[ First Pain #001 ]


人が人本意で考え続ける限り人という名の罪は決して消えないのでしょう
人が受ける迷惑と、人が与えている迷惑。違う生き物が論議をしても始まらないこの問題は実は人個人個人において違うんですね。しかし、これで言い争う事自体人間しかしないのではないでしょうか?僕がいくら考えても解決される問題でもなく、口に出す気はありません。それぞれの思いがあり、行動理念がある。物語とはそれを紡いだ末に出来るものなのですから。■集落へと戻ると一匹の鳩がこちらを見ています。シャルフさんが手を差し出すとぱたぱたと近寄って来ました。どうやら足には手紙がくくりつけられているみたいです。内容は・・・”あ、ジェラー?■ちょっと助けてほしいなー、なんて・・・言ってみてもいい?”どうやらジェラルドさんのお連れの方の様ですが・・・ジェラーってジェラルドさんの事ですよね?どうやらゴブリン以外の何かがこのあたりにはあるみたいですね。

アテナルがごぶごぶとゴブリンシャーマンのしゃべったことを通訳する。はぁ、冒険者にやられたのか?んな山奥のゴブリン襲ってどーすんだろ。『君たちが以前住んでいた場所の近くに人間の集落はありませんでしたか?、、あと、あなたがたを襲った人間はどんな風でした?ぼくたちと同じような人々ですか?それとも・・・?』考えて見りゃ精霊語でも通じるんだよな。■「アテナルに賛成だ。どうやらただのはぐれゴブリンみてーだし、いったん集落まで戻ろうぜ。」■聞くだけ聞いてゴブリンを殺そうとしたときだ。「彼らが集落を襲ったわけではないみたいですし、生きているだけの彼に罪はないでしょう。逃がしてあげてもいいんじゃないですかね?」ウィックが言う。「一年前に同じようなこと考えてな。子ゴブだけ逃がしてそれにくっついて山に篭もったことがある。」殺す必要はないんじゃないか?自分に問うた。「とんだ間違いだったぜ。ゴブリンはゴブリンだ。殺せるときに殺さなきゃまたどうせ誰かに迷惑をかける。俺たちがやらなくてもどうせ誰かがやるんだ。負っちまった責任から逃げるんじゃねーよ。」これが俺の出した結論。「アテナル、やっちまってくれ。」まだ、悩んでいる。■集落に戻ってきた。あいかわらず人気もなくしんとした村、、いや、廃墟っつーべきか?どーでもいいや。「相棒殿は帰ってきてねーみてーだな。やれやれ、みんなどうする?、、あん?」屋根に白い鳩、か。半ば無意識に近づく・・あれ?逃げない。「人に慣れてるみてーだな。伝書鳩か?」捕まえてみようと屋根に上り、ゆっくりと手を差し出した。

沈黙
みなさんの導きの通りにゴブリンの巣と思われる洞窟を見つけました。なかなかに小さい洞窟でしてみなさんで一列に中へと入っていきます。しばらく進むと先頭のエランさんが寝ているゴブリン達を見つけた模様、僕とアテナルさんは鎧が音を立ててましたが気づかれないでいるのでしょうか?・・・寝たふりをしているゴブリンシャーマンという妖魔に何人かが気が付きました。そこですかさずカインさんのスリープクラウドで眠らせてシャルフさんのサイレンスでそのまま近づくつもりのようです。僕はすることもなく音で起こしてしまうのもいけないので後ろの方でみなさんの行動を見守っていました。そして最後にゴブリンの部屋に入って僕が見たものは・・・■「酷いことを・・・」妖魔がよい生き物でないことはよく分かっています。そして人間が彼らを殺すということがいけないことだと言うつもりもありません。物語の中によくでてくるその光景を実際に見て僕は思わず彼らの命に悲しさを感じました。人の英雄というものが他の命を駆逐した者に与えられる称号だというのでしょうか?僕はそれ以上何も語りませんでした。ただ、最後に残されたゴブリンシャーマンが野に放たれたとしても長生きしない命だとは分かっていましたが僕は彼を開放することを皆さんに提示してみました。「彼らが集落を襲ったわけではないみたいですし、生きているだけの彼に罪はないでしょう。逃がしてあげてもいいんじゃないですかね?」■その洞窟を背にし村へと戻ろうとした僕の心の中に今までとは違う物語が紡がれ始めていた様な気がしました。

旋律6
エランさんが見つけた洞窟の奥には、ゴブリンと…はて、ちょっと見かけないゴブリン(新種?ゴブリングレートと名付けましょう!!)がぐーすかと…■「気をつけろ、あのちょっと派手なのはゴブリンシャーマン精霊魔法を、あ・・・ぅ・・・」■…なるほど、ゴブリンシャーマンというのですか…グレートよさらば…■「捕まえるにしても寝首をかくにしても音がしてちゃ厄介だよな。」■すぐにシャルフさんが沈黙の魔法をかける…すたすたすた…ごん、ぐしゃ、ぐしゃ、ぐしゃ…■直接手に伝わる音を感じながら、無表情にゴブリンの頭を潰すと、最初に気絶させたグレート…もといシャーマンを起こす。■「ご、ごぶ?ご、ごぶごぶごぶごぶ〜!?」(意訳:な、なんだ?え、うわああああああ!?)■「ごぶごぶごぶ、ごぶごぶごぶごぶ…ごぶごぶごぶごぶ(ご〜ぶ)」(意訳:はっはっは、少しでも長く生きていたいなら…キリキリ質問に答えなさい(は〜と))■「ご、ごぶ〜!!」(意訳:ひ、ひ〜!!)■…■…■…■なるほど…嘘はついていないようですが…だとしたら…ジェラルドさん…さて、この推測は外れていることを願いましょうか…■とりあえず、尋問は終わったので、シャーマンの話した内容を皆に伝える。■「ごぶご…え〜と、かくかくしかじか…と言うわけです。■嫌な予感もします…早く村に戻りませんか?…今回ばかりは、外れるとよいのですが…」

もう一つの風の魔法
俺がふと口にした心配だが、その必要はないらしかった。奥があるのは4つ程度。足跡があるにはあるがどれも昔のものらしい。選んだ、んだろうな。とりあえず中に入る隊列を決め始める俺たち。■洞窟は、本当に小さなものだった。ゆっくり進んだつもりだったがすぐに先頭のエランが立ち止まる。あん?空間がある・・・あれは・・・ゴブリンか。寝てやがる・・・。ってあれシャーマン種じゃねーの?■「気をつけろ、あのちょっと派手なのはゴブリンシャーマン精霊魔法を、あ・・・ぅ・・・」最後尾からすばやく呪文を唱えたカイン。眠りの雲、はわずかに薄めをあけた奴を再び深い眠りへとおしこめていた。■「捕まえるにしても寝首をかくにしても音がしてちゃ厄介だよな。」小さく呟いて、左手を横にまっすぐ伸ばす。「“風使い”に任せな。」俺は沈黙の呪文を唱え始めた・・・

旋律5
サリアーナさん…この子もまた…■少女が怯えないよう、私は少し離れたところで話しに加わらないようにしていました。■直接助けて貰ったジェラルドさんならともかく、見知らぬ冒険者、そして血の匂いのするモノなど、近くにいて貰いたくないでしょうから…。■夜明け頃、少し早めに起き出すと、お墓の側まで歩む。懐から妻の形見の横笛を取り出すと、小さく吹き鳴らした。■奏でるは鎮魂歌。どうか、ここに眠る者たちよ、安らかなれ…■…■集落でジェラルドさんと別れ、森を進むと…ゴブリン達の住処と思われる穴があるという場所に辿り着きました。■…私には、辿り着いたのかどうかも分かりませんでしたが(汗)■暫く手分けして辺りを探していましたが…私と正反対の方向で、エランさんがゴブ穴(命名…誰だっけ?)を見つけたようです…いやはや、やはり私もレンジャーの技能を習った方が良いですかねえ…■ゴブ穴を前にして、私は思う。■ジェラルドさん…彼を本当に信用して良かったのか?また、あの時の繰り返しにならないだろうか?■…しかし、もうここまで来てしまった。■「エランさん、洞穴に入っていくゴブリンと思われる足跡ですが…最後の足跡が、外に向かっているか、中から出ているか分かりますでしょうか?■ゴブリンとは言え、洞窟の中で挟み打ち…なんて言うのは、避けたいですからね■それと…ゴブリンと出会ったら、一匹は生け捕りにしましょう…私は、彼らの言葉を理解できますから…」

ゴブリンのもとへ
ジェラルドとサリアーナが村へと出発すると同時、俺たちもゴブリンの巣穴へと歩き始めた。野伏の心得のある奴がそれらしい足跡を見つけて追いかけ始める。ここは専門家に任せて俺はあたりの警戒でもしときますかね。時々たちどまって精神集中。精霊力が乱れてたりしてねーだろうな?■『相棒』とやらはどこに行っちまったのか、道中はもっぱらそれを考えていた。んー、一日たってももどってこねー偵察なんて普通連絡無しにはやらねーよな。かといってジェラルドとの付き合いもそこそこある見たいだしいきなり裏切って魔法生物の実験、なんてできっこねーやな。そーすっと誰かに拉致らられてる?そうでなければ・・・■そのうちゴブ穴があるだろうと思しき洞窟群にぶちあたった。たちまち野伏たちが調べ始める。野外の盗賊、か。手際のよさなんかはまさにそのとおりだな。■「う〜ん、ゴブリン以外の足跡は無いみたい。ジェラルドさんの連れ、っていう人はここには来てないみたい。」エランが声にだして報告する。足跡がたくさんあった穴の前。む・・・普通、か。「んじゃとっとと掃除しちまったほうがよさそーかな。」あ、でもほかの穴・・・

こっちこっち
さっそくゴブリンを探しに出発。森を進んでいくとゴブリンっぽい足跡を見つけた。足跡はずっと向こうに続いている。「そっちニ続いテ居るデスか?」「うん、こっちだよ。」とりあえずこの足跡を追い続けてみた。■■■山のふもとにはたくさんの洞窟があった。足跡はどれに続いているんだろう。チェシャさんは困ったような顔をしてこっちを見ている。「え〜と、足跡は・・・こっち!」足跡(多分)をたどってたくさんある洞窟の一つまで案内する。「う〜ん、ゴブリン以外の足跡は無いみたい。ジェラルドさんの連れ、っていう人はここには来てないみたい。」

ごぶりんごぶりん足跡追って…穴いっぱい
一夜明けて。「じゃあ、俺はサリアーナを村まで送ることにしよう。この地図にあるマゼランという村でいいんだな?」「デス。ここここヲこー行っタそれでス」■じぇらるどさんがサリアーナさんをマゼラン村まで送りに出るのを見た後、おらたちも出発しただ。えーとちづによると……あっち側……だな。■道々足元を良く見ていたら、ごぶりんぽい足跡が有っただ。「コレごぶりんでショウか」一つ一つ指を指して後を追……追、お〜〜〜〜〜〜〜〜〜?■見失っただ……。もうちょいと野伏としての修練つんどきゃ良かっただかなぁ。エランさんが一定の方向に地面を見ているのに、おらは途方に暮れていた時に気付いただ。「そっちニ続いテ居るデスか?」■はぁ、やっぱり熟練の人は違うだなぁ。おらは感心しつつエランさんの後ろに付いていっただ。ちづの方向とずれないかどうか心配しただが、まぁそんなこともなかったようだな。■そしてやっとこ、山のふもとに付いただ。しかしまぁ一杯の洞窟があるだが…どれだ?既に足跡見失ってるおらには分からないだよぉ。■おらは困ってエランさんの顔を見上げて首を傾げただ。■

真夜中の質問会
誰にだったか、起こされて俺は見張りにたった。小さくなりかけていた焚き火の炎に焚き火をくべて手をかざす。アテナルの配慮で昨日とは違う時間帯になった。おかげで頭はすっきりしている。■いっしょに見張るのはカインと・・ジェラルド。ちょうどいいや。気になってたこと、いくつか聞いてみるか。■「よう、ちょっと失礼するぜ。」隣に座ってみる。「昼間からちょっと気になってんだけどよ。あんたどーやってあのスリヌケミドリを倒したんだ?、、いや、疑ってるんじゃなくてな、想像もついてっけど単純に気になんだよ。」尋ねる俺に、彼は剣の鞘をたたいた。「新しい相棒のおかげでな。」・・魔剣?■空が白んで来た。最後の質問をぶつける。「ゴブ退治だと言われて来たんだけどな。あんな化け物ちとゴブじゃーなさそうだし戦力不足っちゃ不足してんだよ。」ちらりと彼の剣に視線を送る。「あんなのを斬れる奴がいるよーな気もすんだよ。あんた傭兵っつったよな?いくら?」■・・・そーか、雇われてんのか。この村の狩人の小娘ごときに。『俺は安くはないが・・・』人並みの同情心はあるってこったぁな。■翌朝、多少の情報交換をしてから今日の行動について話あった。相棒さんはひょっとしたらもう生きちゃいねーかもしれねーな。「割れた壷は・・・底にミドリの名前、か。誰かが実験でもしたのかね。」遺跡での発掘物なら納得がいく。「とすっと俺らと村人以外の誰かがこの近くにいるんだよな。相棒殿が無事ならいーけどよ。・・・そーいや相棒ってどんな奴?名前は?背格好は?何ができる?いつ知り合った?」あんまり考えたくはねーが・・・まさか、な。

悲しみに頬を伝う真実、それを守りし騎士が偽りであっても
まだ日も昇らぬ夜中に娘さんが目を覚ましました。初めて見る私達に動揺をする彼女に僕は声をかけました。■「怖かったですか?もう大丈夫ですよ。僕たちはこの集落の様子を見に来た冒険者です」そう言って彼女、サリアーナさんを安心させる為に微笑みかけました。彼女の目尻に何か光るものが見えましたが、やはり彼女にとっては辛い思いなのでしょう。「サリアーナさんにとっては思い出すのも辛い事でしょうが、村の様子を教えていただけますか?」■ぽつりと彼女が語った話しではどうやら父、兄と共に狩りに出かけて帰ってきた時にあの緑の怪物に襲われてしまったようです。そしてそこで助けに入ったのがジェラルドさんとそのお連れの方だとか。■どうやらジェラルドさんにサリアーナさんをお任せして安全なところに連れて行ってもらい、僕達はその間に原因となっているかもしれない妖魔の巣へと行くことになるでしょう。サリアーナさんがジェラルドさんの依頼者らしいので彼女の事はお任せしましょう。■「では先にゴブリンの巣へと行っていますので」地図を渡され後から合流することをお約束してくださったジェラルドさん。彼の仲間の連絡を待つにはあまりに時間が不確定過ぎます。■彼女が悲しみこの集落が襲われたのが事実、そして私達の仕事は脅威を払う事のようです。「お兄さんはきっと無事ですよ。僕たちが見つけ次第お助けしますので待ってて下さいね」僕はサリアーナさんとの別れ際に彼女にそう約束しました。

とにかく就寝
「サテ、明日ハ多分早い事デスし、もう寝まショウ」とチェシャさんが提案した。そうだね、ちゃんと寝てないと明日がつらいし。「じゃ、見張りはさっき決めた順番通りだね」僕はキャンプの準備をした。

じゃあ決まりだ。
「たしかに、子供だけ見当たらないのも不自然なところではある...」うにゃ?若しかして、と期待が持てるような発言だな。■じぇらるどさんの言うとおり、村の外で亡くなってた狩人さんたちが時間差で殺されてたとすると、少人数でもこんなことは可能だ。■「依頼を継続するか?」倒れてた、お父さんたちを殺された女の子、サリアーナさんにじぇらるどさんがそう聞いただ。答えは、おらたちも一緒に探して欲しい、ということ。■「...なら、契約は成立だ。そちらと組んだほうがやりやすそうなら、協力はしよう。単独のほうが良さそうなら、別行動をさせてもらうが」「分かりまシた。宜しクお願いしまス」おらはサリアーナさんとじぇらるどさんにぺこりと頭を下げただ。■…カインさんは、何か考えた後に雇うのに反対だって言ってるだが…うむー。あの欠片は何か魔法に纏わるものらしいだ。それを考えると確かにゴブリンだけのもんじゃない気もするだし、じぇらるどさんを怪しむのも分からない気もしないでもないだが。しかし、雇うっちゅーかおらたちが雇われたと言うか…。は!その点では二重契約だか!?おらたち!■「付きましテは、じぇらるどサン、明日サリあーなサンを村マデ送り届けて頂ケマスか?その間ニワタシたちガごぶりんの穴ノ探索ヲして居たいト思いマス」■そこでおらはアテナルさんが持ってた、ゴブリン穴までの地図を羊皮紙にペンで写してじぇらるどさんに渡しただ。■「エート、そノ後……此処ニ巣が有る様デスので、此方まデいらしテ下サイ。中で分岐ガ有った場合にハ、なるべク印…楔かロープか――ロープだったラこんな形に縛って置きまスね――を付けテ置くようニしマスので、其方ニいらしテくだサイ」鞄から出したロープでの実演付きで説明しただ。「……こんナ所でショウか」■「サテ、明日ハ多分早い事デスし、もう寝まショウ」…時間のロスも考えるとこんなもんだかな。危なそうだったら入り口で待ってるかすりゃいいし。そんなこと起こらない方が良いんだがなぁ。

信じるコトあたわず
ジェラルド。アテナルと同じくらいの腕前なのだろうか?まだ未熟な俺には判断がつきかねるが、ただ一つ確かなことは俺よりもずっと腕が立つってことだ。ま、古代語が読める点で俺が勝ってるケドね。どーでもいいけど。それにしてもだ、なんで皆、ジェラルドのことを無用心に信用してるんだ?■ジェラルドと娘…サリアーナ…の話を聞き終わっても俺はしっくりこなかった。サリアーナが気絶してる間に彼が現れてそれで助けて、じゃあ彼が犯人じゃ無いって証拠は何も無いんじゃないか?どうにも登場の仕方と良い、こんな都合の良い話しは信用ならない。なによりも俺の直感がそう告げて居た。「俺は雇うって話は反対だけどな。とはいえ反対するに十分な根拠も無いから、そう強くは言わないけどな。」一応、自分の意見は言っておく。ガス・ストーカの壷。誰かが人為的に置いたのは確かだろう、無差別殺人をしたがる魔法生物を集落の中に放置すれば誰にでも出来る犯行だ。例えゴブリンでも。しかしそれを指示するにはそれ相応の知恵と古代王国に関する知識が必要だろう…。夜の空を見上げながら俺はもの思いにふけっていた。■「ああ、それは大変な思いをしましたね、お嬢さん。」墓標を見つめるサリアーナに言葉をかける。基本的に初対面の人間には丁寧なんだよ、俺は。「サリアーナさん、とおっしゃいましたね?これからどうするおつもりですか?貴方の安全を考えるなら村へと戻った方が良いと思いますが。もし、お父さんやお兄さんを探すつもりでしたら協力しますよ?お父さん達と一緒に狩りに出かけたということは狩人の心得もあるということでしょうし。」話しを過去ではなく未来へと差し向ける。今まであったことはどうしようもない。これから何をすべきか。それを示せば悲しみも薄れるだろう。そして、彼女は未来を見つめることを選んだ。

よるのおきび
ぱちぱちと野営の火がはぜる中で、ぼそりぼそりとじぇらるどさんが依頼の内容やらを話してくれていただ。果たされなかった『皆を助けて欲しい』。うにゃ。果たされていねえ、『皆を助けて欲しい』、だな。■「まだ、子供ガ居るデスよ」おらは重いような空気に潰されて大きな声は出せなかっただが、火の揺らぎに目を彷徨わせることしか出来なかっただが、ぽそりとそう言っただ。■「子供が見つカってマセンヨ……マダ」おらは頷くと、今度は真っ直ぐじぇらるどさんの方を向いただ。「一緒ニ行って、探しマセンか?ごぶりん穴トカ、いるカモ知れまセんシ……」強そうな、熟練の人の顔をじっと見るのは気が無くなって行きそうだが、此処で引く訳にはいかねぇ。…何故だか、しらねぇだが。

ワスレチャナラナイコト
その叫びは突然だった。「スミマセン!……撤退デスー!何か居るでスー!ふにゃぁぁぁあああああ!」■「・・・やれやれ、いきなり過ぎだぜ。」立ち上がって、走り出した。■走って数十秒。そこにそいつはいた。エランが魔剣を手に応戦している。このままでもなんとかならねーことはねーだろうが・・・「長引かしたくはねーんでな。」ぎりぎりの距離で左腕を突き出し印を切る。同時に詠唱。常から感じている“何か”とのかかわりを強めていく・・・■光の精霊を二発。それだけであっさりとそのミドリは霧散した。「へっ、戦神殺しの俺に逆らおうなんて100年早いぜ!」、、言ってから殺してしまった奴の顔を思い出す。これで、いい。俺はあいつを忘れちゃいない。■その白髪の剣士はジェラルドと名乗った。なかなかの災難野郎みたいだ。まぁ腕は確かみてーだけどな。しかもあのスリヌケミドリを倒しちまってるらしい。魔剣・・・?それとも共通語魔法か?まぁいい。■奴の反応はなんだか素っ気無い。忙しい、か。偶然よっちまったよーなところで墓を作って回るってこたぁ悪人てわけじゃなさそーだな。よし、手伝うとすっか。■遺体を埋め終わったとき、もう日は西へと沈もうとしていた。「それであんたはどうするつもりなんだ?、、これから夜になるなか帰ろうなんてこたぁ考えちゃいねーだろ?俺たちはここで一泊するつもりなんだけどよ、あんたも一緒に泊まってくよな?」

旋律4
辿り着いた村。■エランさん、チェシャさんが先行し、私たちは村はずれで待機することとなりました…そこで待っていたのは…■「スミマセン!……撤退デスー!何か居るでスー!ふにゃぁぁぁあああああ!」■…チェシャさん…(汗)■ウィックさんの何処か呑気な(分からないでもないです)呟きと共に、いっせいに走り出す…霞むように現れた緑色の人影…あれは何でしょうか?■実体化した人影にエランさんの短剣が閃き、シャルフさんに呼び出された光球が相手ごと弾け飛ぶ。私もクレインを向け撃ち放ち…すり抜けた!?■「普通の武器は効かないぞ!」■そこに、エランさんの叱責が飛ぶ。なるほど、やっかいな敵ですね。■すぐに銀製のヘビーメイス『ビーク・ザ・シルバー』を取りだし…あれ?■メイスを振り上げようとした目の前で、緑色の肌をした魔人は光球と共に弾け飛び、悪臭を放ちながら現れた時のように霞んで消えていった…私、役立たずですか?(汗)■…■どうやら、集落に人影があり、その人物の方からこのモンスターは現れたそうです。■まだ居るかどうか分かりませんが…とりあえず皆走り出しました。■私も気を取り直し、クレインを拾うとクォーレルを込め直しながら追いかけ…集落の広場に辿り着くと、確かに人影が何かをしていました。■穴を埋めているようですが…墓穴のようです。穴の中に見える埋められゆく人は、確かに死んでいるようです。他にも同じような物が幾つもありますし。■どうやら戦士のようですね。今は鎧を脱ぎ、剣の代わりにスコップを持っていますが…、腰に帯びた片手半剣は、よく使い込まれています。■そして、彼の傍で横たわっている少女…どうやらここの村人のようですが…彼女は生きてますね。胸が上下に動いている、呼吸をしています。■「...何者かは知らないが」■警戒をしつつ近づく私たち。声をかけたのは向こうが先でした。■「用がなければ、邪魔をしないでくれないか。俺は今忙しい」■…さて、■「用は…ありますね。私は、ここと縁のある近隣の村に雇われた、アテナルと言う者です。■その少女は…生きているようですが、この村の者でしょうか。どうやら寝ておられるようですが…。■今すぐ…と言うわけではありませんが、お話を聞かせていただけ無いでしょうか」■手伝う気なのか、近づいたチェシャさんに、男は手に持っていたスコップを渡した。■「使うといい。死体はまだあったからな...」■チェシャさんのおかげか、どうやらとりあえず私たちを信用してくれたらしい。■「疲れたのだろうな。彼女が言っていたことが正しければ、この村の者だろう」■少女の方を見ながら、男は答える。■「まだかかると思うが、待てるなら。俺も多くは知らんが」■その答えに頷くと、とりあえずあたりの民家の様子を見た。■殆どの扉が壊されています。中も荒らされているでしょうね…ふむ、とりあえず、家を調べたりするのは私の領分ではないですしね。あと、この少女ですが…■「私も手伝いましょう、スコップは、どのあたりにありますか?」■…■埋葬が一段落すると、男は私に質問を促した。■「ありがとうございます。■私たちは、ここより南東にあるマゼランという村に雇われた冒険者です。■ここより北西にあると思われる、ゴブリンの巣の退治に雇われたのですが…追加依頼でその村に今おとずれている脅威そのものを払ってくれとのことでしてね。■この集落から人が下りてこなくなったと聞きましたので、様子を見るためと、情報収集に訪れたしだいです。■先程、すぐそこでモンスターに襲われまして、仲間が言いますには、そのモンスターは『あなた方の方向から現れた』とのことらしいのですが…この集落の事について、何か知っていませんでしょうか?」■「俺はジェラルド。流れの傭兵をやっている」■「ゴーバからの帰り道に、この集落に住む狩人宛てに用事を頼まれた。こことの関わりはその程度だ」■「ところが、来てみれば村は壊滅寸前。魔法生物らしき存在も2体ほど相手にしたが、今のところ確認している生存者はその娘だけだ」■「娘は森の外れで見つけた。話を聞くに、父親に逃がされたらしいが、その父親は既に土の中だ」■「父親の遺体を埋葬し終えたところで、緊張の糸が切れたのか、泣きつかれて眠ってしまった」■「そのままにしておくわけにもいかないのでな。こうして、一人一人埋葬をしているところだ」■「その怪物は姿を消していたのだろう? どうやら、実体化しないと襲えないらしいが」■「それに関しては、俺も被害者という形になるのかね」■ジェラルドさん…そう名乗った男は、私の質問に一つ一つ丁寧に答えてくれました。■ふむ、この少女だけが生き残ったと…可哀想に…どれほどの傷となることか…。■…■ジェラルドさんはどうやらここで野営をするようです。■日も暮れ始めましたし、私たちも同じくここで野営することになりました。■民家から薪を失敬してきたとき、ジェラルドさんが思いだしたように話しかけてきました。■「...そういえば、埋葬する途中で、ゴブリンが村外れに来ているのを見たぞ」■「もっとも、一睨みしたら逃げていったが」■ふむ。■「どうも今回の依頼、一筋縄ではいかなそうですね…ありがとうございます」■さて、どうなるでしょうね…。

緑と白
エランとチェシャと緑の雲が走って来てから、ものの一分もたっていないだろうか。今度は俺達全員がその走って来た方向に向かって居た。緑の影はシャルフのウィスプにあっとういうまに霧散化。どうやら魔法生物だったらしいがそんなことを確認する間も無く、あっというまの出来事でした。なるほど、術者の実力が違うとああも威力が違うものなのか…。それはさておき、なんだかまだ人影がいるらしくて、それに向かって俺達は走っているってわけだ。あ、チェシャがみんなの足が早すぎるだのと文句いってらぁ。そして俺達が辿りついた先には、一人の男が居たのだった。

勘違いと人影のほんとう
おらが手も足も出ないので逃げ終えて数十秒で勝負はついただ。■緑色の煙のような物は霧散し、何も残ってなかっただ。■「え?アレがさっきノ人とハ違ったノデスか?」おらは後ろを一度も振り返らないで走っていたからそうおもっていたども、ほんとうは緑色の変なのは途中から実体化して襲ってきたものらしい。ははぁ。じゃぁあそこにはまだ人が……。■それに皆気付いたらしく、誰ともなく走り出しただ。「み、皆速いデスー!」人並み以上の足は有ったと思ってただが…。おらの足は冒険者としてはまだまだってことだか!?にしても皆速過ぎだぁ。■人影の近くに近づくにつれ、その様子がはっきりと見えるようになってきただ。アレは、お墓、だか?■周囲には幾つかの盛り土と、狩人らしき人の死体。そして立っている人影は、髪の白い男の人だっただ。■今も掘り続ける穴は、その狩人の人の為のもの何だか?それとも横に倒れてる栗色の髪の……あ、あの女の子は、生きてるだ。手に泥が一杯ってことは…、今まで、一緒に穴を掘ってたんだべか。■「アノ……」そう話し掛けるも、返答はにべもないものだっただ。今は忙しい。邪魔をしないでくれないか。きっぱりと言い放つその声は拒絶の色のような物が滲んでいただよ。■おらは頷き、無言でぱたぱたと近くに寄ると穴掘りを手伝い始めただ。多分、近いうちに止めろ、とか、邪魔だ、とか小突かれそうな気はしてただが。■ほっといても、良いことはねぇ。今は話を聞くことも期待しねぇ。手伝わせて貰えりゃそれでいいだ。…終わるまで、話を聞くこともしねぇだろうしな。

霧散
さらに近寄ってくるチェシャ様とエランさん・・・・・・臭いです。外見は特に汚れた感じもしませんが・・・川でお洗いにでもなられたのでしょうか?いや、ここら辺に川は見受けられませんでしたね。■突然2人の後ろに姿を現すモンスター。詩でしか聞いたことのない怪物が僕の目の前に現れたのです。■エランさんの技(わざ)とシャルフさんの術(わざ)が僕に動く暇を与えずにその怪物を消し去ってしまいました。光の精霊と、舞い踊る様に見える盗賊の戦いがそこに絵を作っていました。それは命を奪うためのすべでありけっして良いことではないのですが、それに僕は美しさを感じてしまいました。散りゆく作られた命に囲まれたその絵に・・・。

危ない!!
異臭のする人影がだんだんと追いついてくる、このままじゃチェシャさんが危ない!足を止めて急旋回、チェシャさんと怪物の間に割って入る。え〜と、こいつは・・・ガスストーカー!?何処で知ったのかは忘れたけど、そんな怪物のことが思い浮かんだ。確か普通の武器は効かなかったはず。僕はとりあえず腰のこの間手に入れた魔法の剣を構えて怪物と向かい合った。

邪悪な生き物は芸術と物語にもっとも等しい
チェシャ様とエランさんが走って戻ってこられます。どうやら何かを発見したもよ・・・?非常に慌ててますが、エランさんが何かからチェシャ様を庇って動いている様にも見えますね。「敵でしょうか?」思わず指を指しながら同じく待機をしていたみなさんにそう問いました。

走れ走れ
村の中はひっそりとしていて、おらがちょっと足元ぱきぱき言わせても大したことはないみたいだっただ。と、どん、とエランさんの背中にぶつかる。……どうしただ?■遠くの方に、人影のようなものが見えるだ。……ありゃ、なんだべ。■近づくには…もっと慎重にいかにゃいけねぇ。さて、どうするべか。そう、思っているうちに鼻をくすぐる変な臭い。何だろ…あの人の方から漂ってくるだよ?■こりゃ、一度戻って皆を呼んできたほうがええかもしれねえな。エランさんがここに残るというのでおらが帰る事になっただ。はわー。……音立てなけりゃいいだが……。■ぱきっ。一歩踏み出して、足元の小枝が折れたのが分かっただ。ふわぁぁ。やばいだ。ぱき、ぽき、ぺき……っ。うー……………こうなったらもう早いか遅いかしか変わらねぇ!■おらが意を決して走り出した時には、もうエランさんが横に並んでただ。反応早すぎだぁ。「スミマセン!……撤退デスー!何か居るでスー!ふにゃぁぁぁあああああ!」喚きつつ。皆に届けばいいだなぁ。

まだ、見えない
人気の無い集落の前で、俺達は二手に別れた。レンジャーの心得のあるやつが斥候というかたちで潜入捜索をするらしい。ま、ここらへんはオーソドックスな対応ってやつだな。んで、そのあいだ残った俺達はぼんやり待つしかないんだが…。待つ側ってのはヒマなんだよなぁ正直。俺だってレンジャーの心得はあるんだし。斥候組に入っとけば良かったかな?チラリと思ったりした。■「ゴブリンの仕業・・・にしちゃ手際がよすぎるか・・・」シャルフがもっともなことをいう。「じゃあゴブリンロードの仕業ってことで」くだらないチャチャを居れて見る。どっちにしても知能のほどは変わらないよーな気がするが。まぁ見えない敵にイロイロ妄想を膨らませてもしゃーないだろう。と、いいつつ「ダークエルフとかが糸を引いてるのかな?それとも暗黒司祭?昔狩られたゴブリンが復讐に?」妄想は果てしなく。ま、どっちにしても待つしか無いんだけど。とりあえずシーフとレンジャーの心得があるのは居残り組みでは俺だけだし、せいぜい警戒でもしておくか。

精霊力感知
エランとチェシャを見送り、俺たちは適当な茂みに隠れるようにして待っていた。静かすぎる、生活感のない村。そして「これハ…、何かノ腐ッた臭いデスね……」。あんまり考えたくはねーがこの村にまともな奴はほぼ残っちゃいねーだろう。「何か・・・嫌な感じがしますね」ウィックが呟く。「あぁ、こいつぁちぃとただごとじゃあねーな。」■「ゴブリンの仕業・・・にしちゃ手際がよすぎるか。1人も逃がさずこれだけの人の集団を一網打尽にするなんて低級の妖魔にゃできねー芸当だな。統制のとれたある程度の集団か・・・」嫌な考えにたどりつく。自然とあたりを気にしてしまう。今そこの茂みが揺れやしなかったか?「・・・誰にも気付かれずに動ける“何か”だろーな。」■「…シャルフさん、センス・オーラを集落にお願いします・・・」アテナルが囁く。「わあってる。ちょっと待ちな・・・」俺は軽く精神を集中した。いつもやってる慣れたこと。その感触に、俺はわずかばかりの安堵を覚えた。

旋律3
何事もなく夜が明け、チェシャさんが病人等を見終わると、私たちは出発することにした。■「やっぱり、ゴブリン2,3匹倒して、それでおしまいって感じ?」■カインさんの軽口。■「さて、どうでしょうね?ゴブリンはあれで賢いですから。人間を脅威と思わない限りは、人里に現れるようなことはないでしょう。ある程度の数がいるか、それとも…?」■苦笑しつつ答えるが、ある疑問が頭をかすめる。■人攫い、村に下りてこなかった集落の人々、最近出現し始めたゴブリン。これらは偶然のことか?それにしては出来すぎている気がする。感でしかないが恐らく関わりがあるに違いない。ゴブリンに、そこまでする力があるだろうか?■…情報が少なすぎますね。今は進むしかなさそうです。■「では、行って来ます。私たちがいない間にゴブリンを見かけましたら、闘おうなどせずに逃げてください」■そう言って狩人に描いて貰った地図を片手に村をたつ。…私が持っていても意味がない(←かなりの方向音痴)ので、すぐに他の方に渡しましたが(苦笑)■…■半日ほど進むと、ゴブリンが現れたという地点にたどり着く。■足跡…ゴブリンのモノだろうか?かつて見た妖魔の足跡に酷似している…。■「さて、どうやらゴブリンがいるのは確かなようですね」■ゴブリンだけだと良いのですが…。■…■昼時に煙の上がっていない家々の立ち並ぶ、生気だけが、スコンと抜け落ちたような不自然な集落。■様子を見に行ったチェシャさんとエランさんは、まだ調べているようです…何かあったのでしょうか?■「…シャルフさん、センス・オーラを集落にお願いします。生命の反応と、負なるモノの反応があったら教えてください」■ガシャ!■腰のクロスボウを取りだし、クォーレルが入っているのを確認する。安全装置を解除、自然に構える。■「まあ、念のために…ね」■恐らく、杞憂に終わるでしょうが…いや、既に終わっているのでしょうが…。

神はいつも光影を携え人の辿り着けぬ高みからそれを落とす、ゆっくりと、ゆっくりと
僕は心配そうに集落を見つめていました。今日の早朝に見張りが割り当てられていたので今日は少し早くから起きています。僕にとってはさほど起きるのが苦にならない時間帯ではありますが神官としての生活とは無縁な方々は生活のリズムが狂うこともあるでしょう。ただ、みなさんそこはプロでしょうから当然生活リズムを変える術は持っているのでしょうね。いらぬ心配とは言え一緒に見張りの時間帯を過ごしたエランさんが心配になってきました。寝不足で実力を発揮できないとなれば命にもかかわりますので。■集落へと偵察に行ったエランさんとチェシャ様はいまだにお戻りになりません。不気味なほど静かで生活感のない集落・・・。お戻りにならないと言うことは集落に住む人々に異変があったと言うこと。「何か・・・嫌な感じがしますね」■人の人生とは良きもあれば悪きもあります。英雄とて始めから英雄たる力を持っていた訳ではありません。玄人とても神は必ず失敗をその道に用意するもの。お二人になにも無ければよいのですが・・・。不安が胸をよぎりました。

先行偵察
「これハ…、何かノ腐ッた臭いデスね……」とチェシャさんが言った。そういえばそんなにおいがするような気が・・・。■■■何かが起きていることは間違いない、ということでシャルフさんの提案通り選考偵察に行くことに。そっと村に忍び込んではずれにある家に近づいてみると扉が少しだけ開いていた。「ちょっと周りを見ておいてね」と警戒を頼んでおいて、僕はそっと中をのぞいてみた。

煙のない村
その村が見え始めた時、おかしなことが起きてると、誰もが気付いたはづだと思うだ。おらの腹時計によると昼前。にも関わらず一筋も炊事の煙が上がってないだ。村全体が『でりばりいさあびす』を頼んでる訳がないだしな。異常だ。…だいたいにそんなの提供するとこないだ。うむ。■「どうしたンでショウ…」言う声も自然と小さくなるような。近づくにつれ、村のしん、とした様子がこちらの態度にも影響してくるようだっただ。■少ない可能性としては、獲物を取りに行っていて誰も居ない。又は、獲物が取れなくて干し肉で過ごす…うにゃ、これはねぇか。干し肉にしたって煮た方がええ。■おらんちみたいな小さな村は、村八分っていう風習は有っても基本的に近隣と親しいはづだでなぁ…ここまで昼間で静かなのは、やっぱりおかしいだ。これはちょっと探してみるだか……。■■ん?これは…■「これハ…、何かノ腐ッた臭いデスね……」周辺の森は普通そのもの。鼻に皺を寄せて、目を閉じて、更に慎重に臭いを嗅ぎ分けてみると。■「食べ物カ、それとも肉…。そんなものガ腐っテルようナ臭いデス」エランさんに付いて偵察に行ってみるだか。■……此処にはもう誰も居ないのかも知れないだな。食べ物を残して、村を捨ててざるを得なかったか……。それとも皆もう何処にも存在しないか。■もうすぐ訪れる春への喜びを溜め込む木の芽と相俟って、腐臭のする村が心霊すぽっとのように、暗く、異常に見えてきただ。

穏やかな日々
「見張りさぼっちゃ村はまもれねーぜ。見張りは基本。体力を蓄えるために交代制なんだと俺は思うけどな。それとも寒い夜中に見張るなんてーのはやっぱ嫌か?」そりゃ嫌さ。俺は笑いながら答えた。「わあってるって。お仕事だもんな、ちょっと言ってみただけだよ。」俺より若い風にも見えるハーフエルフ、シャルフの言葉に軽く返す。なるほど、若いように見えてもベテランの冒険者ってことなんだなぁ。■その夜はやはりなにも起こらなかった。まぁ、村の中での野営なのでほとんど体力を使うってことは無かったし。緊張も張り詰めた感じでも無かったので楽だといえば楽だったが…。「やっぱり、ゴブリン2,3匹倒して、それでおしまいって感じ?」軽口を叩く。そんな朝の風景も今はすぎ俺達は森を進んで居た。ゴブリンが村に出て来ない以上、待機していてもコトが進むとは思えず。やはり、さくさく探索を進めようという意見が出たからだ。そう遠くない山麓を木々のあいまに眺めつつ、森を進んで行く。まだ、ゴブリンの姿は見えない。

あれがベテランの風格ってやつだったのかな・・・
心配の必要もない、村は平和そのものだった。ゴブリンが近くにいるようだから守ってくれ、そーゆうことらしい。棲んでる場所見つけて叩き潰してやったほうがはえーわな。■「えー。別にすぐにでも襲ってきそうな感じでもないんだしさ。もっとのんびり体力を蓄えようぜ〜。」俺の見張り案にたいしてカインとかゆーのが反論してくる。「見張りさぼっちゃ村はまもれねーぜ。見張りは基本。体力を蓄えるために交代制なんだと俺は思うけどな。それとも寒い夜中に見張るなんてーのはやっぱ嫌か?」そーいやちょうど去年の今ごろ、初心者のぺーぺーだったときに寒い中見張りやったっけな。いっしょに見張った黒い巨漢の姿が思い出される。そう、ベテランっつーのはああいう風にあるべきなんだ。■「明日はその集落いってみよーぜ。そっちのほうがゴブリンの被害出てそうだし、逆に言や情報もあるだろ。そのあとで村長の言う洞行って探険するってのはどーだ?」だからして「出来ればじゃなくてぜひ頼むよ、このあたりの地図。」アテナルの言葉に賛成した。■あとは「村長、ゴブと昔戦ったやつも老いて・・とか言ったよな?っつーことは昔ゴブがでたことあるんだよな?そのときの巣がどこかはわからねーのか?」

あったかい、クリームシチューを食べよう
チェシャの言葉には眼からウロコが落ちた。自分には力はないがそれを補おうとする意志。神官ってのはえらいもんだねぇと改めて感心する。俺にゃなれないな。■深夜にもかかわらず村人たちチェシャにむらがりーの。情報収集に協力してくれーの。とイロイロとアクティブに動いてくれた。というよりか冒険者とかいうのが珍しかったんじゃねーかとおう感じもしないでも無かったが。その村人さん達の言うことにゃ。「ゴブリンは見たけど森の奥」「一匹いたけど逃げていった」などなどどこの村でもありそうなのどかな感じを漂わせるものであった。確かに村にはまだ直接の脅威があった訳でも無いしな。こりゃあ、思ったよりも楽な仕事になるんじゃないかと期待がよぎる。いや。正確にいえば失望か?ちょっと凄いモンスターが出て来たりするのを期待してたんだけど。ゴブリン王も見たかったしな。■シャルフと言ったか半分エルフが見張りの案を出す。でも俺は気楽に答えたね。「えー。別にすぐにでも襲ってきそうな感じでもないんだしさ。もっとのんびり体力を蓄えようぜ〜。」■当初よりも安楽な冒険の始まり。迫る危機も無く。強敵の存在も確認出来ない。そんな中で俺は冒険者の店の親父の忠告を忘れかけていた…。

旋律2
途中で保存食を買い足したり、エランさんの髪を斬る(ヲイ)機会を窺ったり(残念ながら無かったですが)しながら、何の問題もなく村まで辿り着いた。■何処にでもあるような、小さな村…あ、やっぱり(汗)■思った通り、チェシャさんが村人に連れて行かれてる…神官と一緒に旅をすると、よく見かける光景ですねえ(苦笑)■さて、その間私は、村長から話でも聞いていましょうか。■…■美味しい夕食をごちそうになりながら、ゴブリンについて話して貰った。■わざわざゴブリンを見かけたと言う村人まで呼んで貰ったが、特にこれと言った情報はない。ファーマンさんから聞いたことと似たりよったりだ。■村長に礼を言い、今回のパーティー(全員戻ってきた)に提案してみる。■「そうですね…今晩特に何もなければ明日、その場所に訪れたいと思いますが、どうでしょうか?」■おや、そういえば…■「あの、村長さん。最近連絡が取れない村というのはどのあたりでしょうか?■また、この村は今のところ大丈夫らしいですが、人攫いが出るという話も出来るだけ詳しく聞きたいのですが。■もしかすると、今回の事件と関係しているかもしれませんので。■それと、出来ればこのあたりの地形に詳しい方に、地図を描いて貰いたいのですが…」

何から手ェつけるかねぇ
出発はその日の夕方で、村についたのは深夜にさしかかろうかというころだった。光はなりを潜め、闇があたりを覆っている。だが意外にも多くの村人に迎え入れられた。めずらしく歓迎までされてる。やれやれ、深刻なことになってなけりゃいーんだけどな。■「さて、マゼラン村への脅威を取り払うために、まず何をいたしましょう?」ウィックが皆に問い掛ける。「くわしいこたぁ明日でいーんじゃねーの?寝ちまってるやつをわざわざ起こすのもなんだしよ。いや、起きて話をしてくれるっつーんなら歓迎だけどな。」■となりでエランが立ち上がる。見回り、か。「あ、俺も付き合うわ。くれぇのは見えねーだろ?」つって俺が行っても見えるだけなんけどな。「んじゃ全員揃ったら見張り順決めようぜ。あとよろしくな!」

村の周りをぐるぐると
ギルドには特に有力な情報は無くて、そのまま村へ向かった。道中はアテナルさんの何ともいえない雰囲気から逃れるために一応警戒はしておいたけど(笑)■■■そんな様子で目的の村に着いた。軽い昼食をご馳走してもらっているとと、いつの間にか村の人がチェシャさんを取り囲んでる。すごい人気だなぁ・・・。で、チェシャさんはそんな中でも集まってきた人たちのの相手をしつつ情報を集めているみたい。他の人たちも村の人から話を聞いている。同じことしていても仕方が無いし、僕は何しようかな・・・とりあえず村の周りでも見回りしておこうか。「じゃ、僕は村の周りの見回りに行ってくるよ。後よろしくね。」

一列にーならぶだー
村に着いたらおおわらわだっただ。お、おらそんなに身体はないだよぉ。■困ってた所にカインさんから神官としての腕を訊かれただ。その質問におらは皆に聞かれないよう耳打ちしただ。■「ワタシには病気ヲ治ス程の力は無いデスが…頼ってクレル時ニ駆け出しデス何て言ったら、不安ニなってしまいマスヨ。効く術モ効かなクナってしまうカモでス。……ワタシには医術ノ心得も有るカラ…何とカしまス。……ワタシが居る間に出来る限りハ何とかしたいデス……」■「分かりましタ、順々にお願いシマス。症状の重い人カラ診て回りますカラ…えと、何方でショウ?」おらの精神力はそんなに強い方じゃねぇ。軽い怪我に術を使ってる余裕はねぇな……。この周囲の有り合わせのモノで治療法を教えなきゃいけねぇ。……そっちの方が、オラが居なくなっても実践出来るしな。■「エーと…この周辺デこんな草見かけたりシマセンか?」一番の重病人のところへ引っ張っていかれながら、村の皆に声を掛けただ。……今日は徹夜だかなぁ。6時間は眠れると有りがたいんだがなぁ…………。

あいどるおぶまーふぁ
チェシャ…と言ったか。田舎くさい雰囲気を醸し出している少女が村では人気者らしい。確かに、あの田舎くささは村の雰囲気にマッチして・・・いやいや、マーファの司祭ってトコが受けてるんだっけか。「なあなあ、チェシャって司祭としての腕ってのはどうなんだい?村人の病気を治したりできるとか?」あの世間ずれしてない様子からしてそんな経験をつんでるようにゃ見えないが。だからといって経験つんで人間的に浮世離れするのもどーかと思うが。■道中は何事もなく過ぎていった。まぁ、辺鄙なとことはいえ道があってその道にしょっちゅう変なものが出たらそれはそれで大変な気もするけど。道中観察するには今回の面子は経験その他がバラバラらしいってことだ。ぺーぺーが3人、ベテランが3人って感じかな?■さて、意識を元に戻してみよう。「えーと、食事をごちそうしてくれるってことだっけ?そりゃーどうも。ありがたく頂戴致します。」村長らしき人物にぺこりと頭を下げる。様子から察するにそれほど慌てて仕事をしなくてもよい様子だからな。食事の時にでもゆっくり情報を仕入れよう。つーわけで「その食事の時になにかこう…、ゴブリンのこととか情報を持っていそうな人物もご一緒にというわけにはいきませんか?」今夜は優雅に歓談しながら食事と行きたいね。もっとも話題はマーファのアイドル神官のことと野暮なゴブリン、人攫いのことになるだろうけどさ。

不安が隠れる村
2日と半日を経てマゼラン村までやってきました。冒険者を喜んで迎え入れると言うことは村自体が危機感に包まれているのでしょうね。しかし特に変化は無い模様で一安心です。「お食事を用意していただけるとありがたい限りです。今日の夜になにかあっても困りますのでよく休むわけにはいきませんが、お心遣いありがたく思います」■食事を軽くいただいた後に村長様にご質問や希望などを言わせていただきました。「いまだに村の方の実質的被害はございますか?お心当たりがあればごぶりんの巣や、見かけた方などを通して場所を教えていただけると警戒もやりやすいのですがお願いできますか?」■チェシャ様は女性ですので当然僕たちと一緒に寝るわけにはいきませんね、マーファ様の愛は決して不順なものでは御座いませんので。チェシャ様を囲んでどうやら賑わっている模様。揉まれて迷惑そうにもお見受けできますが・・・。■村の状況を聞いた後で改めてみなさんに問い掛けましょう。「さて、マゼラン村への脅威を取り払うために、まず何をいたしましょう?」戦うことを学ぶのと脅威を払う手段を学ぶのは別のこと、僕のような初心者よりもここは経験豊富な皆様の知識に期待いたしましょう。

旋律1
「さて…と、これで最後ですね」■使い込んだ上質のグレート・ソードを装備し、詰め込んだ荷物を背負うと、階下に下りる。■装備が多いことと、プレートを装備していた為に私が最後のようですね。■「すいません、遅れました。あ、マスター。三日分の保存食を貰えますか?」■保存食を受け取り、その分のお金を払う。■「えっと、私はこれでもう出発できますが…皆さんは大丈夫でしょうか。良ければ出発しましょう♪」■あ、そうでしたね。■何気ない様子でエランさんに近ずき、彼だけに聞こえるように小さく呟く。■「エランさん、後で散髪…なんてどうですか?」

あえて神官戦士と名乗らずに神官だと名乗ったのは僕の剣の腕が未熟だからにほかならない。一応盾と棍棒を携えた姿を見れば少しは学んでいることを分かっていただけたと思う。■「ゐッくサン、よろしくデス!」とたぶん年上の女性神官様が僕の手を唐突に握ってきました。「は、はいっ。チェシャ様よろしくお願いします!」と張り切って僕からも強く固い握手を交わしました。神官職の年上の人には様を付けるのは習慣なのでつい名前に様をつけてしまいましたが、旅の中で仲の良くなった方というのが始めてだったのでその好意的とも取れる反応につい嬉しさを覚えてしまったのは隠しきれない事実です。■「村からの連絡が途絶えた数日後に妖魔・・・えーとゴブリンでしたか。が見受けられたとなれば急ぐ必要もありそうですね」僕もすぐに出発する事に異存は御座いません。今まで旅をしてきた訳でして準備はすぐにでも可能です。■「えーと、何か用事のある方はおられますか?差し支えなければ全員ですぐにでも旅立ちたいと思うのですが。どうしても駄目ならノカで落ち合うという手もありそうですけど」失礼ながらもファーマンさんと私達では旅にかかる時間も違うのではないかと。かく言う僕も鎖鎧を着ているため遅いのでなるべく早く旅立ちたいと思うのです。

挨拶
「僕はエラン、何か探したりするのならまかせて。よろしくっ」と挨拶を済ませる。アテナルさん以外は初対面だな・・・シャルフさんと・・・カインさんと・・・チェシャさんと・・・ウィックさん・・・よし、覚えた(多分)。■■■さっそくみんなでファーマンさんに質問を浴びせる。分からないことだらけだそうだけど、一応は聞いておかないとね。と、シャルフさんがこっちの方にさっと目配せ。とりあえず情報収拾、ということみたいだ。一段落したら行ってみよう。

さてと、準備にかかりますか
「・・・・・」アテナルだったのか。■はー、むぐむぐぱくぱくシャリシャリむしゃむしゃもむもむばくばくぽりぽり・・・・あ、自己紹介これで全員?おけっ!「ごちそうさまー、今度はちゃんと金払って食うしよろしくな〜。」■「はー、村の安全の確保、と。で、あんた名前は?、、ファーマンさんね。報酬は・・・」伝言版用の羊皮紙にはねペンでメモをとっていく。「こいつは急がなきゃなんねーな。回るとこ回ってもらってとっとと出発しようぜ。」言って盗賊風のねーちゃんにーちゃんに目配せ。ダメもとでも仕事前にゃギルド回ってもらわねーと。特に人攫いっつーのが尋常じゃねーし。「っつーわけでおやっさん、人数分の食料の用意頼むわ。」

……どーでもいいだが
アテナルさんて何か人と話す時心此処に在らずって感じだなぁ……。おらにゃ分からんが、冒険してくとそうなるんかな。■「ワタシわチェシャ・ブラウンでス。まーふァさまを信仰しテいまス。先ほどハばたばタしてて御免なサイデス」■戦士さんと…精霊使いの人と魔法使い…うにゃぁ、盗賊だか?何だろなぁ。まぁ……そんな人と、宗教違いの神官さん。宗教は違うだがお祈りの気持ちはそんなもんを越えて通じるに違いねぇ。「ゐッくサン、よろしくデス!」ぴよっと勝手に手を取って握手だ。握手握手。仲イイコトはいいことだて皆言ってるしなー。■うぅ…何だかここの所ちっともお仕事してなかったから、頭が、お仕事内容できかにゃならんことについて働かないだよ。まぁ皆が考えてくれとるからいいかなぁ。ちょっとは考えにゃあかんかな?■まぁ……おらが考えるのは皆の安全だけだな。まーふぁサマのご加護がありますよに。だ。…後は一人になった時困らん為に重要事項をメモっとくとするだかな。

前奏
若い…良いことなのでしょうね、この無謀さは。最初は、無謀であるくらいが丁度良い。自信過剰であるべきだ。■それが、前へ進む力となるのだから。一つずつ、学べばいい。慎重さと、臆病さと、生き残る知恵を。技を。そして、挫折を…。■「情報と事実、知識と実践とは、得てして違うモノです。…その中から正しいモノを取り出すのが、経験なのかもしれませんね。■そして、経験を生かすために必要なモノは、情報と知識です。■…装備を充実させ、情報を集め、万全を期して望める事にこしたことはありません…どんなことにでも。■魔法戦士の、セージの知恵、あてにしてますよ、カインさん」■微笑む私の目は、カインさんを通して昔の私を見ていた気がする。まだ、貴方がいたあの頃の自分を…。■…■さて、自己紹介ですか。■「申し遅れましたが、私は、アテナル・ティータと言う者です。“漆黒の翼”を二つ名として名乗り、剣士と自称しています。以後よろしく」■…■…■…■互いの自己紹介も終わりましたね。■「さて、依頼を受けると決めたからには、装備を整えて出発した方が良いでしょう。■今回の出来事は、早期に解決すべき事でしょうし、これ以上の情報は、その場所に赴かないと得られそうにありません。■事件は冒険者の店で起きているんじゃない、マゼランで起きているんだ!ってね♪」■…はて、これは誰の言葉でしたっけね?ま、いいですか。■「あ、マスター。今日取った部屋…空きましたので(汗)」■そう一言告げると、苦笑いしながら階段を上った。■…そう言えば、私がゴブリン語話せるってこと、言いましたっけかな?■トントントントントン…

忘れちゃいけない自己紹介
「ああそーだ。すっかり忘れてたぜ。俺はシャルフ。“風使い”って名乗ってる精霊使いさ。よろしくな!」一番最後に発言した男…耳が尖っているからエルフの血が入っているのだろうか…が名乗りをあげる。ハーフエルフ…言い方を変えりゃ半端エルフだねぇ。いや、どーでもいいんだけど。なるほど、確かにすっかり忘れてた。冒険に参加するにあたって自己紹介をしないってのは粋じゃないね。■「んじゃ、俺も自己紹介をさせてもらうぜ。まだ駆け出しではあるが、知恵と勇気じゃそこらの経験だけはつんでるベテランにゃ負けないつもりの19歳だ。魔法戦士を目指してる。」■「さっきの主の言い方じゃゴブリンロードがいるかもって話だったけど、実際は2,3匹しか発見されてないんだろ?だったらなんで、そんなに警戒するんだ?冒険に未知の危険ってのはつきもだろうし、それで自分の力量に合わない障害にあうってことは良くある話だろうし、それを毎回安全策で…なんて言ってたら冒険にゃならんよーな気がするんだけどさ。」店主の警戒っぷりに疑問をもつ。「いやさ、そもそも下調べってフツーどーすんだろ?」ぺーぺーの俺は好奇心いっぱいでつぶやいた。「ま、どっちにしても人攫いってのも調べるほうが楽しそうかもなー。」■そこまで言ってふと気づく。自己紹介、大事なことを忘れてない?■「ああ、忘れてた。俺はカイン。カイン・マーキュリーだ。よろしくな。」

あー、これがすべての始まりだった、ってやつかな。
ただ、することもなく俺はそこにいた。酒場の喧騒が耳に響く。時間は昼前。おてんとさんが中天にさしかかろうかって時だ。■酒場は盛況で、何か頼んでもなかなかその注文はおやっさんに届かねー。いまも入り口のところで農民風の男が立たされっぱなしになっている。さぞかし居心地の悪いこったろう。■あー、ダメだ。そろそろかえってなにか捕って食べよう。空腹に耐えかねて、ちょうどそう思い始めたころだ。「とりあえず何でもいいから仕事をしたい、って奴はいるか? 実力に見合わないやつもいるかもしれんが、とりあえずタダ飯は食えるらしいぞ」「やる。」■恥も外聞も知るか。たまにゃあ木の実のスープ以外のものもくいてーんだよ!■ゴブリン、か。まあ確かに俺にとっちゃちょいとものたりねーな。それでも日銭稼ぎとしちゃあこれ以上のものはなかなかねーし、受けて間違いはねーだろう。「んで?、、なんで駆け出しに任せてやんねーんだ?」とにかく状況の情報がいる。俺と集った冒険者たちはそいつを集めにとりかかった。■「ああそーだ。すっかり忘れてたぜ。俺はシャルフ。“風使い”って名乗ってる精霊使いさ。よろしくな!」んあ?こいつアテナルじゃねーか、気付かなかったぜ。

王様と私
ゴブリンロードに率いられたゴブリンの群だそーだ。なんでもゴブリンといえども強力な固体に率いられた場合にはやっぱり強くなるそうで…、って人間と変わらんっつーことだな。人間だってゴブリンだって中身は一緒かいな。俺はクスリと笑った。■「とりあえず何でもいいから仕事をしたい、って奴はいるか?」その一声に冒険に飢えてた俺は否応もなく飛びついたって訳さ。何故か自分に説明口調で語りかけている俺って一体…。

別れと再会(?)
このままベルダインに居たらアテナルさんに何されるかわからない、とゆーわけでアテナルさんのことはライオリットさんに任せて(ごめん/笑)町を出発、今居る場所はリファール。もうすぐ正午ということもあって冒険者の店『コウモリ洞窟亭』はまさに戦場。大盛況どころか人が多すぎてなかなか注文した物が来ないみたい。僕の注文もついさっき来たばかりだ。■■■そんな戦争も終わって店が閑散とし始めたころ、お百姓さんらしい格好の人が店の主人と話をしている。しばらく考え込んで「とりあえず何でもいいから仕事をしたい、って奴はいるか?」と呼びかけてきた。仕事かな?「やるやる、まかせてよ。あ、でもあんまり変な仕事はダメだけどね(笑)」と返事をした時・・・。■■■げっ・・・、ちょうど横をみるとアテナルさんの姿が。手を挙げて挨拶している。その挨拶にどんな意味がこめられているんだろう・・・。ま、まさかここまで追ってきたなんてことは・・・無いよね?(汗) とりあえず手を挙げて挨拶を返した。

ごぶりんは村にとっての損害だ。
お店で小耳に挟んだだ。「ごごごごごごご、ごぶりん〜!?」当然のように割り込んだんだ。「ごぶりんハ襲撃しよウとしたラいっぱいでやっテくるデス!ワタシも参加させテ頂きマスデス……ハイ……」■……う。事情も聞かず走っちまっただが……。ウチの村も総出で退治したこともあったからなぁ…アレは大変だっただ。うみゅ。寧ろ血気逸った村の皆の衆が勝手に怪我した手当てが大変だった気もするだが……。■「兎ニ角、ワタシも、やるデス…」冒険者としてはまだまだだなぁ……おら。

その時は僕に刻まれた
自由人たちの街道を西へと渡りここリファールへと辿り着きました。芸術の都ベルダインも良いものでしたが僕はこの街の雰囲気も好きです。素朴な優しさを醸し出している町並みはリュキアン王女様の努力と民衆の支持による芸術なのでしょう。■僕がこの街まで旅してきた理由はヴェーナー様への信仰心に疑問を抱いたからではない事を先に言わせて頂きます。ただ、父のいいつけ通りに歩むのに疑問を抱いたからに他なりません。神への信仰の元にどう生きるべきかの疑問にヴェーナー様のお告げを聞いたような気がしました。”旅があなたの人生に彩りを添えるでしょう”と・・・。■神殿において戦いの技術は学びました。これでも僕は神官戦士見習でしたし、戦いの技術はさほど上手くはならなかったものの武器と盾と鎧を着こなす経験は積んできました。ただ、自分専用の装備を持つのはこの旅に出るときが初めてでした。無駄遣いもせずお勤めで貯めたお金があったので装備にはお金を奮発してしまいました。少しばかり冒険初心者としては立派な装備を買ってしまいましたが見る人が見ればこの使い慣らされていない装備を見れば分かってしまうでしょうね。僕も見栄を張りたくて買った訳ではないのでそれで構わないのですけれど。■「とりあえず何でもいいから仕事をしたい、って奴はいるか?」休憩のつもりで入った酒場で主人からそう一声かかりました。僕は”仕事”の話に触れるのが始めてだったので緊張のあまりびくりと反応をしてしまいました。(この時依頼用の掲示板がある事を知りませんでした。もしかしたら今まで旅して来た街々でも僕が手助けできる困っている方がいらっしゃったかもしれません)■どうやらお話では妖魔の退治のようです。村の方々が襲われているとなれば手助けの必要があるでしょう。僕もお役に立てるかもしれません。そう思い立ち上がると主人の近くへと歩みよります。■「…この依頼、私は受けましょう。皆さんはどうしますか?」私が話を切り出すより先に戦士らしい女性・・・?いや、あの方は男性ですね。芸術を司るヴェーナー様の信者として色々な芸術に目を肥やしてきた僕にははっきりと分かりました。とにかくその方が先に仕事をお受けする模様。僕一人では無理なのは分かりきった事なので非常に嬉しい限りです。■「えっと、僕もお手伝いをさせていただきます」その時首から下げたヴェーナー様の聖印がこれからの物語を見守るかの様に優しく光ったような気がしました。

序曲
リファールに有る、冒険者の店。■行き詰まっていたアヴィアオロ探索から少し離れてみようと、この街に流れて、ここに宿を取ったばかりだった。■旅の疲れを取ろうと、静かに横になるベットは、安らぎと、微睡みと、そして苦痛と悪夢とを持って私を包み込む。■ふと目の前に霞む光景。それは、決して偽りではない。■血塗られたソード、肉片のこびりついたメイス。洗えども纏い付く、紅い血煙と、嗅ぎ慣れた鉄錆の匂い…。■許しを請うつもりはない。それは私の罪だ。そして、私の存在意義…求めて、得た力。■償うために、助けるために求めた力だというのに誰も助けることも出来ず、悪戯に傷つけ他者の血を啜り生きていく私の、なんと浅ましいものよ。■じゅくじゅくと音を立てて腐っていく果実のように、何処か非現実めいた酒気の中で、いつまで過去の悪夢に酔いしれるつもりなのだろうか、過去を償う道すら見いだせずに!!■「…ふう、何をやっているんでしょうね」■自嘲。■何故だろうか、最近の私は、二年前にタイデルに辿り着く前の頃のように、大切な何かを見失いつつあるような気がする。■そう、あの頃のように…血ガ流レルノヲ…レノ血ガ流レルノヲ求メテイル…■「…ダメですねえ、こんなんじゃ、また貴方に怒られてしまいますよ…」■…■そのまま暫く横になっていたが、このままただ安らぎと苦しみの狭間の中で藻掻くことに疲れ、ベットを抜け出すことにした。■階段を下りていくと、もう昼時は終わったのだろう、疎らに散らばる客たちと、ここのマスター…と、あれは依頼人か?■マスターはしばらく考え込む様子で唸っていたが、店の中を見まわした後、おもむろにこう呼びかけてきた。■「とりあえず何でもいいから仕事をしたい、って奴はいるか?」■凄い呼びかけですねえ(苦笑)■「…そうですね、当たり障りのないところを話を聞かせて貰えますでしょうか。受けるかどうか決めたいので」■他にこの依頼に興味を覚えた数名の冒険者…おや、エランさんにシャルフさん…奇遇ですね。■とりあえず手を挙げて挨拶をしておくと、話を聞くことにする。■ゴブリン退治…ですか。それにしては、マスターの顔が険しい?…なにか匂いますね。■さて…■「…この依頼、私は受けましょう。皆さんはどうしますか?良ければ、事件の詳細と報酬を訊きたいと思います」■さあ、物語は紡がれる。流れ出した調べをなんとする?アテナルよ。

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