<<恐怖の分隊支援火器嬢編>>



1.プロローグ(その1)

 久方ぶりのゲームレポートである。といってもあまりに久しぶりなので、ネタが有り余って困るという事はなく別段ごく普通のレポートであるからあまり期待してはいけない。しかも今回のレポートはいつものように前振りもあまり長くない(というよりもあまりネタが無かった悲しい)かもしれない・・・。

2.プロローグ(その2)

 とある日の午後・・・AXELは会社をズル休みして運転免許証の更新に出かけた。常日頃、安全運転を心がけているAXELには運転免許など更新不要!!などとぶつくさ言いながらも無免許になってしまうのは非常に悲しいので渋更新することにした・・・。いつも思うのであるが、故運転免許の更新をするだけで4000円近くもかかってしまうのであろうか ?ついでに言えば更新の時の講習も無くしてほしい。どうせ寝ているか本を読んでいるかのどちらかで、まじめに講習を聞いている者などKネマキ軍曹の頭に生えている申し訳程度の髪の毛の本数よりも少ない(注1)人数しかいないわけで、どう考えても無駄に時間を浪費しているような気がしてならない・・・。

注1)ウソ。本人曰くハゲじゃなくて剃ってるらしい・・・が、どちらにしてもAXELにとっては町中を歩いていて肩が触れた云々で因縁を付けられると脱糞するほど恐ろしい顔であることに間違いはない

 運転試験場へ行く道すがら、軍用車のハンドルを握りながら「免許の写真を撮るときにゲームの時の格好をしたらやっぱり怒られるのだろうか・・・」とか、「銃を構えてるところを撮ってもらったらやばいのだろうか・・・」とか、「あ〜だりぃ〜」などと考えながらふと自分の服装をみると、何故かアーバンカモを着込んでいた。まぁ、これくらい大丈夫だろうと思いそのまま試験会場へ行き、手続きを済ませて適性検査を受けて免許証用の写真を撮影するところでカメラの前にあるイスに座ったとき・・・係の人から 「あの〜、誠に申し上げにくいのですが・・・その服装・・・」 といわれた。え?ダメなの?なんで?と焦りまくるAXELは思わず
「大丈夫ですよ!!(注2)普段着ですから!!(注3)」
と言ってしまったが、言ってから(しまった・・・これじゃぁ変な人やん)とちょっと後悔してしまった。しかし、係の人はニコリともせず 「いえ、襟が立ってますよ・・・」(だったらさっさといわんかい!!)と思いつつもそんなこと言おうモノなら強制退場の上、立入禁止になりそうだったので「エヘヘヘヘ・・・すいませんねぇ、だんなぁ・・・」とばかりにいそいそと襟を直して写真撮影をしてもらった。実は撮影の時「これ着けて良いですか」といつも愛用しているグラサンを出そうかと思った(注4)のだが、後ろに並んでいる人がイ ヤそうな顔をしていたので止めておいた。

 注2)何が大丈夫やねん
 注3)普通の人はあまり普段着にしません
 注4)免許の写真はグラサン等装着不可です

 一悶着あったが2時間もの講習も無事終了し、古い免許証と引き替えに新しい免許証を受け取り、しげしげと眺めているときふと思った。「我ながら悪人面・・・」以前強面で有名なKネマキ軍曹から「人相悪いなぁ〜AXEL」と言われたことがあった(注5)が、何となく納得した。

 注5)軍曹に言われたくない言葉ベスト2(当社統計)

3.プロローグ(その3)

 免許の更新が予定よりも早く終了したので、泉南にある某ックオンへとかねてから配備予定であった KSC社の Beretta M93R を見に行くことにした。平日の昼下がり・・・アーバンカモとレイバンのグラサンを身にまとい、怪しげな雰囲気を醸し出しながらも何とかK察に職務質問されることもなく目的地に到着したAXELはショーケースに並ぶ銃器を物色しながらお目当てのM93Rを探していたのだが・・・見あたらない。近くで密輸の準備をしているマスターに在庫の確認依頼を申し出ると無愛想ながらも快く(?)応じてくれた。が、どうやら品切れであったようで、購入の意志があることを告げた上で入荷予定日や製品の情報を聞き出そうと試みた。

「93Rか・・・止めとき」

 マスターは面倒そうに一言いうとそのままどこかへ行ってしまった。何故ダメなのか、それほどヘボいのか理由を聞きたくてマスターの消えた方へトボトボと歩いていくと、マスターは何と店の裏手で鋼材のペンキ塗りをしているではないか・・・。どうやら彼にとってはヘボい93Rを買いに来た客よりもペンキ塗りの方が重要なようである。少々呆気にとられながらも気を取り直して数点質問をしたのだが、ペンキを塗りながらも回答してくれた。そうこうしている内に携帯用通信機器に着信があったので応答してみるとKネマキ軍曹からであった。

「AXELぅ〜、仕事サボって何してるの〜」

開口一番これである。何故会社をサボ・・・いや、休んでいることを軍曹が知っているのか疑問に思いつつも、有休を取り休んでいる事を告げた。

軍曹 :「またまたぁ、会社に電話したら今日は休んでるって言ってたでぇ」
AXEL:「だから休み取って免許の更新に行ったんですよ・・・」
    「で、AXELは今何してんの・・・」
    「某ックオンで拳銃物色してます」
    「やっぱりサボってるやん!!で、何買うの?」
    「93Rですけど・・・」
    「止めとき〜使い勝手悪いでぇ。重たいし」
    「そうですか・・・マスターにもいわれました」
    「止めとき、止めとき。じゃぁね〜」ガシャ・・・
    「あ、ぐ、軍曹〜」  ツーツーツー


聞きたいことがあったのに電話を切られて何となく憮然としながらも店内に戻り、第2候補にと考えていた SOCOM の事をマスターに聞いてみると「これは悪くない」とのことである。せっかくここまで来たのに手ぶらで帰るのも悲しいし買っちゃお!!ということで SOCOM 1丁と予備マグ1本を購入することにした。

 その後しばらくマスターとチューニングパーツの事で話し込んでいたのだが、1人の兵士が話しかけてきた。どうやら新兵さんの様で、これからゲームをするそうなのだがどんな装備が必要なのか教えてほしいらしく、AXELのインチキな経験上知り得た知識で必要だと思っている装備を教えてあげると非常に喜んでおられた。
(経験はインチキでも知識はまとも・・・と思う たぶん)
ついでに「鷹の団」のHPも宣伝しておいたので関西地区所属の傭兵が1人でも増える事を望みつつ店を後にした。その夜ショップ「生き残り屋」に SOCOM 1丁を脇腹に指し、グヘヘヘと口の端からよだれを垂らしながら、ニコチンとアルコールでハイになった改造ジャンキーのAXELが現れチューナーのKネコ伍長を脅してインチキチューンで銃のパワーをあげてもらったことは言うまでもない。

4.プロローグ(その4)

 翌日AXELはアキ〜コ特別軍事顧問の指令の下、兵舎の片づけとガンロッカーの整理を済ませ、武器庫兼個室でくつろいでいたのだが、すっかりお昼寝モードでうたた寝をしていたときに電話の呼び出し音がけたたましく鳴った。電話にでるとKネマキ軍曹であった。
「AXELぅ〜、ヒマ〜??」
AXELはいつもヒマである。たとえ忙しかろうと2等兵のAXELにとって軍曹からの呼び出し命令は絶対である。
「じゃぁ、今からそっち行くわ。前に言ってたパソコン取りに行くよ〜」
実は先日AXELは家にニュー・マッスィ〜ンを購入したのである。でもって、今まで自宅で使用 していたノート端末が余ってしまったのでKネマキ軍曹に無期限でレンタルすることにしていたのであった。

 Kネマキ軍曹宅から兵舎まで車で約30分の距離であったので、ぼちぼち起きるべぇとばかりにモタモタと着替えを用意してシャワーを浴びて準備を進めていたのだが、予定時刻を経過 しても軍曹は到着しなかった。出がけに何かあったのかとか途中で事故にあって相手を恐喝しているのかとか色々想像しながら昨日購入した SOCOM をいじくり回していると、変なところから(ポキッ)という音がした。早速壊してしまったかと脱糞するほど驚いたが、気のせいと思いこむことにした。そうこうしている内に約束の時間を40分ほど経過していたのだが、時間に正確な軍曹が連絡も無しにこれほど遅れることは稀なので「本当に事故でも起こした?」と本気で心配していると、軍曹から連絡が入った。
「ごめ〜ん、道に迷って訳わからんとこに行ってしもた。そっちに向かうわ!」 だそうである・・・。

 程なくして呼び鈴が鳴ったので軍曹かと思いでてみると、ロキ上等兵であった。その日に某所で夜戦があるらしく、バッテリーの充電にくるということを忘れていた。もうちょっと早かったら片づけを手伝ってもらったのに何てタイミングのいいヤツなどと思いながらバカ話に興じていると、軍曹が到着した。軍曹、上等兵、アキ〜コ顧問、AXEL2等兵の4名がそろったところでロキ上等兵が前回のゲームのときに撮影した写真を見せてくれた。・・・が、その中の1枚に軍曹とAXELのホモ(疑惑?)写真があったため、それを見たアキ〜コ顧問が和歌山カレー事件の林容疑者のごとく激高し危うくカレーに何かを混入され・・・いや、兵舎から追い出されそうになった。
アキ〜コ顧問曰く


「女と浮気するんやったらまだマシ(注6)やけど、男に亭主寝取られたら(注7)プライド傷つくわ!」


らしい・・・。

 注6)これもマシちゃう・・・というより浮気して良いの?
 注7)AXELはホモではありません両刀遣いです・・・念のため(ウソ)


5.まじめにレポート

 ゲーム当日は素晴らしい天候に恵まれ、夜戦あけで寝ぼけ眼のロキ上等兵を電話で叩き起こして準備をしているうちに、上等兵がAXEL宅に到着した。話を聞いてみると、何やら朝の4時頃まで夜戦に興じていたらしい。だんだんと時間が経つにつれてハイになってくる上等兵を助手席に載っけてAXELはフィールドに向かう道すがらこう思った・・・。

「そのうち電池が切れるなぁ・・・上等兵」

 定刻に少々遅れて駐車場に到着すると、ずいぶんと久しぶりの面々が集まっていた。ガミラス、ミートチョッパーズの皆さん、個人参加のキ○モトさん、何故かフィールドにスケベ椅子を持ち込んで休憩中にどっかりと座り込んでいるマツ○さん、後はいつものメンツ・・・
総勢30名はくだらない人数である。特に、ここ数ヶ月はどんずる峰の定例ゲームは雨で流れることが多かったので、本当に久しぶりである。
 早速準備を済ませてフィールドに向かい、日除けのある特等席に陣取って準備をしてると、雨がポツポツとふってきた。全員の間に「え〜マジかよ〜」というムードが流れるが、そんなことはお構いなしにチーム分けをしてさっさとゲームを始めることにした。フィールド初参加の人が2名ほどいたので「あっちが下のフラグで、そっちが上のフラグ」といった具合に簡単にフィールド説明を行って、所定の位置に着いた・・・。AXELは初回のゲームは上側のフラグからのスタートであった。

ピーーーーーーッ

 開始の合図の笛の音と共に友軍の兵士達が敵陣地目がけて突撃する。以前は新兵だった兵士もこの数ヶ月間のブランクの間に各々が実戦に参加していたようで、どんずる峰全体のレベルが少しだけ上がったように思う。味方が素早く展開している間にAXELはどうしていたかというと・・・ヘコヘコと山登りをしていた。日頃の運動不足でなまった体を恨みつつも裏山を登り切った時には貧血で倒れてしまいそうであったが、しばらく休憩すると周りの景色を堪能する余裕もでてきた。後ろを振り向くと味方兵士が2名追いついてきたのでそれを確認してAXELは岩山を降り始める・・・。斜面が急であったため登る以上に辛かったが、もう少しで降りきるところまで来たときすぐ下のブッシュに敵の潜んでいそうな気配がしたので岩陰に身を隠して味方にも手振りで注意を呼びかけた。じっと息を殺して気配のする方に銃口を向けて待ち続けていると、一つ向こう側のブッシュに2名潜んでいるのが確認できたが、こちらを警戒しているのかなかなか動こうとはしない。幸いAXELのアーバンカモは石灰岩の地形では最大限に迷彩効果を発揮できるため、そのまま動かずにじっと敵のいる場所に銃口を固定したまま相手の出方を窺うことにした・・・。しばらくモソモソとブッシュが動くのが見えていたのだが、不意に動きが止まった。こちらの気配に気付いて退却したのかも知れないと思いつつも相手のいた場所に照準を合わせたま
ま警戒する。と、突然敵兵士はブッシュから姿を現し無防備にこちらに近づいてくる。こちらには気付いていないようだ。しかしながらも、ある程度経験を積んだ兵士の様で2名の動線を重ねずに少し距離を開けてツーマンセルを組み、キョロキョロと辺りを警戒しながらも、前方の岩陰目指して移動してきた・・・。

 最近戦線から離れて平和ボケ気味のAXELはニコチンとアルコールで汚染された脳味噌をフル回転させて敵兵士をどう殺すか、いかにしてこちらの被害を最小限にして敵を殲滅するかを考えた・・・が、グッドアイデアは浮かばず、かわりに最近ウチの家族に加わったスキニーギニアピッグ(注8)のハゲ丸なみに薄くなった頭のてっぺんから少々の脂汗が浮かんだ。

 注8)毛のないモルモット・・・夜中にみると身の毛がよだつほど恐ろしい生物。
    我が愛妻であるアキ〜コ特別軍事顧問のお気に入り

 そうこうしている内に敵兵士は更に接近しており、AXELが身を隠している岩場のすぐ下に取り付き、顔を半分覗かせてこちらの様子を窺っていた。敵兵士を葬り去る選択肢が少なくなってきたので仕方なく一人目の兵士の頭部に狙いを付け、ゆっくりとトリガーを引き絞る・・・。
タタタンッという小気味の良いM16A2の射撃音が辺りに響き、スローモーションのように発射された弾丸が敵兵士の眉間を貫く。ヒットを確認するとすぐさま、驚きのあまり声も出せずに戦死した敵兵士の後ろに控えていたもう1人の兵士に照準を合わせ、薙払うようにトリガーを引いたが味方の戦死を確認したその敵兵士は濃いブッシュの中に身を隠してしまったため、逃してしまった・・・。と、残りの兵士が隠れた辺りからパパパパパッ・・・と反撃を受けたが相手はこちらの正確な場所を特定できなかったらしく、めくら撃ちをするばかりである。AXELはゆっくりと銃を構えなおし、敵の隠れている場所に向けて2度、3度とトリガーを引いて威嚇射撃を行った。すると、敵兵士は無謀にも背中を向けて逃走を試みるではないか。ここで見逃がしてしまうと敵兵士は体勢を立て直してこちらの殲滅に全力を注ぐであろう事は明白であったため、無防備に遠ざかる背中向けて数発BB弾をお見舞いして息を引き取っていただいた。

 2名の兵士を殺害したところで「もう敵はいね〜べ」とばかりにタカをくくって、モソモソと周辺を警戒しつつAXELは先刻までいた岩場を離れて敵フラグ方向へと進軍を開始する・・・。と、石灰岩の岩場からブッシュ地帯に足を踏み入れた瞬間に、左手方向からの銃撃を受けた。幸い密度の濃いブッシュが左手に群生していたため、伏兵の放った弾で致命傷を受けることは無かったが、驚きのあまり少々チビリそうになってしまった。退却を試みながらも取り敢えずサバゲの神様に感謝しつつ股間に手を入れて失禁していないかの確認は忘れることは無かった。手に持ったM16A2を敵のいる方向に向けて乱射しつつ、兵士の居場所を探ってみたのだが今度はAXELを救ってくれた濃いブッシュがアダとなり、敵兵士の姿を確認することも出来ずに退却を余儀なくされる。少々残念に思いながらも退却には成功したので体勢を立て直して新たな敵を迎撃するために手頃な遮蔽物に身を隠して辺りの様子を窺う・・・。と、猛烈な腐敗臭が辺りに漂っているのに気付いた。思わず「何じゃ、こりゃ〜」と言いながら、ここのところ続いた熱帯的な気候のおかげで程良く腐敗したナチュラルキャンパーな人がAXELのことをアンブッシュしている様を想像して思わずAXELの股間のマグナム(注9)がのぶちん1等兵愛用のコルトポケットのように縮むのを感じてブルブルと身を震わせながら「気のせい、気のせい」と取り敢えず自分を誤魔化すことにした。

 注9)ウソ・・・ベレッタくらい?? (^_^;;

 と、突然炸裂音と共にAXELの隠れている付近にBB弾が降り注いできた。背後にも伏兵がいたのかと驚いたが、射撃音の発生場所を確認すると、どうやら味方からの射撃であろう事が判明した。味方の援護にしては正確にAXELの近辺に着弾している。どうやら味方撃ちが発生していると考えられる。

「お〜い・・・味方や〜分かってんか〜」

と、大声で怒鳴ると銃撃が・・・止んだ。(やっぱり〜)などと考えながらも少々腹が立つので(見つけたら撃っちゃる)と後続の味方に銃を向けて待っていると、さっきの敵兵士が業を煮やしてキョロキョロしながらこちらに向かってきた。(クスッお間抜けさん)などと思いながらもゆっくりと銃を構え直し、ブッシュの薄くなっているところまで敵兵士を引きつけてトリガーを引き絞る。パパンッという炸裂音と共にBB弾は敵の胴体付近に吸い込まれていった。

「うわっ、ヒット〜」


 何とも間抜けな辞世の句と共に昇天する兵士を横目に見つつ、今度は少しだけ大胆にスキップしながら敵陣地を目指していると、またも左手より銃撃を受けた。ウヒャと思いつつもその場で伏せて辺りを見回したが、敵の姿は見えなかった。(もしかしてAXELに向かって撃ったのではなかったかも)と都合のいいことを考えながら上体を起こすとまたしてもパパパンッと炸裂音が辺りにこだまする。「オレか〜?」と思いながらも尺取り虫の様な腰つきでヘコヘコと逃げてると終了の合図が辺りにこだました。セーフティーゾーンに戻る途中、後続の味方兵士と合流したので「さっき味方撃ちしましたね〜」というと「やっぱり味方でしたか。でも、私よりも前に(味方が)いるとは思わなかったので」と元気に答えてくれた。少しだけ悲しかったが、「次はこいつをターゲットにしちゃる」などと思いながらセーフティーゾーンに帰ると、誰がさっきの兵士か見分けがつかなくなってしまった。

6.尺取り虫が・・・

 午前中数ゲームをこなし、まぁまぁ良い成績を残せたのでセーフティーゾーンで前回のゲームの時に行ったシューティングマッチの準優勝の景品である折り畳み椅子がギィィ〜とばかりに悲鳴を挙げるほどふんぞり返って座りながら昼メシのカップ焼きそばをズルズルと食しているとふと気付いたことがあった。

 「広報官がいねぇ〜」

そうなのである。ゲーム開催をホームページの傭兵募集に書き込んだとき、メールで参加表明までした、鷹の団の広報官改め「団長」殿が来ていない・・・。
(フフフ・・・、次回のゲームが楽しみだぁ〜)
と1人密かに笑いながら焼きそばに目を落とすと・・・何とAXELの使っている箸に尺取り虫がこびりついているではないか。しかも何故かしら怒ってらっしゃる様で箸を箸をブンブンと振り回しても取れない。芋虫系大嫌いッ子のAXELは半分べそをかきながら木の枝で排除して昼食を取ったのであるが、これから始まる悪夢を想像していなかった。

7.あぁ無情、我拳銃不発

 午後からはAXELの進言でチーム替えを行ってゲームを行うこととなった。くじ引きを引きながらKネマキ軍曹とかロキ上等兵やみずん兄弟と敵になるのは嫌だなぁ等と考えていると、バッチリ、軍曹とのぶちん1等兵と別のチームになってしまった。まぁ、違うチームになると嫌なメンツが多いので仕方ないか・・・。

 午後のゲームも順調にこなしAXELは珍しくもまぁまぁの成績を残していた(ホントに珍しい事なのだぁ、ハッハッハッ・・・)。とあるゲームでAXELはAPS-2を持って、ベストの右ポケットに先日購入したばかりのSOCOMを差し込んで自陣の防衛をしていたのだが、こちらのアタックチームは、敵軍の攻撃でほぼ壊滅状態に追い込まれたらしい。実際の所、かなりの敵兵士の潜入を許しているらしく、時間が経つにつれて周りの自陣の防衛部隊が次々と葬り去られていった。そのままじっとしているとAXELもじりじりとにじみよる敵兵士に「あひょ〜」とばかりにブスブスと焦げるほどにBB弾を撃ち込まれることは間違いなさそうなのでフラグ近辺の濃いブッシュの下に走る溝の中に身を沈ませて敵軍の反応を窺っていた・・・。

 ガサガサと後ろのブッシュが揺れたので「生き残った味方か?」と、都合のいいことを考えてじっと見ていると、ポコンと、のぶちん1等兵が草むらから顔を出してこちらの様子を窺っているではないか・・・。

「チャ〜ンス!こいつの餌食にしてやる!!」

と購入したばかりの SOCOM を取り出してじっと狙いを定めて必殺の間合いまで引きつけ、トリガーを引く!引く!引く・・・弾が出ねぇ・・・焦ってゴソゴソやっているとのぶちん1等兵に殺されてしまった。あまりの悔しさに頬をヒクヒクさせながら手の中のSOCOMを見ると、何故かセーフティーがかかっていた。思わず地面に叩きつけようかと思ったが、もったいないので自分のバッグの上にそっと置いてみたら自分が少しだけ情けなくなった。

9.恐怖の分隊殲滅嬢登場


 その日のゲームも終盤にさしかかったころ、恐怖の女王様がフィールドに舞い降りてきた。まだ、ノストラダムスの予言にある7の月までは若干余裕があるはずであったが、真夏を彷彿させる陽気に時季はずれのセミが鳴いていたくらいであったので、少々の勘違いは仕方のないことなんだろうなぁ・・・。

 笛の音を合図にゲームが開始される。一斉に敵陣地に向けて友軍兵士たちが突撃を開始する。そんな中、AXELも敵陣地に向けてメインルート廻りで進行する部隊に同行していた。先頭にロキ上等兵、AXEL2等兵の二名、中段に某チームの某氏(名前は忘れた・・・)、後続支援にM60を携帯した女人兵という4名のチームであった。今回の任務は分隊支援火器が導入されていたため、「きっとバリバリ撃ってくれるんだろうなぁ」とか、「圧倒的な物量差で敵兵士を黙らせてくれるんだろうなぁ」とか、「楽できたらいいなぁ」等と少なからぬ期待を寄せていたのだった。

 メインルートにでて、少し進行したところで敵兵士がこちらを発見して攻撃を加えてくる。幸い射程外であったため、こちらの被害はゼロ・・・敵兵士はどのみち進行ルート上にドッカリと居座っているので、排除する必要がある。ロキ上等兵とAXELは交互に威嚇射撃を行いながら敵との距離を縮めて、一気に片づける作戦に出た。M60のお姉さんに援護の要請をしつつ絶妙のタイミングで交互に走りながら威嚇射撃を繰り返し、順調に距離を稼いでもう少しで射程内に敵兵士を捕捉する所まで辿り着いたとき、ロキ上等兵が後方から飛来したBB弾に被弾した。「ヒット〜」という叫び声と共に後ろを振り向いて昇天した。その瞬間AXELは上等兵の顔を見たのであったが、さすがみずん上等兵が「攻撃力はMaxやけど、防御力はMinimumやね」と言うだけあってウ○コを踏んでもそんな顔はしないだろうというくらい情けない表情をしていた。ロキ上等兵が味方からの援護で死亡した瞬間、AXELも身の危険を感じて咄嗟に身近なブッシュに飛び込んだのだが、果たして彼女は先程までAXELのいた空間辺りに激しく撃ち込んでいた。恐怖のあまりにキ○タマが縮み上がる思いをしながら「味方や〜!!」と叫んだのだが、問答無用とばかりに弾を撃ち込まれてあえなく戦死してしまった・・・。

 死体置き場に帰る途中トボトボとあるいているとロキ上等兵がウヒャウヒャ喜んでいたので何かと思い振り返ると先程の恐怖の女王様が敵兵士に射殺されたようであったので、思わず上等兵とAXELは声をそろえて叫んでしまった。

「敵兵士さ〜ん、かたきをとってくれて・・・あ〜り〜が〜と〜」

 最終的にはメインルート上に配置されていた敵兵士は一掃されたようで、恐怖の女王様の魔の手から逃れた味方兵士が再び進行を開始したようであった。AXELは友軍兵士がじりじりと用心深く進行する様を死体置き場からじっと眺めていたのだが・・・。ポイントマンが匍匐前進でフラグとの距離を詰めていく。敵防衛部隊からの反撃はまだない。用心深く上半身を起こし辺りをうかがう友軍兵士・・・息詰まる緊張感の中、死体置き場でその様子を見ているAXELとロキ上等兵とよしぼん2等兵・・・。ポイントマンがフラグアタックしようとしたその瞬間、「タタタタタタッ・・・」フラグ後方から、敵防衛部隊の生き残りからアタックチームに向けて攻撃が・・・。

 不意をつかれた味方アタックチーム員達は一瞬出遅れながらも応戦を試みる。両者の間で激しい銃撃戦が展開され、緊張感がピークに達したとき・・・

「(ワ〜〜〜〜)バババババババババッッッ!!!」

 突然、AXELの後方から予期せず激しい銃声と叫び声があがったので思わずビクッと反応してしまったが、「誰じゃぁ!セーフティゾーンを巻き込んで銃撃戦をするバカたれは〜!!」っと振り向くと・・・・

そこには徹夜明けで完全に頭の回路がブッ飛んだロキ上等兵と訳の分からないよしぼん2等兵が上空に向けて銃を乱射しバカ騒ぎしていた・・・・
「ついに壊れたか・・・上等兵」
ロキ上等兵とよしぼん2等兵の壊れる様をボーーっと見ながら、帰りはこの壊れた上等兵の運転する軍用車に乗って帰還しなければならない事を考えつつ(ハーーー)っとため息をついていると・・・

「ピーーーーー」

と、高らかに終了の笛の音が辺りに響き渡った。どうやら味方アタックチームがフラグ奪取に成功したようであった。セーフティーゾーン前のフラグ奪取敢行という格好の見せ場のはずであったが、上等兵とよしぼん2等兵のバカ騒ぎに皆が注目していたため、フラグアタックの瞬間を見ていた者は誰1人いなかったようである。影の薄いヤツ・・・まぁ、その時はカメラも廻っていたので後で見れば良いやと思い、後日生き残り屋でその日のゲーム風景を見ていると問題のシーンで・・・フラグアタックを敢行する瞬間、カメラに写っていたのはやっぱりロキ上等兵とよしぼん2等兵のバカ騒ぎしている映像であった・・・つくづく不憫なヤツ・・・フラグ奪取を行った後に彼が嬉しそうな表情で

「フラグ取ったんです!!見てました??」


と自慢げに話しかけてきたその顔が忘れられなかった。その時は「おう!!良かったなぁ」と調子を合わせていたが・・・この場を借りて、敢えて声を大にして言おう!!

ゴメンなちゃい・・・誰も見てませんでした。しかもビデオにも映ってませんでした。

もうそろそろ時効だから許してね・・・

10.エピローグ

 その日のゲームを一通り消化して、いそいそと家路に着いたロキ上等兵とAXEL2等兵であったが、帰りのロキ上等兵がハンドルを握る軍用車はかなり怪しい動きをしていた。どれくらい怪しかったかというと、北朝鮮のテポドンの発射スイッチをチンパンジーのバブルスくんに雑巾で拭き掃除してもらう程といえばおわかりいただけるだろうか・・・?AXEL一行が兵舎に到着する頃には自慢の黒髪はすっかり真っ白になっていたとかいないとか・・・

 兵舎に上がり込んで銃器を格納庫に収納し気怠い感じでリビングでくつろいでいる時、ふと隣を見るとロキ上等兵が眠ったように死んでいた・・・訳でなく泥のように眠りこけていた。あまりに気持ち良さげに寝ていたので、身ぐるみはがして表に放り出すわけにも行かずに隣りに座り込んでその日使った火器の整備を行っていると、突然ロキ上等兵が

「フリーーーーズ」


と大声で叫んだ。あまりに突然のことなので持っていた銃器をロキ上等兵に突きつけながら、
「どうしたのか?」
と声をかけると

ロキ上等兵 : 「エヘヘヘ・・・目の前に敵兵士がね・・・無防備に飛び出してきたからね・・・良いカモ・・・」
AXEL2等兵: 「上等兵!戦争は終わったんだ!」
         「オレの戦争はまだ終わっちゃいない!!ムニャムニャ・・・」

いい加減、寝ぼけた上等兵で遊ぶことにも飽きたのでしばらく放っておくとムクムクと起き出して「そろそろ帰る・・・」という言葉を残して自宅に帰っていった・・・。
上等兵・・・やっぱり電池が切れたか・・・



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