<<ときメモ2殺人事件簿編>>



1.戦慄のときメモ2事件のこと

 賢明なる読者の諸君は既にお気づきであるかと思うが、通称「ときメモ2」とは某大手ゲーム会社から発売された恋愛シュミレーションゲーム「ときめきメモリアル2」のことである。これはそのときメモ2にまつわるAXELの数奇な実体験(実験体じゃないよ)をもとにした奇妙な悲劇(喜劇)談である・・・。これからこの物語を読むであろう読者諸君は今から書かれたこの数奇な物語を決してフィールドを痴呆老人の如く徘徊する抜け殻と化したAXELを目の前にして語るようなマネはしない方が身のためであろう。

 ・・・事の発端はとある雑誌にて見かけたときメモ2限定版発売(予定)の記事である。元来AXELは「限定版」の文字に弱くこの一言がつくだけで別段興味もないあんなモノやこんなモノまで欲しくなってしまい、気がつけば全く不必要なガラクタが兵舎の中にわんさと転がっていたのであったが、つい最近アキ〜コ顧問に「こんなモンいらん!!」とばかりにAXEL自慢のお宝(別名ガラクタとも言ふ)を綺麗さっぱり処分されてしまった・・・。

「ときメモ2の限定版がでるのか・・・ちょっぴり欲しいかな?」

 別段興味があるわけでもなかったが、何故かしら「限定版」という文字がAXELの興味を引いた・・・。が、(どうしようかな)と迷っている内に時が経ってしまいこの事はAXELの頭の片隅からも消えてしまっていた。11月下旬に近いこの時期、半年前から首を長くして待ちに待っていたショットショーが開催されるという事も理由の一つにあったのかも知れない。

 とにかくこの時期になると近畿一円のサバイバルゲーマーな諸君の頭の中身は「ショットショーで何を買おう」とか、「何とかショットショーの時のための資金繰りをせねば」とかでいっぱいになってしまい、その他の日々のどうでも良いことは忘れ去られてしまうという傾向にあるのかも知れないし、AXEL自身も例に漏れず

「う〜ん、今月のショットショーの資金どうするべ〜」

と頭を悩ませていた。

 今回のショットショーでは先日アキ〜コ顧問に買ってもらったSTEYRを消音化のための部品を購入しようと考えていたのである程度の出費を覚悟する必要があったのであるが、何しろ万年金欠病のAXELとしてはそれだけの資金を調達することが出来ずに最悪「ショットショー不参加」となってしまう可能性が非常に大きかったのである。何とかあちこちに金策に駆けずり回ってみるも世間の不況の波は中小企業の社長に対する風当たりと等しいほどにAXELにも厳しく、Kネマキ軍曹に「ちょっとだけお金かして〜〜ん」と頼み込むも・・・

「良いよ〜トイチでね」

と商工○金のぼったくりよりもさらに高い金利をふっかけられた上、「返さんかったら地獄の底まで取り立てに行くでぇ〜」というミナミの帝王ばりの脅しまでかけられてしまったため、あえなく断念。仕方がないので鬼よりも恐ろしいアキ〜コ顧問に強気の態度で

「今月の軍資金が枯渇しかかっているため、至急特別予算を組むべし」

と打電するも、いつもの如く「無駄遣いばかりする事は許さぬ」とあっさり予算の申請は却下されてしまった。まさに八方ふさがりの状況で、AXELは仕方なくこれまでシコシコとため込んでいた限定品コレクションを売りに出して少しでも資金の足しにとも考えたのであったが、先日アキ〜コ顧問に武器庫の整理をされてしまいお宝コレクションも底をついていたのでこれも断念せざるを得ない事に気付いてしまい、絶望のどん底に叩き落とされてしまう気分を存分に味わってしまった。(今回のショットショーは諦めるか・・・)かなり長時間悩んだあげくにこの結論に達した。

 そうこうしている内にふと気がつけば11月の25日・・・師走もおしせまった中、「あ〜、28日にはショットショーやなぁ・・・行きたかったなぁ」と兵舎と会社を往復する毎日にウンザリしつつ、少々疲れたサラリーマンな雰囲気を漂わせながら近所の玩具屋の前を通りかかったとき目に入ったのは、店の前に貼り出されていた

「ときメモ2販売開始!」

の垂れ幕(?)であった・・・。

(そうか・・・今日はときメモ2の発売日であったのか。そういえば限定品が出るとかどうとかいう話もあったが、そんなことはすっかり忘れていた)

 ふと立ち止まって店内を覗いてみると顔なじみのマスターと目が合ってしまった。何気なく店内に足を踏み入れ商品の棚を見回してみるも当然「限定品」と書かれたときメモ2は見あたるはずもなく「通常版」がいくつか陳列されているのみであった。そちらには別段興味もなかったのでしばし店内をうろついていると、セガのドリームキャストのソフト「ゾンビリベンジ」が目に付いた。

折しも最近流行しているインフルエンザに感染し体調を崩している事もあってか、
「前から欲しかったし体調も悪いから、明日は会社を休んでゲーム三昧じゃ」
とその場で即決し、イソイソとレジ付近で忙しそうに商品を整理しているマスターに「ゾンビリベンジ下さい」と声をかけて商品を購入・・・。しばらく世間話をしていると、

「いや〜、ときメモ2の限定版って数が少なくてウチでも品切れなんです。今だと破格の値段で引き取りさせていただきますよ〜」

という耳寄りな情報を仕入れることが出来た。実際いくらで引き取るのか聞き出すと・・・(こんな事ここで書いていいのかなぁ??まぁ、お店の名前も書いてないからいいかぁ〜)

ズバリ1万7千円!!!

え〜っと、ソフトの定価が1万円弱だから・・・単純に7千円の儲けである!!手持ちのお金は1万円少々あるのでこれで限定版を仕入れて売り飛ばすと、あ〜ら不思議、いきなり小金持ちになれてしまうではないかぁ!

 まさに天の助けとはこの事である。これだけあればショットショーにも行けて、なおかつSTEYRの改造に必要な部品を仕入れることが出来るではないか〜。気分はまさにトルネコな感じである。これはサバゲの女神様が「ときメモ2を売り飛ばしてショットショーに行きなさい」とAXELに微笑みかけているのかもしれない。いや、そうに決まっている。たとえそうでなくても恐らくAXELは悪魔に魂を売り飛ばしてでも次の日は会社をサボってときメモ2(限定版)を探して果てなき旅に出かけることであろう。

 ということで、その日の晩はヘロヘロと兵舎に戻って久しぶりに引っ張り出してきたドリームキャストに買ってきたばかりのゾンビリベンジを放り込んで電源を投入・・・1時間ほどであっさりクリア〜。何となく損した気分である。

 次の日のトルネコな大冒険に備えていつもより早めに就寝。朝起きると「その日の朝に風邪を引ける」特技を発動して速攻会社をブッチ・・・。出勤するアキ〜コ顧問を見送って朝のワイドショーなどを見物しながら「あ〜なんだか世間は大変だね〜」としばらくの間ボケ〜っと時間を潰す。いい頃合いを見計らってイソイソと準備をしていざ出発である。

「勇者AXELよ、汝はこれから国の存亡をかけて「ときメモ2(限定版)」を見つける旅に出るのじゃ。汝の行く先々には数々の困難が待ちかまえているであろうが・・・・」

 軍用車のハンドルを握りいざ記念すべき1件目のゲーム屋さんに突入・・・。店内の奥に設置してある陳列棚の前に張り付いて、ニコチンとアルコールで血走った目を皿のようにして並べられている商品を見回すも空振り・・・。さすがに伝説の(?)限定版である。まぁ、1件目だから仕方ないかと思いつつも「次はどこに行こう」と堺市内に点在するゲームショップというゲームショップを頭の中に思い起こして最適な巡航ルートを検索して次のショップに向かう・・・が、そこでも目的のアイテムは存在しなかった。その後もAXELが知りうる限りの市内のショップを駆けずり回ってみたのだが、1件たりとも限定版を置いている店はなく、諦めて一旦宿屋に戻って作戦を練ることに・・・。

 早速宿屋に戻ってまずは作戦を立てる上で最も重要であると思われる諜報活動から始めることにする。手始めにネット上で取り交わされる怪しげな情報を入手するために、AXELは情報検索用端末の電源を投入してときメモ2の情報が秘密裏に取り引きされているであろう某HPの掲示板に潜入し、そこでまことしやかに噂されている情報を入手することに成功。それによると・・・

「いや〜予約忘れちゃってどこに行っても限定版はありませんでした」
とか
「東京のどこそこカメラに行けば数個商品の存在が確認されています」
とか
「仕方ないので通常版購入しました」
とかの情報が大量に流通していた。・・・が、ここにある情報の大半は関東地区から発信された物のようで、関西地区に関してはほとんど掲示されていなかったのだが、今更ながら入手の困難さを思い知ってしまった。

 一時は任務遂行さえも諦めかけたAXELであったが、ここで引き下がっては漢が下がる。いや、レアアイテムゲッターの誇りがここで任務の中断をする事を許さないであろう。例えるならゴルゴ13が依頼を100%達成するが如く、ルパン3世が狙った獲物は必ず盗み出すが如く・・・とにかく狙った獲物は必ずゲットすることに決めているのである!

注)ほとんど駄々っ子である。取り敢えず、欲しい物は欲しい!!(・・・あれ?)

 最初の主旨からはとんでもなくかけ離れた理由ではあるが、一旦は諦めかけた任務を再度遂行すべくAXELは次なる行動に出た・・・。こうなれば市内に無数に点在するいわゆる穴場的なショップをしらみつぶしに探すという、ベトナム戦争時代のアメリカ軍の絨毯爆撃の様な圧倒的な物量作戦に出ることにした・・・。ただし、物量などどこをどうひねり出しても出てこようはずなどなくAXELただ1人の作戦参加ではあったが・・・

 再び軍用車に乗り込み宿屋を後にしたAXELであったが、穴場的存在のショップなどなかなかにあろうはずもなく、ただ適当にうろうろと堺市内を徘徊して目に留まった店に入り込んで「ときメモ2の限定版ないですかぁ〜」とひたすら駆けずり回っただけであったが、中年に手が届こうかという目を血走らせたひげ面の大男がいきなりショップに乱入してときメモ2を探し回る様はさぞかし不気味な光景であったことであろう・・・。事実、とあるショップに入ったときなどは店内にいた女性店員から蔑みとも思える視線を向けられたこともあった。・・・しかし、レアアイテムゲットという崇高な目的の前には、そのような辱めなど糞喰らえである。AXELは根気強く市内を駆けずり回って目的のアイテムを入手すべく東奔西走したのであったが、残念ながら限定版はどこへ行っても見つけだすことは出来なかった・・・。

 堺市内をはいずり回ること数時間、いい加減馬鹿らしくなってきたAXELはついに

「あ〜もういいや〜。何だか熱も出てきたし、家に帰ってさっさと寝よう」

と、任務をあっさり放棄することに決定し、踵を返して兵舎に戻ることにした。見つからない物は仕方ない。ないときはすっぱり諦めるに限る!!とばかりにときメモ2(限定版)の捜索を諦めて兵舎に戻る道すがら・・・ふと近所にある玩具屋のことが気にかかり(あまりに近所であったため、またあまりにぼろっちいためにノーマークだったのだぁ)、足を止めてみると・・・

あ、在ったぁ

 夢にまで見た伝説の「ときめきメモリアル2(限定版)が店内の一番奥、展示棚の一番下に奥ゆかしげに祀られているではないか!!しかもとんでもない程のプレミアが付けられていた!!かというと・・・そうでもなくしっかりと定価販売されている!!普段であれば目的の物が定価販売されているならば何がなんでも思いっきり値切り倒すAXELであったが、この時ばかりは店主の言い値で商品を購入し、イソイソと兵舎に戻る・・・。途中大事なことを忘れているような気もしたが、取り敢えず兵舎に戻ってレアアイテムをゲットした満足感に酔いしれながら、商品を開封しようとして・・・はて?何故AXELはこれほどまでにこれに固執してのだろうか??別段このゲームに特別な思い入れがあるわけでもないし・・・この違和感は一体何なのだろうか・・・?

 そうだった・・・アイテム捜索に没頭するあまり最初の目的をすっかり忘れていた。開封しかけだったのを慌てて元に戻し、軍用車のハンドルを握って一目散に問題の玩具店に・・・年末商戦も始まろうかというクソ忙しそうなこの時期に店内でボケ〜〜っと暇そうにしている店主をひっつかまえて、本日の戦利品であるときメモ2(限定版)を水戸黄門が印籠を悪人の前に差し出すかの如く厳かな雰囲気を醸し出しつつ、

「これ引き取りしてください!!」

と突き出すとマスターは開いた口がふさがらない様子で「え!?これ、どうしたの??」と言葉にならない様子であった。そうだろう、そうだろう。これにあるのは伝説(?)のレアアイテム「ときめきメモリアル2(限定版)」である。発売日時点の下取り価格が1万7千円というプレミアムのついた超レアアイテムである。そんじょそこらのちんけな店ではお目にかかれない超一級品なのだぁ〜〜〜

(注 少し誇大広告入ってます・・・しかも人格はち切れんばかりです

「いやぁ〜〜、苦労しましたよ、どこにもなくて。最後の方は意地になって探しましたよ〜。昨日の時点で1万7千円の下取りでしたから・・・(今日は一体いくらの値が付いてるんだ〜〜へっへっへ〜〜)」

とばかりに下心丸出しでカウンターの所に陣取って値段交渉に入る・・・。これだけ苦労して手に入れた最高級のレアアイテムである。昨日の段階で1万7千円の高値がついていたのだから、今日になるとさらにレアアイテム度が上がってさらに高値がついていることであろう!!マスターの様子を見ても(まさかこれが持ち込まれるなどとは夢にも思っていなかった)という雰囲気がありありと伺える。未開封の新品(一応)だし、どこを探しても無い商品だけに1万8千円くらいかな??もしかしたら2万円を超えちゃうかも・・・(キャッ、イヤ〜ン)

「ホントにいいんですか?やめるなら今のうちですよ。きっと価値も上がりますよ。」

もったいぶるマスターの態度が気にくわなかったが、AXELはショットショーという神聖なイベントを控えて軍資金が必要な身であったので、「いいですよ。そのために入手してきたんですから」と下取りに出す意志の硬さを表明する。「下取り価格はいくらですか?」

「今日だと・・・」
(早く言え!1万7千円か?それとも2万円を越えるのか?)














「7千円です・・・」










「え!??????????いくらですか?」

「だ・か・ら!7千円ですって」

たっぷり10秒ほど頭の中が真っ白になってからもう一度「いくらですか?」と聞き直してみるも・・・返ってきた答えはやっぱり「7千円」の一言である。

「昨日の晩、1万7千円って聞いたんですけど・・・」

「いや〜、あれから値段が暴落しちゃって今日は7千円になっちゃいました」


「マヂでですかぃ?」

「えぇ、大マヂです。だから今日売らずに持って帰った方がいいですよ」


あまりのショックに茫然自失となってしまったAXELは、今や全くの役立たずと化してしまった「ときメモ2(限定版)」を脇に抱えてフラフラと兵舎に帰り着き、職場で仕事中であったアキ〜コ顧問に電話をかけて

「あのね、あのね・・・ときメモ2の限定版がね・・・うにょ〜〜ん」

すっかり幼児退行してしまった声で訳の分からない事を口走ってしまったのであったが、ひとしきり話を聞いてくれたアキ〜コ顧問は一言天使のような口調で・・・

「うわ〜バカァ〜〜。うひょひょひょひょひょ〜」

とばかりに大笑いしてくれた。
まさしくである。

震える手でときメモ2を開封してプレステにセットして電源を投入し、ゲームを始めると何だか目の前の画面が涙で滲んでいるような気がした。ほんの少しだけしょっぱい味がしたかも知れない。ショットショーの資金を飲み込んだときメモ2(限定版)の感想は・・・何故か無性に悲しかったような気がする。

うげぇ〜
ショットショーの資金どうしよう・・・

薄れゆく意識の中、画面に写ったゲームのヒロインが微笑みながらAXELの名前を呼ぶのが聞こえてきた・・・

「AXEL君・・・・」

2.1999年最終戦のこと

 うへぇ〜プロローグが長すぎた・・・。さすがにここまでプロローグで引っ張るとこの後の展開が非常に辛いところではあるのだが・・・。調子に乗りすぎるのもあまり良いことでは無いような気がする。これを書いている時点では既に2000年を無事に迎えて正月もいい加減過ぎた頃であるから、ゲームのことなどすっかり忘れ去られているかとも思ったりしたのであったが、実際は割と鮮明に憶えているからして問題ないのかも知れない。

 とにもかくにもこの日のゲームはすかぽんたんとしては1999年最後の公式撃ち納めとなるわけだからして、特別な日であったことに間違いはない。ネットを通じて参加者を募集した事もあって、ゲーム当日に集まった人数は50名を下らないほどであった。実際、永楽常連チームなど、「今日は何かのお祭りか?」と驚くほどであったし、またすかぽんたんの呼びかけにこれほど多くのネットつながりの参加者が答えてくれたことも非常に喜ばしいことであった。

 参加者一堂に会してのミーティングの後、各参加チームが出来るだけ同じ陣営に配置されるように注意しながらチーム分けを行う。AXELの所属するすかぽんたんは日頃敵対することの多い永楽常連組と同じ陣営に配備されることとなった。ちなみにこちらの黄色の軍勢は永楽ダム常連組、スキルズの2名、今回からすかぽんたんに正式入隊が決定したまんべ氏を含むすかぽんたん(4名)であったろうか・・・。対する敵(赤色)チームは生き残り屋常連組、カメレオンの皆様、大阪教導団御一行様、それとシーモンキーのFRIPPER軍曹と風見鳥氏であったような気がする。大体双方20名程度ずつであったが、こちらの黄色チームの方が地理に詳しい兵士が多いとのことであったので、5名ほど多目に敵側に戦力を振り分けておくことにした。イソイソとスタート地点に集合して第1ゲーム開始を待つ。初めは下側からのスタートである。

「それでは行きま〜〜〜す!!3・・2・・1・・・スタート〜」

スタートの合図の後、AXELは左手にある崖に取り付くことにして、ワサワサと移動を開始する。目の前にそびえ立つ崖を見るといつも思うのであるが、「うへぇ〜これ登るの?」という感じでガサガサ・・・ズルズルズル〜、ガサガサ・・・ズルズル〜と少し登っては滑り落ち、少し登っては滑り落ちを繰り返しながら少しずつ頂上を目指す。いい加減疲れてきたところでふと30メートルほど向こうのブッシュに目をやると、敵兵士が味方の銃撃に追われて右往左往しているのが見えた。AXELより若干早めに頂上付近までたどり着いた味方兵士が数名いたようで、なかなかいい塩梅に防衛線を作っているようであったので、一旦頂上を目指すのは止めにして尾根伝いにフラグを目指すことに・・・。

 しばらく匍匐前進を続けるも何故か敵兵士と出会うことが全くなく、時折かなり近くから聞こえる銃声にビクビクしながらキョロキョロとあたりを見回したものの、敵兵士の姿は見えず・・・。銃声の感じからすると間違いなく10m以内の範囲には敵兵士が息を潜めているはずであるのだが、どういう訳か全く気付かれていないようであった。最近のゲームには無かった久方ぶりのチャンスである。またしてもこれほどの幸運を恵んでくれたサバゲの神様に感謝しつつ、地面にはいつくばって匍匐前進10倍速モードにシフトしてゴキブリ並の素早さでフラグ手前3m程の位置まで一気に距離を詰める。

 フラグからほんの少し離れたブッシュに潜んであたりの様子を窺っていると・・・なるほど数名の兵士が防衛にまわっているようで、あちこちからしきりと伝令を飛ばす声が聞こえる。もちろん銃声も頻繁に聞こえており、味方のアタックチームがAXELの侵攻してきたルートの一本上から敵陣地に肉迫している様子が手に取るように分かる。不幸にしてAXELの位置からはブッシュに阻まれてフラグの姿をハッキリと確認することは出来ない。取り敢えずフラグの大体の位置は分かっているのでめくら滅法撃ち込めば偶然フラグに当たってダッシュすることも出来るのであろうが、その前にこちらの居場所が位置バレしてしまえば多勢に無勢、折角ここまで隠密行動してきた努力が水の泡と化してします。様々な選択肢がAXELの頭の中をグルグルと回ったが、不幸にもどれ一つとして確実にフラグゲットできるような名案は思いつかなかった。

 いい加減色々と考え込んでいる内に「え〜い、面倒くさい!弾が当たらんのなら当たるまで近付け〜、フラグが分からんなら分かるまで近付け〜」といかにも頭の悪そうな迷案が浮かんできた・・・。折角頭に浮かんだ迷案(?)である。AXELはゴソゴソとさっきまで隠れていたブッシュから這いずりだしてフラグを直接この手に納めようと再び動き出したとき!!なんと、目の前のバリケードの向こうに敵兵士がいたようで、こちらの動きが怪しかったのであろうか、バリケードから身を乗り出してあたりをキョロキョロと見回し始めたではないか・・・。敵兵士との距離約2m程、AXELとの間には対して身を隠すのに役立ちそうもない波平の頭の毛程の申し訳程度の灌木が1本立っているだけである。これで見つかったら洒落にならんなぁ・・・などと思いつつもまるであさっての方を向いている敵兵士の胸元に照準を合わせてワントリガー・・・タタタン・・・至近距離から放たれた弾丸は敵兵士の胸に大穴を開けるかと思いきや・・・目の前の波平ばりに薄くなった灌木に遮られて敵兵士まで届かなかったようである。

お〜まい・がっ

AXELの身を隠すにはクソほども役に立たなかった灌木のくせにちゃっかり敵兵士の命は守りやがる。まさか自分が狙われているだろうと夢にも思わないのであろうか、キョロキョロしてその場にとどまっている敵兵士目がけて第2射を喰らわせる。タタタタタン・・・今度はしっかり目標を捉えたのかパパパパと衣服に着弾する音が聞こえて「ヒット〜」と兵士の辞世の句が聞こえてきた。先程の感じからすると、まだ他にも守備兵はいるようであるし、どのみちこのままじっとしていても他の守備兵がAXELに気付くのは時間の問題であろうから、その場から少し動いてフラグの空き缶に向けてワントリガー・・・。

カカカカン・・・

という良い音を立てながらフラグは地面に落ちて敵陣の陥落を知らせる声があたりにこだました。

3.AXEL1等兵味方の凶弾に倒れる・・・のこと

 続いて第2戦・・・AXELの所属するチームは上側の陣地からのスタートであった。開始間もなくAXELは右側にある丘の上から下方に群がる敵兵士をバタバタとなぎ倒して一気に敵陣地の奥まで切り込むことに成功していた。幸いなことに味方の突撃部隊に被害はほとんどなく斜面は完全に制圧できたようで、AXELの廻りにいた兵士も悠然と急な崖を降りている様子であった。この日はいつもは敵である永楽ダム常連の方々と同じチームであったためゲーム展開が非常に楽で、このゲームの例に漏れずAXELは大した働きもせずにフラグ近辺まで到達することが出来た。

 ヨボヨボと怪しげな足取りで斜面を滑り落ち、麓まで辿り着いた頃にはすっかり泥まみれであったが、辺りを見回すとスキルズのC葉氏が「フラグ取りに行きますから援護してください」と声をかけてくださった。せっかくのお誘いだからということでC葉氏の後ろに取り付いて(取り憑いて?)ヒョコヒョコと移動したのだが、何故か守備兵は居ない様子で1発の銃弾も浴びせられることもなくフラグの直前まで来ることが出来たのであったが・・・誰かが

「あっちにまだ敵が残ってるらしいで〜」

と言った途端フラグ奪取はどこへやら、突然狐狩りが始まってしまった。それまでAXELの廻りにいた兵士もガサガサと移動を開始し敵残党を狩り出しに行ってしまうし、AXELはというと一番フラグから近かったと言うことでお留守番を仰せつかってしまった・・・。

なんてついてないヤツ、これから面白いことが始まるのに・・・

 仕方がないので1人でフラグのそばに座り込んでボケ〜っとしていると・・・死体置き場からサルの群がこちらにガンを飛ばしている(?)のが見えた。・・・・と思ったら既に戦死しているマサやん2等兵達であったようである。

「ぅおおぉぉぉぃぃぃ〜〜」

と手を振ると・・・向こうもウホウホ言いながらピョンピョン跳ね回っているようである。しばらくマサやん2等兵達と遊んでいたのであったが、それにも飽きてきたのでフラグを手にとってしげしげと眺めてみたり、寂しくなってちょっと戻ってみると先程まではわんさか味方が居たのに誰もいなくてもっと寂しくなったり、その場で踊り狂ってみたり・・・恐らく死体置き場から見るとかなり不気味に見えたに違いない・・・。あまりに退屈であったのでフラグのあたりを冬眠間近のヒグマの如くうろうろしていたのであったが、突然近くの藪から銃弾を撃ち込まれたのでしこたまビックリしてしまった。あまりのことに咄嗟に身構えることも出来ずにあえなくヒットされてしまったのだが、油断しきっていた自分が悪いと諦めてすごすご陣地に引き返していくと・・・なんとAXELを撃ったのは味方のAベ氏であった事が判明した。この迷彩服を着ていて味方撃ちするかぁ〜な感じであったが、何ともお間抜けな感じである・・・。

 とまぁ、このような感じで午前中のゲームを終えて昼休みを取ったのであったが、スキルズのご両名にしこたま鍋をゴチになってしまった。何だか最近サバゲの時のお昼ご飯がいつも会社で食べている餌よりも豪華になってきたので嬉しい限りである。そのあと、大阪教導団の皆さんにも鍋をゴチになってしまい、ついでに日本酒までゴチになってすっかり上機嫌な感じであった。

 午後からのゲームも途中参加のドラグナーの方々を加えて、ますます大所帯になってしまったのであったが、幸いにして参加者の皆さんにも楽しんでいただけたようで非常に喜ばしかった。この日も大きなトラブルらしきものはなく無事一日を終えることが出来たことをサバゲの神様に感謝しつつ家路に着いたAXELであった。


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