クリスマスって何の日?  

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クリスマス・ツリー
聖書のお言葉
 レバノンの栄光は、糸杉、樅、つげの木と共に
 あなたのもとに来て、わたしの聖所を輝かせる。
旧約聖書『イザヤ書』60章13節









 クリスマスは冬のさなかにあります。

 まぶしいぐらいの光にあふれていた夏が過ぎ、彩りも豊かな収穫の秋も終わると、だんだん日が短くなり、寒くなり、土は凍てつき、草は枯れ、花もめっきり姿を消し、モノトーン(単色相)でどことなく心寂しい冬の季節がやってきます。

 けれども、こんなときだからこそ、常緑樹の緑や夜空の星の輝きが栄え、いっそう有り難いものに思えてくるのではないでしょうか。クリスマスに樅の木、松、柊、ヤドリギなど常緑樹で家を飾る習慣があるのも自然にうなずけることです。

 クリスマス・ツリーはもともとは小さい若木を家の中に飾るものだったそうですが、近年は屋外に巨大なツリーが飾られることも少なくありません。毎年銀座ミキモトの前に飾られる豪華なクリスマス・ツリーは、今年で26年目になるそうで、冬の銀座の風物詩になっています。それとは比べようもありませんが、荒川教会でも礼拝堂の中に2メートルぐらいの大きめのクリスマス・ツリーを飾ります。

 クリスマス・ツリーの起源は天国の木でした。

 これは幾つかあるクリスマス・ツリーの起源説の一つですが、中世の人気劇の一つに天国の劇がありました。エデンの園は、リンゴを吊した樅の木で表されました。劇が衰えた後も、天国の木は生き続け、やがてクリスマス・ツリーとなり、家々に飾られるようになりました。最初、ツリーには救い主キリストを表すものとして白いウェハースが飾りつけられたそうですが、やがて星、天使、ベルなども飾られるようになりました。

 ツリーに明かりをつけることを考案したのは、宗教改革者ルターです。クリスマスの夜、樅の木の梢を通して見た冬の星空の美しさに感動したルターは、これを再現しようと樅の木にロウソクを何本も立てて子供部屋に飾ったと言います。

 こうして樅の木に神様の恵みや栄光を表すものを賑やかに飾りつけて、楽しく救い主の御降誕をお祝いするクリスマス・ツリーが生まれたのです。

 しかし、シンプルなクリスマス・ツリーもいいかもしれません。

 賑やかで楽しいクリスマス・ツリーは神様の恵みの豊かさを表現していますが、逆に飾りつけをシンプルにして樅の木の緑そのものを楽しむツリーも捨てたものではありません。樅の木のいつも変わることのない艶やかな緑は、永遠の命を象徴しています。イエス様はその樅の木のように、冬枯れの世にいらしてくださった一点の緑でもあるのです。 

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