手伝う「専属アシスタント」と色々な仕事場を渡り歩く「フリーのアシスタント」があります。(専属でも暇な時は他の仕事場に行くこともあります)

専属
フリー

仕事のスケジュール

専属のアシスタントを持っている先生は、月刊や週刊の連載を持ってることが多いので割と定期的。
専属なので、先生の仕事があるときは必ず行く。専属先の先生がそれを許していれば、暇な時は他の仕事場へ行く人もいる。(専属なので、という理由で許可していない漫画家さんもいるようです)

不定期。
依頼の早いところから順に予定を埋めていくことが多い。しかし専属ではないが、レギュラーとして優先させる場所はある。

アシスタント料

専属料+アシスタント料月給制など割と様々。
「専属料」とは基本的には仕事がないときでも、そのアシスタントの生活を保障するだけの金額だと認識しているが、そうでないところもある。
そうでないところは、どういう意味の「専属料」なのかわからないが、きちんと説明してくれる漫画家さんが少なく、また聞くアシスタントが少ないのも、この業界の不思議なところである。

働いた分だけ。「拘束日数×日給」なことが多い。
時給制のところもある。しかし行く前にギャラ交渉はあまりしない。これもこの業界の不思議なところ。
当然のことながらフリーでやっていく以上、ペイのいいところを優先させてしまいがちなのも人情。しかしそれより重要なのは人間関係、というところもあるのでその限りではない。

その他

初心者でも本人のやる気と、新人を育てる気のある先生がいれば十分活躍できる。スケジュールは先生次第かもしれないが、逆に収入は安定するし休みもあらかじめ分かるので予定は立てやすいかもしれない。しかし先生との波長が合わないと辛いかもしれない。

背景描きから仕上げまで応用力・即戦力を求められる。スケジュールを自分で決めるので、取ろうと思えば長期の休みも取れるし、波長の合わない先生のところには行かないようにしたりできる。しかしこれは逆に言えば収入が不安定になる可能性も高い。

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