提灯とは従来から明かりを入れて使用したり、店舗看板として人目につきやすい所に飾られたりしてきました。今では色々な用途で使用されていますが、基本的には明かりを入れること、そして人目につきやすく、目立つものであるということには変わりはありません。
その事をふまえた上で、提灯に描く文字は、太く、読みやすく、遠くからでも良くわかるように工夫されています。 そこで、提灯に一番適した書体というのが、一般的に「江戸文字」と呼ばれる書体です。 江戸文字は、楷書を基本に、太く書きます。また読みやすく、力強く、粋に見える工夫もなされています。そのことから、提灯の文字の多くは「江戸文字」を基に、描いた時の見栄えや、はまりを考えてバランス良く描き、さらに遠くからでも文字がつぶれて読めなくなる事のない様に文字の隙間を多くとるように描かれています。 そのため、江戸文字とは少し違った、独特な書体となり、これを「提灯文字」と呼ぶようになりました。また、提灯文字は毛筆の楷書を太く肉付けした書体なので、一筆では描けません。つまり、輪郭(籠字)を描き、その中を何度も塗りこむ方法で描かれる書体なのです。 提灯には、楷書・行書・隷書・寄席文字・勘亭流など、お客様の用途やご要望によって描き方を変えることが出来ます。最近ではお客様がオリジナルにデザインされた文字なども描くことが出来ます。そうしたデザイン文字においては見本となるものが必要になりますが、提灯に描ける範囲の文字であれば、ご相談に応じて描くようにしています。 《書体の違い》
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