恩を知る人間

 ダビデはツィクラグに帰ると、友人であるユダの長老たちに戦利品の中から贈り物をして、「これがあなたたちへの贈り物です・・・」と言った。

旧約聖書 『サムエル記上』30章26節

 ダビデの恩返し

 アマレクの略奪隊をうち破ったダビデは、多くの戦利品を手にして自分の町に帰ってきました。町に帰ると、ダビデは前々から考えていたある事をします。それは、かつて自分たちが寄る辺なく彷徨っていたときに親切にし、助けてくれた町々の長老たちに恩返しをすることです。ダビデはアマレクからの戦利品の一部をその友人たちに贈り、恩に報いました。

 感謝を知る人間になる

 人の恩を知る。これは私たちにも大切なことです。自立した人間になるということは、何でも独りで背負って生きるということではないのです。そうではなく感謝ができる人間になるということではないでしょうか。

 私も若い時は親にあれこれ言われるのが嫌で、早く親元を離れ自立したいと思っていました。しかし、本当に親から自立した人間になったと思えるようになったのは、素直に親の恩に感謝できるようになった時だったのです。

 信仰も同じです。やはり若いときには「神様のために」という思いが先立ち、一生懸命に奉仕したものの神様に感謝するということが、私にはよく分かりませんでした。そういう私が心から神様に献身しようと思えるようになったのは、神の恩寵に触れた時、神への感謝に溢れた時でした。

 神様と友人を大切にするダビデ

 ダビデは神も、友人も大切にする人間でした。人間は独りで生きているのではありません。知ると知るまいと、神の愛、多くの人々の恩を受けながら生きているのです。ダビデはこれまでたいへん苦労してきました。その分、神の恩、人の恩の有り難みを感じてきたと言えましょう。それがダビデを神を愛し、友人を大切にする人生に対する謙虚な人間に造り上げてきたのです。

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