<<フィールド水没の日編(後編)>>


4.すかぽんたんメンバー勢揃い?
 数々の危機的状況をなんとか乗り切り、決戦当日にまで漕ぎつけたAXELは朝一番から既に、息も絶え絶えであった。ちなみに、アキ〜コ顧問とテルアキ2等兵とリョウタ兵卒見習は実家に帰っている。いつもより少しだけ早めに起床し、イソイソと装備の確認を行う。

 前回の24時間戦で、うっかり装備品を兵舎に置き忘れてハンドガン一丁で戦線参加と言う大脱糞モノの失態を犯してしまったAXELであったが、そのときの教訓を踏まえて同じ轍は二度と踏まぬ決心をしていたので、入念すぎるほどに装備品の確認を行ったのだが・・・またしても、うっかりバッテリーに充電し忘れていたことを思い出して、肛門がパックリ開くような脱力感に襲われた。

 そういえば・・・開戦数日前に「バッテリーは充電直後が一番状態が良いらしい」というトリビアものの極秘情報をネット上に公開されているどこかの家頁を入手して、「当日の朝に充電したら良いか〜」などと余裕をぶっこいて居たような気がする。日本を代表する高名な発明家、ドクター中松氏の発明した世紀の発明品であるフロッピーディスクよりも記憶領域の少ないAXELの迷晰(?)な頭脳をもってしてもバッテリーの充電忘れまでは思い出す事が困難であったらしい・・・。

 大慌てで充電器にバッテリーを接続して充電ボタンを押し、待つ事数十分・・・容赦なく近付いてくる出撃時刻に苛立ちながらも何とか充電を完了したバッテリーを片手にAXELは兵舎を後にすると軍用車のハンドルを握ってフィールドへの路を全力疾走し、予定よりも少し遅れ気味でフィールド脇の駐車場に軍用車を滑り込ませる事に成功した。

 さる情報筋から入手した情報では、この日の参戦者はおよそ40名程度とのことである。駐車場には多くの乗用車がずらっと並んでいたが、皆既に準備を終えて死体置き場へと移動を完了していたらしく、まばらな人影が見える程度であった。軍用車から荷物を降ろしてモソモソと準備を始めたAXELであったが、手元の携帯無線機が電池切れ寸前のピンクローターが如くプルプルと振動しながら何処かからの着信を知らせたので、手にとって確認してみると、Kネマキ軍曹からの入電である。

 時間に几帳面なKネマキ軍曹のことであるから、開始時刻間際になってもフィールドに姿を表さないAXELに対して、業を煮やして死刑宣告でも突き付けてきたのかと勝手に恐慌状態に陥りそうになってしまったのだが、ここは毅然とした態度で応対すべしと通信ボタンを押下し、











































「も、もももももももももも、申し訳訳訳訳、ありませぬぅぅぅぅぅ。たった今駐車場についたばっかりでげすよぉぉぉぉぉぉ。銃殺だけはご勘弁ですじゃ、お代官様ぁぁぁぁぁぁ」

とばかりに少々挙動不審気味に応答すると・・・

「いや〜、すまん。こっちも遅刻しそうだわ〜」

との事であった。

ぬぁにぃぃぃぃぃぃぃ

遅刻気味のAXELよりも更に遅刻だとおぉぉぉぉ。
本来ならば切腹ものの大失態である。


  そもそも遅刻は厳罰処分と相場が決まっているのが、すかぽんたんの鉄の掟である。ゲーム中、こっそりと背後から正義の鉄槌を下して やろうかとも思ったのだが、そんな事をすると末代まで祟られそうな気がしたので

「でげしょ〜。不肖の弟子、AXELもたった今、駐車場に到着したばっかりなんですよぉぉ。やっぱ、朝早いと辛いっすよねぇぇぇ」

と、地面に額を擦り付けんばかりに上官にゴマをスリスリするAXELであったが・・・こんなとき、











































つくづく自分はサラリーマンだなぁ・・・

と思い知らされた気がして少々悲しくなってなってしまった。というよりも、ゲーム中に正義の鉄槌を振り下ろした日には、恐らく二度とお天道様を無事に拝めない体になってしまいそうな気がしたので、これはこれで良かったのかも知れない・・・。

 何とかかんとか装備を完了したAXELは、Kネマキ軍曹が到着し、準備を完了するまで少しの余裕があったので、フィールドの様子を確認しようと周囲を探索しに行ったのだが・・・やはり・・・と言えば良いのだろうか・・・。フィールドの一部が水没している模様で、徒歩での戦場入りは困難な様子であった。

 どうやら、駐車場から死体置き場までは、KM2の戦闘員の方々が有志を募って、軍用車を利用してピストン輸送して下さるとのことで、毎回毎回お世話になりっ放しとなっているAXELとしては、物凄く恐縮してしまった。KM2と言えば、隊員全員の平均年齢がまったりと高くおっさん的チームであるのだが、メンバー一人一人が紳士的で、毎回気持ちの良いゲームを楽しませて頂いていることから、足を向けては眠れぬ程に感謝しているAXELである。だからと言って、輸送の申し出を断った訳はなく、一番最初にナベ隊員の運転する軍用車両にちゃっかり乗り込んで、現地入りを果たしたのは言うまでも無いことである。

 ちなみに、いつも利用している死体置き場はどっぷり水没していたため、今回は24時間戦の時に設営した地点が死体置き場となっていた。もちろん、フラグ地点もそれに合わせて設置しなおされることとなり、フィールド常連チームのリーダー数名と共にフラグ設置場所の協議を行ったのだが、結局「フィールド内を歩き回って決めましょう」との一○軍曹殿の鶴の一声でワサワサ移動しながら適当な場所にフラグを設置し、死体置き場に戻ると戦闘開始を待つ事にした。

 しばらくボケ〜〜っと談笑していたのだが、ふと何かを忘れている様な気がしたが、どうにも思い出せない。

「思い出せないと言う事は大したことじゃないんだろ〜〜」


と決め込みKネマキ軍曹とバカ話に興じていると、やはり何かが気になる・・・。一体何なのであろうか。頭の天辺からモッサリと湯気が出てくる程に考え込んでいると、

「オーイェ」

とばかりに生き残り屋の店長であるKネコ特務曹長が登場したので、

「ああ、そういえばKネコ特務曹長が参戦すると言ってたなぁ・・・。」

と思い出すことが出来たので、禿げる心配から解放された。

 やっとのことで、すかぽんたん主要メンバー勢揃いである。ちなみに今回は、KネマキJrも参戦している。

ん?

誰かを忘れてないかって?

誰の事だろう・・・

ロキ上等兵のことだろうか?

だったら、彼女とエロ旅行に出かけて不参加らしいぞ・・・

そのうち戦場へと舞い戻るだろうから、そのときはこっそり盛大に銃殺刑にしてくれても構わない

 ちなみに、最近すっかり忘れ去られているまんべ2等兵も第二子が奥方のお腹に宿っておられるとの事で不参加である。こちらもめでたき事であるので、戦場を闊歩するその巨躯を見かける事があったら銃殺刑に処して頂ければ幸いである。

5.いっぱい出ちゃったの・・・
 いよいよ開戦である。Kネマキ軍曹以下すかぽんたんなメンツは、人数調整の関係でKM2殿を主力とする黄色軍に配属されることとなった。ちなみに、敵軍である赤チームには地球防衛軍殿を始めとする強豪チームがひしめいており、この辺りにKM2殿のマゾッ気が何処と無く窺い知れるチーム分けであったが、

「なんとかなるだろう」

が身上の我がすかぽんたんは、敵の脅威に打ちひしがれて早くも瞳孔が半分ほど開き気味のAXELを除いて、大して気にもとめていない様子である。

 そそくさとフラグ地点に移動して戦闘開始の合図を待つ。ふと隣を見るとKネマキ軍曹が同士である黄色軍の兵士に対して「敵があ〜来たら、こっちはこう出て何とかカンとか反撃する」等と熱く戦術を語っておられたが、一度飯を食って二度大便を出したら綺麗サッパリ忘れしまいそうだったので、AXELはフィールド境界ギリギリを迂回するルートを侵攻することに決め、周囲に同行する兵士は居ないかと徴兵を始めた。

 数名の義勇兵(犠牲者?)を徴用する事に成功したAXELであったが、丁度その頃になるとお互いの陣地が慌しく動き始めたのに気がついた。まさしくこれから戦闘の火蓋が切って落とされようとしている。

3・・・2・・・1・・・スタァァァァトォォォォォォォォ

 遂に開戦の合図が周囲に木霊する。

 黄色軍の兵士がモッサリと立ち尽くすAXELの両脇をすり抜ける様にして、敵陣地目掛けて侵攻を開始した。迂回ルートを侵攻する事に決めていたAXELは、一呼吸おいてから水没している旧フラグ地点を掠めるようにして、以前の花道方向に向かってモソモソと移動を開始する。

 スタート地点から50m・・・既に息は上がりきっている。ゼェ・・・ハァ・・・と瀕死の状態で何とか侵攻を続け、花道脇のカルスト大地の麓部分にまで到達し一息入れようと後ろを振り返って顎が地面に付かんばかりに驚いた。何と、徴用したはずの兵士は誰一人としてAXELについていない・・・。あまりのショックに卒倒しそうになりながらも、何とか周囲を見回すとKネコ特務曹長只一人だけが











































ポッツ〜〜〜ン

と、寂しげに佇んでいる・・・。

 思わずその場でしゃがみ込んでサバゲの神様にお祈りを捧げようかと思ったが、今は戦闘中である。気を取り直してついでに息も整えると、勃起拡大した逸物の如く目の前に聳え立つカルストの岩山を眺めやり、清水の舞台から3回転宙返りしながら飛び降りるつもりで登り始める決心をつける。

・・・・・・・・きっかり5秒後には、大粒の涙を両目にたっぷり溜め込んで後悔した。

 万年運動不足のお陰で、岩山に登り始めた途端に両足の筋肉が・・・カクカク・・・プルプルと猛烈に抗議をしているのは分かる・・・。しかし、今休むと敵兵士に先手を取られて弾丸をしこたま浴びて役立たずのまま重い足を引きずって半べそをかきながら死体置き場への長い道のりをトボトボと引き返さねばならぬ羽目に陥るのは火を見るよりも明らかであったので、両足がストライキを起こさぬように、生かさず殺さずの飼い殺し作戦でなんとか折り合いをつけながら頂上を目指して一歩また一歩と・・・足を踏み出す。

 必死の形相で岩山の登頂に成功したAXELであったが、戦闘が激しく行われている地点にまで到達するには、まだ一つ大きな山場が待ち受けているのを思い出して意識を失いそうになってしまった。が、ここでのんびり休憩する暇はないのは承知している。ついでに言うと、後ろから追いかけてくるKネコ特務曹長の視線がAXELの背中に「はよ前に進まんかい」とばかりに突き刺さってくるので、気分はすっかり針のむしろである。

 仕方が無いので、適当な場所を見つけてその場に座り込み敵兵士が居ないかを索敵する振りをして休憩していると、敵兵士がこちらに背中を向けてしゃがみ込んでいるのが視界に飛び込んできた。幸いなことに、こちらには全く気付いていない。早くも迂回ルートを選択した幸運をサバゲの神様に感謝しつつ、手にもったM4A1改を慎重に構え、冥土の土産とばかりに指切りのバーストで

タタタタン・・・

と、無防備な背中に向けて弾丸を浴びせ掛けると

「いつの間に!?」

との辞世の句を残して死体置き場への長い道のりを旅立っていった。

 一歩間違えればAXELが彼の立場になっていたかと思うと少々括約筋が緩む思いをしたのだが、兎に角、生き残っているのはAXEL(とKネコ特務曹長)である。再び周囲に視線を走らせ、敵兵士が隠れていないことを確認すると戦線に復帰すべく侵攻を再開する。

 この時点での予想ではあるのだが、戦線は膠着しているのだろう。時折、散発的に聞こえてくる銃声にも兵士が断末魔の叫びを上げている様子は窺えないし、これといって大きな動きも無いように思われる。周囲に人の気配が感じられないことから、恐らく先ほどの兵士は気まぐれに迂回ルートの防衛を行っていた様にも思えるし、組織だって防衛ラインを迂回ルート上に設置するとは状況からして考えにくい。ここは、一気に敵陣地との距離を縮めるのが得策であろうとの結論を導き出したAXELは、先ほどの疲れなど忘れたかの様に歩を進めた。

 体が温まってきたからであろうか・・・先ほどよりも少しだけ余裕の残して二つ目のカルストの岩山を登り切る。頂上付近で周囲に気を配りながらほんの少しの間だけ休憩を取ると、足下に広がる密林地帯の奥地に設営された敵フラグ地点目指して急な勾配(と言うよりも、ほとんど崖であるが)を慎重に降りて行く事にした。

 一段、また一段と慎重かつ大胆にカルストの岩山に刻まれている岩棚を降りていくと、不意に下方から銃声が聞こえてきた。一瞬、AXELに向けての発砲かと玉袋がキュッと縮こまったのだが、どうやら敵兵士が黄色軍の味方兵士を発見して攻撃を加えている様子であった。当然、こちらには気付いていない。

 敵の潜んでいると思しき地点におおよその見当をつけ、ジワジワを距離を縮めて行く。AXELの選択した斜面側の侵攻ルートは、足元の森林地帯から見上げると完全に見渡せる状態である。万が一、斜面を降りている様を足元の敵兵士にでも見つかろうものなら親の敵の如く弾丸を嫌と言うほど浴びせ掛けられて、身を隠す遮蔽物も無いような場所で全身にまったりと被弾して無様に屍を晒す羽目に陥る事はKネマキ軍曹の頭が禿げ上がる事と同じくらいに高い確立で起こり得る事象であったので、出来る限り足元の敵兵士からは死角になりそうな経路を選択しつつも何とか敵兵士を背後から狙撃できそうなポイントにまで到達する事が出来た。

 岩陰からニョッキリ顔だけ突き出して前方を確認する。敵兵士2名が無防備な背をこちらに向けてしゃがみ込んでいるのが確認できた。彼らの前方に潜む黄色軍の味方兵士に銃撃を浴びせ掛けようとアンブッシュしている最中なのであろう。ちなみに、2名いる内の1名は女人兵である。チームメイトであろうと思しき兵士の横に寄り添うようにして周囲を警戒しているようであったが、AXELから見ると無防備そのものである。恐らく隣に味方兵士が居ることを心強く思って、安心しきっているのであろう・・・。

 思えば過去数年、幾度となく女人兵の参戦する戦場に足を運んだ経験を持つAXELであったが、意外にも女人兵を手にかけた経験は少ない。また、手にかけたと言っても、お互い真っ向勝負で正面切っての撃ち合いの末の結果である。お互いが死力を振り絞っての戦闘の結果であるし、その点については異性として認識しない事にしているので、気が咎める事は無い。

 が、さながら恋人と二人で公園のベンチにでも座って愛を囁きあっている婦女子の背後から匍匐全身で近付いて手刀一閃浣腸をお見舞いするような闇討ちは今回が始めての経験である。心の中で

「ナンマンダブ、ナンマンダブ・・・」

とばかりに、決して仏教徒と言うわけではないのだが・・・サバゲの神様に手を合わせてお祈りを捧げると、トリガー筋に力を込めて、

ブバババババババン・・・

まずは男の敵兵士の背中に問答無用の弾丸の雨を降らせて止めを刺す。すぐさま照準を女人兵に合わせると少々気が咎めたのだが、

ブババババン・・・

3点バーストで指切りしたつもりだったのだが、銃口からは納豆よりも粘り気のありそうな糸を引きながら、いつもより多めの弾丸が吐き出されて

ビチビチビチビチ・・・・


と婦女子の柔肌を貫くかの様に女人兵の背中に着弾し、女人兵がビクンと小さく痙攣したのを確認した。M4A1改の早口加減にまだ慣れていないため、少々汁ダク気味である。一歩間違えるとセクハラ寸前の様な気もするが、気にしてはならない。何故ならここは戦場で、今は戦闘中だからだ。でも、とりあえず謝っておこう・・・。











































すまぁぁん、女人兵
いっぱい出ちゃった・・・。


 2名の敵兵士の魂が死体置き場へと旅立っていくのを眺めつつも、まだまだボーナスチャンスは続いている。敵兵士を射殺しつつも横目でチラリと周囲を索敵していたAXELが、足元に2名程の敵兵士が潜伏しているのを見逃すはずもない。

 足元の敵兵士目掛けて照準を合わせる事もせず薙ぎ払うように弾丸を叩きつけて1名を屠ると、一気に前進して敵兵士の射線上から移動して物陰に身を隠す。驚き慌てた味方兵士がAXELに向かって発砲しようとするのを手で制して情報交換を簡単に行うと、どうやら敵兵士は未だ多数残存しているとのことであった。

 まだ斜面上に張り付いているKネコ特務曹長が援護射撃を行っている中、AXELは地面に張り付くように身を低くして敵兵士の隠れているであろう地点目指して匍匐で前進する。先ほど、あれだけド派手に虐殺したのだから、当然AXELの存在はバレていることであろう。Kネコ特務曹長の援護射撃を受けながらも、慎重に前進して敵兵士の潜伏地点に照準を合わせると、相手の出方を窺う事にした。

 チラチラと敵兵士が見え隠れしている。無理をすれば何とか撃墜出来ないことはないかも知れない。しかし、失敗すれば確実に相手に自分の潜伏場所を知らせる事になるため、今敢えてリスクを犯す必要性は感じられない。

 敵兵士が見え隠れするたびに、ビクッと痙攣するトリガー筋を何とか意思の力で制御して機会を窺う。あと10cm頭を上げてくれたら確実に補足出来る。距離は10m以内で、手にしたM4A1改の性能を考えると必殺の間合いである。が、敵も歴戦の強兵であろうか・・・なかなかこちらに隙を見せてくれない。背中をジト〜〜ッとした嫌な汗が流れ落ちるのを感じる。

 張り詰めた空気の中、緊張が極限に達したその瞬間、周囲に

「しゅ〜〜〜りょ〜〜〜〜〜〜〜〜」

との何とも間抜けなタイムアップを告げる終了の合図が木霊したのを聞いて、柄にも無くホッと安堵のため息を漏らしてしまった。死体置き場へと戻る道すがら対峙していた敵兵士に話し掛けると、どうやら相手側もAXELの存在に気付いており、後数cm頭を上げていたらAXELは先に狙撃されていたであろう事を知って尿道から暖かい液体が漏れ出しそうな気分を味わってしまった。

6.臭ッ・・・
 第1戦目のサバゲの神様に土下座せんばかりの戦果に調子付いたAXELであったが、僅か数cmの差で死体に変えられそうになっていた事を知って改めて気分を引き締め第2戦目に臨む。今度は上側のフラグ地点からのスタートである。

 先ほどのゲームで中央突破を試みたKネマキ軍曹からの情報によると、フィールド中央部分はかなりの激戦区であったらしく、両軍に大規模な被害が発生していたとの事であった。

 ちなみに、AXELの侵攻した旧花道よりの迂回ルートは先ほど記した通りである。戦略的に大当たりすれば、そのまま一気に敵陣地奥深くまで侵入出来そうな感じであったのだが、日に何度も迂回ルートを侵攻する体力は絶対に無いと断言できるので、余程追い詰められない限りは選択肢からは外してしまおうと心に決めた。

 となれば、次に侵攻するルートは先ほどのカルスト台地ルートとは正反対の部分に向かって広がる森林地帯である。信頼できる情報筋によると、第1戦目で森林を抜けてきた敵兵士は皆無に等しかったらしく、ひょっとすると穴場的なルートの予感がした。

 ゲーム開始よりも少し早めに死体置き場へと足を運び、既に到着していた数名の兵士に声をかけて森林側の迂回ルートへの侵攻を提案してみるも色よい反応を得る事が出来ず、一人しょんぼりと木の幹に腰掛けて地面を忙しそうに這いまわっているアリンコ共にその辺に落ちていた棒切れでチョッカイを出していると、「お前となんか遊んでる暇ないんじゃ」とばかりにアリンコの心の叫びが聞こえてきた所で仕方が無いので、暇そうにボケ〜〜〜っと突っ立っていたKネコ特務曹長に

「山周り行くっすよ」

と進言してみると、

「行くっすか」

との返答を得られたので、第1戦目に続き、第2戦目もKネコ特務曹長とバディを組む事となった。

3・・・2・・・1・・・スタァァァァトォォォォォォォォ


 開戦の合図と共に、Kネコ特務曹長とAXELはモソモソと敵陣地方向目指して侵攻を開始する。事前に得た情報通り侵攻ルート上には人が足を踏み入れた様な形跡は残されていない状態であった。所々に垂れ下がった棘の枯れ枝や倒木などが不気味な雰囲気を程よく醸し出している。

 一気に20〜30mほど斜面を駆け登り獣道沿いに敵陣地方向に向かって方向転換すると、Kネコ特務曹長と一定の距離を保った状態で用心深く前進する。2マンセルの基本に従って、前衛のAXELが前進する間は後衛のKネコ特務曹長がバックアップに周り、Kネコ特務曹長の前進の際にはAXELが周囲の索敵を行うと言った具合に、相互に警戒をしながら前進するためであろうか・・・思ったよりも距離を稼ぐ事が出来た。

 敵陣地方向へ数十mほども一気に侵攻を続けると、さすがに30牛丼もの大枚叩いて購入したJTのアンチフォグ仕様のゴーグルが、AXELの放つムンムンの熱気に曇り始めた。「アンチフォグの癖に曇るんじゃね〜、この詐欺師がぁぁ」等とブチブチ文句を垂れ流しつつも匍匐で前進していると、いい加減5mほど先さえも確認出来ないほど視界が真っ白に曇ってきたので、後衛のKネコ特務曹長に

「曇り止めスプレー無いっすか?」


と、無茶なことを聞いてみるも

「曇り止めは無いっすね〜」

との返事が返ってきたので、ガックリ肩を落としたのだが

「葉っぱの汁付けたらマシになるよん」

とのトリビア情報を提供してくれたので、「へぇ〜へぇ〜へぇ〜・・・・」とばかりに80回ほどへぇ〜ボタンを連打しながら、その辺に生えている樹木の葉っぱをむしり取ってグチャグチャと揉み解す。おもむろにガバッとばかりにゴーグルを持ち上げ、レンズの内側に滲み出てきた葉っぱ汁を塗りたくってかぶり直してみると、あら不思議・・・










































く・・・・・・臭っ

 イモムシをすり潰したかの如き、葉っぱ汁の緑臭〜〜い何とも形容し難い臭気がフェイスガード全体からまったりと立ち昇り、涙腺からは滝のように涙がこぼれ落ちた。思わずKネコ特務曹長に向き直り、迷彩ズボンを引ん剥いて肛門に銃口を突きつけその場で銃殺刑に処そうかと殺気立ったが、何とか踏みとどまってみると、視界が僅かであるが回復の方向に向かい始めた。

 すばらしきトリビアの泉である。もはや、おばあちゃんの知恵袋ならぬKネコ特務曹長の玉袋ではなかろうか・・・。肝心の袋に少々青筋が立っていても決して気にしてはならぬ所が罠だが、お陰で何とか10m先の地面からニョッキリ生えているのが松茸アントニオ猪木の顎かの判別位なら付きそうな程にまで視界は回復した。

 気分も視界もスッキリした所で侵攻を再開する事にしたのだが、今まで自他共に認める方向音痴のAXELが白濁した視界の中で適当に「こっちかな〜」と進路を取っていたため、既に我々がどの地点にまで到達しているのかがすっかり分からなくなってしまっていた。このままでは(フィールド常連者の二人が揃いも揃って遭難)と言う憂き目に遭いそうな予感に襲われたAXELは後ろを振り返り、Kネコ特務曹長に向かって

「どっちに行きましょう?」

とばかりに、迷子の子猫の様な弱々しげな視線を投げかけるも、

「さぁ?」

と言う返事が返ってきたので、「いよいよ遭難か?」と覚悟したのだが、丁度運良くSWAT装備で全身黒装束の敵兵士がモソモソ移動している様をブッシュの向こうに発見する事が出来たので、良い事を思いついた。

「あの敵殺して、道聞こう・・・」

後続のKネコ特務曹長に敵兵士の存在を伝えると、既に発見していた様子で十字砲火しやすい位置に移動してくれていたため、AXELもその場で射撃姿勢をとり発砲に備える事にした。

 敵兵士が必殺の間合いに入ってくるまでジッと息を殺して待つ。距離にして約15m程度であろうか・・・。戦闘距離としては比較的近距離の部類に入るのだが、射線上に薄いブッシュが横たわっていたため、確実に射殺できる間合いではない。もう少し接近してくるまで機会を窺う事にする。

 と、次の瞬間・・・敵兵士は、我々が近くに潜伏していることなど夢にも思っていないのであろうか・・・大胆にも上体を起こして移動し始めた。この絶好のタイミングをKネコ特務曹長が逃すはずも無く、その上半身目掛けて切れの良いセミオートで

タン・タン・タン・・・・

と弾丸を撃ちこむも、敵兵士からは断末魔の叫び声が聞こえてこなかったため、AXELも少々汁ダク気味のフルオート射撃で敵兵士に引導を引き渡すお手伝いをさせて頂くと、「ヒットぉぉぉぉ」という敵兵士の潔いヒットコールが周囲に木霊した。と、同時に

「敵おるぞ!」

と、複数名がヒソヒソ話し合うのが聞こえてきた。

 迂闊にも、道に迷ったKネコ特務曹長とAXELは敵地のど真ん中に紛れ込んでしまったようである。幸いな事にこちらの居場所は知られずに済んだようだ。しかし、この辺り一帯に敵守備隊が防衛線を張り巡らせているらしく、このままでは、敵の目が我々を捕らえるのにそれほどの時間は必要ないことだろう。

 一刻も早くこの場を離れた方が良いと考えた我々は、先ほどまでの前衛と後衛を入れ替えて更に敵地深く潜入することに決めた。ちなみに、隊形を変えたのは単純にAXELの方がKネコ特務曹長よりも、より近い位置に敵兵士が潜伏していたため、Kネコ特務曹長が安全な位置に退避できる可能性のほうが高かったからである。









































断じて恐怖の余りAXELの腰が抜けてしまった訳ではない。

 何とか敵の目をかいくぐり再び侵攻を開始したKネコ特務曹長とAXELであったが、「どうやら敵陣地には近い」ということは分かったのだが、状況が改善された訳でもなく

「敵フラグってどこよ?」

「しらね〜よ」

などと言った会話をモショモショ続けながら地べたを這いずり回っていていた。

 と、突然銃弾が飛来し後続を進んでいたAXELの体を貫く。何が起こったのか理解出来ぬままにAXELの魂は死体置き場へと旅立とうとしたが、横目でKネコ特務曹長の方をチラッと見てみると、Kネコ特務曹長の体からも魂が抜け出していたため、同時に殺戮されたらしい事だけは理解できた。どうやら、我々はズッポリ根元まで敵兵士の術中にはまっていたらしく、防衛ラインに誘い込まれていた様であった。

 更に追い討ちをかけるかの如く、半べそをかきながらKネコ特務曹長と二人してトボトボと死体置き場へ戻る途中、ふと顔を上げてみると・・・そこには燦然と光り輝く敵フラグが木の枝からぶら下がっているのを発見して、散々迷子になった挙句に敵フラグ地点を通り過ぎ、敵の術中にモノの見事に嵌められて二人揃って射殺されるという、フルチンで繁華街全力疾走に値する何とも恥ずかしい失態を犯していたという驚愕の事実に気付いたのだった。

7.三十路男が見てた
 とあるゲームの開始前、ひっそりと陣地前に佇んでいたAXELの元に一人の兵士が近付いてきた・・・。

「今日の戦果はどうですか?」


とのAXELの問いかけに

「いや〜全然ですぅ(T−T」

と、物悲しげな声で答えたその兵士の顔を見ると本当に物悲しげであった。

(サバゲ初心者なのかな〜)

と思い、しばらく世間話などしていると・・・

「いや〜、ホームページに出てる人に会うと、芸能人に会ったみたいですね〜」

その兵士はおもむろに言い放った。

「もしかして、見てますか?」

との問いに

「見てますよ〜」

とのことで、どうやら我がすかぽんたんホームページの愛読者という奇特な肩書きを持つ御仁である事が判明した。Kネマキ軍曹を始めとする人格破綻者が隊員の80%を占める痴れモノの巣窟で知れ渡っている我がすかぽんたんに、サバゲライフのおっ始めから関わってしまうとは何と不幸な兵士であろうかと、冬の寒空に空き地の片隅でダンボール箱に押し込められてプルプル震える野良チワワを見るような労わりの心で接していると、丁度噂のKネマキ軍曹がテクテクと歩いてきたので

「あの人がチ○チンに無水エタノール塗りつけて失神したウチの隊長です」

と、簡潔かつ明瞭に紹介すると(誰がチ○ポじゃ!)と言いたげな憮然とした表情のKネマキ軍曹の額には青筋が浮かび上がっていたので、後ろに回ってみると案の定後頭部にもくっきり青筋が立っていたのを発見して

「ぷっ、迷彩柄のコンドーム付けたチン○が立ってる・・・」

等と不覚にも吹き出してしまいそうになったのを両目に大粒の涙をためながら呼吸困難に陥りつつも必死で耐え忍んだが、その場でこのような発言を不用意に行ってしまうと即銃殺刑が執行されるのは火を見るよりも明らかであったため、「レポートをアップしたら南港に沈められるやも知れぬなぁ・・・」等と思いながらネタにすることを心に決めたAXELであった・・・。








































「妻よ、息子達よ、突然ホームページの更新が止まったら父は南港の海底に沈んだか、更新をサボっているものと諦めよ」

8.敵と思ったら味方で味方と思ったら敵だった・・・
 楽しい休日と言うのは「あっ」と言う間に過ぎ去ってしまうものである。時には、敵兵士に殺られ、時には味方兵士からの迫害(味方撃ち?)を受け、満身創痍のAXELであったが何とか最終ゲームにまで漕ぎ着けることが出来た。戦況は、両軍ともに一進一退繰り返し甲乙付け難いものとなっていたのだが、黄色軍は敵軍のフラグ奪取を1度許してしまったため、僅かに均衡が傾きつつあった・・・。

 最終戦は下側のフラグ地点からのスタートである。心なしか周囲の味方兵士の顔にも勝利への決意が漲っているように思える。これまで頑として、正面突破に拘りを持ってこの日のゲームを生き抜いてきたKネマキ軍曹も

「中年漢のいやらしさ、見せちゃる」

とか何とかブツブツ呟きながら敵攻撃部隊の側面を突く作戦を綿密に計画し、味方兵士の賛同の意を求めようと奔走している。そんな喧騒の中、AXELはと言うと「適当に走り回って、速攻で死にます。」と、Kネマキ軍曹に聞かれたらその場で銃殺刑モノの問題発言を連発していた。何故なら、さっさと死体置き場に戻って荷造りをしてしまいたかったからである。

 そもそも万年運動不足の全身トロマグロ状態の老体に鞭打ってフレーム強化用パーツなどを山盛り搭載した重量級のM4A1改を小脇に抱え1日フィールドを走り回る行為自体、間違いなく自殺行為である。持病の筋肉痛が悪化して明日は会社を休む羽目に陥る姿が目を閉じると浮かんでくる。

 明日、会社に電話して上司に「休み下さぁぁぁぁい」と報告する際、

「何で?」

って聞かれたら

「筋肉痛だから〜、てへっ」

と答えると、本気で怒られそうな気がしたので何と言い訳しようかと必死に考えていると、いつの間にやら戦闘が開始されていた。

「どうせ、すぐに死ぬんだし〜のんびりしてから出征しよう」

味方軍の兵士達が必死の形相で敵陣地目指して疾駆する中、AXELは木の幹にもたれてボケ〜〜〜と周囲を見回していた。

 戦闘開始から数秒後、既に辺りには銃声が木霊し、敵味方問わず断末魔の悲鳴をあげる兵士の姿が見える。今回、フィールド水没の一件で両軍のフラグ地点を一直線上に配置してしまった関係であろうか・・・いつもよりも戦闘の展開が早いように感じられる。幾ら早死にするといっても犬死にだけは御免被りたかったため、AXELは状況が一段落するまでスタート地点で待機することに決め、まったりと周囲の状況を観察する。

 唐突に銃声が途切れ、戦線が落ち着きを取り戻したところでモソモソと移動を開始する。始めは新花道沿いに侵攻して激しい銃撃戦に参加しようかと考えたのだが、正面切っての撃ち合いに弱いAXELは今回も敵兵士の不意を突いて攻撃する姑息な手段に出る事を心に決めつつほんの少しだけ花道沿いに侵攻すると、分かれ道に遭遇した。

 選択出来る侵攻ルートは2つある。一つは花道沿いの正面突破ルート、もう一つはカルスト台地方向へと通じる迂回ルート・・・。先ほど「姑息な手段に出る」事を心に決めたAXELは、当然の事ながらカルスト台地への迂回ルートを選択した。

 分かれ道の地点からは5mほど先に数名の味方兵士が地面に突っ伏して匍匐前進しているのが見えたが、周囲に敵兵士が潜んでいそうな気配は無い。上体をやや起こし気味に索敵しつつ少しずつ前進する。いつの間にやら、最後発のスタートであったにも関わらず、最前線にまで到達していたことに気付くと両足がガクガク、ブルブルと震えた。

 いつの間にやら最前線最前線はどこだ? オレの居るとこだ!の二つはすかぽんたんの十八番であるので、今さら気にしても仕方が無いとばかりに気を取り直して更に前進する。今度は周囲に敵兵士が潜んで居そうな気がしたので中腰である。不意に敵からの銃撃を受けても回避可能なように上体をリラックスさせつつも、一歩一歩慎重に進む。銃器は腰溜めにして即座に応戦出来るように全身の神経を研ぎ澄ます。

 幸いな事に、敵からの攻撃を受ける事も無くAXELはカルスト台地の登り口にまで侵攻する事が出来た。これも一重に日ごろからのサバゲの神様への厚い信仰心のお陰であろう。しかし、移動距離こそ少なかったものの、極度の緊張感のためであろうか・・・さながらゴルゴ13の顔面を滝のように流れ落ちるが如きじっとりとした脂汗が、JTのサーマルレンズを徐々に曇らせ始めたのを感じて岩肌に取り付くと小休止を取る事にした。戦闘の最中、石灰質の岩肌にペッタリと張り付いて地面に全身に篭った熱を逃がしていると、何だか自分が爬虫類にでもなったかのような錯覚に襲われて、百舌鳥に背中を突っつかれたら嫌だなと、思わず空を見上げてしまった。

 少し汗が引いてきたところで改めて周囲を見回してみる・・・。味方兵士はAXELの少し後方で防衛ラインを構築している様子である。敵兵士は前方に潜伏している気配がする。

これが何を意味しているかと言うと・・・









































味方の最前線を通り越して、敵兵士とのど真ん中に紛れ込んじゃった・・・

 要するに、前方に潜む敵兵士からは

「おおっ、あそこに敵が潜んでるぞっ!撃ちこめぇぇぇぇぇ」

で、後方の味方兵士からは

「ああっ、あんなところにケツ剥き出しのホモ野郎が居るぞ!撃ちこめぇぇぇぇ」

となって、挙句の果てには全身裏表満遍なくズタボロになるまでまったりと銃弾を撃ちこまれて、ポイッとばかりにフィールドの隅っこに打ち捨てられた使用済みティッシュペーパーの如き醜態を晒すことは明白である。

 その証拠に後方から









































「あんなところに誰か居るぞ!」

「あ!待てっ!あの迷彩、AXELさんやって!」

と、モショモショ内緒話でもするかの様な声が聞こえてきた。

 ついでにボヒュッとばかりに単発での射撃音が聞こえてきた様な気がしたが、発砲した兵士の名誉に関わる事なので「敵兵士に向かって発砲した」事にしておこう・・・。間違っても、AXELを射殺しようとした訳では無いことだろう・・・。そんなことをしようものなら、ケツを引ん剥いて百叩きの上、極太サイレンサー挿入の刑に処して頂く様、チームの責任者殿に異議を申し立てるつもりである(笑

 危うく敵の敵にヒットされそうになった(様な気がした)AXELであったが、潜伏している場所のすぐ側からけたたましい銃声が上がったので、サッと地面に伏せると素早く周囲に目を配らせる。が、敵兵士の姿は何処にも見当たらない・・・。少しだけ石灰質の岩肌をよじ登って、岩棚の上からニョッキリ頭だけ突き出して敵陣地方向を見てみる・・・と、先ほどの位置からは丁度死角になった所に敵兵士がペッタリと地面に寝そべっている光景が目に入った。

 ゆっくりと上体を起こして射撃姿勢を取る。当然、敵兵士はこちらには全くの無警戒である。トリガーに指をかけるとジワジワと力を込めてゆき、無防備な背中に向けてタタタタタン・・・と、少々汁ダク気味に銃撃を加えると

「あっ!」

という断末魔の悲鳴をあげて死体置き場へと旅立っていった。トボトボと死体置き場へと旅立っていく敵兵士の後姿を見送りつつAXELは再び地面に突っ伏すと、ジリジリと匍匐で少しずつ前進する。数分かけて1〜2m程の距離を移動すると、岩棚に切れ目のある場所に到達した。

 敵陣地陥落を目指すのであれば、ここから岩棚を降りて森林地帯へと入るルートしか無い事はフィールド常連者であれば誰でも知っているので選択肢は一つしか存在しない。が、敢えて岩棚沿いに侵攻していくことで敵陣地陥落は出来ずとも、敵軍の後方へと回り込んで戦線を撹乱する事は可能である。

 あれこれと悩みながら、岩棚の下を確認しようとヒョイッと顔を突き出して覗き込んでみると・・・スナイパーライフルを構えた敵兵士と目が合ってしまった。恐らく距離にして1.5mと離れていないだろう。なんだったら、手を伸ばせばペチッと相手の頭を叩けそうな位の超至近距離である。あまりの急接近に喉から心臓が迫り出しそうな気分であったが、先に反応したのはAXELであった。

 手にもった超早口改造のM4A1改を敵兵士に向けると、狙いを定めもせず乱暴にトリガーを引いて弾丸の雨を降らせる。

が、敵兵士の反応も素晴らしく良かった。


AXELが銃口を向けるや否や次の瞬間には銃口の死角へと飛び込む。



さらに追い討ちにと、跳弾ヒットを狙って100発ほどを壁面目掛けて撃ち込みつづけるも、断末魔の悲鳴は聞こえてこなかった。




が、その変わりに岩下からハンドガンがニョッキリ生えてきてAXEL目掛けて銃撃を加えてきた。

 幸いにして、下からの角度が急すぎたため敵兵士の放つ弾丸はAXELの目の前を通り過ぎて行く。調子に乗ってもう少し身を乗り出していたら、まともに上半身に被弾していただろうと想像するとパンツを濡らしてしまいそうになったが、そんな余裕など皆無に等しい。

 手にもったM4A1改をトリガーを引き絞りつつ横方向に薙ぎ払うように銃撃を加えると、敵兵士のハンドガンを持つ手に着弾したようで、

「痛ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

と、半径1kmに響き渡りそうな程の大声でヒットコールをあげて死体置き場へと旅立っていったのだが・・・あんまり気の毒なので、

「近距離からすんませ〜〜ん」

と声をかけてみるも、

「お〜〜いってぇぇぇぇぇ、指当たったわぁぁぁぁ」

と、大声で叫び返すばかりである。さすがに、至近距離から指目掛けて発砲した負い目を感じていたAXELであったが、ここまであからさまに「痛い、痛い」と連呼されると余り良い気はしない。特に、この日のM4A1改は至近距離での戦闘が多いAXELが威力は控え目にとデチューンしたばかりの状態である。ファーストに持ち込んで0.25弾を使用して弾速チェックしてもらっても初速は75〜78m/sの超甘口セッティングだ。思わず

「腕突き出して撃ってたんだから、しょ〜が無いやん」

と、ボソッとAXELが呟くと

キッ!

と、ばかりにこちらを睨み付けたので、恐らく最初の謝罪は聞こえていた事であろう。

 撃った、撃たれたはサバイバルゲームでは付き物であろうし、発砲する覚悟をしているのであれば被弾する覚悟も当然してしかるべきであろう・・・。単純な話、撃たれるのが嫌なら辞めれば良い。撃たれて痛い思いをしたくなければキチンとした装備を整えれば良いだけのお話である。ついでに言うと、AXELは自分を撃った相手が嫌な思いをしないように心がけて装備品を着用することにしているし、たまたま当たり所が悪くて痛い思いをしても、それは自己責任として割り切る事にしている。大人の遊びであるサバイバルゲームに於いて、その準備が出来ていないのは一種のレギュレーション違反ではないだろうかとAXELは思うのだが・・・如何なものであろうか。

 まぁ、どうでも良いような事であったので、そのままゲームを続行する事に決めてふと後方を振り返ると味方兵士がAXELのすぐ後ろにまで追いついていた。その兵士に「岩の下に降りて侵攻するのでAXELが撃たれたらこの場に待機して仇を取ってね。」と涙交じりに自決の覚悟を必死に訴えるも、「なんじゃ、こいつ」とばかりに珍獣を見るような目つきで見返されたところで、周囲に気を配りながら慎重に岩下に降りる。

 と、突然後方からの銃撃にあい、最近肉付きの気になりだしたAXELのデカイケツに

ビチチチチチチチチチ・・・

と、モノの見事に着弾した。

唐突な後方からの銃撃に思わず

「アヒッ!味方や〜〜〜〜ん(泣」

との、余りにも情けない断末魔の叫びを発してしまったAXELであったが、体から抜け出した魂が死体置き場へと旅立つ瞬間に発砲地点を振り返ってみると、敵兵士が1名潜伏していた事に気がついて思わず
「すまぁぁぁぁん」


と、鈴木土下座衛門ばりの謝罪をしたことは言うまでも無いことであった。

 この日も、大勢の参加者がいたにも関わらず大きな事故などもなく無事ゲームを終える事が出来た幸運をサバゲの神様に感謝しつつ帰路についたのだったが、帰路に付く前に駐車場前の喫茶店でKネマキ軍曹らと少々ティータイムなどを楽しんでしまったことで、とっぷりと暮れてしまったお日様を拝みながら帰宅後待ち受けているであろうアキ〜コ顧問の制裁のことを考えると足が竦む思いのするAXELであった・・・。


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