■ 恩を徒で返す
ある時、ダビデは近くの町の富豪ナバルが羊毛の刈り取りの祝いをしているという話を聞きました。ダビデは荒れ野を放浪する身でありながら、毎日600人の部下を養わなければならないという重い責任があります。そこで、ナバルのもとに若者10人を遣わし、ご祝儀をお願いできないかと申し出たのでした。
この申し出は少し厚かましいように思えますが、ダビデ軍団は荒れ野に潜む傍ら、荒れ野に出没するならず者や略奪者たちからナバルの羊飼いたちや羊を幾たびも守ってきたようなのです。だから、ナバルはきっと自分たちの申し出を快く受け入れてくれると思ったのでありました。
ところがナバルはダビデを脱走奴隷呼ばわりして侮辱し、使者たちを追い返しました。ダビデは恩を徒で返された事で激怒し、武装した400人を連れてナバルを襲うために出立したのでした。
■ 妻アビガイルの執り成し
一方、ナバルの妻アビガイルは事の重大さを知り、贈り物をもって、ダビデのもとに急ぎます。そして夫の非礼を詫び、ダビデの赦しを得ようと執り成しをしたのでした。アビガイルのとりなしによってダビデに怒りをおさめました。それだけでなく、ダビデは怒りに身を任せて復讐しようとした自分の軽率さをも認めたというのです。
■ ナバルの裁き
翌日、アビガイルは夫ナバルにすべての成り行き打ち明けました。するとナバルは意識をなくし、10日後に死んでしまったとあります。それは主がナバルをおゆるしにならなかったからだと、聖書に言われています。
ナバルが死んだと聞くと、ダビデは自分の受けた侮辱を神様がすすいで下さったと感謝し、また賢きナバルの妻アビガイルに結婚を申し込みました。アビガイルはこの申し出を受け入れました。
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