クリスマスって何の日?  

(5)

ふしぎな星
聖書のお言葉
 学者たちはその星を見て喜びに溢れた。
新約聖書『マタイによる福音書』2章10節









 イエス様がお生まれになった時、夜空にひときわ赤く輝く星が現れました。

 東の国の博士たちは、その不思議な星を見て、ユダヤの地に真の王がお生まれになったに違いないと占います。そして、その方を拝むために、黄金、乳香、没薬という三つの宝物をもって、ユダヤの地を訪れたのでした。

 星は、幼子のいる場所の上で燦然と輝いていました。博士たちはその星を見て喜びに溢れ、旅路を急ぎます。やがて、彼らは一つの民家に前にたどりつき、その中で母マリアの胸に抱かれている幼子イエスに出会ったのでした。
 
 いったい、クリスマスの不思議な星の正体は何なのでしょうか。

 17世紀の天文学者ケプラーは、西暦元年前後の星空を研究して、紀元前6年にうお座付近で木星と土星と火星の大接近をして一緒に輝いていたことことが分かったと語っています。そして、当時の占星術では木星は「パレスチナ」、土星は「王」、火星は「子供」を表すと考えられていたのです。

 また中国の天文記録では、紀元前5年の3-4月にかけて山羊座付近に彗星が現れたと記録しています。また紀元前4年の3-4月にはわし座に新星が現れたという記録も残っています。

 イエス様の誕生は実際には紀元前4-6年ではないかと言われていますから、これらの天文学的な現象をクリスマスの不思議な星の正体だと考えることも十分にできそうです。

 しかし、一つの疑問が依然として残ります。それは、そのような顕著な天体ショーが夜空に繰り広げられたならば、多くの人がそれを見たでしょうが、それとイエス様の誕生を結びつけて、ベツレヘムまで拝みに来たのは東方の博士たちだけであったということです。

 その不思議な星は、東方の博士たちだけに見えた星なのかもしれません。

 彼らには、きっと救い主の誕生を知らせる星を見る心の目があったのだと思います。人は肉眼だけではなく、心でものを見るものです。たとえば神の恵みというものは、それを見る心の目を持つ人にはどんな絶望的な状況にあっても、しっかりとそれを見続けて喜ぶことができます。逆に、それを見る心の目を持たない人は、どんなに恵まれていても、何一つ恵みを見ることができず、不平や不満ばかりが募ってしまうのです。

 あなたには、真っ暗な夜空にも燦然と輝いて、救い主の誕生の喜びを告げる不思議な星が見えるでしょうか。あなたの人生がどんなに暗闇に閉ざされているように思えても、それはきっと輝いています。

 どうぞ心の目を養い、訓練してください。あなたもきっと、その星を見て喜びに溢れた博士たちと同じように、喜びに溢れることでしょう。

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