<<突発的永楽ダム症候群編>>



1.北区同盟結成!!のこと

 去る1月28日大阪市内某所にて通称「北区同盟(大阪市北区酒飲み同盟)」の決起集会が厳かに行われた。そのときの主なメンバーはすかぽんたん上層部の意向によりここではあえて伏せることにするが、実に勇壮たるメンバーがこの同盟への参加を表明してくれた。実に心強いことである。

 第1回目の会合である決起集会は大阪市内の某居酒屋にて行われたものであったが、今後我が同盟に賛意を寄せてくれる奇特な御仁がおられる場合は各方面への慰問訪問も考えていきたいので是非ともこれを閲覧されておられる方々のご意見をお寄せいただきたい。

2.突発的永楽ダム開催通知の裏のこと

 1月30日の段々山決戦が急遽中止になったということを知ったのはゲーム開催前日のことであった。その日に一緒に外出する予定であったシーモンキーのFLIPPER軍曹殿に連絡を入れると「なんか掲示板の方で中止になってましたよ〜、えへへへへぇ・・・」と何とも頼りがいのある調子で教えてくれたのだが、果たして自分でネットに接続して各方面の掲示板を確認してみると、やはりかわちゃん衛生曹長殿から「天候不順のため中止」との告知がなされていた。(すみません、週末にかけてネット繋ぐのさぼってました・・・)

 この日は1月末とは思えないほどの温暖な天気であったので翌日雨が降るなど夢にも考えられず、「かわちゃん衛生曹長め、嘘の天気予報なぞに惑わされよって・・・」などと思いつつ携帯電話に連絡を入れて中止の真相を確認してみるとやはり当日は40%の確率で雨だったため、中止したとのことであった・・・。にわかに翌日に雨が降り出すなど想像も出来そうにないほどいい天気であったので、

「ね〜ね〜、ゲームやろうよ〜」

と駄々をこねてみるも冷静なかわちゃん衛生曹長殿はまるで幼稚園の先生が園児に接するがごとき落ち着き払った態度で中止する旨を忍耐強くAXELに説明してくれた。・・・が、発情期の雌ネコの如くゲームに飢えきっていたAXELにそのような話も通じるはずもなく、いい加減電話口のかわちゃん衛生曹長殿の堪忍袋の底もずたぼろになりそうになったときAXELの頭に一つのアイデアがまるで雷鳴が轟くが如く閃いたのであった。

「ゲームがないんだったら作っちゃおう!!」

 あまりに突飛なAXELの閃きにかわちゃん衛生曹長殿もあきらめた様な(ほとんど呆れ返ってたな・・・ありゃ)口調で賛意は表明してくれたものの、参加の可否については不明であるとのことであった。あまりにも突然のゲーム開催告知であったため、かわちゃん衛生曹長殿との通信を終えるや否や急いで端末の前にうんこ座りでしゃがみ込み、当日参加予定にしておられたチームの掲示板に「代行でゲーム開催する」告知を行い反応を待つことにした。これが終了したのは昼の2時くらいであったろうか・・・。恐らく各チーム関係者が各方面の掲示板を見だすのが夕刻から夜半にかけてとして、当日揃いそうなメンツを把握できそうなのは晩方から深夜にかけてであろうことを予想しつつ、生き残り屋のKネコ店長に連絡を取って開催地である永楽ダムを押さえてもらうように依頼をして、到着を大幅に遅れているまんべ2等兵とFLIPPER軍曹殿ご一行を待つことに・・・。

 その間、Kネマキ軍曹やロキ上等兵にも通達を打電し参加の可否を問うも、我がすかぽんたんがゲームに欠席することなどたとえ子供の運動会があろうとも七五三があろうとも許されよう筈もないので皆も参加を快諾してくれた。特にKネマキ軍曹など新しい職場に就職して疲れている筈であろうにも関わらずゲームと聞くとさながらパブロフの犬の如くよだれを垂らしながら、家族の冷たい視線をも振り切って参加してくださるので、いつも非常に心強く思いつつも「イっちゃってる人だなぁ・・・」と感心せずにはおられないのであった。

 ・・・諸処の手続きをこなしている内に、大幅に遅れてやっとの事でまんべ2等兵が兵舎の前に到着したようで、まんべ2等兵の運転する軍用車に乗り込んでお出かけすることに・・・金剛山の麓にあるAXELのお奨めの茶店でゆったりした時間を過ごすも途中積雪があったので、あまりのんびりしすぎるとこのまま温泉宿にお泊まりなどという非常事態にもなりかねなかったので少し早い目に店を出ることにした。途中、翌日のゲームについて「あ〜だこ〜だ」と話しながらも順調に車は兵舎の前に到着し、しばらく時間をつぶしたあと、FLIPPER軍曹殿とAXELは嫁連合を残して生き残り屋にいくことにした。FLIPPER軍曹殿の愛妻のmizuki嬢とアキ〜コ顧問を二人残して外出するにはかなりの抵抗があったのだが、二人に追い出されるように兵舎を後にして生き残り屋に到着すると既に常連の皆が素面のくせに何故かろれつの回らない状態(?)で出迎えてくれた。と、いつも生き残り屋でくだを巻いているKネマキ軍曹の姿が見えないことに気づいて心配になって連絡を入れてみると・・・開口一番、

「現場の屋根が落ちた〜〜」

とのことである。どうも状況を詳しく聞いてみるとかなり切迫しているらしく、明日のゲーム参加はほぼ絶望的であるとのことである。家族はうっちゃっても、さすがに就職したての仕事をうっちゃるのはいくら軍曹でも気が引けるらしく、ブツブツとお経を唱えるが如く「ゲームにいきたいよ〜」と繰り返しながらも何とか現場を収めてゲームに来ようとしている軍曹が痛々しげで電話口で大笑いしてしまった。

 取りあえず、生き残り屋で翌日の参加者の確認をすると、思ったより人数が多く14〜15名程度であることが判明し、当日ネットつながりのメンバーの集まりが悪くとも何とかゲームに漕ぎつけられそうな感じがしてホッと胸をなで下ろした。この日は良い時間まで生き残り屋でまったりとした時間を過ごしてから兵舎に戻って、FLIPPER軍曹とmizuki嬢を家に送り届けた(途中ラーメン屋でニラ大盛りのラーメンを食べたりして)のは夜中の3時を少しばかり回ったところであった・・・。

3.突発的産みの苦しみ・・・のこと

・・・昨夜の馬鹿騒ぎから一夜明けて、朝起きると既に出発予定を少し過ぎていた。

 未だかつて無い大寝坊に思わず青ざめたAXELであったが、「どうせロキ上等兵もモーニングコールしてないから寝てるべ〜」とゆっくりと起き出して携帯電話に手をやってロキ上等兵に電話してみると・・・つながらない!これはもしかしてロキ上等兵が自力で起き出して既にAXELの兵舎に向かっているのではないかとイヤな予感がしたのであったが、果たして携帯電話を片手にボケ〜っとしていると、(ピンポ〜〜ン)と来訪者を告げるチャイムが鳴った。出てみるとロキ上等兵であった・・・。普段は寝坊してAXELのモーニングコールで目を覚ますくせに何で今日に限って早く起きてくるかなぁ〜。仕方がないのでロキ上等兵を兵舎に招き入れて先日購入したばかりの「某ーチャロン 某ラトリオタングラム」の電源を投入し、コントローラーを手渡してすぐさまシャワーを浴びることにした。

 シャワーを浴びて出てくるとロキ上等兵は猿のように某ーチャロンにいそしんでおり、AXELはゆっくりと出かける準備を済ませて一服を決め込んでいた。突然携帯電話がけたたましい着信音をあげてプルプル震えだしたので出てみると、大和兵団(別働隊)のなおき氏からであった。

「すみません、ちょっと遅れそうなんですけど・・・」

申し訳なさそうに謝るなおき氏であったが、AXELもすっかり寝坊して本来ならフィールド近くまで行っていなければならないこの時間帯にまだ兵舎でのんびりしていることを告げるといくらか安心したようで、二人して何ともいえない気分になって電話口で大笑いしていると一言、

「こんなところで二人して大笑いしてて良いんですか?」

と、なおき氏に突っ込まれてしまった。取りあえず大急ぎで準備を済ませてフィールドに向かうことにした。

 途中、いつも立ち寄るコンビニで昼食を買い出ししてフィールドに到着した頃にはすっかり参加者の皆の衆も到着しており、ロキ上等兵とAXELのことをブーイングで暖かく迎えてくれた。・・・が、AXELがフィールドに到着した頃には一つの問題が浮上していた。

「雨降ってる・・・」

 そうなのである。AXELもフィールドへ向かう途中の道すがら車のフロントガラスにポツポツと雨が当たるのを気付いていたのではあったが、気のせいにすることにして永楽ダム方面は晴天とは行かないまでも曇り空が広がっているものと信じ切っていたのである。そんなことは顔に出さずに「ここまで来たのだから」ということで、参加者にはゲームを行う旨を通達していざフィールドに行ってみると、地面は伏せ撃ちなどしようものなら迷彩服がコテコテになってしまいそうな位にまったりとした状態になっていた。

 そんな小さなことは気にしてはならない。たとえ雨が降ろうとも槍が降ろうとも、まんべ2等兵やKネマキ軍曹の頭に毛が生えてこようとも一度ゲームを行うといったからには、意地でも1ゲームだけであっても楽しんでいただくのが主催者たるものの義務であろう!まして、このゲームに飢えた鬼畜のような集団を目の前にしてここまで来て「中止にしま〜〜っっっす!!」などという言葉を口にしようものならロキ上等兵辺りからジャーマンロングサイレンサー折檻を喰らわされるであろうことは間違いないので取りあえずチーム分けをしてゲームを始めることに・・・

 チーム編成は黄色軍がカメレオン+のらねこ(生き残り屋から参加)の2チームによる混成チームで15名、対する赤チームが生き残り屋常連組+すかぽんたん(3名)の計12名だったと思う。途中から大和兵団(別働隊)3名が到着したので赤軍に入ってもらって結局15名対15名の計30名の好きモノがこの悪天候の中、永楽ダムに集結したことになる。構想期間わずか数時間の間に合わせのゲームにしてはかなりの大人数が集まってくれたと考えても良いであろう。

 早速1ゲーム目開始、スタートのコールと同時にAXELは強烈な便意に強襲をかけられてしまい、いきなり行動不能に・・・ケツの筋肉を引き締めながらも何とか歩き回れる程度に回復したので、フラフラとフィールドに安全な便所を求めて

「あ゛うぅぅぅぅ〜〜・・・そ、そ、早産が・・・

とさながらバイオハザードのゾンビの如くさまよい歩いているといつの間にやらうっかり最前線付近にまで来てしまっていたようで、目の前にある地面の盛り上がりから無防備にひょっこり顔を上げると額をビシッと打ち抜かれて、気がつくと三途の川のほとりで野グソをしているところを鬼に見つかってすんでのところでこちらの世界に戻ってくることが出来た。もちろんAXELのことを「うんこ垂れにしてやるぞ〜」と脅迫を続けている最大級の便意は治まっているはずもなく、死体置き場に戻って大急ぎで近くにあるトイレに駆け込んだことはいうまでもない。さらにこのゲームでは赤軍は善戦空しくもフラグ戦のくせに全滅の憂き目にあうという史上まれにみるほどの大失態を演じてしまった。

4.突撃兵参上のこと

 続いて第2ゲーム目・・・今度は下からのスタートである。この日は前日の夜更かしが祟ってか、かなり体力が落ちている様であったので、スタートのコールから少し遅れて右手の緩やかな丘陵地帯に身を潜めることにした。この日は前半ほとんどスタートのコールを声がでかいという理由でAXELがかけていたのだが、ゲームスタートと同時にコールのために前に立っていたAXELに山盛り弾降らせるのはやめてほしいなぁ・・・などと思ったりもした。そりゃぁ、まぁ、見える位置に敵兵士がいれば撃ちたくなる衝動に駆られるのは分かるが、一応AXELもスタートも遅らせているわけだから、スタートする前に弾が届くかどうかの位置から撃たれたヒョロ弾に当たって死ぬとかなり悲しい思いをする事になりそうなのでその辺りはチョビッと考えてくれると嬉しいかもしれない。

 ワサワサと右手の小高い丘に取りついて匍匐前進で頂上を目指していると、遙か下の方にあるバリケードに敵兵士が張り付いて味方陣地に向けて発砲を繰り返しているのが見えたのでじっと見ていると、こちらに気付いたのであろうかおもむろに銃口をこちらに向けて発砲し始めたではないか。敵兵士の装備しているのは電動ガンだったようで情け容赦ないほどのBB弾がAXELのいる少し下の辺りに着弾していたのでのんびりしていると、射角を変えたのであろうか急に近くにパラパラとBB弾が飛んでくるようになった。AXELも手に持ったベネリで応戦を試みたのだが、いかんせん射程外にいる敵なので全く弾が届いている様子もなく、敵兵士は平然とこちらに銃撃を加えてくるので辛抱堪らなくなってその場から逃げ出して違うルートで頂上を目指すことに・・・。

 慎重に匍匐前進を繰り返し、後少しで頂上の小道に辿り着くというときに敵フラグ方向に向かって少し離れた位置から銃声が聞こえたのであったが、幸いなことにAXELに向けられたものでは無かったため、先ほどよりさらに慎重に前進してふと横手を見ると、味方チームのAベ氏がいるのが見えた。どうやらあちらからもAXELのことを確認できたようでお互い身振り手振りで合図を交わしてからさらに進むと突然後方から銃撃が!!あまりの出来事に仰天して後方を確認したのだが、敵兵士に後ろをとられた様子もなく、どう考えてもトチ狂ったAベ氏がAXELの無防備な背中に向けて発砲している様な気がしたのであったが、気がつくと銃撃は止んでいたので気にしないようにしようと自分に言い聞かせるとさらに前を目指して移動を始めることにした。(ゲーム後確認すると、前方にAXELがいたのを知らずにAXELの向こう側にいた敵兵士に銃撃を加えていたとのことであったが・・・)

 さらに少し進むと丘の上から敵フラグ地点まで延びる小道の途中に敵兵士が上半身を藪の中に突っ込んで必死に味方と交戦しているのが見えたので、そろそろと近づいて後ろからフリーズコールをかけると一瞬ビクッと反応して素直に死んで下さった。(潔さに関しては戦士の鏡の人だな)と感心しつつもさらにもう少し進むと、草むらからにょっきりスナイパーライフル特有のスラリとした銃身がつきだしているのが見えたので、十分にヒットできる距離まで進んでフリーズコールをかけようとするとこちらに気付いたのであろうかモソモソ銃身が動き出した。しこたまBB弾を撃ち込もうかとも一瞬考えたのであったが、既にフリーズコールは喉のところまで出かかっていたため、トリガーにかけた指を引くよりも先にフリーズコールが口から出てしまった。敵兵士は一瞬固まった後、通り過ぎざまにブツブツとAXELに文句を言い残して死体置き場に帰っていった。

 (文句を言うくらいならさっさとBB弾を打ち返せばいいのに・・・)と少々不満げに思いつつもここで子供のように駄々をこねるのも大人げないのでゲームが終了して死体置き場に戻ったときにきちんと謝罪させてもらったが、最初のブリーフィングの時に「フリーズコールはありですが、撃ち返せると思ったのであれば撃ち返して良いですよ」とわざわざ説明したのに・・・

 気を取り直してさらにフラグ方向に向けて前進すると敵兵士が2名ほどフラグを設置しているバリケードに取りついて守備に回っているのが見えたのでベネリをコッキングして弾丸をチャンバーに送り込み慎重に接近し、まずは手前にいる1人に狙いを付けて一撃、発射された弾丸は見事に敵兵士の体をとらえたようで兵士の魂は死体置き場に旅立つ。そこで一旦身を隠して3mほど前進して続いて2人目に照準を合わせるとなぜか敵兵士はしゃがみ込んで呑気にマガジンに弾薬をこめている様子であったので悠々とトリガーにかけた指を引き絞ってBB弾を発射するときれいに3発とも敵兵士の土手っ腹に命中したようで、唖然とした表情を浮かべながらあの世に旅立ったいった。他にも守備兵士が周囲に隠れているかもしれないと思いつつも、今装備しているベネリでは長期戦に持ち込まれるといかにAXELでも頭のてっぺんからつま先まで万遍なくBB弾を撃ち込まれて無様な死に様をさらすことになりそうな予感がしたので、念のためコッキング動作を行い、万一の時のすかしっ屁のためにチャンバーにBB弾を装填して5mほど先のフラグに向かって突入を行うと幸いにも誰もAXELの存在に気付いていなかったらしく、思いの外すんなりとフラグゲットをすることが出来、ホームフィールドで錦を飾ることが出来た。

5.突撃指示は気持ちいい〜のこと

 続いて3ゲーム目、今度は上側からの攻めである。上側からの攻略ルートに関しては最近の永楽ダム戦において攻略され尽くしているといっても良いほどAXELは絶対の自信を持っていたため、すかぽんたんのロキ上等兵とまんべ2等兵とをつれてかなりの本気モードで鬼畜な突撃を敢行することにした。さすがに3人だけだと相手チームのほぼ半数を相手にすることになるであろうこのルートを突き進むには心許なかったので、大和兵団(別働隊)のなおき氏と他数名を選抜してスタートと同時に猛ダッシュで一気に敵陣地の上方まで突き進むことに成功した。

 先頭を走るのはヲヤジチームであるすかぽんたんきっての俊足を誇る「世界一ひ弱な不死身の漢」の異名を持つロキ上等兵である。後ろにはまんべ2等兵(だったかな?)、少し遅れて大和兵団(別働隊)のなおき氏や生き残り屋のKネコ曹長が続いていたように思う。目標地点に到着するとすかぽんたんの3名は特に打ち合わせもしていなかったであるが、それぞれの持ち場に散開して周囲に配置されている敵部隊を蹴散らしながら近辺を制圧してゆく。もちろん選抜したメンバーも奮闘してくれたおかげで程なくしてこの辺りの敵部隊は赤軍によって一掃されたようで、スルスルと急な斜面を下っていったのだが、全く銃撃を加えられることなく突撃に参加した兵士ほぼ全員が丘の麓に降り立つことが出来た。

 AXELは他の兵士に少し遅れて麓に降り立ったのだが、そのときには味方が数名周囲の木陰に身を潜めてフラグ方向にいる敵部隊の様子をじっと観察しているようであった。この場にとどまっても特にするべきこともなさそうであったので、AXELは手近なところにあった足場のついた木に登って上から辺りの様子を観察することにした。普段木に登るなどということをまずしない生活を送っているAXELは、それでも何とか木に登って周囲を見回すと、ちょうど右手の方から敵兵士とおぼしき銃声が響き渡るのを聞いてそちらに注意を向けると、どうやらKネコ曹長が敵兵士からの銃撃に泡を食っているのが見えたので銃声のする方向をじっと観察して伏射姿勢で銃撃を繰り返す敵兵士めがけてベネリで一撃を食らわせると守備兵士は物言わぬ死体となったようで、それ以後弾丸が飛んでくることは無くなった・・・。

 しばらくの間じっと敵陣地の観察を行ったが、特に異常なところも見あたらないようであったため、鬼畜にもここにいる兵士全員で敵陣地に強襲をかける作戦に出ること、全体の位置を把握できる位置にいるとのことで号令はAXELが発することが取り決められた。7名程度の味方兵士の命運がAXELの手に掛かっている。下手に敵の一軍に突っ込ませようものなら銃殺刑は免れないので少々プレッシャーではあったが、ここで思い切って味方を全滅させてみるのもおもしろいかもしれない・・・などとろくでもないことを考えながらも突入の機会をうかがっていうと、突然激しい銃撃戦がフラグ右手方向で始まった・・・

バババババババババババ・・・・

敵味方入り乱れての戦闘のようでかなり激しい銃声が聞こえてきたが、ここが絶好の機会だと判断したAXELは味方兵士が後込みするのも無視して木の上から突入の号令をあげることにした。

「ゴー、ゴー、ゴーッッ」

都合7名プラス出遅れたAXELが一気に草むらから敵陣地に向かって突撃するのは見物であったのであろう・・・。あっさりフラグゲットした味方兵士に遅れてセーフティーゾーンに戻ったときにはネルフの人から「ビデオ撮ってたら良かった、映画のワンシーンみたいやったで〜」とお褒めの言葉まで頂戴してしまった。AXELも我ながら良いタイミングに指示が出せたと満足げな気分で午前中のゲームの締めを飾ることが出来た。

6.雨男的組長参上のこと

 午前のゲームを消化してお昼休みの一コマ・・・この日もシーモンキーのFLIPPER軍曹の味方撃ちの腕は冴えまくっていたらしく、ご自慢のAPS-2で1人を血祭りに上げたとのことであった。この事態を重く見た堺傭兵協同組合首脳陣は急遽見せ締めのためにFLIPPER軍曹を軍法裁判にかけ、銃殺刑が執り行われることとなった。しずしずと準備される公開処刑に未だ未経験の外部の兵士の面々は緊張した面もちで見守っている。すっかり準備も整いタオルで目隠しされたFLIPPER軍曹の正面にずらりと並んだフルオートガンを装備した兵士の一団がみずん上等兵の出す発砲指示を待つ間、FLIPPER軍曹の脳裏をよぎるのはいったい何なのであろうか・・・。付近にいる兵士が固唾を飲んで見守る中、みずん上等兵の片方の腕が静かに、だがゆっくりとあげられ・・・兵士達はそれぞれの持つ銃器のセレクターをフルオートにあわせてその手が振り下ろされるのをじっと待つ。みずん上等兵の腕が頂上にまで到達し・・・一呼吸おいて振り下ろされた瞬間!!

ブァババババババババババババ・・・・・・・・・・・・
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」

情け容赦ないほどの弾丸が辺りの空気を白く曇らせるほどにずらりと並んだ銃器から発射され、次の瞬間両手を手錠でしっかりと固定され、後ろからHマグチ2等兵に押さえつけられて身動きのとれないFLIPPER軍曹の股間にものの見事に集中した・・・。

 堪らず倒れ込むFLIPPER軍曹に向かってさらに追い打ちをかけるかのように数名の兵士が素早く走り寄って至近距離からもうもうと湯気がでるほどに山盛りのBB弾を撃ち込んでとどめを刺している中、AXELはというと同じように狂喜乱舞してラピッドファイアーで愛銃のベネリの弾倉に装填した弾丸が空になってしまうほど連射を続けていた。銃殺刑も一段落してぼろ雑巾と化したFLIPPER軍曹の亡骸が運び出される間、居合わせた兵士の間からは「凄・・・」とか「悲惨やな・・・」とかいった恐怖とも感嘆とも取れる感想がヒソヒソと話し合われていたようであるが、我らが堺傭兵協同組合において味方撃ちがどれほどの重罪かを知っていただく良い機会になったことかと思う今日この頃である・・・。

 午後からのゲームは天候が徐々に悪化してきたということで、2ゲームほどこなし「そろそろ終わりにしましょうか?」とKネコ曹長を話し合いしながら、(なんだか忘れていることがあるなぁ)などと思っていると、Kネマキ組長が何とか仕事に区切りをつけてこちらに向かっているとのことであった。そういえば何となくいつもより寂しい気がしていたのであったが、いつも太陽よりもピカピカ明るいダメ人間の集団であるすかぽんたんのリーダー格(というよりも組長格)ともいうべき軍曹が参加していないので戦闘にも張りがないような気はしていたのだが・・・。

 軍曹の到着を待つ反面、徐々に強くなってくる雨足に「やっぱりゲームを中断しましょう」という主催者としての判断を下し、FLIPPER軍曹殿に依頼してKネマキ軍曹に作戦終了の旨を伝えると・・・、

「そんなん、いやや〜〜〜〜折角駐車場まで来たのに・・・・」

と、近年まれにみるほどのAXELも真っ青、インド人もビックリの駄々のこねっぷりでいそいそと帰還準備をしている参加者の冷たい視線も省みずフィールドまで降りてきてしまった・・・。その途端、先ほどまでの雨足よりも当社比3倍くらいのバケツをひっくり返したような大雨がフィールドを直撃した。

 そうか・・・今回の雨男は何を隠そうKネマキ軍曹その人であったのだ!!最近就職活動で徐々に髪の毛を伸ばしておられた軍曹にサバゲの神様が審判を下したに違いない。その証拠に軍曹がフィールドに近づくにつれて雨がどんどん酷くなってきたではないか!!きっと軍曹が心を入れ替えて出家した坊主の如く、頭を丸めない限りはサバゲの神様の怒りは静まることはないであろう・・・

いや、そうに決まってる!!
だから・・・早くツルツルピカピカにしていてくださいね〜軍曹


しかし、久方ぶりに最近穏やかであった軍曹の中に鬼神のごときサバゲ魂を見たのは次の瞬間であった。

「雨が降ろうが槍が降ろうが今帰ることは許さん!!!せめて1ゲームだけでも参加させてぇ〜。お願い!!!」

要するに折角仕事を片付けてここまで来て1ゲームも参加せずに帰るのはイヤだということらしい・・・。あまりに見事なだだっ子ぶりに圧倒されたAXELは帰り支度をしている各チームの代表者に最後にもう1ゲームだけ行う旨を通達してフィールドに降り立つことにした・・・。

 こうしてこの日最後のゲームも大雨の降る中けが人がでることもなく無事終了し、兵士達もそれぞれの帰るべきところへと帰還していった。悪天候の中でのゲームであったため、風邪などで体調を崩した兵士もいるのではと心配になったAXELであったが、後日になっても特にそのような話しも聞かなかったのでその日一日楽しく過ごせたことをサバゲの神様に感謝しつつロキ上等兵の運転する軍用車に揺られて兵舎に帰還したのであった。


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