陰極線オシログラフ陰極線オシログラフ

笠井 完 著  共立社 定価--銭

昭和12年6月15日 初版発行

目次 (B5 76ページ)

第1章 陰極線の性質及び陰極線オシログラフの原理
第2章 陰極線オシログラフの構造
第3章 多素子陰極線オツシログラフ
第4章 陰極線オシログラフの排気
第5章 操作回路
第6章 電気回路に起こる過渡現象の撮影
第7章 分圧器分流器及増幅器
第8章 偏位感度の較正
索引

昭和12年(1937年)、逓信省(後の郵政省、今は総務省)電気試験所の方による著作です。本書の前にこの出版社の実験工学講座や電気評論誌の講座でも陰極線オシログラフについて書かれています。本書はそれらの訂正追補する意味合いもあり、別途刊行された様です。
全般的にはオシロスコープのハードウェアとしての説明に多くのページが割かれていますが、著者曰わく、「時間的に変化する物理量の想定又は現象の観測をなすに電磁オシログラフは極めて重要な測定装置であるが、然し測定せんとする物理量の時間的変化が急速になるに従って誤差が大となり、遂に之を用ふる事が出来なくなる。実際種々に於いて、電磁オシログラフによっては測定し難い様な急速なる時間的変化をなす物理量の測定を必要とする事が屡々ある。陰極線オシログラフはかかる測定には必要かく可からざる測定器となるものである。」と冒頭に記しています。

昭和12年(1937年)の初版で、私の知る限り「オシロスコープ(または、オシログラフ)」を書籍名に付けた、本邦初のオシロスコープの解説書ではないかと推測しています。